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33 困ったときはお母様

「どなたも怪我とかないようですね」

 まわりを見回しながらも確認の問いを投げておきます。

「怪我もなくて幸いでした。とりあえず、このことは内々に済ませて置きたいと思うんですが……」

 そういうふうにダニエルのお母様の方を伺ってみます。

「できまたしたら、そのようにお願い致します」

 アバロ家の方はそういうことで良さそうですわね。

「また後程、連絡すると思いますが、ブノワはしばらく家から出さないほうがよろしいのではないかと思います」

「わかっております。何かわかりましたら、こちらから連絡させていただきます」

 ダニエルのお母様は蒼白な顔をしていましたが、そうはっきりと宣言しました。


「ピエール、申し訳ありませんがそういうことでよろしいですか?」

 怪我はなかったとはいえ、ピエールは襲われた当事者ですからね。

「シャルにすべてお任せいたします」

「ありがとう。

 リゼットもそういうことでお願い致します」

「わかりましたわ」

 リゼットの方も後で何らかのフォローをしておいたほうがいいかな?

 残りの三人については、ダミアンの方でなんとかしてくれるでしょう。


「ダミアン、せっかくのお祝いの途中で申し訳ありませんが、ピエールとリゼットを送っていきたいと思います。

 また後程、連絡させていただきます」

「こんなことになってしまって誠に申し訳ありません。お二人のことはシャルロット様にお任せいたします」

 挨拶を終えると、わたしは二人を連れて家の転移魔法陣へ向けて転移を行いました。

 ちなみに一人しか連れていけないとか、手を繋いでいる者のみというのは、転移魔法陣にしるされた制限でしたので、魔法陣なしでの転移は人数制限はないようです。


「ずいぶん早いお帰りですが、いかが致しましたか?」

 家に帰るとアネットが出迎えてくれました。

「ちょっと事件がありました。二人を後程家までお送りしたいのですが、それまで二人のことをお願いいたします。

 今、家にいる騎士はどなたでしょう?」

「正騎士はマルコのみですが、見習い騎士のベレニスも在宅です」

「ではまずその二人をここにお呼びしてください」


 アネットが急ぎ足で騎士たちを呼びに行ったので、その合間に二人に話をしておくことにしました。

「リゼット、先程も申しましたけど今日のことは家でも内緒にしておいてください。いつか必ず埋め合わせは致しますわ」

「あら、わたしは口は堅い方ですわよ。でも埋め合わせの方は期待させていただきますね」

 リゼットの方はこれで大丈夫かな。

「ピエール、後で大事な話をすることになるかもしれません。

 今はどこまで話せるかわからないんだけど……」

「シャル、いいんですよ。任せたと言ったからにはすべて任せました。

 でも、ボクが力になれることがあるのなら話してください」

「ありがとう」

 どこまで話すべきなんだろう……


 二人の騎士はすぐに駆けつけてくれた。ベレニスはこの春から我が家に仕えることになったばかりの女性騎士です。

「わたしはお母様にお話しがありますので、マルコはわたしに付き添ってください。

 お母様とのお話しが終わるまで、アネットはピエールとリゼットのお相手をお願い致します。少々時間がかかるかもしれません。

 ベレニスには後程二人のお友だちをアネットとともに送っていただきますので、それまで二人の警護をお願いします」

「「はい、わかりました」」

「お母様はお部屋にいますか?」

「はい、お呼びいたしましょうか?」

「いいえ、わたしが参ります」


 わたしはマルコを連れてお母様の部屋へ向かいました。

 わたしの今の力では、これ以上何をどうすべきか判断がつきません。


 懸命に考えた末に決心しました。

 すべてお母様に話そう。

 前世のこと、転生してからのこと、そして今回のこと。

 お母様なら必ずわたしとお兄様の力になってくれるはずです。


 トントン


 お母様の部屋のドアをノックします。

「お母様、シャルロットです。よろしいでしょうか」

「お入りなさい」

「マルコ、わたしはこれからお母様に大事な話があります。

 たとえ誰が来ようとも、この部屋には誰も入れないでください」

「はい、わかりました」

 わたしは、マルコにそう言い残すと、扉を開けてお母様の部屋へと入っていきました。


「お母様、大事な話があります」

 わたしの真剣な眼差しを見てお母様は居住まいを正しました。

「なんでしょう? まずはお座りなさい」

「その前に部屋に結界を張らせていただきます」

 わたしは静かに呪文を唱えて部屋に結界を張りました。これで部屋の中の会話は直接はもちろん、魔法的な手段を用いても外部に漏れることはありません。


 わたしはお母様の正面の椅子に座ると、静かにゆっくりと話し始めました。

 まずは、シャルロットとして生まれた時に前世の記憶を持っていたことから。

 そして、前世のフェリックスとしての人生、そして最期の時のことを。

 最後に、シャルロットとして自分が何をしてきたかを隠し事なくすべて。

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