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31 誕生日プレゼントの選択

「シャルロット様よろしいでしょうか?」

 シャルって呼んでもいいって言ったのにダミアンは今も、シャルロット様と呼ぶのを変えようとしません。

 本人曰くケジメだそうで、特別に許してほしいそうです。強要することはできないので許していますけどね。


「なにかな、ダミアン」

「来週の週末なんですが、わたしの七歳の誕生日を祝って我が家でパーティーを催します」

「それは、おめでとう」

 我が家では誕生日パーティーは家族だけでお祝いしますが、こうやって友人たちを招いてパーティーを行う家庭も多いようです。

「つきましては、シャルロット様もご出席いただけないかと」

「あら、ありがとう。他にどんな方をお招き致しますの?」

 さすがにわたし一人だけとか言われると遠慮させていただきたいですから。

「シャルロット様のご返事をいただいてからと考えておりますが、クラスからはピエールとリゼットを招待する予定です。他にあの三人を」

 あー、あの三人ですね。

 さすがに気が利くというか、ピエールを誘うのに加えて、女の子が一人っきりでないようにリゼットも誘うってところが気配りなんでしょう。

 わたしが気軽に行けるようにという心配りは見習わなくてはならないでしょう。


「よろしくってよ」

「ありがとうございます。それでは後程、招待状を送らせていただきます」

 なんというか、作法通り完璧というのがダミアンのすごいところではありますね。なかなか作法通りにできなくてお母様に渋い顔ばかりさせているわたしとしては見習いたいところです。

「これは招待状には書かれていませんので、口頭でお伝えいたしますが、当日は学校の制服でご参加願います」

「わかりました」

 心配りが行き届いてますね。参加者も聞く限りでは貴族ばかりでありませんし、普段着となるとどうしても身分差を意識してしまうことになるでしょう。

 その点、制服なら普段通り余分な気遣いなくパーティーを楽しめそうです。


 さて、誕生日パーティーならプレゼントを用意しないといけませんね。何をあげたら喜んでもらえるでしょうか?

 女の子ならハンカチとかアクセサリーとかちょっとした小物をあげたらいいんでしょうけど、男の子ってのが悩ましいところ。

 前世の記憶があるから男心に詳しそうなものなんですが、考えてみてもクラスの女の子からもらって嬉しいものとか思いつきませんよ?

 小学校二年の頃に欲しかった物ってなんだろう?

 おもちゃ類とか、スポーツ関連のものとか思いつきますけど、どうも誕生日プレゼントとしてふさわしそうな気がしません。


 お兄様にも聞いてみたところ、

「俺の誕生日にも何かくれるのかな?」

「あら、プレゼントしてもいいですけど、わたしの誕生日にもプレゼントをいただけますの?」

 まぁ二人でプレゼントを渡し合うと言っても結局、自分で何か用意できるものでもないですし、結局親に買ってもらうことになるんですよね。

 それくらいなら、直接買ってもらったほうが欲しいものがそのままもらえるので、あまりプレゼントを贈り合う意味がないんです。

「そういえばお兄様の九歳の誕生日は来月で、その次の月にはわたしの七歳の誕生日も来ます。


 ダニエルへの誕生日プレゼントを何にするか、考えてみても思いつきませんね。どちらにせよプレゼントを買いに行くにしても一人では行けません。お母様にお話してみることにしました。

「お母様、来週ダニエルの誕生日パーティーに招待されました。

 プレゼントを何にしようかと考えてみましたが、さっぱり思いつきませんの」

「そうですね。騎士志望とか明確な将来の志望があるのなら選びやすいですが、まだなさそうですね。

 特にこれといったものがないのでしたら、ハンカチくらいが適当なのではないでしょうか。

 明日にでもお買い物に行きましょうか」

「お願い致します」

 そうか、男の子でもハンカチとかでいいのか。こういうのは奇をてらわなくても無難なところでいいんでしょうね。


 翌日、アネットとレオポルドを伴ってお母様と買い物に行きました。ちょっと買い物に行くだけで馬車を準備したりと貴族というのも面倒なものです。

 紳士物のお店に入るのはシャルロットとしては初めてかもしれません。

 わたしが選んだハンカチは毎回、お母様にダメ出しを食らってしまいました。

「デザインが少々古臭いようですね」

「もう少し高級感のあるものを選ばないと」

「それは小学生には似つかわしくないのでは」

「ちょっと子供っぽすぎるのではないでしょうか」

 お母様、難しいですよ。ハンカチ一つ選ぶのがこれほど大変だとは思いませんでした。

「もう、お母様が選んでくださいませ」

「シャルロット、ダメですよ。あなたからのプレゼントなのですから、あなたが選ばないといけません」

「だって……」

 もう疲れちゃいましたよ。


「これならよろしいのではないでしょうか」

 いったい、何点目だったでしょうか。やっとのことで及第点を頂きました。

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