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うざい

「ルオンはゴガとあっちの魔将との連絡役をお願い。ゴガからあっちに話しかけることは出来ないから」


どこにいるのか分からなかったルオンがゴガの傍らに見えて、うなずいてくれた。


「あとベフォセットはどうする? 魔力大量に使ったでしょうし」


「吾輩はリン様の影に潜んで控えておこう」


「わかったわ。万一のときはお願い」


二号機が戻ってきた。ギグの誘導に従って着陸する。二人共ふらふらな様子。大丈夫かな? ゼルンが飲み物を二人に渡している。そしてそれを見ながらゴガが話しかけていた。あとは大丈夫そうだ。


私とガギ、ゲゴが十号機に乗り込んで飛んだ。本陣の皆が手をふってくれる。


十号機そのものの制御や魔法などの火器管制はゲゴ、フライは私、ガギはフォースフィールド担当だ。フォースフィールドは私達にもだけど、地上で戦っているグゲやレオも主に入れたいので低空飛行になる。となるとガグの的にもなるので私のフライが命運を分けかねない。頑張らなければ。


私達が出撃した後、サキラパさんたちもさそり型への応援へ移動していったようだ。


十号機には右手には九号と同じクロスボウを、左手には手持ちの大型クロスボウを備えている。その両方とも装填は私の制御する背中副腕でやらなければならない。


小さい方には通常ボルト、大型には大型専用のゴブリングレネード弾頭ボルトである。小さい方はフローティングアイや援護用、大型はアルゴス用に持ってきた。弾倉は持てるだけ持ってきている。


前線に到着すると出迎えてくれたのはフローティングアイ二体である。さっきより減っている。ということはアンテリモウたちあっちの魔将に苦戦していてより多くのフローティングアイをそちらに差し向けたのでしょう、こっちとしては楽でありがたい。


以前二号機でも対応できたので、この十号機なら問題なく対応できるはず。二号機より飛ばしやすい気がするし。どういう理屈かは私には分からないけど。フローティングアイに飛ばした通常ボルトもゲゴの魔法で誘導弾と化しているので余裕でフローティングアイに突き刺さり、撃ち落としていた。


サキラパさんたちはまだ到着していないので、さそり型の援護をゲゴが魔法でした。さそり型を狙うガグに向けて胸部副腕が指を指すと、ガグが茶色い雲に覆われた。ガグは弾を吐くのを辞めて、その雲から飛び出していた。

一部の慌てたガグはさそり型の方へ飛び出してしまい、足を拘束されて尻尾のきつい一撃を食らっていた。身長差から頭には当てれていなかったけど、倒しきれたようだ。


「あの魔法は?」

「アシッドクラウドです。打撃を与えつつ視界を奪います」


酸の雲か。えぐい魔法だ。絶対に喰らいたくない。


この支援でさそり型はしばらく大丈夫だろう。そのうちにサキラパさんも合流するだろうし、あとはグゲやレオの支援か、直接アルゴスを攻撃してアンテリモウたちの支援か? 二人のゴンドラと私の座席は相互に伝声管でつながれているのでよほどでなければ会話できる。魔導線による遠距離通話の簡易版である。


「一度ラキーガとやらも視認しておきたいですし、アンテリモウたちを支援しましょう。今はグゲも苦戦している様子はありませんし」

確かに苦戦はしていないけど、さすがグレンデル、鎧袖一触というわけにはいかないようだ。

「分かったわ」


高度をとってアルゴスでも手が届かない高さ、身長の二倍ぐらいの高度まで行く。届かなくても手とかにもある目から光線を放ってくるから油断はできないけどね。


上から見ると、アルゴスたちは二等辺三角形の頂点の位置にいる感じだ。こちら側本陣に底辺を向けている感じで高さは底辺の半分ぐらいで、頂角の位置にラキーガがいるみたい。アルゴスの足元では異形とケンタウロスが戦っている。思った以上に浸透しているようだ。ただケンタウロスではアルゴスに対する有効な攻撃方法がない、という感じか。

アンテリモウらしき者と、ヴァイガンヌの姿は見えない。まだ後方なのかもしれない。


こちら側にいるアルゴス二体は前に見た感じなんだけど、奥のアルゴスは手前のものよりさらに大きく、目の数も多い。また首が折れているかのように右に曲がっており、その頭の目は全て閉じられているようだ。その代わりになのか白い大型の異形の上半身のようなものが首筋から生えていて、こちらが本当の頭であると主張しているようだった。これがラキーガでしょう。


「うざいうざい、うざくて劣った人間よりさらに劣ったケンタウロスやゴブリンどもが。うざいうざいうざいうざい……」


語彙の足らない念話が周囲に響いている。今まで会った魔将は皆知性を感じたものだけどこのラキーガからは言葉は持っていてもあまり知性を感じない。アンテリモウやパサヒアス様を騙したり、人間を巨人化させたり石灰にしたやつのはずなんだけど。


「二人には聞こえないでしょうけど、念話でくだらないことを喚いていますね、ラキーガ」

「あれですね。奇襲で終わらないですか?」

「いえ、アルゴスの体から発するフォースフィールドで守られているようですから、削り切るのにかなり労力が必要かと思われます」


本体だけに一撃、というわけにはいかないようだし、アルゴスが異様にタフなのもそういうことか。


「アルゴス二体に狙われています!」

ガギから警告が発せられる。やば、ラキーガに気を取られすぎた。一体がこちらに両手を伸ばして、もう一体が、こっちを向いてしゃがんでいる? まさか?!


私は十号機に強い魔力をかけて空中でダッシュするかのような動きをした。それでなんとか両手から発せられる光線の攻撃範囲から逃れたものの、もう一体のアルゴスがその巨体であろうことかジャンプしてきて、私達をはたき落とそうとそてきたのだ。こいつ、走ったりもするし、自分の質量を無視しすぎだ。


アルゴスの仕組みが分かればゴーレムに応用できるかもしれない。


ふとそんなことを考えたけど、それどころではない。さらに加速してなんとか手のひらの一撃をかわす。しかしそのアルゴスの目は私達をしっかり捕えていた。顔や体に無数にある目から出た光線の一つに当たってしまう。


凄まじい衝撃が十号機を襲った。けどそれだけですんだ。


「なんとかフォースフィールドで防ぎ切れました。しかし半分近く魔力を持っていかれました。あと一発ぐらいしか耐えれません」

ガギの報告で、ガギの守りのおかげで助かったことが分かった。けどこのアルゴス、前のより断然強い。まあ前のはすぐに逃げにかかったものね。私はゆれる機体をなんとか立て直し、一時離脱する。その際にグゲがジャンプした方に置き土産としてゴブリングレネード弾頭ボルトを数発放ち、それは直撃した。ジャンプしたアルゴスもさすがに体勢を崩した。転けはしなかったけど。


いったんひき、仕切り直そうと少し戻る。グゲは相変わらず暴れまわっていて、グレンデルの数を減らしている。通りすがりにグゲがグレンデルの後ろから通常ボルトを放ち、一体に当てていた。ちょっと卑怯かな?とも思ったけど、敵機が後ろ上空に飛んでいるのに気づかない、気にしていないほうが悪い、ということにしておこうと考え直した。さすがにその一撃では支援になったかどうかも分からない程度だったし。


その流れでさそり型の方も見てしておこうと近づく。……なんだか様子がおかしい。サキラパさんも到着していて、万全のはずなのに何故か混乱に陥っているように見える。


「なんだか様子がおかしいです、支援に向かいます」

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