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動物王国

それとゲゴが気になる話もしていた。


現在は機械の製造という利用法だけど、さらに解析を進めたら、ゴーレムの操縦を効率化し、より自由に動かせるようになるかも、らしい。以前より開発を進めている魔導知能を組み合わせることにより、セカンドソウルとでも言えるもので遠隔操作ができるかも、だそうな。現在は操縦者の意思とゴーレムの動きを遠距離でシンクロさせることが難しいらしく、そこで止まっているとのこと。



「なら遠隔操作にこだわらなくてもいいのかも? 私たちが二号機や十号機でやったみたいに直接乗り込んでもいいんじゃない? まあその場合はさそり型改みたいに操縦者の保護を最優先にしてほしいけどね。実際怖かったし。あれよ、ゴーレムの体が義足のように自分自身みたいに感じれたらきっと今よりうまく動かせるわ。その場合ゴーレムから見える視覚を用意しないといけないけどね」 



私は人が乗り込むタイプのロボットが想像されていることを知っている。けどこの世界ではそんな想像なんかない。ゴーレムを動かして土木作業をさせるという考えすらなかったのだから。ゴーレムに乗り込むというのも都合でそうせざるを得なかっただけで、最初からそのための設計というのは、飛行実験機ぐらいだと思う。あれもかなり特殊だしね。


そう言うとゲゴは何かを思いついたらしく、私の前で木の板にメモし始めた。こうなったら私がここにいるのは邪魔にしかならない。



あとのことはゲゴに一任して、私はサポートだ。けど今は陛下の指示に従わないといけないので時間がない。それを果たしている間の知識吸収と発展に期待しよう。


局の中で自分の要件をすませて待っていてくれたランク老と、外で待ってくれていたクザナとともに屋敷へ戻ることにした。


「リン姫様、少しだけお時間いただけませんか?」

クザナがそう聞いてきたので、日が落ちるまでに帰宅すれば問題ないと思うと答えると、来た道とは違う道を進められた。なんだろう?と思って歩いていると、なんだかここらへんは見覚えがある場所のような気がしてきた。


「クザナ、ここらは? なんか以前に通った気がするのですが?」


犬の吠え声が聞こえる。遠くの屋敷から吠えている犬が何匹か出てきてこっちに向かって走ってくる。なんだか見覚えがある子がいるね……。


「ああ、あなたはレクスね。覚えているのかしら? 周りの子は?」


「そやつらはレクスの子たちです。まだ訓練中ですが、皆賢いですぞ」


クザナが答えてくれる。レクスはこの街で傷を癒やしてあげた子でアルゴスのと戦闘のときにクザナとともに出撃もしている優秀な子だ。


皆に飛び掛かられるかと思ったけど、眼の前で止まってくれた。レクスの子どもたちはしきりに私の義足の匂いをかいでいる。足に不具合があると気づいて遠慮してくれたみたいだ。レクスはともかく子どもたちも一緒に止まったのは確かに賢いし助かる。



レクスを撫でる。軽く魔力を流してみたけど、怪我や不具合はないようで魔力が押し返された。なによりだ。レクスを撫でてあげると子どもたちの遠慮がなくなった。誰も彼も自分を撫でろと言ってくる感じだ。もちろん期待には答えてあげた。


「さあお前たち、戻りなさい。リン姫様がお前たちの家に行けないだろう?」


そうクザナが犬たちに言うと、言葉を理解したかのようにさっと私から離れて戻っていった。


「すごく言うことを聞くのね。すごいわ」



「はっは。ビーストテイマーですからな、賢い犬ぐらい言うことを聞かせられないとなれないものですから。今のわしなら野生の熊ですらテイムできるかも」


犬たちの屋敷に行く途中で話をする。


「そんな危険なことはあまりしないでくださいね。熊をテイムしても今はそれほど役に立たないでしょうし」


「それはそうですから、試していませんがね」


犬のように自分の判断で押し引きできる動物であれば戦いにも連れて行きやすいのだけど、押し一辺倒だと死なせてしまいかねないから使いづらいし、熊とかになると飼っておくのもたいへんだろうしね。



「牛などはテイムしましたけどね。さすがに食べるための捕獲ではテイムはできませんわ。乳牛として飼われていた牛が野生化したものを連れてくるためにね」


「その程度にしておいてください」


屋敷についたけど建物の中には入らず、庭を歩いていく。犬以外にも猫やきつね、よく分からないけどいたちみたいなものもいる。ちょっとした動物王国だ。


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