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3 移動手段

 十ヶ月が過ぎました。

 魔力の訓練のほうは順調です。


 最近、移動手段を手に入れました。

 「ずりばい」で部屋の中なら移動できるようになったんです。

 どうやら世間の子はそろそろ、「はいはい」をできるようになってる時期らしいことをお母様の会話で聞きました。


 いやぁ、そういう時期とかぜんぜん知らなかったから、寝転がったままずっと魔力の訓練しちゃってたよ。

 普通の赤ん坊もいろいろ努力してるんですね。

 わたしも運動能力の向上目指して頑張らないといけないかもしれません。

 でも記憶によれば、シャルロットってひ弱で風邪ばっかり引いてた妹って感じなんですが大丈夫でしょうか?


 そういえば先月もしばらく熱っぽくてお母様が心配していました。

 お母様と(心の中で)呼ぶようにしたのは、確かシャルロットがそう呼んでたからです。お父様、お母様、お兄様。家族のことをそう呼んでたものです。

 襲撃イベントと関係なく病気とかで死んでは元も子もないですから、体も鍛えないといけないんでしょうね。


 「ずりばい」ができるようになると、お兄様がいろいろ遊んでくれるようになりました。

 遠いところでおもちゃを見せてわたしをよぶので、わたしはそれを目掛けて「ずりばい」していきます。

 お兄様、今行きますわよ!

 そんな感じで目一杯、体を動かすんだけど、思ったほど進まないんだよね。


 でもお兄様はわたしで遊んでるとすぐに飽きてしまうのが残念なところです。

 もっともっと妹を可愛がってくれてもいいのよ?


 「はいはい」に移行できないものかと、手をついて腕を伸ばして見るんだけど、すぐにぺしゃんと潰れてしまいます。

 なんてひ弱なんでしょう、この体は。筋肉とか本当についてるのかってくらいの弱さです。

 床でぺしゃんと潰れるのは、ちょっと痛いので、練習はベッドですることにしました。

 ベッドのほうを指差して、だーだーと指示してるのに、メイドのアネットにはなかなか通じないくて、ちょっとイラッとします。

 そうしたら、お兄様が

「シャルがベッドに行きたがってるみたい」

 と、アネットに言ってくれた。ありがとう、お兄様。

 お兄様に通じるなんて素敵です。


 そういえば、前世では妹のことをシャルって呼んでたよなって思い出しました。

 中の人が変わっても、そういったことは変わらないようですね。


 ベッドに抱きかかえて連れて行ってもらえたので、ここで四つん這いになる練習をしましょう。

 なんとか、腕の力で体を支えれるようにならないと、「はいはい」なんてできるわけがありません。

 赤ん坊の体ってその割合的に見て頭が重いんですよ。

 下半身の方は膝で問題なく四つん這いになれるのに、腕で頭の重さを支えきれずにすぐにぺしゃんと潰れます。

 腕の筋肉をつけるのが早急の課題ですね。

 ベッドの上ならぺしゃんと潰れても、たいして痛くもないので何度もやってれば、腕立て伏せの前段階みたいな感じで、少しは腕の力もついてくれるのではないかと思います。


 すっかり肉体のトレーニングの方をさぼってた感じなので、他に仰向けになって足をあげたりおろしたりするトレーニングも開始しました。

 きっと腹筋が少しはついてくれるでしょう。


 それにしてもどのくらいの年齢で何ができるのが普通なのかわからないのが困りものです。

 育児書とかあるのなら一度読んでみたいものですが、どうやらそんなものもなさそうです。サロンでの知識とお兄様を育てた時の感覚だけのようなので、何が正しいのかもよくわかりません。

 そろそろカタコトでしゃべったりできてもいいんでしょうか? そっちの方は様子見しつつにしようと思いますが、運動能力の方はどうやら周りより遅れ気味のようなので、めいっぱいやってもよさそうですね。

 「ずりばい」による移動や、「はいはい」のための腕力強化、腹筋強化も日課に取り入れて、しっかり鍛えていきたいと思ってます。

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