テスト
「わかった?
ありがたいって気持ち」
「うん、わかった。気がする…」
紡の怒りも治まってきたみたいだ。
ぬいぐるみを返そう。
抱えるくらい大事なのに、
投げちゃダメだと思うんだけどな…
また抱えてるし。
「ありがたいって、思ったら、
どうしたらいいと思う?」
「あ、お礼だよな。
そういえば、お礼言ってないや」
「ならさ、
今、お礼のメッセ送ればいいじゃん。
善は急げ、思い立ったが吉日だよ」
「そうだよな。
えっと、どうすればいいんだ?
百言主さま…あ、これか。
名前を思い浮かべればいいのか。
よし、えーと…」
「待って待って!
お兄ちゃんちょっと待ってっ!」
「な、なんだよ?」
「あのさ、初めてメッセ送るんだよね?
だったらさ、まずはさ、
練習した方がいいと思うんだ。
百言主さまに変なの送っちゃマズイよね
だからさ、私に送ってみてよ」
「それもそうだよな。
よし、練習付き合ってくれ」
「よしこい!」
なんか紡が楽しそうなんだけど…
「えーと、紡の名前を思い浮かべて…
これで行くかな?」
ポコン
《聞いてくれてありがとう》
「うわっ!すごっ!
これすごいね!お兄ちゃん!」
急にテンションが上がったな…しかし…
僕には見えないが、紡には見えているのか…
「ねぇ、これは『SNS』?
それとも『SMS』なの?」
「今のは、紡の名前を思い浮かべたから、
『SMS』の方だな。
これは本人にしか見えないのかな?」
「ウソッ!見えてないの!?
これが見えてないんだ?」
紡は自分の顔の前の空間に手を持ってきた。
「やっぱり触れないか。
じゃあ、返信とかできないのかな?」
「うん、百言主さまは、返信は来ないって、
そう言ってたよ」
「つまんないのぉ。
返信できたら面白かったのにね」
「アプリがないと無理なのかもな」
「じゃあさ、次、『SNS』の方試そうよ。
えと、心が繋がってるだっけ。
これ送れなかったら怒るよ?」
うん、そうだよね、
家族なのに心が繋がってないって、
それは淋しすぎるだろ。
「ちょっと待て、
使い方がわからないんだって
えっと、さっきとは違って…
顔とか想像したらいいのかな?
これでどうだろう」
ピロン
〖そのぬいぐるみって、なに?〗
「うわ! できるじゃん!
てか、なによこの文面!
この子は、スコティッシュホールドの
はんぺいた君て言うんだからね!」
一応は猫なんだ…
こっちのアプリは、僕にも見えるんだ。
「あっ! 触れるっ!
お兄ちゃん、このメッセ触れるよ!」
「諦めてなかったのかよ。
でも、何が違うんだろう?」
「心が触れ合えるから。なんてね」
「かっこいいな、それ」
「ま、まぁでもさ、アレだよ、
理由はこれからでもいいじゃん。
それよりも、使い方だよ。あ、そうだ」
紡は、空中のメッセージをタップしている
あれは、また返信しようとしてるのか?
「わぁっ! 見て! お兄ちゃん!
これ、返信できるってことだよね!?」
紡がタップした文字の下に、
カーソルが点滅している。
確かに入力画面みたいだ。
「お、おい、紡、大丈夫か?」
「大丈夫ってなにがよ?
返信してみるね。
これ、考えればいいのかな?」
紡の視線が宙をさまよってる。
あ、文面が決まったのかな。
意を決したように紡が目を瞑る。
さて、なんて書いてくるのかな?
ピロン
〖ぼく、はんぺいた!〗
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