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実家へ一時帰宅

義足のテストをしている間に、ガギがゲゴを引き連れて戻ってきていた。ゲゴも?


「どうですか、義足は?」

ガギが気さくに話しかけてきた。ギグとゼルンはそれに合わせてか退出していった。ゲゴは私の義足を興味津々で見ているようだ。

「ええ、なんとか歩けるようになりそうです。ただ今のバージョンだと椅子からしか立ち上がるのは難しそうです」

「なるほど、これから出発できますが、それを付けていきますか?」

「はい、テストとしても慣れるためにも付けていこうかと思います。それにゲゴもついてくるのですか?」

「事情を知っているゲゴの方が良いと思いまして。グゲは今調査に出かけていませんしね」

グゲ、私の護衛が増えるとか言ってたけど、あまり増えないようだ。まあゲゴなら安心できる。

ゲゴがゴーレムを出してくれる。私も早くゴーレムの術を覚えなくては。


「まだ義足には慣れていらっしゃらないでしょうから、道中はこれにお乗りください。練習がてらゴーレムの操作をしてみますか?」

「そんなことが出来るのですか? 出来るのでしたら試してみたいです」

「はい、念の為わたくしも制御権を持ったままにさせていただきますが、制御権をお譲りすることも可能です」

出来上がったゴーレムが私を抱えあげ、跪く。ゲゴがゴーレムの頭を触りながら何言か唱えた。


「リン姫様、ゴーレムの頭に手を乗せて、ゆっくり魔力を流し込みながら、私の言うことを復唱してくださいませ」

言われた通りにしたら、手から魔力が流れていくさまが光の流れとして見えて、ゴーレムの頭に溜まっていくのが見えた。その魔力は体に根を伸ばしていく感じでゴーレム全体に伸びていく。

「これでリン姫様の思い通りにゴーレムが動くかと思います。一挙手一投足指示しなくてもそこへ行きたい、あいつを殴り倒したい、などの抽象的な命令で構いません。またゴーレム自身に自動で何かをさせるというのも複雑なことでなければ可能です。ゴーレムに意識を回す余裕がないときなどはそうしてください」

なるほどね、車みたいに全部自分で制御しなくてもいいのは楽でいい。事故も起こりにくそうだ。


「どこまで離れても制御できるのですか?」

気になったので聞いてみた。

「基本的にあまり離れないほうが良いです。接触がベストですが、多少なら離れても仮面に魔力を供給する感じで魔力を飛ばせば制御できます。距離が離れすぎると魔力が拡散してしまうため、あまり離れては駄目です。リン姫様の魔力でしたら多少は離れても大丈夫でしょうけど。また接触でなければゴーレムは短時間しか持ちません。接触していれば自動で魔力を吸い取って動きます。もちろんそれをしないという設定も可能です。その際は随時魔力を自分で注がなかればゴーレムの体を保てません」

なるほどね。これは操作者自身がバッテリーも兼ねてると考えたらいいのかな。ゴーレムの体を保つにも魔力が必要なのね。確かにただの木の棒やただの軽石が膨れ上がって人型になってるんだしね。


膝を曲げることができないので義足の位置が定まらずなかなかゴーレムにちゃんと座れなかった。うーん、ゴーレムを使う時はこの義足は邪魔になるかもしれない。ゼレンが作ってくるであろう膝が曲がる義足のほうがいいのかも。


とりあえず座れたのでそのままガギの先導で出発する。建物から出たところで、ヒュージクラブ討伐のときに紹介されたハイゴブリンの女性と、ゴブリンメジャーワーカーも合流する。ザービとブゥボだったっけ? 私の護衛だ。ガギとゲゴには一人づつ護衛がついたようだ。


小屋には意外と早くに着いた。ジュシュリに来た時は混乱してたからかすごく時間が長く感じたようだ。実際には一時間程度だった。道中はガギとゲゴを教師としたゴーレムの授業を受けていた。


小屋についた。正直記憶に残っていない。外からは一瞬見ただけだしね。

最初にブゥボが入って様子を見る。問題なしだったのでゴーレムから降りてザービの先導で入る。

記憶の通りなにもない小屋だ。ベッドと水瓶しかない。ベッドの横に見えた白いものはもうない。ガギが言っていた通り葬ってくれたのだろう。

「なにも、ないね」

回収するとしたらベッドの上の毛布だろうけど、それもなにかにやられていたときに使ってたやつだから、持っていかないほうが良いだろうし。

「あちらにも小屋、というか建物があります。あちらのほうが生活の拠点でいらしたのですよね」

ガギも私が実は転生してきた中身だと知らないので、知っていて当然という感じで話しかけてくる。

「え、ええ、そうでしたね。しばらくはずっとこちらで寝ていたので。それに確認もしたかったですしね」

てきとーに言ってごまかしておく。

足の方は可もなく不可もなく、ってところかな、今のところは。ただちょっと義足をはめている部分が蒸れてきたかもしれない。空気の逃げ場所がないものな、設計ミスだったかもしれない。綿とか保温効果高いし余計にだ。


近くにあった建物は石造りだった。ちょっとした砦みたいな感じだった。かなり古いように見える。扉だけ新しい。たぶん扉だけここにきたときに付け替えたのだろう。


今度もブゥボが先に入っていこうと扉を開けて一歩中にはいった瞬間、跳ね飛ばされたようにブゥボが吹き飛んだ。

吹き飛んでごろごろと転がっていってしまった。慌ててザービは私の前に立ち塞がり、ガギとゲゴ、その護衛も警戒する。

しかしそれ以上何も起こらず、ブゥボも頭をさすりながら戻ってきた。

「吹き飛ばされた。たぶん、魔法の罠。怪我、ない」


その報告を受けてゲゴが入り口を調べ始めた。

「高い魔力を感じます。わたくしの魔力では解除は無理だと思います」

ガギも開いたままの扉を見つめながら言う。

「ゲゴが無理でしたら私にも無理でしょう。ですがこの魔法の罠はおそらくリン様のご存知の方がかけたものだと思われます。ですのでリン姫様単独でしたら入れるかもしれません」

あー、なるほど。防犯装置みたいなものか。なら私には反応しない、はず。ちょっと怖いけど、ブゥボも吹き飛んだだけみたいだし。

「そうですね、念の為私の後ろに立っていてもらえますか? 万一吹き飛ばされたら受け止めてください」

慎重に前に進んで入っていく。……大丈夫、ガギの予想通り私には反応しないようだ。


「おじゃまします、でいいのかな?」

建物の中は暗かった。石造りのせいだろうか? 窓が開いてないせいだろう。まずは窓を開けないと。

目がなれてきたところで、窓があるっぽいところまで歩いていく。義足を作っておいてよかった。私しか入れないところで義足がなかったら何も出来ないところだった。


ここで転けても誰も助けにはこれないので慎重に歩く。木でできた重そうな雨戸っぽいのが窓にはまっていたので、それをなんとか押し上げてストッパーで止める。光が入ってきて辺りが明るくなった。

若干埃が舞ってるけど、生活感はある。机と椅子があって竈っぽいのもある。竈には蓋がされていた。奥に二つほど部屋があったので、入っていく。どうもこっちは寝室のようだ。ベッドが二つ置いてある感じだ。ここにも窓があったので開放する。


するとちょうど建物の周りを見回っていたのか、ブゥボが歩いてくるのが見えた。

「あ、ブゥボ、今探索してるから少し待っててね」

声をかけると、ブゥボはこちらに来て、窓からこちらを覗き込もうとして、また弾き飛ばされた。あー、まあ扉のあれが防犯のだったなら当然窓にも仕掛けているよねぇ。

「大丈夫~?」

幸いどこにも頭をぶつけることなく吹き飛んだだけのようで、ピンピンして戻ってきた。

「ブゥボ、辺り、見回る、後、入り口、待つ。静かに」

さすがにブゥボも懲りてしまったようだ。

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