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第三章  第四十三話  商王国編43

滞在していた町での用事も終わりその街の領主であるボールトと共に商王国王都を目指す霜葉たち。その馬車の旅で霜葉は気になることをボールトに尋ねることに。


「そう言えば、この国には一騎当千の強者が居ましたよね?」

「ああ、【破壊神】ガンドール様だね。国王陛下の実弟でもあるんだよ」

「え? そうなんですか?」

「おや? 知らなかったのかい」

「はい・・・その方とも会うことになるんですか?」

「国王の護衛としているだろうね。ガンドール様も君に興味を持っているとは思うが」


商王国タンワオに所属する一騎当千の強者 【破壊神】と国の内外から呼ばれるその人の名はガンドール・タンワオ・ウォンホース 商王国の国王陛下であるサイフォン・タンワオの実弟だ。


歳はサイフォン国王陛下が62で【破壊神】ガンドールは59。ドワーフとしては若い年齢だが、どちらも非凡の才能を持って生まれた。サイフォン国王は商いと政治に才能を発揮し、ガンドールは武に才能を発揮。一騎当千の強者と呼ばれるに至った。


特に大型武器であるハンマーの扱いに長け、その一撃は山をも吹き飛ばすとも言われる。そんな彼が【破壊神】と呼ばれるようになるのに時間はかからなかった。


「それだとさらに緊張しますね。世界に5人しかいない強者にも出会うとなると・・・」

「はっはっは、ガンドール様は王族だけど細かいことは気になさらない豪快な性格だから、そう緊張することはないさ」


魔人国の【雷帝】に続いて今度は【破壊神】どんな人なのか気にしながら霜葉は会話を続ける。なお、新月たちと金剛一家は霜葉の周りでくつろいでいる。貴族が乗る馬車なので快適なのだ。


王都への旅は順調そのものだった。時折魔物が襲ってきても白夜と十六夜にルナが真っ先に気付いて、先制攻撃をするので護衛の騎士たちはとどめを刺せばいいだけ。


野営をするときも霜葉が食事を作ってくれるので、あったかくうまい料理を食べることができる。そんな順調な旅を続けて四日後ついに王都が見えてきた。


「あれが商王国の王都だ」

「すごく大きいですね・・・」


霜葉の言う通り商王国の王都は魔人国や女王国の王都よりもかなり大きかった。ただ、魔人国の王都は作りに華やかさを意識し、女王国は美しさを意識していた。それと比べて商王国はなんというか用途重視と言うようなしっかりとした作りだ。


王都を守る外壁もかなり分厚く高い。外から見えるお城も砦のような印象を与え、堅城と言う言葉が似合いそうだ。


「遠目に見える壁やお城はなんというか華やかさよりも実用重視と言う感じですね?」

「見た目を気にして本来の用途を下げるのは意味がないという考えだね。我々ドワーフはほとんどが職人気質だからそう言う考えが根付いてるんだよ」


そんな納得できることをボールトから聞く。霜葉たちの一団は貴族専用の入り口に向かう。と言っても城門がかなり大きいの広さを分けているだけだが。


そのまま門番と騎士が確認作業を行い、ボールトが馬車のドアを開けて中を見せて霜葉も門番に挨拶をする。貴族の馬車であるため目立つうえに今は、白夜と十六夜が周りに。ルナも馬車の上に止まっている。


その為、城門の周りにいる人々の注目度は高い。門番の兵士は事前に聞いていたのか淡々と自らの仕事をこなして、霜葉たちは無事に首都へと入ることができた。


そのまま馬車は賑わう首都の大通りを進む。所かしこで屋台や店の客引きが声を上げ、かなりの人々が馬車から見える。それからしばらくして今度は城門よりは小さいながら、白い煉瓦で造られた壁にある門の前で馬車は止まる。


ここからは貴族が住まう場所で、国の要職に就いている貴族も多いため兵士ではなく騎士が守っているのだ。ここでも首都の入り口のように手続きと顔見せや馬車の中の確認などを済ませて門を通る。


そこからいわゆる貴族街と呼ばれる場所は霜葉にとっては何とも言えない場所だった。過度な装飾がされた悪趣味と言われる家から、屋敷や庭が見事なバランスで素晴らしいと言える屋敷など乱立しているのだから。


しかも明らかに悪趣味な家の方が多いのだから霜葉はなんと言えばいいのかわからなかった。そんな道を進むとボールトの屋敷へと到着。その屋敷は大きさは周りの屋敷と変わらずであったが、装飾は最低限でどちらかと言えば堅固な作りの実質重視と言う考えがこれでもかと前面に出ている屋敷だった。


「ボールト様が治めている街の屋敷と似てますね?」

「別の屋敷にする意味はないからね~まぁ・・・周りが悪趣味だから悪目立ちしているがね」


確かにボールトの屋敷の周りもほとんどが悪趣味な屋敷なので、逆に目立ってしまっている。屋敷の敷地内へと入ればメイドさんと執事さんが総出で迎える。その奥には立派な燕尾服を着こなした老紳士が。


「旦那様。道中お疲れさまでした」

「うむ、レンディ。ここの屋敷や皆は変わりないかな?」

「もちろんでございます」


ボールトと老紳士は挨拶を交わして、次にボールトが霜葉を紹介する。


「彼が手紙で知らせた我が町の恩人だよ。滞在中は不自由のないようにな?」

「心得ております。ソウハ様初めまして。ボールト様の王都屋敷の管理を任されておりますレンディです。王都滞在中は何なりとお申し付けください」

「ご丁寧にどうも。お世話になります」


霜葉はそう言って頭を下げて、それを見た白夜たちも同じく頭を下げる。その光景にレンディをはじめ使用人たちは驚いていた。


「旦那様のお手紙で知ってはいましたが、本当におとなしい魔物たちですね? このような経験をするとは人生はわからないものです」

「クォン?」

「ガァル?」

「ぐぅ?」

「まぁ?」

「ぐるぁ~」

「ホ~?」

「「「「「モグ?」」」」」


レンディはそんな白夜たちを見て何やら感慨深いようなそぶりを見せた。そんな彼の態度が新鮮だったのか白夜たちは首を傾げている。無月だけは欠伸をしているが。白夜たちの可愛げなしぐさに一部の使用人は笑みを浮かべる。


その後に霜葉たちは屋敷へと案内されて、豪華な一室を自由にしていいと言われた。大きなベットにいくつかの毛布や籠なども用意されて白夜たち用だと説明される。


早速毛布の肌触りや籠の中に入り使用感を確かめる。全員が問題ないようで満足げだ。無月だけはそのまま寝ようとしたが、そろそろ夕食の時間なので起こして知らせてきたメイドさんの案内で食堂へと向かう。


そのまま先に来ていたボールトと広いテーブルの椅子に腰かけて、屋敷のコックが腕によりをかけた料理を味わう。白夜と十六夜にルナには焼いたお肉を。新月たち兄弟には果物の盛り合わせ。金剛一家には野菜の盛り合わせをわざわざ作ってくれた。


それらの料理も白夜たちはうれし気に食べる。霜葉の料理が大好きな白夜たちだが、これらの料理も大変おいしく終始ご機嫌だった。そんな彼らの様子をボールトを含めた霜葉以外はほっこりした気持ちで見ていた。


食事終わりのお茶を飲んでいるところでボールドは傍らのレンディに質問をする。


「レンディ。屋敷や君たち使用人は変わりないとのことだが、最近の王都では変わったことはなかったか?」

「旦那様。そのことなのですが・・・実は冒険者ギルドでソウハ様に関係したもめ事が起こっています」

「なに?」

「僕ですか?」


レンディの口から出た言葉にボールトは眉を歪め、霜葉も何事かと彼に注目する。


「詳しく話してくれ」

「御意に。事の始まりは霜葉殿の商王国の町々で行った偉業です。これらの偉業に対して魔物使いであるソウハ様の実力があるわけないと断言して、この偉業にも裏があるのではないかと声を出した者が居たのです」


レンディが言うにはその声を出した者は王都のギルドで副ギルドマスターの地位にいる者で、いろいろと悪いうわさがある人物だと言う。


この人物は霜葉が商王国最初の町で出会った冒険者ギルドの責任者であるダルバンとその町のを治めるジルキス。その二人が町に異動することにもかかわった者だ。


すなわち交易品の横流しで私腹を肥やしている貴族たちの仲間である可能性があると言う。ジルキスはそれらを調査して貴族たちの反感を買い、ハズレダンジョンしかない町へと左遷させられたのだ。ダルバンはその調査に協力したとして同じく左遷させられたのだ。


「馬鹿げた話だな。そんなことを言ったところで証拠も何もないだろうに。大体そんなことをする意味もない。ソウハ殿の実力は確かだし、偉業の確かな証拠の品もあるのだ。一体何がしたいのだその者は?」

「恐らくは、裏に居る貴族の差し金でしょう。地位ある者が冒険者を名指しで問題があるのではないかと言えば無視できませんから」

「もめ事と言うことはソウハ殿を擁護した者も居るのだな?」

「はい」


この声に対し商王国冒険者ギルドの最高責任者であるギルドマスタ―が反論。確たる証拠もあり、何人かの冒険者や街の騎士たちも霜葉の実力を見ている。それよりも副ギルドマスターの不要な発言を問題視した。


これらのことがきっかけになり、現在の商王国首都冒険者ギルド内では霜葉に対して認めている者たちと認めない者たちとで対立が起こっているとか。今のところは対立が大事にはなっていないとのことだが・・・


「話の渦中であるソウハ殿が王都に居るのですから、認めない者たちが何かしら行動を起こす可能性があります。もしかしたら国王陛下の謁見でも何かあるやも」

「そんなことになっているのですか・・・」

「全く・・・同じ貴族としては恥ずかしい限りだ」

「つきましてはソウハ殿は王都を出歩くときは、私どもにお声がけください。決してソウハ殿たちだけで出歩かないようにお願いします」

「わかりました。教えてくださりありがとうございます」

「もったいないお言葉です」


さすがにボールトの屋敷に居る間や商王国国王陛下と会う予定になっている明後日には、大事にはならないであろうがあくまで予想でしかない。霜葉は大事になったときは白夜たちをしっかり押さえようと決心する。


その次の日は念の為、ボールトの屋敷の中で過ごすことに。せっかく交易が盛んな国の首都にやってきたのだから霜葉はとしてはいろいろ買い物がしたいが、さすがにやめておいた。


ボールトからも謁見が終わってからにしてほしいと言われた。霜葉が首都を歩いて何かが起これば、霜葉を認めない者たちがことを大きくするためだ。


そんなわけで霜葉は屋敷の中でお茶を飲んだり、白夜たちを構ったりブラッシングしたり、屋敷の料理人にコロッケなどの揚げ物を教えたりとできる範囲で自由に過ごす。


なお、三日月や金剛一家の可愛さに一部の使用人たちがノックアウトされて、撫でたりモフモフするなどのことがあったが、その使用人たちはレンディに叱られるなどの珍事もあった。


そして次の日に。城へはボールトの屋敷から馬車で行き、城門で何度も検査を行いようやく城の中に入れた。検査は主に霜葉のボディチェックや白夜たちが本当に大人しくしてくれるのかの確認に費やされた。


まぁ、例のごとく人懐っこい白夜や十六夜に三日月などは、兵士に触られて嬉しそうにもっと撫でろの反応だったり、金剛一家の礼儀正しい態度に驚いたりと思った以上の本能に兵士たちが驚いていたが。


ともかくこれなら問題ないと判断されて騎士の案内で城の中を歩いている最中だ。やがて、一室似て待っているように言われて、霜葉たちはメイドさんが用意してくれた紅茶と飲み物でのどを潤す。


そんな穏やかな雰囲気が流れる部屋だが、突如として壊されることになる。


「ボールト様。面会したいと言う方が・・・お待ちを! まだ確認している途中です!!」

バン!


騎士が部屋の中で最も立場があるボールトに確認をしている途中でいきなり扉が乱暴に開かれる。扉に視線が集まる中、目に映ったのは明らかに豪華な貴族服に身を包む40代くらいの白髪まじりの茶髪をオールバックにした男性だった。


「ウィルゲン侯爵殿。お久しぶりですが、部屋の中の者が会うと言う前に部屋を乱暴に開けるのは礼儀に欠けると思われますが?」

「ふん。人間相手であればそうであろうが、魔物などを仲間にする者に向ける礼儀などないわ」


ボールトがそう言って穏やかに苦言を口にするが、向けられた相手であるウィルゲン侯爵は鼻で笑い霜葉や白夜たちに対して嫌悪感を隠さない視線を向ける。


その視線に対して一気に機嫌が悪くなる白夜たちだが、霜葉が扉が開かれた時点で落ち着いて対処するようにと言い聞かせていたので、外見上は変化がない。心は穏やかではないが。


「我が国に多大な利益をもたらした恩人に向ける言葉ではありませんな。取り消していただきたい」

「子爵風情がわしに意見する気か?」

「ソウハ殿の功績は国王が認めていらっしゃること。確たる証拠の品もあるのですぞ?」

「ふん。そんなものどうとでもできるであろうが」

「ダンジョン内での魔物もどうにかできると? そのような事実はありませんな」


二人の貴族がにらみ合う。ボールトは貴族の階級では子爵でウィルゲン侯爵よりは下であるが、町のダンジョンでの利益ではボールトが上である。


さらには霜葉の功績でさらに利益が上がる。階級が上でも国への貢献ではボールトが上と言うちょっと複雑な勢力図なのだ。そのまま言葉もなくにらみ合いが続くかと思われたが・・・


「ウィルゲン侯爵殿。陛下の城で無礼な真似はやめていただきたい」


ウィルゲン侯爵の後ろから新たな声がした。その場の全員が視線を向けると、そこに居たのは明らかに質が違う騎士甲冑を装備した男性だった。


第一印象は優男と言う感じだが、その眼には確固たる意志が込められており印象以上の力強さを相手に与える。


「ヘイルズ副団長。そなたまでわしに意見する気か?」

「礼儀を欠いている行動をしているのがあなたである以上、私にはそれを取り締まる義務が発生します。ましてやここに居る冒険者殿は陛下自ら招いたゲストです。そのような方に無礼をなさるのは陛下に対して無礼を働いていると解釈されますが?」

「それは過大解釈だな」

「では、陛下の前で同じことが言えますか?」

「・・・・」


さすがに国王陛下の前で同じことは言えないらしく、ウィルゲン侯爵は黙ってしまった。


「この場はお下がりください。陛下の謁見前でことを荒らげたくはないので」

「・・・ふん」


副団長の言葉にウィルゲン侯爵は不満たらたらな感じで、霜葉に見下した視線を向けて去っていった。


「災難でしたね? ボールト子爵」

「全くです。おかげで助かりましたぞヘイルズ殿」

「いやいや、これが役目ですので。何よりボールト子爵の町での発見は我々騎士団からしてもありがたいことですからな。騎士たちの装備が充実しますからな。特に団長の装備は早急にどうにかしないと」


そう言ってヘイルズ副団長は溜息を吐く。


「あの方の武具はすぐに壊れますからな」

「ですが、さすがにアダマンタイト製の武具ならそう簡単には壊れないでしょう。実際、ガンドール団長はこのことを知ったときはすごく喜んでおりましたよ?」

「目に浮かびますな」

「お話し中失礼いたします。謁見の準備が整いましたのでご案内いたします」


二人が話している途中で兵士が呼びに来た。


「では私はこれで」

「ヘイルズ殿は謁見に参列しないのですな」

「団長がいる以上、数が居たところでもしもの時に邪魔になるだけですから。そちらの冒険者の方も挨拶できずに申し訳ない。おそらくはまた会う機会があるでしょうからその時にでも改めて」


そう言ってヘイルズ副団長は去っていった。


「今の方が副団長と言うことは・・・」

「ああ、この国の戦力では二番目に強いお方だよ。もっともガンドール様が前線に出ることが多いから、ヘイルズ殿は全体の指揮をされる事が殆どだけど、実力は確かな方だよ」


そう簡単に説明された後、身だしなみをチェックする。と言っても霜葉たちの身だしなみは問題ないが。ほぼ毎日【クリーン】をしているのでかなりきれいだ。霜葉の服装はいつもの格好だが素材の価値を考えたらそこらの高級な貴族服よりも上だ。


いよいよこの商王国の現トップと出会う時だ。先ほどのトラブルを考えるとどうなるかわからないが行かないという選択肢は用意されていないので仕方ない。

次回の更新は未定です。

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