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リザードマンの秘伝

老ゴブリン二人とハイゴブリンの護衛とともに屋敷を出て、歩いていく。老ゴブリン二人の足元はしっかりしており、むしろ義足の私よりしっかり歩けているようだ。


「まずは謝罪を。メジャーワーカーのテケッピは先月逝きました。あまりリン姫様と接点はなかったのですがテケッピはリン姫様のファンでしたからな。先に逝くが我らはしっかりリン姫様についていくように、と。それだけはお伝えさせていただきたかった」


確かテケッピって、この二人と一緒に牛型戦闘用ゴーレムの教導隊を組んでいた老メジャーワーカーだったはず。



「彼は亡くなってしまったのね」


「惜しいやつでした。リン姫様が我らに生きろという理由が少しわかった気がします」


ゴブリンの常識としてはいろいろあって老人はとっとと消えろ、だったから彼ら自身もそう考えちゃってたのよね。けど今はそのいろいろがだいぶと克服できたから消える必要はない、みたいなことは言っていた。理解してくれて助かるわ。テケッピは惜しいけど事故とかではないみたいだし、大往生なら仕方ないわね。



「あとそれと猫ですが」


「猫?」

そういえばこの復活したばかりの街でも猫をそれなりに見た。それにクザナは猫好きだったはず。


「はい、リン姫様が可愛がっていたレニウムの猫の子どもたちがこの街に根付いています。他から連れてきた子もいるようですがね」


ああ、そうよね。この世界の猫も鼠避けになってるから、どの街でも人間が住まう場所、それこそ砦にでもそれなりにいるのよね。砦の猫と一緒に撤退したこともあったっけ。


「レニウムでは猫が増えすぎて縄張り確保が難しくなっているようでしたので、あの頃の子猫はこの街に導入されたのですよ。大人猫もいないとなので、何匹かは連れてこられたようですが、なわばりを維持できなかった子が優先、というかゴブリンや人間に捕まる程度には慣れてる猫の保護という形にもなっていたはずです」


なるほど。猫を飼うほど裕福ではないけど、野良で多少世話するぐらいは世間としてやってくれているみたいだ。貴重な食料を荒らす鼠を狩ってくれるからね。私の世界では猫を野良として飼うのはだめなことだとされていたけど、こっちじゃデメリットよりメリットの方が大きいのよね。



「そうなのですね。あのときの猫の子どもがライクーンで生活しているのね」


陛下が言っていた用事が終わったらぜひともこの街を散歩しなければ。なにせ私の街でもあるしね。どれぐらい知名度あるのか分からないけど、ラキウスやガギなら悪いことにはなってないでしょう。



「もう到着してしまいました。わしはここで待ってご帰宅時の護衛をさせていただきます」


「わしは魔法開発局にも身をおいているので邪魔にはなりませんぞ。ささ、こちらです」


クザナがいったん外れ、ランク老の案内で魔法開発局の中に入っていく。



「リン姫様!」


部屋から飛び出してきたのは【魔術】のゲゴだ。まだその美貌はそのままで失われていない。


「お迎えにもいけず、失礼いたしました。ちょうど今たいへん重要な魔術を開発中でして」


話しながらもゲゴが出てきた部屋に導かれる。部屋には大仰な設置物と二人ほど見慣れない人物がいた。



「申し遅れました。こちらはリザードマンのファエイス殿。こちらは【言語】の先代ゴガのゼヌカ殿です」


リザードマン! 帝国にいるとは聞いていたけど見たのは初めてだ。なんだかシューシュー言ってるけど、しゃべっているようだ。万能通訳のおかげで意味がわかる。


「失礼します。リン姫様、リンクをはってよろしいか?」

こっちは元【言語】のゴガらしいハイゴブリンの女性だ。引退しているはずだけどそんなに年を取っているようには見えない。ゲゴよりは一回り上程度?


私には分かるけど、リンクははってもらおう。それで通じていると保証させられるからね。



了解すると、リザードマンのファエイス殿は先程の挨拶をもう一度言ってくれた。いい人のようだ。


「我らの秘伝、確かに伝えました。我らの移住先の提供、大変ありがたく思っております」


んん? 挨拶の後に続いた言葉は、なんだか私のおかげってことになっているみたいだけど、なんかしてくれたみたいね。秘伝を教えてもらった見返りにリザードマンの移住先の提供、元々帝国に住んでいたはずだし、ということはミリシディアに移住、だからパサヒサス様のおかげか。



「ええ、良かったわ。秘伝を教えていただけて助かるわ」


適当に話を合わせた。


「はい、彼らリザードマンが持っていた魂を保存する技術、確かに受け取りました。そのままでは我らには使えないため、改造しましたが無事に思惑通りになりそうですわ」


魂を保存する技術! とんでもないものを教えてもらったようだ。

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