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42 戦いを終えて

 家に戻ってからお母様に散々叱られたのは言うまでもありません。

 それ以上にへこみましたよ。

 上位魔族との戦いで自分があれほど役に立たない存在だったなんて。


 実のところ、いい気になってたんですよね。

 伝説の魔導師級と言われた魔力に加えて、いろいろな魔法も使えるようになって、これなら自分ひとりでも結構いけるんじゃないなんて思い上がってました。

 そんな鼻っ柱を完全にへし折られちゃいましたよ。

 わたしがついていれば、お兄様も大丈夫! そんなこと考えてた自分が恥ずかしい限りですよ。


 前世で勇者の時はまったく気にならなかった魔族の波動ってのが一般人にとってあれほど驚異のものだったなんて。

 わたしや他の人々が魔族と戦っていくためには、ピエールの力が欠かせないってことがよくわかりました。

 ピエールや他の人々が力を出せるように、そのためにこそ私の力を役立てなくてはなりません。

 方向転換しましょう。


「そういうわけですから、しっかりお勉強しますよ、ピエール」

「どういうわけだか、さっぱりわかりません!」

 とりあえず、飛び級試験のためのお勉強に力を入れようとしたのですが、ピエールはあまりノリがよくないようです。

 しかたありませんねー。


 ただピエールとのお勉強をこれまでやってきた感触では、さほどムリなくピエールも合格できるんじゃないかなって思ってます。

 でも、ここで甘やかすと二年後にもう一度飛び級試験受ける予定ですから、そのためにもペースを落としちゃいけませんから。


 こうして我が家には平穏な日々が訪れていました。

 後ほど、お母様から聞いた話では、今回の事件にディフェンタール侯爵家の関与していた証拠は結局見つからず、ドゥヌエ辺境伯家襲撃時にもディフェンタール侯爵家からの妨害などは一切なかったようです。

 だからといって、ディフェンタール侯爵家がまったく無関係だったかどうかと言えば誰にも断言できないようで、結局それに関してはすべて有耶無耶に。

 ドゥヌエ辺境伯家からはいろいろ魔族との関与が実証できるだけの証拠が数々見つかったようで、ドゥヌエ辺境伯領へ国軍が向けられたようですが、そちらはすでにもぬけの殻だったそうです。


 ドゥヌエ辺境伯家襲撃前後の功績が認められ、アバロ子爵は勲章が与えられ領地の加増されたとか。ちなみに我が家は今回の事件には表向きは一切無関係ということで報奨などは一切ありませんでした。

 ただし、お兄様だけは内々に王様から呼び出されお褒めの言葉があったようです。

 お兄様の功績が内々で済まされた理由としては、マクシミリアンの正体が魔王の四天王だったということを現時点で公表するのは騒動になりかねないということで伏せられたせいです。

 とは言っても、すでにその事実は知ってる人は知っているって感じで、重臣たちの表立っては言えない常識ってことになってるようです。


 当然、わたしたちもそのことは口に出してはいけないってことで、ピエールにも本当のことが言えないんですよね。

 秘密ばかりが増えていって困ってしまいます。

 いつかピエールにもすべてのことを話したいと思っているんですが、そのことを受け入れてもらえるかどうかと考えるととても怖いです。

 お母様に受け入れてもらえたことでずいぶん救われましたが、ピエールは果たしてわたしの秘密を受け入れてくれるでしょうか?


 いつかってのがいつになるのか……もう少し大人に近づいてからのほうがいいんでしょうか?


 そんなことを考えてたら、熱を出して倒れてしまいました。

 思えば、このところムチャを続けてましたから……よくここまでもったものです。

 ここは少しゆっくりと静養させていただきましょう。


 とか思ってゆっくり寝ていたら、三年の特待生のアンリエットが二日続けて特待生専用喫茶室に来ていたとピエールに聞きました。

 本当にアンリエットとは縁がないのでしょうか? なんて間が悪いと思いましたが、どうやらアンリエットは特待生専用喫茶室でヨハン殿下と何やら口論になっていたようで……

 どうやら、わたしがいなくてよかったようです。ヨハン殿下絡みのトラブルって聞くと、巻き込まれずにはいられないでしょうからね。


 そう言えば、お兄様の誕生日パーティーがいつもどおりの家族と、ピエールの家族も加えて行われたんですけど、お兄様ったらわたしに、「プレゼントはないのか?」とか聞くんですよ。

 今までも家族の誕生日パーティーでプレゼントとか贈ったこととかなかったのに。

 本当に変なお兄様。

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