護衛
朝ごはんを一人でいただき、飛行実験機を受領するため工房へ向かう。その際にいつのまにかベフォセットが影の中へ合流していた。
徹夜で見張りをしていてくれたらしい工房の人に挨拶をして、飛行実験型に乗り込み、第四軍に合流すべく、軽く飛んでテルビウムで十五号機が並びだしている広場に着陸する。
派手に登場してしまったが、話は通っていたのか混乱はない。むしろ十五号機の操縦者とその護衛たちの好奇の視線に晒された。あまり得意な視線ではないが、これも今後慣れていかないとなぁ。
皇帝陛下は馬型ゴーレム四機に生きている馬四頭の合計八頭引きの装甲馬車に乗ってるようだ。その周りには騎兵が数騎、十五号機が数機、護衛についている。
私は最初馬車の上を飛んでいって、半分ほど進んだら、先触れとして先行してテルルへ入る、ということになってた。まあ見た目異質な飛行実験型が空を飛んでいたら、皆驚くだろうしね。フライの魔法は一般化はしているけど、継続して飛ぶものじゃないみたいだし、実際魔力の消費量は結構なものだから、ね。まあ空を飛ぶ敵はほぼいないみたいだから、楽な仕事だ。
まあ馬車の速度に合わせるから、フライとしてはかなり遅いため、魔力が厳しいかもしれないので、いつもの薬は飲んでおく。気にしたことなかったけど、副作用とかないよね? ゲゴが教えてくれたものだし、大丈夫だよね。
ラッパの音が響き、出発し始めたようだ。十五号機もそれほど早いわけでもないし、馬車としてもゆっくりの出発だ。
飛行実験機はそのあとにふわりと浮いて馬車についていく。一応武器もここテルビウムでも整備、装備させてもらっている。ただのゴーレム用クロスボスだけどね。まあ威嚇にはなるでしょう。
そんなこんなで数時間ふわふわ飛んでついていっただけだった。実際退屈だったけど仕方ないね。数時間も飛べるフライの使い手はほぼいないみたいだし、いくら軽減してるとはいえ、こんな大きなものを飛ばし続けているのは他者からしたら脅威だと思う。それはたぶん皇帝陛下や私、ライクーンにとっていいことだとは思う。……私は諸刃の剣だけどね。まあ見た目で侮られがちだからいいか。
お昼に食事休憩ということで一度止まったので、私達も降りて皇帝陛下と一緒に食事を摂ることになった。部屋の中とかでなく野営で、なので周辺の兵士に見られまくりなので、私が陛下のお気に入りだってのは今まで噂レベルだったのが確定になっただろうなぁ。
一応陛下に言っておいた。発言を聞かれる位置にいたのはゴウエイ様とテオン様だけだからいいでしょう。
「あまり私に構うと、ロリコンにされますよ」
と。
まあ陛下は笑っていた。
「ワシが結婚していない以上、テオンのおかげでもうなれっこだ」
「その話が補強されてしまいますよ」
「……それもそうだな。そろそろ腹をくくって結婚した方が良いのだろうがな」
いやだいやだ、といった顔でそんなことを言う陛下。
そんなこともありつつ、休憩で魔力が少しでも回復しておいて良かった。休憩なしでも足りないということはなかったが、ずいぶんと余裕が出来た。次は先駆けだし、楽だ。
陛下の馬車が出発してから、浮遊し、空で円を書いてからテルルへ向かった。