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ゴーレム工房

サキラパさんが所有している帝都での工房についた。帝都にあるのにすごく広くて立派だ。薬草などが植えられているらしい畑になっている敷地の横に明らかに周りとそぐわない、いかにも急ごしらえといった建物があった。サキラパさんはそこに案内してくれる。


「ここがゴーレム関連の工房や。慌てて作ったものやから安普請やけど、別のところに立派なの作ってるところでな」


入ってみるとかなり大きい空間になっていて、三機のゴーレムがあった。一機は寝かされていて、もう一機は座っている? 足の形がなんだか変だ。もう一機はぶら下げられている。


「寝ているのがたぶん十五号型かな。で、ぶら下がってるのが十四号機。けどこの座っているのは? なんだか鳥の羽が生えているみたいだから、これが飛行実験機かな? 六枚も羽があるけど」


十四と十五はまあ予測範囲内の見た目だけど、この鳥の羽が生えているやつはある意味予想外だった。構想を少しガギに話したことあるけど、確かに羽とかしか言ってなかった気がする。

この世界の人で羽と聞いたら、鳥の羽だよね。もしかするとドラゴンの羽かもしれないけどさ。


足も腰もスカートつけてあるし、私が口で軽く説明した通りではある。けど足が鳥の足みたいに逆足になってるのは想定外だし、腰のスカートも六枚も生えている鳥の羽に干渉しないためか、タイトな文字通りの布製のスカートになってて股関節あたりを隠す意味しかない。


「ご明察やで。さすがゴーレムの第一人者やな。十四と十五は素直なええ子やけど、この飛行実験機になった拾壱号機はなかなかのやんちゃや。ガギによるとリン、あんたの言う通りにしているということなんやけどな」



ゴーレムを整備していたと思われるゴブリンたちが私に気づき、集まってくる。


「リン姫様だ」「ご復活なされた!」「めでたい」「よかった」


などとゴブリン語で話している。そっか、そうだよね。ジュシュリの皆に迷惑、というか心配をかけちゃってたよね。


一部にいた人間の整備員には私が誰か分からないだろうから、ポカンとゴブリンたちの行動にびっくりしている感じだ。



「ありがとう。昨日から起きています。ジュシュリにも戻るので正式には五神官の報告を待ってね。私には構わずお仕事続けてください」


そうはいっても気になるみたいで、ずっと視線を感じるけど仕方ない。特に人間の整備員がゴブリン整備員に誰?みたいな感じで聞いているようだ。まあ私を見てゴブリンたちの姫だなんて分からないよね。


「で、この十四号機が十五号型の試作機みたいな感じで、今は新操縦システムの実験に使っとる。こっちの十五号型は普通に整備しとるだけやな。この工房での作業機や」


そう説明しながら飛行試験機の方へ皆で歩いていく。


「こいつが見たまんま飛行実験機や。元が拾壱号機やから操縦法は有線のままやけど、今十四号機で試してる新操縦法が確定したらそっちに変える予定や。あー、一応十号機同様にフライを使えば飛べはするけど効率的にはあんまり変わってないから、飛行実験機としては失敗してる方や。けど成果もあったんやで」


まああの鳥の羽じゃあより良く飛べないでしょうし、飛行魔法の役に立つかといえば微妙だとは思う。この世界で航空力学とかあるわけないし、羽と言えば鳥の羽になるよね。さすがに昆虫の羽では難しいってことは分かるだろうし。


でも全体的に流線型になってるのはさすがだな、と思う。私もそこまで話してなかったと思うし。十号機は四角で構成されたごつごつだったから。まあ十号機を飛ばしたのは後付で、そこまで考えて作ったものじゃなかったしね。


「でもいいところまで行けていると外見からは思えます。いくつか、特に羽と腰を変えないとですが、他はいい感じでまとまっているかも」


飛行実験機も元は魔法投射機みたいなので主椀と副腕があるんだけど主椀が十号機に比べてかなり小さい。その分重武装は出来ないかもだけど飛ぶことだけ考えれば有利なはず。


あとは足のスカートだね。足のスカートも文字通りの普通の布のスカートをつけているようだから、たぶんなぜつけているのか設計した人も分かってないよね、これ。説明してなかった私が悪いんだけどさ。まさかこういうふうなのを作りたい、という願望を話していただけで、実際に作ってみてるとか思わないじゃん。



「足を設計したのは誰?」


「は、はい、私とべフォセット様です」


ゼルンだった。ガギからまた聞きでなら本当に仕方ない。けど逆足にしたのはセンスあると思う。さすがだ。

けどベフォセットも?


「ゼルンは分かるけどベフォセットも?」

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