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27 球技大会

 長い夏休みも終わって二学期が始まりました。

 二学期がはじまってすぐに球技大会があるんです。一年生の出る種目はドッジボールのみとなってます。

 男女に分かれてチームを組んでの出場になるんですが、体育の授業ではこの男女別のチームですと実力的にどうしても男子チーム有利になっちゃいますので混成チームを組んでの練習になります。


 皆から結構意外に思われるんですけど、わたしはドッジボールがそれほど苦手ではありません。

 もちろん魔法とか使ってませんよ。

 こう見えても運動能力は結構高いんです。そりゃ小さいので、かけっことかとなるとやや不利なんですけど、普通の競技では他の子にそうそう負ける気はしませんよ。


 何故か皆、わたしを狙って投げてくるんですけど、小さいこと、素早いことを利用して、そんな簡単にはぶつけられません。へなへなしたボールが来れば普通にキャッチできちゃいますからね。 

 わたしがヒラリヒラリと避けるので、ジョニーとか意地になってぶつけようとしてきてますね。

 ちょっと挑発気味に避けてあげると、ムキになってくるのが可愛いものです。

 ただ、どうしても男子と比べるとわたしが投げるボールはへなちょこのようで、ほとんど相手を討ち取ることができないのが悔しいところではありますね。


 そして迎えた球技大会当日。

 他のクラスがどうなのかはわかりませんけど、うちのクラス結構強いんじゃない?

 って思ってたけど実際はそんな甘いものではありませんでした。

 四クラス対抗でのドッジボール、二試合終わったところで男子は一勝一敗。女子はなんと二連敗……どうも他のクラスの女子にはニ・三人ずつ将来、騎士志望の強者つわものがいたようなんですが、うちのクラスにはそんな子はいません。

 何ですか、あの男子顔負けのすごいボールを投げてくる子たちは。

 わたしは二試合とも最後まで生き残ってはいたのですけど、最後は数人がかりでのただのいじめ状態。それなりに粘りましたけど、粘ってるだけでどうこうなるものではありません。

 結局、なぶりものにされた挙句に討ち取られました……無念。


 最後のD組との一戦、なんとかここで一矢報いっしむくいたいところです。

 お昼休みに急遽ダミアンに調査を依頼したところ、D組は午前中は一勝一敗。アナベラというスポーツ万能の女の子が一人いるワンマンチームのようです。

 その情報をもとにクラスの女子を集めて作戦会議をすることにしました。


「D組はアナベラ一人のワンマンチームです。この子をどうするかが勝負の分かれ目になります」

「徹底的に狙っていくんですね」

 リゼットがそう提言してきましたが、その作戦は取りません。

「いいえ、アナベラを孤立させます。アナベラを早めに討ち取ってもすぐ外野から復帰されてしまいます。

 それくらいなら、アナベラにボールが極力渡らないようにして、他の子を狙って一人一人と相手の人数を減らして行くんです」

「シャル、悪い顔になってますわよ」

 リゼットが指摘してくれました。おっといけませんね、夏休みにお母様にいろいろ教わった成果を見せようとして張り切りすぎていたようです。


 いよいよ試合開始です。

 皆が作戦通りに動いてくれてD組は徐々に減っていってるんですけど、なにこのアナベラは。

 いったい一人でクラスの子たちを何人討ち取っていったのでしょうか。それでもなんとかアナベラ一人にすることができました。

 こちらも、わたし含めて三人しか残ってないけどね。


 問題なのはここからです。わたしのへなちょこなボールではアナベラを討ち取ることはできないでしょう。

 A組で投げる方で期待できそうなメンツはすべて外野に行ってしまってる様子です。

 わたしは投げるタイミングを少し遅らせました。

 アナベラがこちらの外野の近くまで下がっています。わたしはアナベラの足元ギリギリにワンバンするかどうかってところにボールを投げました。

 こんなボールで討ち取れるとは思っていません。この高さならアナベラはムリに取ろうとはしないでしょう。アナベラの運動神経なら軽く避けれるでしょう。

 でも、ボールを避けた後には少なからず体勢が崩れます。

 わたしが投げたボールをすぐに外野の子が拾ってくれて、アナベラを討ち取ってくれましたよ。


 A組の勝利です。

 なんとか一矢報いることができました。

 まぁD組と並んで最下位であることにはかわりありませんけどね。直接対決で勝ってるんだからきっとうちのチームが三位でしょう(そんなルールはありません)。


 さて男子はと思って様子を見てみると、すでに敗戦済みだったようです。

 残念、応援に行こうと思ったのに……

 男女ともに一勝二敗というとても残念な球技大会でした。


 他の学年の様子を眺めに球技場へ向かったところ、ちょうど三年生のサッカーが行われていました。

 お兄様がゴール前でシュート!

 残念ながらキーパーに取られてました。

「お兄様、頑張って!」

 声を張り上げて応援しましたが、お兄様のかっこいい場面は見られませんでした……残念です。

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