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16 特待生専用喫茶室

 昼食の後、シャルロットとしては初めて特待生専用喫茶室に入りました。

 特待生は別にここに来るのは義務ではありませんが、将来王国を背負って立つ人材を小さい頃から交流させるという目的で設置されている施設のため、できるだけ来るように推奨されてます。

 まぁほとんど来ない人も少数いますが、基本的に用がない限り昼休みには大多数がここに揃ってます。


 さて、挨拶のタイミングはどうするのがいいのかな?

 特に最初だからこうって決まってるわけじゃないんですよね。

 自分から挨拶する新入生もいるし、上級生に声かけられてからって時もあるし。


 お兄様どうしましょう? って顔でお兄様の顔を伺ってみることにします。

 ここはおまかせしていいですよね。


「皆さん、新入生の紹介をさせてもらいます。

 まず、こちらがシャルロット。俺の妹になります。

 そして、こちらがピエールです。

 仲良くしてやってください」

 お兄様がわたしだけでなく、ピエールの紹介もしてくれました。

「シャルロットです。よろしくお願いします」

「ピエールです。よろしくお願いします」

 わたしとピエールが順に挨拶をする。皆に注目されてるので緊張しますね。


 この後、六年生から順に簡単な自己紹介と質問が飛んで来るんだよね。

 最初は……マクシミリアン、そうか六年生だったっけ。

 お兄様が早めに紹介始めてくれなかったら、こいつのペースで進んじゃったわけだね。よかったよ。

 こいつには要注意。


 復讐を! とは思うんだけど、今この現在のマクシミリアンがどういうやつかってイマイチわかってないのよね。

 実は子供の頃はすごくいい子で途中で何かあってあんなになっちゃったのかもしれないし。まぁたとえそうであったとしても救いの手を差し伸べたりするほどのお人好しじゃありませんからね。

 でも、いきなりやっつけてスカッとするのはどうも違うような気がする。

 とは言っても要注意なのは間違いなし。できるだけ注意しつつ情報を集めていきたいものです。

 だけど、学園内での接点は少ないのよね。

 初等学校も一年すればマクシミリアンは卒業しちゃうし。

 大きな課題ですね。今はとりあえず保留にしておくしかないでしょう。


「六年のマクシミリアンだ。学力推薦での奨学生となってる。

 二人の推薦項目はなにかな?」

 この質問は定番の質問で最初の人がするのが慣例となってます。

 マクシミリアンの視線がわたしの方を向いてますので、わたしから答えることにしましょう。


「わたしは学力と魔力での推薦です」

 隠し事をしてもすぐにバレるので正直に言っておきます。

「魔力ってのは珍しいね。何か見せてもらってもいいかな?」

「危ない魔法は学校で使うことは禁止されてますので……」

 何にしようかなって考えながら、あまり派手じゃなくてこういう場に受けそうなのは何かなってことで召喚魔法をすることにして、ポケットから魔法陣を描いたハンカチを出してテーブルの上に広げました。


「それでは、見ててくださいね」

 わたしは魔法陣に向かって魔力を注ぎこみました。

 魔法陣が青く光り輝き、一羽の白い蝶を召喚しました。

 蝶は皆の頭の上をゆっくりと羽ばたき、部屋を一周した後にわたしの頭の上に止まって消えていきました。


「こんなのでいかがでしょう?」

 皆が盛大に拍手してくれました。

「ありがとう。素敵なものを見せてもらえたよ。

 ピエールのほうはどうかな?」

 拍手が落ち着くのを待って、マクシミリアンが感心した表情でそう言います。

「ボクは音楽の推薦です。歌唱以外は嗜む程度ですが」

 つまり、歌唱にはとっても自信がありますってことだよね。

「聞かせてもらってもいいかな?」

「喜んで」

 ピエールは春の喜びの歌を高らかに歌い始めました。

 近くで聞いていると素晴らしいよね。こんなにすごかったっけ。

 そう思いつつ、お兄様の方をちらりと見るとクリスティーヌの方ばかり見てるよね。

 前世でもこの歌を聞いてるはずなんだけど、クリスティーヌに夢中だったようです。自分のことながら恥ずかしい。


 歌が終わって皆といっしょにわたしも盛大に拍手します。

 同学年のお友だちってことで、これから歌を聞く機会は多そうです。

 とても楽しみですね。


「ありがとう。こちらもまた素晴らしいものだった。

 今年の一年生は二人ともすごいな」

 マクシミリアンが話をそう閉めて、次の人の紹介へと移っていきました。

 それ以降は特に自分の紹介だけで流れて行きます。何かあれば別に質問したっていいんでしょうが、わざわざ今急いでしなくても基本的にいつでもできるでしょうしね。

 わたしは前世の記憶で全員覚えてるので大丈夫ですが、いきなりこれだけの人数の紹介を聞かされるピエールは大変だよね。わたしも前世のとき途中でここに来た時は大変だったよ。


 三年生のお兄様とクリスティーヌで全員の自己紹介終了。二年生の特待生はやっぱり来てないようね。

 彼女とは、前世でも初等学校三年秋から高等学校卒業の時まで含めても、数回しか会ってない気がするんだよね。名前は……あ、記憶にないや。本気で縁が薄かったからなぁ。

 今年も初日から研究室に閉じこもってるみたいですね。

 二年生の天才児、兼問題児の特待生は。

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