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43 飛び級試験

 平穏な日々が流れ冬が訪れた。

 今日は飛び級試験の行われる日だ。


 ピエールと二人で試験会場に向かう。半年以上しっかり勉強したので、ピエールも問題ないと思う。

 わたしのほうは、もともと十分な知識を持っていたので、ピエールの勉強に付き合うだけで十分に復習までできている。

 四年生に進級するための飛び級試験の試験範囲は一年~三年までの授業の範囲とあらかじめ決められているので、広範囲から出題された特待生試験と比べると簡単と思えるくらいだ。


 試験会場に着くとそこには二人の見慣れた顔が。

 どうして、ダミアンとリゼットがいるのでしょう?


「シャルロット様が飛び級で行くというのに、俺がついていかないはずがないでしょう」

「わたしもシャルロットについていきますよ。こんな儲け話、ごほんごほん、いえ面白そうな話にくらいつかないようじゃ商人としては失格ですから」


 それはそうとして、この二人に飛び級のことをお話した覚えはないんですけど。

 わたしの不審そうな顔を見てピエールが、

「ボクが話しました。フェリックス様には内緒って言われましたが、他の人にはいいのかなと。

 ボクだけいっしょに飛び級したって後で知られたら、この二人にきっと恨まれると思って……」


「そうでしたのね。

 ダミアンやリゼットはちゃんとお勉強しましたの?」

「まかせてください。ここで不合格なんて出したら、恥ずかしくて顔を合わせられなくなってしまいます」

「わたしも大丈夫ですよ。必要な初期投資はバッチリです」


「頼もしいですね。四人で一緒に飛び級できるようにがんばりましょう」

「「「はい」」」


 試験問題は可もなく不可もなくってところでしょうか。

 さほど難解な問題はありませんが、かと言ってたやすく解ける問題でもありません。

 しっかり試験範囲を勉強していなければ合格できない問題ですね。逆に言えば、ちゃんと勉強してさえいれば問題なく解ける問題でしょう。


 わたしが解答を終えた時にはまだ三人は問題を解いている途中でしたが、退出時にちらっと眺めた限りでは三人とも問題なさそうな雰囲気。きっと大丈夫でしょう。

 試験時間が終わるまで待って三人の様子を聞くと、三人とも自信ありげです。

 四人揃って四年生になれそうかな?


 一週間後、試験結果が学校に張り出されました。

 無事に四人とも合格となりました。ちなみに受験者もこの四人だけでしたので、全員合格です。

 先程も言いましたが、決して簡単な試験ではないんですよ。


 四人で一緒に試験結果を見に行って、合格の喜びを分かち合いました。

 もうピエールの方から教えられていたようですが、二年後にまた飛び級試験を受けることをその場で話しておきました。

 中等学校へも四人揃っていけるといいなって思ってます。


 お昼の特待生専用喫茶室で、お兄様にこちらへ座れと呼ばれました。

 お兄様、目がなんか怖いですよ。

 どうやら、お兄様はこの試験結果を見たようですね。

「シャル、飛び級試験合格おめでとう。俺は全然知らなかったんだけど、どうして内緒にしてたのかな?」

「難しい試験だそうですし、不合格になったら恥ずかしいですからね、おほほほほ」


「シャルがこのくらいの試験を合格できないはずがないだろう。もしかして二年後も受けるつもりなのか?」

 お兄様がわたしのほっぺをつねってきます。だから言いたくなかったんですよー。

「ほひいはは、ひはひふぇふほ(お兄様、痛いですの)」

「何言ってるのか、わからないぞ」

 お兄様が、つねるのをやめてくれました。


「お兄様と一緒がいいんですの」

 下向き加減でちょっと上目遣いでお兄様の方を見上げながらそう言ってみる。

「シャルは本当に俺のことが大好きなんだなぁ」

 お兄様は大満足のようです。お兄様もわたしとかわらないくらいチョロいようですね。

 まぁ、お兄様のことが大好きなのは間違ってませんし、お兄様と一緒の学年になりたいから飛び級試験受けてるのも事実です。

 だから、わたしは何も嘘をついてないわけです。


 別にお兄様のことをちょろまかそうとしたわけじゃないよ。本当だよ。

 本当のことだけを並べて、隠したいことを隠すっていう高等技術をお母様から学んだから実践してるわけじゃないんですからね。



第三章 完

 これで第三章は終了で、次章からは四年生に飛び級で進級します。

 第四章はこれまで名前だけは何度も出てきたあの女の子がストーリーの中心となる予定です。

 お楽しみに。

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