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32 誕生日パーティーの異変

 初等学校の校門でピエールとリゼットの二人と待ち合わせをしてダニエルの誕生日パーティーに行くことになってます。

 今日の引率はアネット。初等学校に行くだけなら、転移魔法陣があるので一人で行かせてもらえますが、それ以外は引率が必要です。

 さほど遠くないんだから歩いていけばいいと思うんですが、どこへ行くにしても馬車っていうのはどうかと思いますよね。

 初等学校の校門で二人を拾って、ダニエルの家へと出発です。


「お迎えはいかがいたしましょうか?」

 ダニエルの家の前でアネットが尋ねるので、ちょっと考えてから、

「そうですね。二人ともわたしが初等学校まで転移でお送りして、わたしも一人で帰りますので特に迎えはいりませんわ」

「わかりました」

 アネットも納得したようでそのまま馬車で引き返します。

 帰りも馬車を使っても良かったのですが、リゼットの方はともかくとして、ピエールがかわいそうなくらい馬車に乗るのに緊張してましたので。

 行きの魔法陣なしで転移できるようになったので、なかなか便利なんです。


 案内されてダニエルの家の玄関を入ると、ダニエル本人とダニエルのお母様がお迎えしてくれました。

 ダニエルのお母様は何度か、我が家を尋ねて来ていますのでわたしも面識があります。

「シャルロット様、それにピエール様、リゼット様。

 今日はダニエルのために、わざわざお出でいただき、まことにありがとうございます」

 そうダニエルのお母様は華麗に挨拶した。さすがに堂に入ってますね。

「本日はお招きいただきまことにありがとうございます」

 負けてはなるものかとわたしも上品に挨拶を返しましたけど、年季が違いますね。

「ダニエル、誕生日おめでとう」

 わたしが誕生日プレゼントを差し出すと、ピエールもリゼットもタイミングをあわせてダニエルにプレゼントを。

 こういうのってタイミングが大事よね。

 ちょっと間が悪いとなかなかプレゼントを渡せなくなっちゃいますので。

「皆、ありがとう。今日はゆっくりしていってください」

「さぁこちらへどうぞ」

 ダニエルのお母様に案内されてパーティー会場となっている奥の間へ進みました。


 例の三人はすでに到着していた様子。さっそく挨拶に来ました。

 クラスが違うとなかなか学校でも顔を合わす機会がないですよね。

 わたしたち三人含めて、一年生のときは同じクラスでしたので、あまり緊張することなくお話できます。

 特に今日はダニエルの指定どおり全員いつもの制服ですので、違和感がまったくないのがいいですね。


 しばらくして、ダニエルとダニエルのお母様、そしてもう一人ダニエルの下のお兄様のマルセルがはいってきて席につきました。

 マルセルはフェリックスお兄様と同学年で親しいので、何度かお目にかかったことがあります。

 どうやら上のお兄様のブノワがいないようですね。用事でもあるのでしょうか。

 でも、席が一つ空いてますので後でいらっしゃるのかもしれません。


「それでは皆さん、本日はダニエルの誕生日パーティーのご参加いただきありがとうございます。

 ささやかな料理を用意させていただきましたので、ごゆっくりなさってください」

 ダニエルのお母様がそう挨拶しましたが、ささやかどころかそうそう見たことのないようなご馳走が並んでる気がしますよ。


「それでは、ダニエルのためにバースデイソングをクラスメートのピエールが歌ってくれることになってます」

 兄のマルセルがそんなことを言ってますが、いつのまにそういう話になっていたんでしょう?

 でも、どうやら話はちゃんと通じているようで、ピエールが朗々とバースデイソングを歌い上げます。

 普通にわたしたちが歌うのと違って、こんな厳かな歌だっけって感じになっちゃってますよ。


 そして歌の終わりに合わせてダニエルが七本並んだキャンドルを一気に吹き消します。

 パチパチパチ

 わたしたち皆で拍手でお祝いを。


 皆が料理を食べ始めた時に後ろのドアが開きました。

「遅れまして申し訳ありません」

 長身の少年がそう言って入ってきました。面識はありませんが、ダニエルの上のお兄様のブノワでしょうか? 中等学校の制服を着てるのでたぶんそうでしょう。

「ブノワ、席につきなさい」

 ダニエルのお母様がそう言ったので間違いないようです。


 ブノワは会場を見回すと、途中で視線が止まりました。

 あれ? どうしたのでしょうか。

 視線が止まったかと思ったらガクガクと震えているように見えます。

 その視線の先は……ピエール?

 ブノワとピエール、まったく結びつきませんね。


 そのまま様子を見ていると、ブノワの表情が変わりました。

 そして目つきが。

 その表情と目つきを見た瞬間、わたしの心臓がドクンと大きくざわめきました。


 あの表情、あの目つき。

 忘れもしません。

 前世でマクシミリアンに陥れられた時に、やつの取り巻き達が同じ表情と目つきをしていたことを。


 わたしが身構えるのと同時に、ブノワは大きく叫び、目の前にあった料理用のナイフをつかみ、ピエールのほうに向かって襲いかかりました。

 わたしは瞬時にブノワに威圧をかけます。

 ブノワが行動を停止したのを確認し、自分に身体強化魔法をかけると、飛び出してブノワのナイフを叩き落としました。


 そのままアイテムボックスから取り出したロープでブノワをぐるぐる巻きにして、とりあえず取り押さえておくことにしました。

 さて、状況がいろいろとわかっておりませんが、これからどうしたらいいんでしょう。

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