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18 校長室

 日課の魔法の訓練、ずっと召喚魔法にってます。

 奨学生の皆に見せたように虫の召喚は安定してできるようになったんですが、なかなかそこから先が安定しません。

 召喚魔法の基本はすべて同じみたいですが、召喚するものが高等生物になったり、大きくなったりすると、より詳細なイメージが必要になるようなんです。


 魔法大学のオーレリアン教授にも相談したのですが、「ひたすら練習あるのみ、習うより慣れろじゃ」だそうです。

 ということで、せっせと練習。こう見えても地道な修行は前世から得意なんです。

 わたしのありえないほどの魔力だって、赤ん坊の時からの地道な努力の成果なんですからね。


 そして本日何回目かのチャレンジの結果、ついに小鳥の召喚に成功しました。

 ちゃんとメッセージの伝言機能つきの小鳥ですよ、やったね。

 さっそく、オーレリアン教授じゃなかった、オーレリアン先生へメッセージを飛ばしてみました。

 教授って呼ばれるのはあまり好きじゃないから先生って呼んでほしいそうです。

「やっと小鳥を召喚できました。また遊びに行ってもいいですか?」

 小鳥はパタパタと羽ばたいて飛んでいきました。ちゃんとオーレリアン先生に届いてくれるかな?


 しばらく待ってみると、小鳥が戻ってきて机の上に止まりました。

「初等学校入学おめでとう。もうメッセージを飛ばせるようになるなんて驚いたよ。

 明日の授業が終わったら、校長のところまで来るといい。そこで待っておる」

 え、いきなり明日ですか!

 そして、校長先生のところへ一年生がいきなり行っても、いいものなんでしょうか?


 内緒で行っちゃまずいよね。きっと後で叱られちゃいます。

 お母様のところへ明日のことをお話しておかないと。


 わたしが話すとお母様は、

「わかりました。シャルロットはもうそんな魔法が使えるようになったんですね。

 帰りのお迎えはどういたしましょうか?」

「そうですね。帰る前にお母様のところへ、わたしかオーレリアン先生から小鳥を飛ばしてもらうことにしたいのですが、それでよろしいでしょうか?」

「それならよろしいでしょう。わたしかベレニスが迎えに行きます。

 それとフェリックスにはわたしの方から伝えておきます」

 そうか、いつも行き帰りはお兄様と一緒だから、わたしだけ勝手な行動を取ったら困りますね。

「ありがとうございます」


 とりあえず、お母様のお許しが出たようです。なかなか一人で外出できないのは困ったものです。

 まだお兄様も同じ扱いですので、わたしが文句を言ってもムリでしょう。

 前世では、中等学校に進学してはじめて一人で外出させてもらえるようになったものです。




 校長先生は職員塔の三階の校長室にいるってことは前世の知識としては知っていましたが、前世でも入ったことはありません。

 というか、職員塔三階に来ること自体が前世から通じても初めてです。

 普通の生徒にはあまり縁のないところですよね、校長室って。


 うーん、ノックすればいいんだよね。

 ちゃんとオーレリアン先生は中にいるのかな? ノックしてドアを開けてみたら、君は誰だね、何の用だね? とか言うことにならないよね。


 トントン

「どうぞ」

 中から声がしたよ。入っていいってことだよね。

 そっとドアを開けて静かに中へ。

「こんにちは」

 スカートをつまんで挨拶します。

「シャルロットちゃん、よく来た。こっちへおいで」

 よかった。ちゃんとオーレリアン先生がいてくれたよ。

 わたしは誘導されるままに、オーレリアン先生の横の席に腰掛けた。


「こうしてちゃんと顔を合わせるのは初めてだね。奨学生試験以来、君の話題はいろいろ聞かされているよ」

 校長先生に目をつけられていたようです。問題児ってわけじゃないよね。

「三年の君の兄フェリックスとクリスティーヌ、二年生のアンリエット、そして一年生の君とピエール。下級生に近年稀なる素質を持った生徒が集まって喜ばしいのか、頭が痛いのか」

 あ、二年の特待生の名前はアンリエットだったか、ちゃんと覚えておこう。ピエールもこの面々に並ぶだけのすごい子なんだ。

「教育者としては喜ばねばならんぞ、オーギュスト」

「責任者として頭が痛いんですよ、オーレリアン先生」

「先生?」

 あ、つい疑問に思ったことを口に出しちゃった。

「あぁ、オーレリアン先生はわたしの大学時代の先生だ。まぁわたしと言うか高等学校まで含めてすべての魔法関連の先生は皆なんらかの形でオーレリアン先生に教わったことがあるはずだ」

 そうなんだ。このおじいちゃんがそんな偉い先生だったなんて知らなかったよ。

「ふぁっふぁっふぁ、ほとんど皆の弱みを知っておるから怖いもんなしじゃよ。シャルロットちゃんも誰かにいじめられたら、いいつけにおいで」

「先生、怖いこと言わないでくださいよ」

「ふぁっふぁっふぁ、まぁわしも老い先短いからシャルロットちゃんが最後の教え子になるかもしれんのぉ」

「先生がそう言うのはもう十年以上前から何度聞いたかわかりませんよ」


 まだまだしばらくの間、オーレリアン先生は元気そうだって気がします。

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