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デーモンフォール

それほど距離はなかったのであっさりとテルルが見えてきた。……けどなんかおかしくない? 火の手があがっているように見えるんだけど。


急いで様子を見るためにテルルへ近づく。


「回避を!」


急に足元からベフォセットが叫んだ。


それに反応して急制動をかけて落ちる。三次元機動なら一番反応しにくい回避方法だ。確かに何かが上を通過していった感じがした。


「前から何か飛んでくる?! 黄色? 金? ドラゴン?!」


「イエロードラゴンですな! ゴールドドラゴンなどというものはおりません。極めてゴールドに見える黄色いドラゴンなら確かにおりますけどね。反撃を」


「分かってるわ、持ってるのが心もとないから強化できる?」


豆粒のように見えたドラゴンがすぐに飛行実験型と同等の大きさに見えてきて、突っ込んできた。今度は明確に透かすように横に避けた。イエロードラゴンとすれ違いざまにゴーレム用クロスボウを叩き込む。返事はなかったが答えてくれたようで、撃ったボルトが光り輝き、若干誘導してイエロードラゴン体に突き刺さった。


「思ったより小さい。まだ若い、やんちゃなレベルですな。おいたがすぎますが」


「けどやっぱりこの武器じゃあまり効いてないわ。どうしよう?」



こちらのボルトは確かにドラゴンに突き刺さったものの、刺さっただけでそれほどのダメージではない様子だった。人間に例えたら小さな針を何本か軽く刺された感じ? 痛いは痛いけど、それで能力が落ちたりましてや死んだりはしない感じ。


「もう少し大きな武器を持ってくるべきでしたな。我輩が魔法でなんとかしましょう。地上スレスレに飛んでください」


そう言われたので、テルルへの街道となっている森の街道をホバーのように進む。一度通り過ぎたドラゴンがこちらを襲おうと低空で飛んでくる。


「そのまま飛んで。呪文の名前が聞こえたら高く飛び上がってください」

そういうとべフォセットは影に潜って見えなくなった。なんか私の後ろ、飛行実験型から生えている羽の根本ら辺から魔力を練っているのを感じる。


「……ゲヘナ!」


聞いたことがある気がする呪文名だ。たぶん魔法の発動が終わったので急上昇して後ろを振り返ってみる。


赤くなった地面から生えて出てきている、鎖の先についているフックが何本もドラゴンを捉え、捕まえていた。ドラゴンはゆっくりとその赤くなった地面に引っ張られているけど、ドラゴンも抵抗していて、その場を動かない感じだ。


「拘束魔法にしかなっていませんね。本来は即死魔法なはずなんですがね。まあいいでしょう。とどめを刺しておきましょう」


そう聞こえると、おそらくべフォセットがいる場所から呪文の詠唱が聞こえた。彼は滅多に詠唱しない。ためはあっても生半可な魔法では詠唱する必要がないようだ。今までに二回、そんな彼が詠唱するのを聞いたことがある。



「デーモンフォール:スターライト」


ドラゴンが拘束されている位置に空から光が差し、爆発する。凄まじい爆風と衝撃波が付近の木々を吹き飛ばし、街道が酷い有様になってしまったことだろう。


「なんて魔法を使うのよ! それって対軍勢用じゃないの?!」


「デーモンフォール系はもとから対ドラゴン用ですよ、本来は。今までが違った使い方していただけです」


そうなんだ、でもちょっとオーバーキルな気がしないでもないけどな。死体も残ってないじゃない。



「……んん?! これは逃げられましたな。ドラゴン族特有の、アンチ魔属魔法ですな。あれなら拘束も無効ですし。ふむ、しかし……」


「逃げられちゃったのね。まあいいわ。火の手が気になるし、まだ先触れも出来ていないからテルルに向かうわよ?」


ベフォセットは何か気になることがあったみたいだけど、私の影に戻ってきた。

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