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街への侵入

「ガギ、私と五神官で街に進軍したいと思います。街の中ではゴーレムでは狭いですから。ですのでついていくものを選抜願えますか?」


「我らだけでよいのでは?」


「それでは示しがつきませんし、私もそれなりの戦力になるはずです」

すでに蟻やケンタウロスの命を直接奪ったこともあるのだ。今更巨人を殺すことを躊躇することはない、元に戻せるなら別だけど、パサヒアス様のあの様子ではそんなことは出来ないということが推察できる。


「分かりました。我らがしっかりしていればいいことですしね」


そしてガギが少し考えてから他の神官に声をかけて人を集めていく。


「もちろんうちもついていっていいよな?」


話を聞きつけたのか、いつもと違う、軽そうな金属鎧を体の各部分に装着したサキラパさんが声をかけてきた。少し考えたけど拒む理由もなさそうだ。


「ええ、もちろんです」


「ゴーレム思ったより強いし、グゲや魔族たちも強すぎて、今のままやとうち、戦えなさそうやったからな」


ははは、安全第一で行きたいんだけどねぇ。


とりあえずこちらは五神官とその護衛、それにサキラパさんと案内役の偵察ゴブリンたちに、ゴブリンの中では最強格だった移住先を探しにいってもらったレンジャーゴブリンたちで行くことになった。上役が軒並みいなくなるゴーレム兵団は次期ゲゴであるクットゥーをトップとして、次期五神官たちに任せることになった。彼らは街の出口を監視し、もし巨人が街から逃げ出してきた際はそれを狩り取るということになった。


ついていくるとうるさかった蛇亀たちも次期の補佐をお願いしたら言うことを聞いてくれたので安心した。彼らは本当に強いのだけど自滅しそうだし、確かに彼らの持つ経験は、経験の浅い次期たちの補佐にぴったりだったから。



街の中に入った。けど、思ったより道が狭くて、この人数では支障が出そうだということで、二手に分かれることにした。私を筆頭としたガギ、ゴガ、サキラパさんの西周りグループと、ギグを筆頭としたグゲ、ゲゴの東周りグループに。


ちょっと戦闘力に偏りがある気もするけど、私がそう決めた。なぜなら私には魔将がついてくるから戦力一気にあがるからだ。ギグならくせのあるグゲやゲゴも、神官順位や年の功で抑えられそうだし、ガギは近くにいてほしいし、もし交渉できそうなのがいたらゴガがいてくれた方が助かるし、そう決めた。偵察ゴブリンやレンジャーゴブリンは双方同じ数を割り振った。


なぜこっちが西周りかといえばグレンデルが東に三体いるらしいからだ。


西なら最悪一体相手にするだけでいい。より厳しい方をギグチームに任せることになるけど、グゲとゲゴが揃っているし、ギグも結構強いからなんとかしてくれると思っている。


それにこっちにはヘカトンケイルがいるらしいので、実績のあるガギをこちらに当てたい。私もフォースフィールドの魔法は覚えたし、ガギと二人がかりなら少数であるこっちは守れるだろうとの判断である。守れさえすればレオやベフォセットや未知数ながらサキラパさんがなんとかしてくれるだろうし、ルオンがこっちにはいるから不意打ちは受けないだろう。


ゆっくりと西周りで町中を進んでいく。レンジャーゴブリンに先導してもらいつつ、偵察ゴブリンには周辺の偵察をしながら、見つけた巨人たちを倒していく。ゴブリンたちは潜伏の手練でもあるので物音をさせずに進んでいるけど、少なくとも私は静かに歩くということ自体が出来ないので、半ば開き直って正面から巨人に立ち向かっていっている。


聞いていたとおり、崩壊した建物の敷地になぜか巨人たちは座り込んでいる。中には狭い建物の中に自分を押し込んでいるようにも見えたものもいた。

巨人たちは私たちに気づくと襲いかかってくるものの、その戦闘音を聞きつけて援軍がくることはなかったので、たやすく各個撃破することが出来た。レオやベフォセットに頼ることもなく、私の魔法、サキラパさんの戦闘力、ガギやゴガの支援能力でサイクロプスなら二体、イオデンなら一体ずつならなんとか撃破できた。


順調に進んでいたら、問題のグレンデルがいるところまで来た。グレンデルは他の巨人たちと違い、道のど真ん中に座り込んでいて、周りにサイクロプスが数体、イオデンが一体取り囲んでいた。脇の路地に入って観察していると、グレンデルはサイクロプスが持ってきたものを食べているようだった。

すると急にグレンデルが咆哮を上げ、近くにいたサイクロプスを殴った。殴られたサイクロプスは抗議も抵抗もしないようで私たちの方へ向かってきた。気づかれた?!

もう逃げたり隠れ直したりできる距離ではなかったので、迎え撃つことにした。しかしサイクロプスはこっちにまっすぐ向かってきていたのに、私たちを見ると、びっくりしたようだった。あれ? 気づいてなかった?

しかしそれも一瞬のことで、そのサイクロプスも躊躇なく私たちに襲いかかってきた。顔は一つ目を血走らせてはいたけどなんだか笑っている気がした。


サイクロプスは先頭にいたサキラパさんに拳を振り下ろそうとしたけど、その前に踏み出した足のスネをサキラパさんが片手で振るう巨大なハンマーで思いっきりぶん殴られて、しゃがみ込んだ。その隙にゴガがゴブリンでは二人がかりのクロスボウでサイクロプスの目を狙ってボルトを放つ。見事命中させ目を潰した。片手で目を抑えながらもう片腕を振り回すのでサイクロプスにかかっていった護衛たちは止めがさせない。けど、それをかいくぐったガギがシミターでサイクロプスの首筋に一太刀浴びせる。それが致命傷になったようで、しばらくは抵抗したもののサイクロプスがその場に倒れた。今まで何回も繰り返した作業みたいなもので、苦戦も私の出番もない。ガギですら出番がないこともある。


しかし今回は騒ぎを聞きつけたのか、戻ってこない仲間を心配したのか、グレンデルの周りにいた残りニ体のサイクロプスと一体のイオデンがまとまってこちらに向かってきた。やばい、三体同時はまだやったことない上にイオデンが混じっている。


私たちに緊張が走ったけど、サイクロプスの二体が各々別の脇道に入っていった。それぞれを脇道から顔をのぞかせているゴブリンたちが見えたので、レンジャーゴブリンと偵察ゴブリンが自分たちの方へ釣って、数を減らしてくれたようだ。けど二手に別れているだろう彼らではいくら護衛の一部も回しているのだとしてもサイクロプスの相手は厳しい。即座にレオとベフォセットに彼らを救援するように頼んだ。


これで目の前まで来ているイオデンは私たちだけで相手しなければならなくなった。けどこの街に入って今までに二回すでにイオデンを倒しているのでなんとかなるはずだ。不意打ちに近い形でだったけど。

イオデンは頭がニつあり、弱点らしい弱点がないので、サイクロプスにようにはいかない。頭二つを使い物にならないようにするか、体力を削りきらなければならない。そもそもサイクロプスは体高三メートルなのに対しイオデンは五メートルもある巨体である。殴られたり蹴られたり踏まれたりするだけで致命傷になりかねない。


広い場所なら範囲魔法が有効だけど、今はこちらも脇の路地で待ち構えている形である。範囲魔法は使いにくい。


イオデンがまだ崩れていない脇道の角にある建物に手をかけて片方の頭だけでこちらを覗き込む。こいつ、今までのより賢い。咄嗟にゴガが槍を投げつけるけど当たらない。今度はイオデンにとっては小さなつぶて、私たちにとってはかなり大きめの瓦礫を手だけ出してこちらに放り込んできた。サキラパさんが盾で受けようとするけど、すぐに前に出たブゥボの盾で受け止めた。サキラパさんの体格や盾の大きさでは厳しそうだったからブゥボの判断で助かった。


「このままではいけない、多少危険ですが前に出ましょう」


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