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第四章  第二話  商王国編50

お待たせしました。

雪山でのレベル上げを終えて、霜葉たちは海王国 グロージルへと向かうために商王国の港街へと向かうことに。その前に海へといきその砂浜でお昼を食べていると、スマイルシールという白い体毛を持つアザラシさんに出会った。


その子はまだ子供で嵐のせいで親からはぐれてしまったと言う。霜葉はこの子の両親と仲間を探すことを提案し、仲間となる。群れからはぐれた個体であるため仮の仲間ということだが、霜葉は鈴蘭という名前を付けた。


鈴蘭を仲間にした後に港街に到着。活気にあふれていた街だが、霜葉はそんな中で慌てている大人たちが気になり屋台の人に商品を買って聞いてみることに。その結果は2週間前に嵐が来て、港に被害が出たという。


もっとも人的被害は皆無で主に小型船や中型の船が壊れたり、港の物が流されたりという具合でそれほど深刻ではない。しかし、その壊れた残骸や流された物をどうにかしないと大型の船は出航できないと言う。


それを何とかするために霜葉たちは冒険者ギルドへと向かうことに。ギルドへと足を進める霜葉たちは街の中央付近で冒険者ギルドを発見。すぐさま中へと入る。


その冒険者ギルドでは何人かの若い冒険者が、せわしなく動いていた。聞こえてきた言葉によると彼らはこれから港の残骸掃除に駆り出されるそうだ。自分も参加できないかと受付嬢へと話しかける霜葉。


「すいません。お尋ねしたいことがあるんですが・・・」

「はいはい。どのような・・・・」

「どうしました?」

「パウ?」


書類を片付けていた受付嬢は霜葉に顔を向けると何やら固まってしまった。そんな受付嬢を見て霜葉と鈴蘭は同時に首を傾げる。


「か、可愛い! やだ・・・何この子!?」

「パウ~♪」


どうも鈴蘭の可愛さに驚いているようだ。自分を褒められたと思った鈴蘭はニコニコ顔で喜んでいる。そんな鈴蘭に受付嬢は手を伸ばすと・・・・


「パウ」


その手の指を鈴蘭は口にくわえた。さすがに霜葉もこれはだめだと注意しようとしたが・・・


「はぅ~」


その前に受付嬢が受付に倒れてしまう。これに一番慌てたのは鈴蘭だ。


「パウ!? パウ~!」


お姉さん大丈夫~!っとすごく驚き心配している。そんな鈴蘭と違い霜葉は周りの雰囲気が気になった。なんというか定番行事を見ているかのような反応をしているのだ。


そんな受付嬢を他の職員が手慣れた作業で奥へと連れて行った。代わりの受付嬢が霜葉に近づき・・・


「失礼しました。あの人のことは心配しなくても大丈夫です」

「そうなんですか?」

「パウ~?」


鈴蘭もホント~?っと聞いている。


「ええ。彼女は可愛いものと子供好きで好みに合う子だとよく倒れるんです。今回はその腕の中のかわいい子ですね」

「はぁ・・・」


何とも反応に困る事実だ。だが、おかげで周りの反応には納得した。見慣れているのであればあのような反応は当然である。


「とにかく、彼女の代わりに私が対応します。何かお尋ねしたいことがあるのでは?」

「ああ、はい。嵐の影響で港に被害が出たと聞きましてそれ関連の依頼などはありますか?」

「もしかしてあなたが商王国で噂になっている魔物使いの冒険者さんですか?」

「噂の内容は知らないので多分としか言えませんが・・・」

「どちらにしてもそう言う依頼でしたらいっぱいありますよ? こちらとしても港は早く使えるようになりたいですから緊急性の高い依頼として報酬も高めです」


であるならばと霜葉はその依頼を受けることにした。そして、海王国に行くまではその依頼をこなすことを考えた。



それから霜葉たちは港の残骸撤去に尽力した。霜葉は残骸を撤去しつつほかの作業員に付与魔法術で身体能力を強化して効率を上げ、万が一ケガをした場合はその場で回復。


白夜と十六夜は、残骸を積んだ荷車を引っ張ることに。二人はかなり力が強く一番大きな荷車に残骸を一杯乗せても余裕で運べた。


新月たちと金剛一家は残骸を荷車へと運んでいる。新月たちはその力で結構大きなものを運び、金剛一家は息の合った連携でさらに大きな残骸を運んでいる。


ルナと鈴蘭は海に浮かぶ小さな残骸を運んでいる。ルナは空を飛べるので荷車まで運んでいるが、鈴蘭は陸までだ。鈴蘭に限っては可愛い魔物さんが一生懸命頑張っている姿を見ようと女子供が見学に来て黄色い声を上げているが。


ちなみに霜葉たちはいつものようにこの港街の孤児院に宿泊している。老夫婦が営む低ランク冒険者御用達の宿屋の隣に孤児院がある。霜葉たちは早々に子供たちの信頼を勝ち取って白夜たちと仲良くしている。


そんなこんなで順調に残骸を片付けていた霜葉たちだが、この日は冒険者ギルドで受けてほしい依頼があると言われた。


「ロックシェルクラブですか?」

「ええ、この港街の北側にある砂浜で目撃されたのだけど、その討伐をソウハさんにお願いしたいの」


詳しく聞くとなんでも北の砂浜は岩がごろごろある場所でもあり、ロックシェルクラブが時々目撃されるんだとか。この魔物ロックシェルの名の通り岩のような貝殻に身を隠すヤドカリのような魔物だ。


その防御力は硬く、生半可な攻撃ではびくともしないんだと。有効な攻撃は魔法術やハンマーや斧などの打撃を含んだ攻撃なのだが、現在この港街ではそれをできる冒険者パーティがいないと言う。


「いないんですか?」

「ここ最近の商王国で発見されたダンジョンに高ランクの冒険者は向かっているのよ。うまくいけば報酬が手に入るしね」

「それはすみません」


この事態の原因であるダンジョンの新発見は霜葉たちが見つけた物だ。そのため霜葉は反射的に謝ってしまった。


「謝る必要はないわ。その情報でどうするかを判断するのは冒険者だもの。ただ、ロックシェルクラブの現れた場所は低ランクの冒険者たちの狩場で早めに何とかしてあげたいの」

「そう言うことでしたら受けます」


受付嬢にそう答えた後はロックシェルクラブのことを詳しく聞いてから、目的の狩場へと向かった。と言っても街を出て10分もすればたどり着ける近場だが。


その間に霜葉はロックシェルクラブの詳しい情報を整理していた。ロックシェルクラブは基本岩に擬態して近くを通りかかった獲物を鋏で拘束して、もう片方の鋏で殴り殺す。


どうもこのヤドカリは鋏の切断力はそれほどでもないため、もっぱら鋏は相手の拘束用なんだとか。その分鋏は頑丈で打撃は強力なうえ堅い。そのため接近戦でこの魔物を倒すのはよほど実力がないと厳しいらしい。


ただし、その硬さに反比例して魔法術には弱いらしく魔法術師の冒険者にとっては討伐は難しくない。擬態しているヤドカリを見抜くことが出来ればかなり楽なんだとか。


情報を頭で整理していると目的地に到着。確かにこの砂浜は岩がごろごろしている。砂浜というよりは岩場と改名する方がいいかもしれない。


「白夜と十六夜はここに魔物が居るのわかるかい?」

『うん。目の前の大きな岩が魔物だよ!』

『そうですね。間違いありません』


早速白夜と十六夜に魔物がいるか聞いてみるとそのように答えた。確かに霜葉たちの目の前の離れたところに大きな岩がある。二人によるとこれが魔物だと言う。目の前にいると言うのならと霜葉たちは戦い始める。



『みんな強いのー!』


戦いが終わり、鈴蘭の興奮した声が響く。戦いに関しては特にいうことはない。新月たちが相手の攻撃を弾き、金剛一家の爪が相手の体を削り、白夜と十六夜にルナが魔法術でとどめを刺した。それだけだ。


さすがに退化を解いて戦ったが過剰戦力ではあった。まぁ、実力を出し惜しんで誰かが傷つくよりはいいのだろうが。そんな戦いを見て鈴蘭がキラキラした目でみんなを見ているのはご愛嬌と言ったところか。


「みんなご苦労様。丁度お昼も近いし近くでお昼を食べようか」


霜葉の提案にみな喜んで賛成する。ロックシェルクラブを回収して、霜葉は砂浜から離れて海が一望できる場所へと移動した。手すりとかがないのでなるべく離れているがいい景色を見ながらお昼を食べれる。


「新月たちと金剛一家はあの大きな果物を食べてみようか?」

『『『賛成~』』』

『楽しみです』

『『『『どんな味だろうね~』』』』


霜葉たちが話しているあの果物とは、北斗たちの群れが育てた畑に実った大きなスイカに酷似した物だ。ただし、大型バイクよりも大きなことをのぞけばだが。


【箱庭世界】を探索していた北斗の群れが発見した果物で、発見した当初はスイカとほぼ同等の大きさだったが、彼らが種から育てたところ元の大きさを超えてしまった。


そんな予定外に育ったものだが、中はかなり身が詰まっているらしくカイロスたちでも力を入れて持ち上げるほどだ。そんな果物を北斗たちは霜葉たちに先に食べてもらいたくて、献上した次第だ。


匂いは問題なくむしろみずみずしく甘いいい匂いがする。霜葉はそんな果物をアイテムボックスから出して、どう切ろうかと周りをまわっていると・・・・


バッシャァァン!


突如として霜葉の後ろの海側から何やら波音とは違う何かが海から出てきたような音が響く。何事かと後ろを振り返る霜葉。そこには・・・・


「クワ~」


大きな顔が霜葉の眼前に合った。お目目は意外とくりくりと愛嬌がありどこか可愛らしい大きなウミガメだ。大きさが半端ないが。なんせ霜葉が小さな時に乗船したことがある豪華な客船よりも大きいのだ。


そんなウミガメだが先ほどからお鼻をひくひくさせて果物に視線を向けている。明らかに食べたそうにしているのが分かるしぐさだ。


『みんな? この子にこの果物分けてもいいかな?』

『『『いいよ~』』』

『我々だけでは食べきれないでしょうし』

『『『『分けてあげる!』』』』


彼らの優しさに霜葉は笑みを浮かべる。そのまま大きなスイカを何とか半分に切り、片方を大きなカメさんの前に四苦八苦しながら移動させた。


「クワ?」

「食べていいよ? 遠慮しないで」

「クワ~♪」


霜葉の言葉を理解したらしく、カメさんは大きな口を開けてスイカにかじりついた。そんなわけで急遽大きなお客さんを加えてお昼を食べる霜葉たち。


カメさんはスイカが気に入ったらしく、すごい勢いで食べて半分食べきってしまい若干落ち込んだ。まだ食べたそうにしていたので霜葉はもう一個をカメさんの前に出してあげた。


さらに新月たちと金剛一家が食べていた半分のスイカもさすがに彼らは、すべて食べることが出来なかったので残りは食べたそうに見つめていたカメさんがおいしくいただいた。


「クワー!」


食べ終えたカメさんはお礼を言うかのように鳴いた後、海に沈んで姿を消した。港街へと戻った霜葉たちは回収したロックシェルクラブを解体して、食料になる身だけを確保して買取に出し依頼料と合わせて銀貨六枚の収入を得た。



その後も霜葉たちは港の片づけの依頼をこなしていき、時折厄介な魔物が出現した場合の討伐依頼を受けながら、過ごしていた。


そんな中で特に港の片づけを熱心にしていたとある船の乗組員と仲良くなっていた。その船は海王国所属の貨物船であり、この港街にも何度も出入りしていたため総出を上げて尽力していた。


その過程で霜葉たちと意気投合して、現在も霜葉たちとお昼の休憩&昼飯を食べているところである。


「はっはっは!! いや~お前さんたちはすごいな! おかげで予定よりも早く出航できそうだ! 感謝するぞ!」

「いえいえ。皆さんが参加してくださったから僕の魔法術が活躍してくれたんですよ」

「嬉しいこと言ってくれるじゃないか」

「こっちこそ助かったぞ!」

「怪我を治してくれたありがとな!」


霜葉の周りに居るのがくだんの船員たちで最初に大笑いしていたのが、船長であるティルグノと言う引き締まった体を大男でまさに海の男と言うべき外見だ。他の船員も船長と同じくらいの体格をしている。


一方で白夜たちはと言うと、港街の人々と戯れている。半分以上が子供たちではあるが、白夜たちが嬉しそうなので問題なし。特に人気なのが鈴蘭だ。


今もお姉さんたちに順番に抱っこされている。鈴蘭が幸せそうに鳴き声を上げるたびに黄色い声が響くのは、もはやお約束と言えるのかもしれない。


「ところでお前さんたちは、海王国へ行きたいと聞いたが?」

「ええ、ですので依頼が終われば乗れる船を探そうと考えています」

「だったら、うちの船に乗るのはどうだ? 船員として働いてはもらうが、それをしてくれるのならそれ対価だ」

「いいんですか?」

「お前さんたちの人柄はここ数日の付き合いで把握したから問題ない。魔物たちも大人しいしな? 今なら部屋も開いているからな。海王国へ行くだけなら連れていける」

「ぜひお願いします」


こうして霜葉は予期せぬ形で海王国息の船を確保した。


やがて、港の片付けも終わり霜葉たちはティルグノ船長の船の積み込み作業を手伝っていた。半分以上は海王国からの交易品の売り上げと購入したダンジョン産のドロップ品とそれらを使って作られた武具だ。


普通なら割と時間がかかるが、ここでも霜葉たちが活躍して大幅に短縮して出航の日を迎えた。


「船長! 積み込み作業完了です!」

「よし! すべての荷物はちゃんと確認済みか?」

「全て確認しました!」

「船員たちも全員いるな!」

「はい! ソウハの魔物たちもいます!」

「よし! では帆を張れ! 海王国へ出航だ!」

「「「「へい! 船長!!」」」」

「パウー!」


船員のテンションに巻き込まれて霜葉の腕の中の鈴蘭も可愛い声を上げる。そんな声に船員全員が大笑いして、船は異世界の海を進む。

次回から海王国編です。と言っても次回の更新は未定ですが。

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