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阻害

上から見るとガグはほとんど倒していて、残ったやつも脅威になっているようには見えない。しかしさそり型は一体、破壊されており、また残っている機体もなにもいないところに鋏を振り回したり、尻尾を振り下ろしたりしている。サキラパさんもなにもいないところへ突撃したりしていて、レンジャーゴブリンもあらぬ方向を警戒しているように見える。犬のレキスだけがずっと吠え続けている。破壊されたさそり型の術者と護衛は無事だったようで、蛇亀たちと合流して外向きに円陣を組んでいた。


「何が起こっているのでしょう?」

「上から見えないほど小さな敵がいるのでしょうか?」

二人共、私と同じく、どうなっているのか分からないようだ。この二人にわからないならお手上げだ。


あ、今さそり型の一体、尻尾が切れて、吹き飛んで行ったように見えた。尻尾が外から何らかの影響を受けない限り、あんなふうに壊れるとは思えない。


「小さい敵、ではないようです。あれは見えない敵なのでは?」


上空を旋回してみるけど、はっきりとは認識できない。けど何かがいるようにしか思えなくなってきた。レクスがずっと吠えているしね。


「あれは視覚認識阻害体ですな」


わ、座っている股の間から頭を出さないで、ベフォセット。


「この座席は狭いので吾輩が頭を出せるのはここしかなく……って先程も言いましたが下のものは視覚認識阻害体と戦っております。こちらからはなかなか見るのが難しい奴らです、ルオンの視覚限定能力みたいなものですな」


別に何かが見えてしまうってわけでも見られたら困るってわけでもないけど、自然と内股になる。ベフォセットの頭は膝のところにあるから軽く締めてしまう。


「魔将ゆえその程度で首は締まりませんが、出来たら手加減していただけないでしょうか。特に義足の膝が痛……ぐふっ。強い光を放てばある程度は見えたりするはずですので、その時に反撃できるでしょう」


「ゲゴ、ガギ! 強い光を放つ魔法はある? あったらさそり型の上空に!」


私が使える魔法は少なく、また知っている魔法も少ないので、二人に丸投げした。


ほぼ同時に二つの強い光が発せられた。光の中で三メートルほどの、剣を持った巨人が浮かび上がった。警告なしで発したのでこちらも眩しいとは思うけど、さそり型の一体とサキラパさんは反応し、さそり型は鋏での一撃を加え、サキラパさんは得意の小指潰しをそいつに食らわせていた。クザナは短剣を投げて体に突き刺さったままにした。


攻撃を受けてもそいつはまた見えなくなった。しかしレクスがずっとそいつの方に吠えているし短剣を消しきれていない。すでにサキラパさんたちもレクスの行動がなにか分かったようだし、多少見えなくなっても短剣の目印があるしサキラパさんや歴戦のゴブリンたちはごまかせない。二人ほどの強さではなかったけど、ランク老も強い光を放つ魔法を使ったようだし。そうなるともう身長からいっても、少し強いだけのサイクロプスと変わらないので、そいつはかわいそうに思えるほどの最後を迎えた。


サキラパさんがこちらに手を上げて、残るガグに突撃していった。


「なんとかなったようですな、では吾輩はまた潜りますので、締め付けるのを辞めていただけ……ごふっ」


あんなのがいるとは。まあこっちにもルオンがいるからいても不思議じゃないけど、ルオンはこちらからは手を出せないんだけどなぁ。あんなのがいっぱいいたらどうしょうもなかったと思うけど、さそり型の前には一体しかいなかったし、レアだったのでしょう。そう思いたい。


と思ったらグゲとレオが一体ずつさっきのやつを倒していた。……ほんとどんだけだよ。グレンデルの相手をしながら見えない、存在すら知らなかった敵を倒してしまうのか。……レオあたりが知っていたのかもしれないけど。レオが直接グゲに教えることは出来ないからね。


ラキーガは伏兵を適切な数当ててきたはずだけど、残念。こちらはなんとかなってしまった。さすがにもう隠し玉はないと思いたい。さっきの視覚認識阻害体だっけ? こいつらだって時間と場所が違えば大損害を受けていたはずだし。不利になってからああいうのを出すものじゃないね。優勢、もしくは互角の時に出すものだろう、と思った。ラキーガは戦術が使えるけど、戦術家というレベルではないようだ。


現状、巨人たちは殲滅しつつあるし、魔将と挟み撃ちに出来ているので、もう戦術ではラキーガは脅威ではないはず。ただ一体だけでも存在が脅威なアルゴスが二体いて、さらにそれの強化版みたいな寄生アルゴスをどうすればいいんだろう? 一応その備えはしてあるけど、地道に攻撃していくしかないんだろうなぁ。早めにグゲとレオをグレンデルたちからアルゴスに向かえるように支援した方がいいかな? 幸いアルゴスたちは足元のケンタウロスに気を取られてて、フローティングアイをケンタウロスに差し向けるのに夢中になってて、こちらのことに気をかけていない。そのへんも制御できていなさそうだ、ラキーガは。

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