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44 悪役令嬢

 飛び級で四年生に進級しました。

 四年A組、奨学生は基本的にA組ですので、ピエールも同じクラスです。

 そしてこのクラスにはもう一人、もともと一学年上だった奨学生アンリエットがいるはずで、机もちゃんとあるんですが教室でも見かけません。

 同級生になった人たちに聞くと、週に一度くらいはふらりと顔を出すそうなので、そのうち会えるでしょう。


 とにかく同じ奨学生なのに一度も会ったことがないっていうのが不思議で不思議でしかたありません。


 同じく飛び級で進級したダミアンとリゼットの二人とは残念ながら別のクラスになってしまいました。

 ちょっと残念ではあります。ダミアンの方はなんか絶望に包まれた表情をしていましたね。


 そして、このクラスに一人だけ前世で知った顔があるのに気が付きました。

 バラティエ伯爵家の令嬢ローラです。

 やや吊目つりめなので冷たい印象を与えますが、なかなかの美人ではあると思います。

 前世では、中等学校の頃、愛の告白をされたんです。当時のフェリックスはクリスティーヌに夢中であったため、お断りしたんですが、その後も長いこと付きまとわれました。

 クリスティーヌにいろいろと嫌がらせをしたりと困ったことになったものです。


 バラティエ伯爵家は家格としては、我がベルトラム伯爵家とほぼ同格。家同士の仲は特に昵懇じっこんというわけではありませんが、別に敵対関係でもありません。

 当主であるバラティエ伯爵は温厚な人だそうですが、伯爵夫人の方はローラと似てヒステリックな方だったと記憶してます。

 このローラと同級生として付き合っていかなければならないのですが……ちょっと気が重いですね。


「シャルロット様、はじめまして」

 そんなことを考えてたら、ローラにいきなり挨拶されてしまいました。

 きちんと貴族の型通りの挨拶ですね。さすがです。

「ローラ様ですよね。はじめまして。

 こちらから、ご挨拶に行かなければならないところ、申し訳ありません」

 ローラは現時点でお兄様のこととかどう思ってるのか知りませんが、最初から敵意を持って接する必要もないでしょうね。

 円満な関係を築ければそのほうがいいと考えるのは、いつもどおりに甘い考えなんでしょうか?


「いえいえ、ベルトラム伯爵家とは円満な関係と聞いております。シャルロット様と同級生になれると聞いて喜んでいましたのよ」

「ありがとうございます。わたしも慣れないクラスにローラ様のように頼りになるお方がおられるので、とても安心ですわ」

 今日のところは挨拶だけだったようで、ローラはそのまま自分の席に戻っていきました。

 なんか、朝からすごく疲れました。

 これから、学校でも貴族としての会話が増えてきそうですね。


 とりあえず、本音のところはさっぱりわかりませんが、今のは牽制なのでしょうか?

 ここは自分の縄張りだから新参者はおとなしくしてなさいって感じなのかなって思ってます。

 あえて、それに喧嘩を売るつもりはありませんけど、ローラの派閥に入るつもりとかありませんし、ちょっと様子を見ていた方がいいんでしょうか?

 このクラスでも出来たら新しいお友だちとか作りたいなって思ってはいますので。


 休憩時間とかに様子を見ていると、ローラを中心とした輪が出来ていてクラスの1/4くらいがその輪に加わっているようです。

 そのメンバを眺めた感じでは、まだ顔と名前が結びついていないので服装とかでのおおまかな雰囲気だけですが、下級・中級の貴族の子たちだけの様子。

 平民の子たちは輪に加わっていません。

 加わりたくても排斥されてるのかな?

 輪に加わってない下級・中級貴族の子も少数いるようですね。

 他は大きなグループはなく、2・3人の集まりがチラホラいるだけって感じです。


 まぁこのくらいなら特に問題ないでしょうね。

 わたしの方にムリにちょっかいを出してこない限りは、ほっておくことにしましょう。


 そう思っていたんですが、ローラの輪から二人ほど、こちらに寄ってきましたよ。

「シャルロット様もこちらへいっしょにいかがですか?」

 ローラに言われてきたんでしょうか? おせっかいは困ったものですね。

「ありがとうございます。今はまだクラスの様子もわかりませんし、おいおいということで」

「そうですか? いつでもいらしてくださいね」

 目が笑ってませんよ? ちゃんと表情も取り繕わないとダメって、お母様に教育されてないんでしょうか?


 二人が輪に戻っていって報告したんでしょうか? ローラがこちらをなんか睨んでるような感じですね。

 だから、別にローラ派の面々をこちらからどうこうしようなんて思ってませんから、こちらのことはほっておいてもらえませんかね。

 別に貴族の派閥抗争とかを学園で繰り広げたいなんて、まったく思っていないんですから。

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