カフェにて
「店長、いつものよろしく。こいつらにも。あ、リン様はどうされます? どういったものがお好みで?」
「あら、可愛らしいお嬢様。なぜあなたがこんな方を? いえ、詮索はよしておきますわ。いらっしゃいませ。当店は主にお飲み物を提供しております。ですがお嬢様にご提供できそうなものは……、ああ、あれがありましたわ。私のおすすめがあるのですが、それでいかがでしょう?」
対応してくれたのは30前後ぐらいのお姉さんだったけど店長らしい。この世界でこの年齢だと私の体ぐらいの子どもがいることも多いみたいだから、任せてみよう。
「はい、ではそれでお願いします」
しばらくはああだこうだと店員さんとやり取りしてたりして、セルウッドさんと話はせずに時間が過ぎていった。その間にどんどん頼んでいたであろうものが届いてきた。
「私はこれが大変気に入りましてな。もしかすると帝都におられたリン様なら見たことどころか出されたことがあるかもしれませんが」
「いいですね、これ」
と言って私の近くに座った護衛のグゲが先に飲んだ感想を教えてくれる。グゲは店長や店員の動きをずっと見ていた。あやしいところはなかったようで、すっと飲んだし。
そういって見せてくれたのが、真っ黒なお湯みたいなもの、香りはやや焦げ臭いものの、これコーヒーじゃないかな? その飲み物の上に白いものが浮いている。よく見ると別に出されていたものを入れたようだ。
たぶん白いのはメレンゲでコーヒーか。帝都でも見たことないし、前の世界でもコーヒーは苦手だった。
それをおいしそうに飲んでいた。セルウッドさんや彼の部下の人たちも同じものを飲んでいるようだ。一緒に大きなクッキーみたいなものも一緒に食べている。
「お嬢さんにはこちらよ。ぶどうスカッシュ」
おおお、炭酸飲料だ。こちらでは初めてみた。スカッシュだからか、かなりすっぱい。けど確かに甘みもあって、これ美味しい。
「いつ来ても驚きの品ばかりだ。これは?」
「ええ、つい最近近くでワインを作っている村から売りに来てくれたのよ。試し飲み一回しただけで在庫全部買うことにしたわ。それなりにしたし、それなりのお値段になっちゃうけど、すごく面白いのよ」
へー、そんなこともあるんだ。村から営業とかかけるんだ。まあ大きな街に近い、しかもその街が港街だとするなら、確かに大きなチャンスが有るだろうしね。
シフォンケーキのようなものになにかのジャムがかかっているかのようなデザートが皆に出されたところで、待ちきれずに聞いた。
「確かにおすすめされるほどの素晴らしいお店ではありますが、それが目的ではないですよね? なんでしょうか? お話とは?」
「おお、すいません。ここにくると年甲斐もなくはしゃいでしまいましてな。実はリン様が義手義足を取り仕切っていて、ゴーレムを供給しているジュシュリのトップであるということを知りましてな。お頼みしたいことがありまして」
むむ。そう言われるとなんだか自分がすごく重要人物のようが気がしてきた。
「はい、なんでしょう?」
「最優先はゴーレムについてなのです。我々は九号型、十二号型、そして十五号型と全ての供給されたゴーレムを扱ってまいりましたが、使いづらくなってきていると感じるのです」
ええ? どういうこと? というか私が関わっているのは九号型だけでその後のは殆ど知らないんだけどね。けどそれを何も知らないはずのセルウッドさんに言うわけにはいかないし。とりあえず続きを聞こう。




