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緒戦

「戦闘を開始する」


ガギの号令により、九号量産型ゴーレムたちが一斉に丘を登り始め、頂上に登り終えたものから並び始める。そして一足先に登っていた観測ゴブリンから目標を伝えられる。観測ゴブリンも間隔を空けて複数いるので目標も複数だ。


目標は大きくて目立つヘカトンケイルだ。やつの魔法がおそらく巨人たちのなかで一番射程があって威力もある。それでもこっちの半分以下の射程のはずだ。

なので最初の当たりはこちらの大有利だ。


けどここでヘカトンケイルを倒しておかないと、彼らの使うコールライトニングは防ぎきれない。こちらの守るべき対象が多いし、相手の数も多すぎる。私とガギがフォースフィールドで守っても、すぐに二人とも気絶してしまうだろう。そうなったらもう終わりだ。


だからここはヘカトンケイルを確実に撃破しなければならない。幸いこちらが撃つまでは相手にも動きはないようなので、慎重に狙いをつけてもらう。


九号が狙いをつけている間にさそり型が九号の前に出る。壁役だ。あの新しい巨人であるガグには大きさ的に厳しそうだけど、イオデンまでは対応できるはずだ。九号より低い位置に陣取るので誤射の可能性も低い。


狙いをつけ、各自の判断でゴブリングレネード弾頭の特殊ボルトを打ち込んでいく。巨人たちが陣取る各所で大爆発が起きる。ヘカトンケイルは見える限り吹き飛んだようで、周りにいたサイクロプスやイオデン、プレムミュアエたちも若干巻き込んでいる。巨人たちは混乱しているみたいで大きな動きはない。


しかし蟻たちがこちらに突撃してきた。


別の九号が普通のボルトを打ち下ろす。今このタイミングでは蟻にゴブリングレネードはもったいない。またさそり型がさらにもう少し前に出て蟻を受け止めに行く。


数度の射撃でほとんどの蟻はこちらに近づく前にボルトに射抜かれ、丘を転がり落ちていった。僅かな数の蟻がさそり型にとりつこうとしたが、例外なくさそり型の尻尾の一撃で頭部が粉砕され、彼らも転がり落ちていくか、その場で潰れた。


巨人たちもつっこんでくるかと思っていたけど、突撃はなく、それ以外は予定通りにことは進んでいる。


「前進せよ」


ガギの号令とともに全員が前に進む。九号の射撃は若干高さという有利を失うけど、その分近づけたのでプラスマイナスゼロで巨人がこちらに来ない分目標が増えた感じだ。あとレンジャーゴブリンとその護衛がゴーレムの横列のさらに横に位置付き、ゴブリン二人がかりで使う重い大型クロスボウでの狙撃と横からの奇襲に備える。


こちらが前に進んだことにより、巨人たちもようやく前に進んできた。しかし突撃ではなく横列前進といったレベルである。明らかに統率されている。しかし未だ遠くから見ているだけでは誰に統率されているのか分からない。まだラキーガらしき姿も見えていないのだ。


ここで予定外の行動に出ることにした。ルオンを召喚してラキーガを探してもらうのだ。ルオンは昨日にここにいるっぽいと言っていたし、彼なら探せるかもしれない。


「わかりました、探します。少々お待ちを」


すぐに探しに行ってくれた。けどいくら認識されなくてもあの巨人たちの中に入っていくのは自殺行為だ、おそらくなんらかの超感覚とか魔法とかで索敵だと思う。ちなみにレオも、ベフォセットもまだ召喚してしない。二人共まだ射程外と思えるから。


見える限りヘカトンケイルは全滅させれたようで、今は蟻が突撃、サイクロプスとブレムミュアエがにじり寄っている。サイクロプスはたまに岩を投げてくるけど、全然届いていない。ブレムミュアエは何も考えていない感じでどんどん前にやってくる。

特殊ボルトを打っていた九号もボルトを変更して通常のものにしている。今持っている残りは強敵で大きなアルゴスや他のなにか用にとっておく。数は十分用意したんだけど持ち歩く数には限度があるから節約しないと。


「そのままゆっくり進め。こちらに辿り着く前に全てボルトで倒しきるのだ」


順調に巨人たちを倒していっていると、ゴブリンの伝令がきた。何? 何が起こった?!


「最左翼に特殊な蟻が出現、撃ち倒しておりますが、足が早く。備えをお願いしたく」


新しい蟻?! それは想定していなかった。


「ガギ! ガギはこのまま全体指揮を。私は支援に向かいます」

私が支援に行けば私を守る護衛も一緒について来て万全になると思ったので、そう提案した。


「……分かりました。くれぐれもお気をつけて」

指揮をしながら、私を一瞬見てうなずいてくれた。


「ゴガを私がいた位置へ。ルオンからの報告を受けるように」


そう言いながら私は最左翼へ向かった。本陣の護衛役でもあったさそり型はおいていき、私そのものの護衛と近衛としての蛇亀隊を引き連れて。


四号機に乗って最左翼が見える場所にやってきた。確かに回り込んでくるように蟻たちが迫ってきている。あれは?! 蟻の頭と胴体をつなぐ首あたりから上になにか生えている。……異形だ。蟻の体から異形が生えているように見える。乗っている、ではなく生えているだ。異形と蟻の動きが連動しているので、おそらく蟻の体を乗っ取ってるんだと思う。寄生体だね。


そいつらは通常の蟻よりも早く、また左右に動いてボルトを避けようとするので、無闇矢鱈に打てないのでじりじりと迫られていた。その光景が見える最左翼の九号が手伝ってくれていて、そのおかげでなんとか食い止められているけど、そのせいで左翼の巨人たちを倒しきれておらず、やや迫られている。このままだと一体抜かれただけで左翼は瓦解、それは容易に全体の瓦解につながる。


「蛇亀隊、援護を! 九号術者は巨人を!」

できる限りの大声で指令を出す。近くにいる蛇亀隊は指令通り動いてくれたけど、必死に蟻を撃退している途中の九号術者には届いていないようだ。私の指令を繰り返すよう、付いてきている護衛のメジャーワーカー、ブゥボに頼む。

さすがにブゥボの大声は九号術者にも届いたようで、こちらを振り向き、状況を把握し、巨人退治に戻ってくれた。


「出来ればあの生えている異形を狙って! あれが本体よ!」


奥の方ですでに射抜かれて倒されていた蟻を見ると異形が生えておらず、その蟻の影に異形が隠れているのが見えたので、蟻を倒しても異形が残るみたいだし、街で出会った異形と同じ能力を持っているならかなりうざく、やっかいだと思うので優先して叩いてもらうことにした。


その推測は当たっていたようで、異形にモロに当たったのがあったが、異形に当たったのに蟻は足を止めた。そいつの様子を見ていると、しばらくその場でもがいていた蟻から異形が抜け落ち、蟻はそのままお尻を向けて逃げ出していった。やっぱり操られてるだけみたいね。


蛇亀隊が最左翼に合流したおかげで戦力は倍近くに増えたし、近接の護衛も増えたので、安心感からか異形撃破の効率が上がっていった。私も四号機の肩のバリスタと手持ちのクロスボウで数度打っただけで、巨人のほうをなんとかしたほうが良い、と判断したぐらいだ。


しかし、状況が好転したと思ったら、また様子が変わってきた。突撃してくる寄生蟻がいなくなった代わりに、異形たちの決死の突撃、とでもいうのか、いや死なずに、突撃もせずに歩いてくるだけだから決死の突撃でもないんだけど、何度ボルトで打ち倒しても、脱皮して復活してくるのだ。


街で遭遇したときは、確かガギが炎の魔法で薙ぎ払っていたっけ。しかし私は炎の魔法を覚えていない。どうするべきか?

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