コンサルト
「さっきも言ったけど、お兄ちゃんは、
他人に無頓着すぎなの。
無関心、興味を持たないから、
相手が何を伝えようとしてるかを、
気にしない。知ろうとしてない」
「他人に興味がない?
何を伝えようとしているか?」
「そう、いっつも自分の事しか考えてない。
私の友達の名前言える?
こないだ、会ったよね?
名前教えたよね?」
「覚えてない…」
「ほらね。
興味がないから記憶に残らない。
残そうとしてない。
周りの人みんなモブ扱いしてるから、
自分もモブ扱いになるんじゃん!」
モブ扱い… 確かに僕はモブだ。
クラスのみんなにとっては
いてもいなくても変わらない。
その原因は僕にあった?
「ところでさ、
これ、どうやって消すの?」
「え? あ、えーと、
どうやるんだ? ちょっと待って」
さっきのは、プロフィールからだったから、
そこから、えっと、こうかな。
「あ、スマホと同じで消せるじゃんね」
アレ?
紡はふきだしを触ったまま、
横にスライドさせて消してしまった。
そんなに簡単だったの?
「お兄ちゃんてばさ、
なんか複雑に物事を捉える割にさ、
考え方が固いよね。
なんていうんだろ、なんでもかんでも
虫メガネ越しに見てるみたい」
「は? どういうこと?」
「細かいことは、見えてるんだけどね、
どこを見るのにも虫メガネだから、
何かに手を伸ばしてるんだけど、
距離がよくわかんなくて、
全然ちがう所で、スカってしてる感じ」
「それって、なんにも見えてないのと同じだな」
「そうとも言うかもね。
余計な物ばっかり見てるって、
そう言おうと思ったんだけどねー」
「余計な物ばっかり見てるのか…
で、肝心な物が見えていないって事か」
「お、ちょっとは
肯定的な受け止め方が出来てきたね。
私が言おうとしてたことが分かってきた?」
「あぁ、わかってきたと思う。
自信ないけど、受け止め方っていうか、
受け入れてなかったってことかなって」
「よしよし、いい感じじゃない!
じゃあ、もう一つ受け入れてね。
アプリをくれたのは誰?」
「ん? それは百言主さま」
「あぁ、もうっ!
はぁ~。これでもダメか…」
なんか、ものすごく呆れられてる…
それは、俗にいうオタク仕草ってやつじゃ…
「あのね、
これはあまりにもバカにするようで、
言いたくなかったんだけどさ、
百言主さまって、なに?」
「え、神様…… 違うのか……」
「自分の発言を確認してみてね。
誰に、何をもらったって?」
「神様に、アプリをもらって……
えぇぇぇっ!
ど、ど、どうしよう紡っ!
これって、もしかしてっ、
とんでもないことなんじゃあ……」
「はぁ、やっと辿り着いた。
もう、疲れたよ。ホントにさ。
そうですよ、すごいことなんです。
キリスト教だったら、お兄ちゃんが
教皇様になれるレベルです」
「どうしたらいい!?
なぁ、紡ぅ、僕はどうしたらいいんだ?」
「だから、明日、お礼言いに行くんでしょ?」
「そ、そうだな、お、お礼は大事だよな!」
「そうよ、お礼は大事。
私にもお礼言ってよね。あ、どうせなら、
形のあるもので、よろしく」
「あぁ、するとも!
教えてくれてありがとな、紡」
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