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天才系

食事での会談を終え、いったん与えられた自室へ戻る。するとぬるっとルオンが現れた。


「ご報告、よろしいでしょうか?」


どうやら待っていてくれたようだ。


「ありがとう、待たせたみたいね。いいわよ、よろしく」


「まずは近辺の報告を。この街には十六名、帝国に属していないものが侵入しております。うち十二名は冒険者のようですが、残り四名はそういった不安定な者ではありませんでした」


「まあ国境の町で戦争中だしね。冒険者はスルーでいいわ、その四名のこと教えてちょうだい」


三名は個体名やどのへんにいる傾向なのか、身なりなどを教えてもらった。一人だけ個体名が分からない者は身なりと顔つきなど、なるべく特徴を教えてもらった。


「ありがとう、また誰かに伝えておくわ」


「あとはテルビウムの技士マグダレーナの身辺調査の結果です」


けっこう身元がはっきりしている人みたいで、近隣の村の出で両親ともに村での技術職めいた家の出身だったみたいだ。子供の頃からはっきりと才覚を表していたのでかなり若い、子どものうちから付近の街の木工職人のところへ弟子入していたけど、そこでもあっさり親方に追いついてしまい、最近流行ってきた義手義足職人へ移籍させられたようだ。そしてそこでも才覚を発揮しすぎ、ゴーレム技士もいけるんじゃないか?と勧められてテルビウムのゴーレム工房へ来ていたところ、だったようだ。


これは掘り出し物かもしれない。天才系の人はいろいろ見聞きしてきたけど、こんな感じよね。多少疎まれてそうなのもそのまんまだわ。


「だいぶ良さそうね。ありがとう助かるわ」


「はい、あと申し訳ありませんが、敵軍のことなどは魔力が足らず調べきれませんでした。いったん私はミリシディアに戻らなくてはなりません。もし緊急で必要な際は召喚をお願いいたします」


ああ、元々パサヒアス様の召喚なのにこき使っちゃってたからね。


「分かったわ、ありがとう」


ルオンがすぅーっといつの間にか見えなくなった。ほんとに行動にも気配を感じないわね。


私は座ったまま床を右の義足のかかとでこつこつと叩いた。付近からぬるっとベフォセットが紳士姿で現れる。


「べフォセットは魔力が尽きそうとかないの? 結構大きな魔法も使っているけど」


「おお、リン様! 貴女が我輩を気遣うとは後光が差しているように見えますぞ。我輩はリン様のお近くに侍られてもらっており、リン様は召喚者であるパサヒアス様の指輪をお持ちですので、若干ながらパサヒアス様からのご補助を賜っておりますゆえ……。ちなみにレオもそろそろだと思いますので早く合流されるのが良いかと。リン様であれば我輩の倍の恩恵を受けられるでしょうから……」


「そうなのね、分かったわ。しばらくは近くにいてほしいけど、タイミングが合えばべフォセットもいったん帰ったほうがいいのね」


「そうなります。リン様が召喚していただけるのが一番我輩としても楽なのですがね」


「私召喚だと同時に三人は存在できないからねぇ。まぁ考えておくわ。でもルオンの能力もすごくいいのよ」


「ええ、我輩もそれは認めますので。さすがはパサヒアス様が作った魔将です」


「それって自分も褒めてるよね?」


「はっは」


軽く笑ってまた潜って消えた。すぐに使いの人が来たから正しい行動だけど。


そろそろ出撃するから準備の方をお願いしたい、とのこと。私にもついてこい、みたいだけど飛行実験機は置いて行け、らしい。


うーむ。確かにあれに乗ってたら攻撃目標にされかねないし、人間相手だと私自身が反撃するのも嫌なのもほんとのところだし、それは陛下も理解してくれてたからなぁ。


私用の簡易鎧を用意してくれてそれを着付ける人も来た。だぶだぶの服に各所にプレートが付いているやつだ。若干重いけど仕方ない。



「リン姫様! お久しゅうございます!」


元気よく入ってきたのは【戦技】のグゲと、魔将レオだ。


「そろそろ限界に近かったのでお越しいただけただけでありがたいです。少々でよろしいので魔力を賜りたく」


グゲは私と話ししたそうだったけど、レオの都合を待ってくれるようだ。レオは跪き、若干頭をこちらに向けている。


「名付けのリン様なら攻撃にはなりませんので強めに魔力を流していただければ、と」


あ、そういうことね。ゴブリンに魔力を譲渡するような感じかと思ったけど、あれじゃさすがに少なすぎるよね。しゃがんでいてもなお高い位置にある頭をなるべく下げてくれているから、頭から流していいのだろう。レオの犬科な頭にそっと手を起き、魔力を流す。イメージ的にはそのまんま力を分け与える感じ? 現実には出来ないけど、漫画とかでよくあるイメージで、魔力を譲渡した。


「ありがとうございます。付近で侍らせていただければ徐々に回復すると思うのですが、状況がそれを許さない可能性もありますので。ですがおかげさまでしばらくは大丈夫かと」


だいぶ流暢に話すようになったようだ。そういえばみんなこちらの言葉を使っているような? 自動翻訳だから気にしてなかったけど。まあ二年経ってるらしいしなぁ。

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