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15 食堂

 初等学校生活の二日目です。

 今日はお昼休みに食堂と特待生専用喫茶室へ、お兄様が連れて行ってくれることになってます。


「ピエール、お兄様が食堂と特待生専用喫茶室の案内をしてくれることになってるんです。ご一緒しませんか?」

 ピエールも初めてのはずです。是非一緒に行きたいのでお誘いしてみました。

「ありがとう、シャル。せっかくだから、ご一緒させてもらっていいですか?」

「わーい。一緒に行きましょう」


 教室でお兄様を待っていると、クリスティーヌといっしょにお兄様がやって来ましたね。憧れの聖女と同じクラスになって、お兄様はとても嬉しそうです。

「お兄様」

 わたしがトテトテと駆け寄ると、お兄様にいきなり抱え上げられちゃいました。

 お兄様嬉しいんですけど、これはちょっと恥ずかしいですよ。わたしがジタバタしてるとやっと下ろしてくれました。


「これがさっき話してた妹のシャルロットだ」

 と、クリスティーヌにまずわたしを紹介してくれました。でも、「これ」ってのは扱いが悪いと思うんですよ。

「シャル、こちらがクリスティーヌ。俺の同級生の特待生だ」

「はじめまして、シャルロット様。よろしくね」

「はじめまして、クリスティーヌ様、よろしくお願いします」

 クリスティーヌもわたしも、制服のスカートをちょこんとつまんで挨拶します。

 はじめましてって言っても実際のところ、わたしはよーく知ってますけどね。

 こうしていざ会うとあまりに懐かしくて、涙が出てきそうになっちゃいます。


「お兄様、クリスティーヌ様。お友だちを紹介させていただきます」

 わたしがピエールを紹介しようとすると、いつの間にか横に来ていたピエールは自分で話し始めました。

「一年生のピエールです。よろしくお願いします」

 カチコチになりながらも、そう言って頭を下げてました。

「よろしくな」「よろしくね」

 お兄様とクリスティーヌの声がハモってた。仲のよろしいことで結構ですね。


 初等学校の食堂は(中等学校以降もそうだけど)、毎日二種類のメニューから選ぶ方式です。授業料に含まれているので料金は無料。

 つまり特待生は昼食も無料なんです。お得ですよね。


 さーて、何を食べようかな。

 今日のAセットはお魚のムニエル、Bセットは焼肉がメインの料理のようです。どっちも美味しそうだなって思って見てましたけど、ふと大変なことに気づきました。

 料理のおいてある台がわたしの身長と同じくらいの高さじゃないですか。

 これを取るのはちょっと危なっかしいのではありませんか?


 悩んだ末にお兄様の後ろについていって、台の前でお兄様の服を引っ張りました。

 お兄様は最初、困ってるわたしの顔を見てきょとんとしてましたが、すぐに気づいてくれたようで、料理の乗ったトレイを取ってくれました。

 ずっと昼食はお兄様についていって、同じメニューを選ぶしかないのかな?

 ピエールを見てると、ちゃんと自分で取れてるみたいなので、別にお兄様じゃなくてもいいのか。

 見渡してみても、台からトレイを取れないほど背が低いのはわたしだけなんだよね。

 早く大きくなりたいよー。


 食事するためのテーブルもやや高いですが、こちらは先程の台よりは低かったので、トレイを置くのは問題なくてひとまずホッとしました。

 でも、問題は椅子の高さです。特待生試験のときも、この椅子を見て憂鬱になったんですよね。

 そんなことを考えつつ椅子をじーっと睨んでたら、お兄様にひょいと抱えられて椅子に座らせてもらえました。

「お兄様、ありがとうございます」

「シャルが不自由なく椅子に座れるようになるのはいつだろうな」

「その時が早く来ることをわたしも祈ってるんですが……」

 なんとなく卒業する頃になってやっとってくらいの気がしますよ。


 クリスティーヌとピエールが笑っていいのかどうか微妙な表情をしてますね。

 もう、わたしが小さいことはどうしようもないので、普通に冗談として笑ってくれていいと思いますよ。


 食堂では特待生の席はここっていうふうに明確な決めはないんですが、いつもたいてい、専用喫茶室の近くの席あたりに皆、座ってます。

 わたしたち四人もその一角に座ってたわけです。


 わたしたちが着く前にも何人か食べ始めていましたし、わたしたちの後にも何人かやってきました。前世の記憶で皆知ってる顔なんですが、まだ紹介されてませんのであえてスルーしてます。

 食堂で紹介しあってバタバタするのは周りに迷惑でしょうから、お兄様も今は紹介してくれていないんだと思います。

 知ってる顔だけにスルーするのはちょっと気になりますけど、しかたないよね。

 お兄様やクリスティーヌがそれぞれの隣に座った人から、話しかけられてわたしのことを教えてるようなので、軽く会釈だけしておくことにしました。

 食後に皆、専用喫茶室の方に移動すると思うので、その時にきっと紹介してくれるでしょう。


 前世でも思ったけど、この食堂の料理の味はバツグンです。中等学校・高等学校の食堂は共通なんですが初等学校だけは別。

 いろいろと人によって意見は分かれると思いますが、わたしは初等学校の食堂が一番美味しいと思ってるんです。

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