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45 計算外

「やはり、ローラ様がシャルロット様を目のかたきにしている原因はヨハン殿下の件らしいですね」

 ダミアンは四年生の噂もせっせと集めているようだ。

 すでにいろいろな人から調査した情報を元にそうわたしに報告してくれた。


「ヨハン殿下の件というとどのようなことでしょうか?」

 ヨハン殿下の件と言われてもあまり心当たりがありません。


「シャルロット様がヨハン殿下に気に入られて、何度かヨハン殿下の家に遊びに行っている件です」

 昨年、マクシミリアンの事件の際に、お母様の言いつけでヨハン殿下の家に遊びに行く必要ができたので、やや強引に話を進めて遊びに行ったのです。

 その際、ずいぶん気に入られてしまったようで、何度もお誘いがありました。

 あまり気乗りがしなかったので極力理由を見つけてお断りしていたのですが、王家のお誘いをそう何度もお断りできるはずもなく、何度かは行くことになりました。

 新しい召喚魔法などはお見せしないようにしていたので、ヨハン殿下の方も少し飽きてきたようで、お誘いの頻度はずいぶん減ってきてはおります。


「ヨハン殿下の家に遊びに行くことで、どうしてローラ様が気にかけるのかわかりませんが……」

「え? ヨハン殿下のお妃様候補として気にかけないはずがないではないですか」

 え?

 もしかしてわたしがヨハン殿下のお妃様候補なんですか……


 ヨハン殿下のことは恋愛の対象としてまったく気にしてなかったので、すっかりそういう意識がありませんでした。

 よく考えてみると、わたしが一歳年上とはいえ、年齢や家柄からしてもってこいの立場だったんでしょうか……

 同じようにローラ様は二歳年上と少し不利ではありますが、家柄は十分ですし……

 ローラ様はお兄様のことが好きだとばかり思ってましたが、まだ現時点ではそうではなかったようです。


 確かにプリンセスの座を狙うならヨハン殿下ですか……


 それで、わたしがプリンセス候補?

 ないわぁ。

 確かにプリンセスって響きは素敵ですわよ。


 でも、わたしがプリンセス?

 想像すると笑っちゃいますよね。


 ヨハン殿下がわたしのことを気にかけてるのも、まだ自分自身が幼い今だけだと思いますよ。

 それよりも何よりももっと大事なことがあります。

 ヨハン殿下ってイマイチ、タイプじゃないんですよね……ごめんなさいね。


「わかりました。ローラ様のことは、当面様子見にしておきましょう」

 わたしはそう結論づけました。

 何か嫌がらせとかしてくるだけなら対策を考える必要がありますが、このまま派閥争い的な行動を取るだけでしたら特に害もなさそうです。


 そう思ってたんですけど、わたしの思いつきから、まさかこんな流れになろうとは思ってもいませんでした。


 お昼の特待生専用喫茶室でヨハン殿下から、また遊びにこないかとお誘いがあったのです。

 ふと、ローラ様のことを思い出したので聞いてみました。

「新しいクラスでバラティエ伯爵家のローラ様と一緒になったのですが、一緒にお誘いしてもよろしいですか?」

「うむ、構わぬぞ。日程が決まったら連絡してくれ」

 とヨハン殿下もおっしゃってくれました。


 クラスに戻ると、いつものごとくローラ様を中心に輪ができておりました。

 わたしは、ずけずけとその輪に入り込んでいって、こう切り出しました。

「ローラ様、先程ヨハン殿下からお誘いがあって、今度遊びに行くことになったんです」

「それがどういたしまして?」

 ローラ様は一瞬すっごく不快な表情を見せかけましたが、すぐに表情を取り繕いました。

「よろしければ、ローラ様もご一緒に参りませんか? ヨハン殿下は是非にと申しておりました」

 是非とは言ってなかったけどね。


「え?」

 ローラ様の表情が固まりました。

 あれ?


「シャルロット様……よろしいんですの?」

 ヨハン殿下にたびたび誘われるのは面倒な(ゴホンゴホン)……

 ローラ様に押しつけちゃえっていう気持ちもありますが……

「ローラ様さえ、よろしければ」


「シャルロット様、嬉しいですわ!」

 ローラ様がいきなりわたしの手を両手で抱え込みました。

 あれ? そこまで喜ばれるの?


「ごめんなさい、シャルロット様のことを誤解しておりました……

 お願いがありますの……シャルロット様。

 わたしとお友だちになっていただけませんか」

 なんか、もじもじとローラ様がすごく可愛らしい表情になってます。

 こんな可愛らしい素振りもできたんだ……もしかして、こっちの方がだったりするの?

 いつものツンとした感じがどうやら、作り上げていたイメージだったようです。意外ですね。


「え、ええ」

 敵対されるのも面倒だからと思ってしただけなのに、ここまで感激されるとは……

 こんなふうに「お友だちになって」って言われて、「嫌だ」とか言えるわけがないでしょ。


 それからというもの、ことあるごとにローラ様は、「シャルロット様」、「シャルロット様」と寄ってくるように。

 うー、これはダミアン以上に鬱陶しいですよ。


 ローラ様って、敵にすると厄介な存在だと思ったけど、味方にするともっと面倒な存在になったような気がしないでもありません。

 完全に計算外でした。

 今日の更新で、このお話もやっと10万字到達のようです。

 わたしの連載小説は中編が多いので、これだけ長いお話は、デビュー作以来となります。

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