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22 いじめ

 入学後半月ほど元気に通学できていたんですけど、ついに熱を出してしまいました。

 二日も学校をお休み、皆勤賞とかはわたしには遠いお話しです。


「おはよう」

 三日目には元気になって通学できました。

 あれ? ピエールがまだ来てませんね。今日は少しお寝坊さんなんでしょうか?

 楽しみにしてましたのに、今朝はピエールの歌を聞けないようで残念です。


 心配してましたけど、始業の五分くらい前にはピエールもあらわれて、ほっとしました。

「おはよう」

 わたしは明るく挨拶したのに、ピエールは挨拶を返してくれません。

 どうかしたのかな? なんか言葉をかけにくくて、そのまま躊躇してたら授業開始の鐘が。

 あとで、ゆっくりお話すればいいですね。


 そう思ってたら、お昼休みにピエールはわたしを置いたまま一人で先に行ってしまいました。

 わたしがお休みする前に何かピエールに嫌われるようなことをしたっけ?

 三日前のことを思い出しても特に思い当たることがかりません。帰るときも普通だったよね。


 ちょっと悩んでたんですけど、なんかまわりもちょっと雰囲気が変です。

 後ろの席のリゼットに声をかけようとしたら、避ける感じで教室を出ていっちゃいました。

 ここは逃しませんよ。

 ここまでクラスの様子を見てきたところ、リゼットが一番情報通っぽいですからね。


 リセットを追いかけていったらトイレに入っていくのが見えました。いいでしょう、あそこならあまり他の人には見られません。

 リゼットがトイレの個室から出てくるのを待ち構えてました。

 出てきたリゼットをそのまま個室に押し戻して、話を(むりやり)聞かせてもらうことに。

「わたしが休んでる間に何があったのかしら?」

 リゼットはしばらく黙ってましたが観念したようです。懸命な態度ですね。

「わたしが話したとか言わないでね」

「約束しますわ」

「男の子が何人かでピエールを連れ出して何かしてたみたいなの」

「なんですって?」

「何かされてたとは思うんですけどくわしいことまではわからないんです」

「ありがとう、約束どおり内緒にしますわ。

 一緒に戻ると怪しまれるといけませんから先に戻っててくださる?」


 トイレの個室でそのまま対策を考えてみました。わたしが休みの日を狙ってってことはわたしが見てたら何も起こらないでしょうね。

 ここは、はっきりさせるためにも、一芝居打たせてもらいましょうか。


 授業終了後、

「今日は約束がありますのでお先に失礼しますの」

 わたしはそう言い残して早々に教室を離れます。そのまま急いで校舎を出たところで姿を消すことにしました。

 さて、わたしのいないところでどんなことが行われてるんでしょう。


 姿を消したまま、そっと教室へ戻りました。

 そこには予想通りの光景が繰り広げられていました。

 ピエールを男の子四人が囲んでいます。


「約束どおりにシャルロット様と口を聞かなかったようだな、これからも約束を守るんだぞ」

「シャルロット様のことを馴れ馴れしくシャルと呼び捨てにするなんて生意気だぞ」

「奨学生だからって歌でシャルロット様に気に入られようとか、その魂胆が気に入らないんだよ」

「平民のくせに大きな顔しやがって、貴族の学校に来てるんだから、身分の違いってものを教えてやらないとな」


 順にダミアン、エロワ、カロン、ジョニーですね。

 こいつら……言いたい放題です。

 あ、ピエールの足を蹴ったでしょ!


「そういうことでしたのね」

 わたしは仁王立ちで姿を表します。


「「「「シャルロット様!」」」」


「四人がかりで一人を囲んで言いたい放題、しかも貴族である身分をかざして発言をふさぐ、そのうえ暴力ですか。

 いじめとかして嬉しいんですの? それも人の名前を勝手に出して、見てないところでコソコソと。最低の男たちですね」

 もう堪忍袋の緒が切れましたからね。

 容赦するつもりは一切ありません。


「何か言いたいことがあったら言ってみなさいよ」

 わたしはそのまま四人へ詰め寄ります。

「チビのくせに生意気なこと言うんじゃねぇよ」

「女のくせに!」

 エロワとカロンかな? ふーん、そういうこと言うんだね。ダミアンだけはオロオロしてるみたいだけどもう遅いわよ。


 睨みつけたところ、ジョニーが殴りかかってきました。ちょうどいいわ、これで正当防衛も成立ね。

 そのパンチを受け流して、ジョニーの顎に向かってアッパーカットを食らわしてやりました。

 こちとら生死をかけた修羅場をくぐり抜けてきてるんですからね。一年生のヘナヘナパンチとか食らうわけがないでしょ。


 でも、無意識に自分に身体強化魔法をかけてたみたいですね。

 ジョニーの顎の骨を砕いちゃった、てへっ。


 あ、逃げていくなら、ダミアンとか引っ張ってないで、ジョニーも連れて行ってよー。

 うーん、これどうしよう。

 ジョニー、顎を押さえて七転八倒しちゃってるよ。

 ピエールもずいぶんわたしに引いちゃってるみたい。


 いやぁ失敗失敗。ちょっとやりすぎちゃったみたいですね。

 このすぐ手が出てしまうのは、どう考えても前世の影響みたいです。前世と違ってレディーなんですから、もうちょっと自重が必要だとあらためて思いました。

 一応その後ピエールが立ち直って、他の子たちとジョニーを保健室へ連れて行ってたけど、その怪我は保健室でどうにかなるレベルを超えてるかもしれませんよ。

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