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19 転移魔法陣

「さて、わざわざ校長室に来てもらったのはこういう雑談がしたかったわけではないんじゃ」

 そう、どうして校長室に呼ばれたのでしょう。すっごく緊張してたんですよ。

「オーギュスト、頼んでおいた件を頼むぞ。

 シャルロットちゃん、こっちじゃ」

 オーレリアン先生に連れられて校長室の外へ出ます。どこへ行くのですか?


 校長室から外へ出たまま、廊下を進んで角を曲がったところにそれはありました。

 大きな魔法陣、これは何かな?


「前に貸した本にもあったじゃろ?

 転移魔法陣じゃ。

 術式が複雑なのでこのくらいの大きさが必要になるのじゃ」

 これが転移魔法陣なんですか。話には聞いてたけど初めて見たよ。こんなところに設置してあったんだね。


「この転移魔法陣は管理者の承認がないと使えないのじゃ。

 まぁ承認を受けても魔法陣の原理を理解してない者には使えるわけがないがのぉ」

 そうなんだ。わたしは一応基本的なことは理解できてると思うから、承認があれば使えるってことなのかな?


「ということでシャルロットちゃんの登録を行うぞ。

 ここの管理者はオーギュストじゃ」

「生徒も使ってもいいんですか?」

「魔法大学では魔法陣の講義を終えた学生は皆使っておるぞ。確か以前に高等学校で許可した例もあったはずじゃ。

 さすがに初等学校の生徒の登録は前例がないじゃろうな、ふぁっふぁっふぁ」

 笑い事じゃない気もしますけど、まぁきっと便利でしょうからお言葉に甘えましょう。


 オーギュスト校長が魔法陣に向かって何やら新しく魔力を流し込んでるようです。どうやら魔力で魔法陣にわたしの名前を書き込んでいるみたい。

 魔法陣が最後に青く輝きました。これでわたしの登録が終わったようです。

「では、大学の方に行こうか。

 手を握らせてもらうぞ、シャルロットちゃん」

 確か転移魔法陣は手を握ってる同行者一名までついていけるんだっけ。


 オーレリアン先生が魔法陣に魔力を流すと魔法陣が赤く輝きました。

 空間がゆがんだと思うと一瞬で明るいところにつきました。

 周りには多くの学生が行き来しています。


「魔法大学の魔法陣はロビーにあるんじゃ。

 利用者も多いから使いやすい場所に設置してあるんじゃ」

 確かにここが王国でも一番たくさん利用されてる転移魔法陣かもしれませんね。

「この魔方陣の管理者はわしじゃから、さっそく登録を行うぞ」

 先程と同様にオーレリアン先生が新しく魔力で魔法陣にわたしの名前を書き込んでくれました。

「これで登録完了じゃ」

「ありがとうございました」


「さて、シャルロットちゃん。

 転移魔法陣がどうして開始点と終着点の双方に登録が必要なのかわかるか?」

「んと、勝手に使われて転移されたりしたら困るから? 泥棒とか簡単に来ちゃいそう」

「んむ、正解じゃ。この転移魔法陣は長距離も一瞬で移動できて便利じゃ。

 自由に使えたら、泥棒どころか他国から軍隊を送られて一瞬で占領とかもされかねん。

 だから設置するにあたってもその場所の正当な管理者の許可なく設置することもできないのじゃ」

「いろいろと制約があるんですね」

「そうじゃ、これに限らず魔法は便利で強力なものゆえ、いろいろと制約があるのじゃ。

 シャルロットちゃんも、あまり知らない魔法をいきなり使うと、恐るべき反動があるかもしれんから注意するんじゃぞ」

「はい、わかりました」

 そのことは知らなかったよ。気をつけないといけないね。でも今までは前世の学校で習った魔法と、オーレリアン先生に教わったものしか使ってないから大丈夫だと思う。


「難しい講義はこのくらいにして、転移魔法陣使ってみたいじゃろ。

 やってみるがいい」

「魔力を流せばいいんですの?」

「あぁ、やってみるのじゃ。そうすると利用可能な転移先の一覧が見えるじゃろ。

 と言っても、シャルロットちゃんの場合は一ヶ所だけか」

「あ、見えました。行ってきます」

 先程と同様、魔法陣が赤く輝くと、空間が歪み一瞬で初等学校へ転移できました。転移に使う魔力は僅かでいいようです。

 後からオーレリアン先生も転移してやってきました。


「上手くできたようじゃの。これで大学へは気楽に来れるじゃろ。

 後は自分の家にも転移魔法陣を設置すると便利じゃよ」

「え、転移魔法陣ってわたしでも設置できるんですか?」

「手本を見て書くだけじゃから、時間をかければ誰にでもできる。

 書くためには馬鹿げたくらい大量の魔力が必要になるんじゃが、シャルロットちゃんには問題ないじゃろ」

 確かに魔力の量だけはムダに多いのでなんとかなりそうですね。

「手本がいるな、ちょっと待っていなさい」

 オーレリアン先生は校長室へ入っていったかと思ったら、古い本を一冊持ってきた。

「ちょうどオーギュストが持っておった。使い終わったら返しておくように」

「ありがとうございます」

「そうそう、移動魔法陣を家に書くときは、ちゃんと父親に許可を得てからにするんじゃぞ。

 さっき言ったとおり、正当な管理者の許可なく設置することはできないからのぉ」

 そうか、そういう制約があるんだったね。

「はい、わかりました」




 帰宅後、夕食の時に魔法陣のことをお父様にお願いしてみました。

「そうか、シャルロットはそんなこともできるようになったのか、いいだろう。

 玄関の横にでも設置するがいい」

「お父様、ありがとうございます。さっそく明日にでも魔法陣を書かせていただきます。

 お兄様、魔法陣があると通学が便利になりますよ」

 わたしがお兄様に自慢げと言うと、

「でもシャルが熱を出したら使えなそうだから、あまり当てにはできないんだよな」

 そうでした。

 お兄様から見れば、わたしの健康次第ってことになりますので、油断してると使えない日がありそうですね。

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