全てを飲み込む。
飲み込む。私はすべてを飲み込む。
喉元まで出かかった言葉。頭の中を饒舌に走り抜ける台詞。
そのすべてを飲み込む。
いつでもそうだ。
同僚から言われた言葉。上司からの一言。父からの言葉。
違う、そうじゃない。私はそうじゃない。
いつでも頭の中ではもう一人の饒舌な私が、息を切らすこともなくスラスラと言葉を並びたてる。
しかし、実際に口から出る言葉は大したことのない、何の効力もない、自分を何も救うことのできない言葉たちだ。
いつもそうだった。
言葉はいつでも私の身の内から飛び出そうと身体の中を駆け巡る。
胸が苦しくなり、呼吸が乱れ、喉が狭くなる。
目頭は熱くなり、目の奥がジンとする。すべてが身体から出たがるのを感じる。
しかし私はそれらを飲み込む。ごくん、ごくん。
言わない自分、言えない自分。
言わなくてよかったと思う自分。言えばよかったと思う自分。
日々、すべてを飲み込む自分と戦いながら、生きる。