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4 一歳の誕生日

 今日はわたしの一歳の誕生日です。

 目の前にはご馳走が並んでますが、まだ離乳食を食べてる段階のわたしにはほとんど食べれる料理がないのがすごく残念でなりません。


「ハッピーバースデイ、シャルロット♪」


 家族の皆で歌ってお祝いしてくれました。

 わたしの目の前に置かれたケーキの上に立ったロウソクを歌が終わると同時に、わたしが吹き消しました。


「「え」」


 皆が驚いて固まってます。どうやらやっちまったようですね。

 つい、ノリでロウソクの火を吹き消しましたけど、まだ一歳のわたしがそんなことを知ってるわけがないじゃないですか。


「先月あったフェリックス様の誕生日のときのことを見て覚えてたんですかね。シャルロット様はすごいですね」

 アネット、素晴らしいフォローですよ。そうです、覚えてたんです。

 お兄様は何か自分のことを言われたのかなって感じでキョトンとしてますが。


「そうか、シャルロット。すごいな」

 お父様が慌てた顔で褒めてくれました。なんとかそれで済んだようです。

 あぶない、あぶない。


「ふー、ふー」

 わたしもカタコトの言葉でごまかしておきます。最近はちょっとカタコトの言葉でいろいろ喋ってみては、「シャルロットすごい」って褒められています。


 皆が美味しそうな料理を食べ始めたのにあわせて、わたしもアネットに離乳食を食べさせてもらってます。

 いつもどおりの変わり映えのしない離乳食より、わたしも他の料理を食べたいものです。

 お兄様は一部を除いて普通の料理を食べてますし、わたしも来年の誕生日の頃には食べれるのでしょうか?


 ここ二ヶ月間、運動能力の方も頑張って訓練したおかげで、「はいはい」に加えて、「つかまり立ち」もできるようになりました。

 一歳の誕生日でここまでできれば、普通くらいの赤ん坊に追いついたのではないでしょうか?

 今は次のステップである「よちよち歩き」を目指して、足腰の鍛錬に勤しんでますよ。


 一歳になったら始めようと思ってたことがあります。

 それはいよいよ魔法の練習。

 魔力の方はずいぶん大きくなったと思います。魔力操作にもずいぶん慣れました。

 こちらの方もそろそろ次のステップに進んでも大丈夫でしょう。


 問題になるのは魔法詠唱。カタコトな言葉を繋いで詠唱を唱えることは不可能ではないでしょう。

 でも、やっぱり一歳の赤ん坊が詠唱を唱えているのを聞かれたら困ります。

 ここは、難易度は上がりますが、無詠唱魔法にいきなり挑戦してみるしかなさそうです。


 襲撃イベントに備えて生存確率を上げるには運動能力を上げてお兄様が作り出すであろう「勇者の盾」の範囲内に自分から飛び込むのが一番よさそうです。

 でも、五歳児の運動能力にはどうしても限界があります。その限界を超えるには身体強化魔法が一番確実です。

 高度な身体強化魔法なら、大人よりも素早く行動することが可能だと思われるからです。

 そのためにも、今から身体強化魔法だけでも熟練度を上げていきたいと考えました。


 「勇者の盾」もまだ初めてでひ弱だったので、自分自身も相当ダメージを受けたものでした。できればそこに「守りの盾」の魔法を重ね合わせて防御を上げておきたいところ。

 そのあたりは次の課題でしょうね。たぶん、身体能力を強化して「勇者の盾」にはいれば死ぬことはないと思います。


 無詠唱での身体強化魔法なら、赤ん坊が練習していても周りにはわかりません。

 厳密に言えば魔力の微細な流れを感知できるような人ならばそれもわかるんでしょうが、我が家にはいないと思います。

 高等学校で習う魔法はすべて覚えていますから、難易度は高いですが、時間をかければきっと無詠唱で身体強化魔法を使えるようになるでしょう。


 無詠唱魔法のコツは何と言ってもイメージです。決まった詠唱を唱えて魔力さえ適切に操作すれば発動する詠唱魔法と違って、魔法をしっかりイメージできないと無詠唱魔法は発動できません。

 幸いなことに身体強化魔法は前世でも使えたので、そのイメージはしっかりできています。

 あとは、この体でもそれをイメージするだけ。

 その「だけ」が極めて難しいんですけどね。


 五歳までと考えると時間は短そうに感じますが、実のところまだ四年もあります。

 決して焦らず、できることから一つずつやっていくしかないでしょう。

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