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13 初等学校入学式

「誓いの言葉 新入生代表シャルロット・ベルトラム」

「はい」

 呼ばれたわたしは大きく返事して壇上へ進む。


「ちっちゃい」「小さいね」「かわいい」

 うるさい、うるさい。これでも気にしてるんだからね。

 やはりまだ入学したての新入生は入学式の間、静かにしているってできないものですね。


 わたしはカンペを広げて読み始めます。全部学校側で用意してくれたものですので、オリジナリティはありません。

 一年生にそんなものは期待しないでくださいね。これ全部読めるってだけですごいんですから。


「本日は、わたしたち新入生のためにこのような盛大な入学式を催して頂き、まことにありがとうございます。

 先生方ならびに来賓の皆様に心より御礼申し上げます。


 (中略)


 以上をもちまして、誓いの言葉とさせていただきます。

 本日はまことにありがとうございました。


 新入生代表シャルロット・ベルトラム」


 ふぅ、つっかえずに言えたかな。

 わたしが皆に向かって一礼すると、盛大な拍手が贈られました。


 なんとか無事に役目を終えることができました。別にこんなのやりたくはなかったけど、特待生の役目だそうです。

 そういえば、前世ではクリスティーヌがやってたっけ。


 無事に特待生として入学式が終わりましたよ。

 この学校の女子の制服、前世から気に入ってたんです。

 男子のはごく普通のブレザーだったんですが、何故か女子の方だけすごく可愛らしいんです。

 この制服を着られるってだけでも、この学校に入学してよかったと思います。

 制服のサイズが小さすぎて特注品だったんだけどね。さすがに特待生と言っても特注品ですと予算が足らないせいでお母様から出してもらいました。

 一年生くらいですとすぐに成長してしまうので、制服も大きめを選ぶようですが、貴族たるものそういうことではいけないそうです。

 わたしの場合はなかなかすぐには大きくなりそうな気がしないので、大きめの制服を選ぶのはよくないのかもしれませんし。


 お母様の話では、同期ではわたしより身分の高い貴族はいないようですので、学校ではあまり身分的なことは気にしなくてもいいようです。

 五年生と六年生に一名ずつ身分の高い貴族が、二年生に一名同じくらいの身分の貴族がいるだけとのこと。

 ただ来年度には、王族の男の子が一名入学してくることを、わたしは前世の知識で知ってます。


 一年生の教室の机や椅子は、特待生試験の時のものより少し小さめですね。

 このあたりのことは前世では気にしなかったけど、今回は大きな問題です。

 うん、この大きさならあまりみっともないことしなくても座れそう。

 毎回毎回、椅子によじ登るってのは、ちょっとイヤですから。


 一年A組の教室では、ピエールとわたしが特待生ってことで一番前の席になってるようです。この先どうせ背の順での座席が基本になるのだから最初くらいは後ろの方に座るのもよかったのになぁと思いましたが、まぁそんなことはたいしたことでもありませんね。


「ピエール、あらためてよろしくお願いしますね」

 特待生試験で一度顔を合わせてるピエールだけが知ってる顔です。知ってる顔が隣の席にいるのは心強いです。

「シャルロット様、よろしくお願いします」

「えー、様ってのはやめましょうよ」

「学校では貴族の人とかばかりだから、皆に様をつけて呼ぶんですよって家で言われたんです」

「そうかもしれないけど、わたしはお友だちから、シャルロット様なんて呼ばれるのはイヤなんです」

「ボクのことをお友だちだと思ってくれるんですか?」

「あ、ごめんなさい、いきなりで。ピエールがお友だちになってくれたらいいなって思ってたので、ついついもうお友だちって言っちゃったの」

 思い込みで暴走するのはやめるようにしないと。


「ありがとう。ボクもお友だちになれたら嬉しいよ。

 ぜひ、ボクとお友だちになってください…………シャルロット」

 最後の名前のところがすごく小さな声だったけど、様なしで呼んでもらえたみたい。

「わーい、じゃお友だちですね。わたしのことはね、お兄様は『シャル』って呼ぶからそれでもいいですよ。

 『シャルロット』でも『シャル』でも好きな方で」

「じゃ、ボクも『シャル』って呼ばせてもらうね」

「ええ」


 初めてのお友だちゲットです。ピエールとは同じ特待生ってことで専用喫茶室とかでも一緒になるし、ずっとクラスも同じのはずだから、是非ともお友だちになりたかったんです。

 と言っても、これはまだ内緒ですがお兄様に追いつくまで飛び級しまくる予定ですので、クラスが同じなのはそれまでの間なんですが。

 ピエールは中性っぽい感じの顔立ちですし、声も高くてあまり男の子って感じがしないのがいいですね。

  

 ピエールと仲良くお話していると、先生が入ってきました。

 なんと、先日の特待生試験の時に廊下でぶつかったルミア先生じゃないですか。最初から顔を覚えられてるってのは問題児みたいで嫌ですね。

 まぁ、特待生試験ではやらかしてしまってるので、ずいぶん有名になってしまってるようなので、今更って感じでしょうか。


「おはようございます。

 わたしが今年一年間、みんなの担任となるルミアです。よろしくね」

 基本的に優しい先生ですのでよかったかな。「基本的に」って注釈付きなのは怒るとすごく怖いことを知ってるからです。


 さーて、今日から待望の学校生活が始まります。

 いろいろ頑張りましょう。

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