アルゴス
アルゴスが待ち構えている戦場へ辿り着く前に、警告の発光魔法のあと、投石機からの爆弾が飛んでいき、命中爆発した。私が想定していた以上に大きな爆発だった。三機から発射された三発の爆弾はどれも同じアルゴスに当たり、相当なダメージを与えたようだ。目の半分以上が閉じている。
さらに地上からは展開している九号機たちのゴブリングレネード弾頭のボルトで散発的に援護攻撃をしてもらっている。散発的なのはあえてで、アルゴスのヘイトを稼ぎすぎて目標にされないためだ。けど散発的とは言え威力は高いので効果はあるようだ。
互いの射程内に入った時に二回目の爆撃が発光魔法のあとに飛んできた。今度は一発だけ先程の傷ついたアルゴスに、二発がもう片方のアルゴスに飛んだようだ。
傷ついた方にはもろに命中した。このまま倒せそうだ。けどもう一体の方は、二発のうち一発は食らってくれたものの、もう一発は空中で目から発射された光線で迎撃されてしまったようで途中で爆発してしまっていた。
手負いの方はもうすぐグレンデルを全滅させそうな地上の二人や九号機たちに任せて良さそうだ。そう思って十号機をダメージの少ない方へ向け、同乗している二人にも伝える。ゲゴはそれを聞いて、クロスボウから特殊爆槍に持ち替えていた。確かに最初にそれを使ってくれたほうがいいと思うし、クロスボウを使う、邪魔なフローティングアイも今はいないのでチャンスだ。
狙いを定めたアルゴスの全身にある目から光線が発射されるけど、どれも射撃偏差のない攻撃で光線と言っても光の速度ではないようなので、当たる気配はない。肉薄し、急上昇をかけた。その急上昇する直前に特殊爆槍は投げられた。
胸を狙って投げた特殊爆槍は残念ながら守ろうとしたアルゴスの右掌に命中し爆発、掌を貫通したけど、胸には多少のダメージを与えただけに終わった。
しかしアルゴスのフォースフィールドを特殊爆槍でなら抜けることが出来るのが分かったのは成果だ。あともう一発ある。それをアルゴスの根幹部位に当てれば、アルゴスも生物なのだろうからなんとかなると思う。
アルゴスは穴の空いた右手を抑えてうずくまりながらも体中にある目から光線を発して攻撃してくる。それらはあまりこちらを狙った攻撃ではなく撒き散らしているだけな感じなので、逆に避けにくい。なんとかアルゴスを視界に収めて、その視線を読み取りながらの回避になる。いったん離れれば驚異ではなくなるけど、近づけば近づくほど恐ろしい攻撃密度になると思う。
こちらは上空で大回りをして再びアルゴスと対峙する。アルゴスには目しかないので表情は分からないのだけど、なんとなく怒っているような気がする。まあ怒っても当然のことしてるんだけどね。
フローティングアイは飛ばしてこない。まあ飛ばそうとする動作は結構隙だらけに見えたから賢明な判断と言える。こちらも特殊爆槍を使えるから助かるんだけど。機体そのものの制御と攻撃担当のゲゴは再びアルゴスの胸を狙うらしい。それを実行しやすい位置に移動するのが私の役目だ。槍を投げる際空中で振りかぶる動作がいるので、高速飛行しながらの姿勢制御とかはたいへんだけど、やらなければならない。次があるなら特殊爆槍を発射できる機構を考えたほうがいいかも。
光線を避けながら、槍を構えて突っ込んでいく。ここなら当てられる!って位置まで移動できた。その時に姿勢的に前に突き出していた大型クロスボウをゲゴが発射した。それとほぼ同時にアルゴスはまだ傷ついていない左手を突き出して特殊爆槍の邪魔をしてこようとする。右手は動いていない。
また防がれる!と思ったら左手が爆発して弾けるように後ろに下がった。さっき撃った大型クロスボウのゴブリングレネード弾頭がゲゴの魔法によって誘導されて左手をはじいたようだ。威力としては手にある目をいくつか瞑らせただけで、指の一本も失ってはいないけど、それで構わない。投げた特殊爆槍はアルゴスの胸中心に吸い込まれるように命中した。
その一撃はアルゴスにとっても致命傷になってくれたようで、貫通はしていないものの、上半身を支えきれなくなったようで、自重で上半身が折れ曲がって、すべての目が閉じた。どうやら死んだようだ。
ようやく一体。しかしアルゴスに効くであろう武器はほぼ使い果たしたので、一度戻ることにした。戻る際にもう片方のアルゴスを見たけど、やつはもうすでにグゲやレオに取りつかれていた。時間の問題で補給して戻ってくる頃には決着がついてそうだ。離れる際にゲゴが大型クロスボウから誘導ゴブリングレネード弾頭で援護していたけど、それすら必要なさそうな感じだった。
残るは、魔将ラキーガに寄生された大型のアルゴスだけだ。やつは今魔将ヴァイガンヌと魔将アンテリモウが抑えてくれているはず。彼らと力を合わせればきっと倒せるはずだ。