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責任

レニウムの上近くまで飛んで戻ってきたら、門の上から手旗信号で、もともとゴブリンの工房があった区画に着陸するよう誘導された。


フライがかかっているので、垂直離着陸も出来るので余裕だけど、普通の翼にしたらそれって大丈夫なのかしら? 元の世界にあった垂直離着陸機も普通の翼だった気がするからたぶん大丈夫だと思うけど、翼そのものの角度とか変えられる方がいいのかしら。


滑走路とか準備したほうがいいのかも。



とか考えながらでも着陸できた。そして工房に入って飛行実験機を座らせる。

ベフォセットが先に降りていて、私が降りるのを手伝ってくれる。ベフォセットはいつもはあれだけど、こういうときだけは紳士だ。



「おかえり、リン。どうやった?」


サキラパさんやゼルンもここで出迎えてくれた。


「とりあえず点検させるわな。リンがすぐに壊してくるとは思わんけど、どっかに負荷がかかっとるかもしれんしな」



そういうとこちらを気にしていたゴブリンたちがさっと機体に散って点検を始めた。


「まあすぐ終わると思うから、座って待っとこうか」


と、休憩室みたいなところに入って座る。



ふう、と一息ついて話しだそうと思ったら、伝令がサキラパさんにと走ってきた。


「皇帝陛下が遠話を希望されております。サキラパ様、きていただけないでしょうか?」



「……あー、こりゃ怒ってるわ。ちょっと説教されてくるからここでゼルンと話しといて」


そう言って伝令に付いていってしまって、サキラパさんは離席した。


「遠話って、なんだっけ?」



「リン様が実質上作られた遠距離でも会話が出来る通信網のことですね。最初は帝都とここレニウムのみでしたが、今は帝国にあるどこの街とでもつながるはずです。ライクーンにも。今はライクーンと帝国をつなぐ街道も出来ておりますよ」


ああ、あれか。そういえば帝都から出るな言われてたのにレニウムに来てしまっていた。それを言われる気がする。このタイミングだし。

私のために定時ではない転移をさせるのあれだし、帰るのは明日になりそうだもんな。ちょっと飛行実験機が気になりすぎて浮かれてた。



「そういえば、義足の調子はどうですか? 問題ありませんか?」


「え? ああ、うん。今休憩だけど外そうとも思わないぐらい快適よ。もちろん痛みもないし、このまま寝るまでつけてみるわ。ありがとう」


「いえいえ、でもリン様が義足を必要としてくれたおかげで今があるんです。手や足を失ってしまった人の希望になってますよ。職人は人間にもかなり増えましたが、ジュシュリへの注文が多くててんてこまいみたいですし」


「そういえば帝都に皆いたけど、ゴブリンやハイゴブリンはちゃんと暮らせているの?」


「はい、私達ハイゴブリンは問題なく溶け込めていると思います。今はもう私達を見てびっくりするような帝都民はいないと思います。でもゴブリンたちはモンスター扱いだったので、今でも自由には動けません。けど陛下が私達やゴブリンのためのお手伝いさんをつけてくれていますので、困ったことにはなっていません。ゴブリンたちにも個別の部屋がある高層家屋を用意してくれましたし魚も定期的にくださいますし」


さすが初対面のときにゴブリンをもてなすことができただけあるみたいだ。皆がちゃんとやっていけているなら問題はない。ジュシュリとしては、どうなんだろう? 今度ガギに会えたときに聞いてみなきゃ。


「そうなのね。良かったわ。二年もいなくなってて申し訳なく思ってるから……」


「ああ、リン姫様。お気になさらず。リン姫様がサボってそうなったわけではなく、頑張ったがゆえにということは皆が知っておりますので」


どうやらサキラパさんが帰ってきたようだ。彼女は静かにする必要がないときはどこででもどたどたと足音が聞こえるような歩き方してるから近づいてきたらすぐに分かる。


「すまんな、リン。エドのやつにこってり絞られてきたわ。全部うちのせいにしてきたからリンはかしこまる必要ないからな」


エドって、皇帝陛下のことか。確か名前がエドワードだったっけ。そう言える立場だったっけな、サキラパさん。

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