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10 魔力検査

 午後わたしが受けるのは魔力検査のみ。

 どうやらこの科目を受けるのはわたし一人のようです。そりゃまぁそうでしょうね。普通の子は魔法とかまだ覚える年ではありませんから。


 試験官は中等学校の初歩魔法担当のカルロス先生だった。前世で授業を受けた記憶がある。結構厳しい先生だったよな。

「それではこの魔力測定器に手を触れて、ここに書かれている言葉を唱えてくれ。ちゃんと読めるか?」

 その魔力測定器は子供用の細かい魔力まで測れる装置だった。でも魔力上限が低いので大人が使うと壊しかねないやつだと思う。

 ここで装置を壊すのはまずいよね、やっぱり。

「すみません」

「なんだ、読めないのか?」

「いえ、この装置なんですが、大人用のものと変えてくれませんか? 壊しちゃうといけないので」

「六歳児の魔力じゃこのくらいの装置じゃないと測れないと思うんだ。いいからこれでやってみろ」

「お願いですから変えてください。計測不能だったら不合格で構いませんから」

「しかたないな、待ってろ」


 カルロス先生はしかたないなって顔で魔力測定器を持って部屋を出ていきました。

 だって測定器じゃ力をわざと抜くってこともできないんだから、しかたないじゃない?


 カルロス先生は何やら古そうな大きな装置を持ってきました。

「これなら問題ないだろう」

 その装置の目盛りを見ると最低限の桁がさっきの装置の百倍。

 その最大値とか、どこの伝説の魔導師を測定するためのものですかって感じです。

 なんかカルロス先生、ニヤニヤ笑ってるぞ。ちょっと六歳児に対して大人気ないと思いますよ。


「それではいきますね」

 まぁこの装置でもきっと問題ないでしょう。そこそこ針は振れてくれると思いますよ。

「ゼリス・デア・モンヌ・フィア・ビエンヌ」

 装置に手を触れて、書かれた言葉をそのまま唱える。意味は知らない。


 針はどんどん振れていき、そのまま振り切れました。

 ごめんなさい。伝説の魔導師級になってたようですね。感触としては今ので七割くらいかなって感じです。

 面白いくらいに圧縮拡張できるので、自重せずに魔力を増やし続けてたらとんでもないことになっていたようです。


 カルロス先生が固まってしまってます。

 まぁ気持ちはわかります。六歳児しかも見た目は三歳児ってのが伝説の魔導師級とか信じられるわけがありませんよね。


「ちょっと待て。装置の確認をしてみる」

 カルロス先生が装置の前に立って魔力検査をしてみるようです。

「ゼリス・デア・モンヌ・フィア・ビエンヌ」

 カルロス先生が言葉を唱えると針は真ん中近くまで振れました。

 なかなかの魔力です。たぶんこれより魔力の多い人は王国内でもそんなにたくさんはいないと思います。

「問題なさそうだな。しばらくそのまま待っててくれ」


 カルロス先生が慌てて試験場を出ていきました。

 確かこの検査は二回測定するんだよね。


 しばらく待っていると、いろいろと先生たちが試験場に入ってきました。

 前世で見覚えのある顔も多い。どうやら中等・高等学校の魔法担当の先生たちが全員集まってきてるようです。

 まだなのかな? って顔をして待ってると、あまり見たことのない人たちも入ってきました。あ、一人だけ知ってる。あの人は確か魔法大学の教授では。ということは後から来た人たちは魔法大学の教授の人たちでしょうか?

 魔法大学からは移動用の魔法陣があるので、王都内の至る所に移動可能です。初等学校にも来れるようですね。


 なんかとても大事になってきましたよ。


 あらためてカルロス先生が前に立ちました。

「規則では二回測定することになってるからもう一度やってくれ」

「はい」

 本当は嫌なんですが、ここでそう言えるわけがありません。

「ゼリス・デア・モンヌ・フィア・ビエンヌ」

 言われたとおりにもう一度手を触れて言葉を唱えたが、やはり針は振り切れたのです。


 先生方の歓声が上がります。

 皆、勝手にいろんなことを喋りだしてるので何を言ってるのかわかりません。


 あ、外で待ってたはずのお母様が試験場に引っ張りこまれました。


「何事ですか? うちのシャルロットに何かあったのですか?」

 お母様も突然の事態に混乱した様子です。


 年取った白髪の教授っぽい人がわたしの前に立った。

「シャルロットちゃんって言ったね。どうだい、初等学校でなく、魔法大学に入る気はないかな?」

 え、え、え、え、え。

 さすがにこの幼児に大学はないでしょ。

 見た目だけなら初等学校でもムリがありそうなのに。


「ごめんなさい。将来は行きたいと思いますけど、今は初等学校の方に」

 だって、魔法大学にはお兄様はいませんからね。

「そうか、残念だな。お嬢ちゃんが魔法大学に来るまで十年以上か。

 わしが生きてる間に来ておくれよ」

「はい……」

「そうそう、大学にはいつでも遊びにきておくれ。わしがなんでも教えてやるからな」

「ありがとうございます」

 うん、これはいいコネができたかも。高等学校で習わなかったような魔法もいろいろ教えてもらえるかな?

 おじいさん教授の名刺をもらえました。オーレリアン教授って言うようです。


 こうしてわたしの特待生試験は終わりました。

 そういえば結果を教えてもらってない気がするんだけど……合格だよね?

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