表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/117

第三章  第十八話  商王国編18

明けましておめでとうございます!作者の今年最初の更新です!

霜葉達は不人気ダンジョンである大きな蜘蛛が出てくるダンジョンを探索し終わり、冒険者ギルドに素材を売りに来た。その不人気ダンジョンでは4階層が森林タイプの空間だったこともあり、薬草類や使える枝や蔦などを買い取ってもらえるか見せたところ、買い取り可能だった。


むしろ大変に喜ばれた。さらに4階層で戦闘で倒れた樹なども商王国では大変に貴重であると説明されて結構な額で買い取ってもらった。その後の魔物素材も買い取りが行われて霜葉は一攫千金と呼べるだけのお金を手にした。


それらの取引を見ていた冒険者は不人気ダンジョンへ行くか相談していたようだが、蜘蛛を嫌がる者たちが多く二の足を踏んでいた。そんな冒険者たちにギルドマスターのバリガン殿はため息を吐いて呆れていた。ギルドでの用事を済ませて霜葉達はお世話になっている孤児院へと帰ることにした。孤児院に帰る道中にも霜葉たちを見かけた人たちが声を掛けてくる。


「ソウハダンジョンから帰ってきたのか!」

「お帰り~ソウハ君」

「あ~!ソウハ兄ちゃんだ!兄ちゃん白夜たちと遊んでいいか!」


霜葉達はこの街の農地開拓を一手に引き受けて、固かった土を女子供でも作業がしやすい柔らかい土にしてくれたので住人からは大変感謝されていた。また、子供たちは人懐っこい白夜と十六夜に大変懐いておりよく子供たちと遊んであげた。三日月と金剛一家も可愛らしい見た目で人気だ。


街の住人達と軽く雑談したり、子供たちが白夜たちを撫でたりして時間がかかったが孤児院にたどり着いた。時刻は昼になる寸前だったので孤児院からは何やらパンの焼けるいい匂いが漂っていた。


「ただ今帰りました~」


霜葉達が孤児院に入ると奥から子供たちが出迎えに来てくれた。


「「「「ソウハ兄ちゃんおかえり~!」」」」

「「ビャクヤ君にイザヨイちゃんお帰り!」」

「「熊さんたちもお帰り~」」

「「「「モグラさ~ん」」」」


何人かの子供たちは久しぶりに帰ってきた白夜たちに早速触れ合っている。もっともスキンシップがそんなに好きでない新月は逃げ回っているが。それに無月も付き合って一緒に逃げている。


「おお、ソウハ。無事に帰ってこれたようだな」


子供たちから遅れて奥からトグじいさんも来てくれた。


「今昼飯にパンを焼いている。ソウハも一緒にどうだ?」

「いただきます。それとお土産に果物をダンジョンで採ってきました。それらも一緒に食べましょ」

「「「やった~!」」」

「「「果物~♪」」」

「ん?果物とな?そんな物があのダンジョンで採れたのか?」


子供たちは果物が食べられると聞こえて喜んでいる。トグじいさんは元冒険者なのでこの街のダンジョンで果物が採れたことに疑問を抱いている様だ。とりあえずその説明は食べながらすることにして全員で奥の食堂へと向かう。


「「「果物おいしい!」」」

「「「あま~い!」」」

「こらこら。果物ばっかり食わずにパンも食えよ?」

「「「「は~い」」」」


現在の食堂では焼きたてのパンと霜葉のお土産である果物が並んでいる。ちなみに果物の種類はミカンやリンゴにブドウとモモなどに酷似した物だ。季節感がバラバラだがそもそも酷似しているだけであり、全くの別物で異世界のダンジョンで実っていたのでいろいろ常識がないのだろう。


子供たちは並べられた果物を手に取り、年長者の子供に皮を剥いてもらったりして食べている。何人かの子供は久しぶりに食べる果物ばかりを口にしてパンには手を付けない始末だ。一方の霜葉はトグじいさんにこの果物を手に入れた経緯を説明していた。それを聞き終えたトグじいさんは驚いている。


「まさかこの街の不人気ダンジョンに森林タイプの空間があったとはな」

「僕も最初は驚きましたよ」

「この情報が広がれば不人気ダンジョンへ足を運ぶ者が増えるかもしれないな」

「そうなんですか?ギルドでこの情報を聞いていた冒険者たちは行くような様子じゃなかったけど・・・」

「ふん根性なしどもが。そんな奴らはともかく、この商王国では木材の価値は高い。しかも主な取引先である海王国でも木材の需要はかなりの物だ。この国で使うもよし交易でも十分な利益になるからそのうち木材を伐採する依頼が出るだろうな」

「なるほど・・・」


トグじいさんの言葉に納得する霜葉。ただ、話をしている間に果物の大半は子供たちの腹の中へと消えてしまった。二人はその程度で怒るような人ではないから良かったが、トグじいさんは霜葉には残すくらいの気遣いはしなさいと子供たちに注意した。


それから一日の残り時間は子供たちと白夜たちの遊びの時間となった。ただ、孤児院では狭いので近くにある空き地で遊ぶことに。霜葉も見守るために同行した。空き地に向かう道中で近所の子供たちも加わり、空き地は子供たちの笑い声と白夜たちの嬉しそうな鳴き声で包まれた。


夕食の時間帯になって、子供たちは家へと帰りだした。中にはまだ白夜たちと遊ぶと言って抱きつく子らもいたが、霜葉がしばらくはダンジョンには挑戦せずに街に居るからと言って説得を行い納得して家に帰った。霜葉達も孤児院の子供たちと帰ることに。


孤児院に着いたら何人かの子供たちが遊び疲れたのか舟をこぎ出した。それを見たトグじいさんと年長の子供たちが寝かせるために部屋へと連れて行った。霜葉は夕飯を作ることにして今日はコロッケを作って皆に作り方を説明することにした。


料理担当の女性たちにコロッケの作り方と熱した油の危険性を厳重に教えて、コロッケを大量に作った。初めて見る料理に子供たちは興味津々でテーブルの上に置かれたコロッケを我先にと取って口にした。熱さに驚いていたが、味と食感が気に入ったらしくみんな喜んで食べていた。


トグじいさんもこれはいいと喜んでいた。大量に作ったので明日の朝食の分もあり、保存のために霜葉のアイテムボックスに入れておくことに。霜葉のアイテムボックスが極であることは明かしていないが、孤児院に置いておくよりは安全であるため頼まれたのだ。食べ終えた後は霜葉に【クリーン】を掛けてもらい寝ることに。


翌朝。起きて早々に昨日コロッケを食い損ねた早寝した子たちから食べたいと催促されて、霜葉は食堂のテーブルにコロッケを取り出した。食べるのがはじめてな子たちが我先にと群がる。料理担当の子たちが朝早くに焼いたパンは無視である。


そこで霜葉はコッペパンに似たパンに切り口を入れてコロッケを挟み、ささっとソースを作ってコロッケパンを作りだした。これが子供たちだけでなく年長者やトグじいさんに大変に気に入られた。彼らが言うには食べやすいかららしい。


孤児院にはナイフやフォークなどはないから基本手づかみである。その為、手の汚れをどうするかの問題があるのだが、パンにおかずを挟めば手も汚れることは減るし何より食べやすいこれが特に重要だった。実際子供たちもおいしいと言う言葉と同じくらい食べやすいと言って驚いている。


この朝食の後に、霜葉は芋類の料理としてフライドポテトとポテトチップスを教えることにした。白夜と十六夜にルナは子供たちの遊び相手を。金剛一家も何人かの子供たちと遊んでいる。新月、三日月、無月は散歩に出かける子供たちと一緒だ。三日月を特に可愛がっている子供たちが誘って、新月と無月はそれに付き合った形だ。



「ミカヅキちゃ~ん。一緒に来てくれてありがとう♪」

「まぁ~!」


三日月を特に可愛がっている女の子が手を繋ぎながら道を歩いている。小さな女の子と可愛い子熊が手を繋いで歩いている姿は中々ほっこりとするらしく、道行く人が目を向けると全員が笑顔になっていた。


「シンゲツとムヅキも来てくれたのは意外だったな?ミカヅキが心配だったのか?」

「ぐぅ」

「ぐる」


散歩に付き合っている年長の子供が新月と三日月に尋ねると、二人はそろって頷いた。白夜たちが言葉を理解しているのは孤児院の子たちだけではなく街の皆に認知されていることだ。


「シンゲツ君も手を繋ごうよ~」

「ぐぅ!」


もっとも三日月が心配で付いてきた新月は手を繋ごうとはさすがにしないが。無月も新月を気遣っているのか他の子供たちと手を繋ごうとはしない。それでも可愛い小熊たちと一緒に散歩ができて子供たちは嬉しそうだ。道行く人も子供たちの雰囲気に釣られているのか笑顔を浮かべている。しかし・・・


「おい!君たち!」

「ん?」


そんな時間も唐突に終わりを迎えることになる。


「ダーキスさん・・・それにアルネアさんとナーバァさん」


散歩中の子供たちに声を掛けてきたのはこの街専属のBランク冒険者であるダーキス、アルネア、ナーバァである。彼らのことは孤児院の子たちも知っている。特に年長の子供たちは今この人たちが白夜たちを危険だと言って注意喚起を行い、それが元でトラブルになっていることも知っていた。


「何かご用ですか?」


散歩に同行していた年長者の男の子は新月たちを庇うように前に出た。


「何か用じゃない!今すぐその魔物たちから離れるんだ!」


そう言うと三人は武器を構えて男の子を強引に退かして子供たちの先頭に居た三日月に剣先を向ける。


「おい!何やってるんだ!おまえら!」

「その子たちは危ない魔物じゃないよ!」

「子供たちとも仲良く散歩していただけだろうが!」


ダーキスたちの行動に周りの人たちから非難が殺到する。街の住人にとって白夜たちはよく子供たちの遊び相手になってくれて、なおかつ街の農地開拓を進めてくれた恩もあるので人気は高い。だが、ダーキスたちにとっては理解できない考えだった。


「魔物は魔物だ!いつ本性を現すかもしれないだろう!」

「ミカヅキちゃんいじめちゃダメ~!」


周囲の反応にイラつきながら反論したダーキスの前に三日月と手を繋いでいた女の子が両手を広げて立ち塞がった。そんな女の子の行動にダーキスは・・・・


「なんで・・・なんでわかってくれないんだ!!!」

「「ダーキス!?」」

「「「「おい!!」」」」


ダーキスはあろうことか構えた剣を振りかざして女の子に振り下ろしたのだ!


「え?」

「まぁー!」


女の子は横からの衝撃で剣の軌道から外れたが、代わりに軌道に入った影が・・・


「ミカヅキちゃん!?」




霜葉はフライドポテトとポテトチップスの作り方を教えて、出来立ての料理を孤児院に残っていた子供たちに振る舞った。アツアツホクホクのフライドポテトとサクサクのポテトチップスはすごく好評で食べつくす勢いだったが、霜葉とトグじいさんが途中で取り上げて散歩している子たちにも食べさせてあげるようにと言い聞かせた。


中には不満を言っている子たちもいたが、霜葉のあんまり食べすぎると太るし夕飯が食べれないよ、との言葉に黙った。現在は白夜たちと遊ぶ子たちと、金剛一家と一緒に寝ている子たちに分かれている。年長の子供たちとトグじいさんに霜葉は夕飯の支度にパンを作っている。


そんな中、何やら外が騒がしくなりどんどんとその騒がしさが孤児院に近づいている様だ。何事かとトグじいさんと霜葉が孤児院の入り口に出向こうとした時、孤児院の玄関が勢いよく開いた。


「ソウハは居るか!?」


表れたのはこの街の住人で霜葉を農地開拓場所に案内してくれた人だった。


「何かあったんですか!?」


霜葉は彼の慌てた様子に誰か怪我をしたのかと予想した。霜葉が回復魔法術を使えることは街の住人は知っている。何度か怪我をした子供たちや街の住人を治療したこともあったからだ。今回も誰かが怪我をしたので自分を呼びに来たのかと考えたのだ。結論を言えば間違い・・・ではない。ただ・・・


「お、お前の魔物たちが!」

「新月たちに何かあったんですか!?」

「と、とにかく見てくれ!」


彼は玄関を塞いでいる自身の体を横へ移動して、後ろを見せた。そこには・・・


「新月!?三日月!?無月!?」


荷車の上で血だらけで横たわっている新月たちが見えた。その周りでは泣いている子供たちが付き添っていた。


「ぐぅ・・・・」

「まぁ・・・・」

「ぐる・・・・」


血だらけではあるようだが、息はあるらしい。しかしかなり弱弱しい。


「【エリアヒール】!」


霜葉はすぐに広域回復魔法術を新月たちに施した。だが・・・・


「なんで!?回復が遅い!?」


回復魔法術の効果が今までと比べて今一つだった。


「どういうこと!?」

「ダーキスの剣でやられた傷だからだ!確かあいつの剣で負った傷は回復しづらいんだ!」

「く!?」


なぜダーキスがこのような事をしたのかと聞くことはあったが、今は新月たちをどうにか回復させないといけない。一刻の猶予もないと判断した霜葉は切り札の一つを使うことを決断した。本来なら隠したいことだが、新月たちの命より優先することではない。


「皆さん!これから僕がすることは他言無用ですよ!!【ホーリーティアーズ】!!」


霜葉は回復魔法術の最上位【ホーリーティアーズ】を使う決断をした。その効果はすぐに明確に表れる。まず新月たちの頭上に光の輪が出現。その中心から雫が落ち新月たちに触れると光の波紋が広がったのだ。


「こ、これは・・・」

「す、すげぇ・・・」

「「「きれい・・・」」」


これらを見ていたトグじいさんに荷車を引いてきた男性と子供たちもあまりの光景に感動している様だ。遠巻きに見ている街の住人や孤児院で物陰から見ていた子らも言葉が出ないようだ。そして新月たちの傷はゆっくりと確実に回復してこの光景が消えた時には・・・・


「ぐぅ~zzz」

「まぁ~zzz」

「ぐる~zzz」


穏やかな寝息を立ててすっかり回復している三人が居た。


「はぁはぁはぁ・・・・よかった・・・もう大丈夫みたいです」


さすがに最上位の魔法術を使うのは相当に魔力を消費するらしく、霜葉にも疲れが見えた。しかしそれも徐々に回復している。おそらくは【魔力回復強化・極】のスキル効果だろう。


「ソウハ・・・今の魔法術は・・・いや、詮索するのは冒険者としてなしか。とりあえず、その子たちを部屋で休ませよう。その後、何があったかを聞こう」


トグじいさんの言葉に霜葉は頷き新月を抱いて、三日月は一番泣いていた女の子と子供たちが協力して背負った。無月は彼らを運んでくれた男性が抱き上げてくれた。そのまま、霜葉の借りている部屋に運んで新月たちを寝かせた。


「クォン・・・」

「ガァル・・・」

「ホー・・・」

「「「「「もぐ・・・」」」」」


白夜たちも新月たちを心配そうに見ていた。霜葉はもう大丈夫だよと白夜たちに言い聞かせても元気にはならなかった。その後、男性と子供たちから何があったのかを食堂で聞くことに。


「一体何があったんですか?ダーキスさんたちが関わっているのは間違いないようですが」

「ああ、今から説明する。実はな・・・」


男性の説明によれば、子供たちと新月たちが散歩をしていたらダーキス、アルネア、ナーバァの三人が現れていきなり子供たちの先頭に居た三日月に剣先を向けたと言う。その行動を見ていた街の住人はダーキスに対して非難を浴びせた。その言葉にダーキスがイラついていたら、三日月と手を繋いでいた女の子が三日月を庇うように前に出て両手を広げたのだ。


それを見たダーキスは自らの行動や言葉を認められない現状に我慢できなくなったのか、あろうことか剣を女の子に向けて振り下ろしたのだ。ダーキスがそんなことをするとは完全に予想外であり、周りにいた街の住人はおろか仲間の二人すら驚いていたと言う。


そんな中、三日月が女の子を突き飛ばして庇い剣をその身に受けてしまった。ダーキスは続けざまに剣を振るおうとしたので、三日月を庇うため新月と無月も攻撃をその身に受けてしまったと言う。続けて何度も新月たちに剣を振るうダーキス。


そんな中、たまたま近くを通った冒険者たちが現場を目撃してダーキスを取り押さえようとしたが、アルネアとナーバァに妨害され三人はそのまま逃走。冒険者たちはダーキスたちを追い駆け、その場に残された新月たちに街の住人達が急いで声を掛けるが弱弱しい声に急いで霜葉の下へ運んだ方がいいと判断して、男性が荷車を持ってきて荷台の上に載せて子供たちと一緒に戻ってきたと言うわけだ。


「ソウハお兄ちゃん・・・ぐす」


話を聞き終わると、三日月を特に可愛がっていた女の子が泣きながら霜葉に話しかけてきた。


「わ、私がぐす、私のせいでミカヅキちゃんが。ご、ごめんなさい。ぐす」

「この子があのミカヅキだったか?その子熊が庇った子だ」

「そうですか・・・」


泣きながら霜葉にたどたどしく謝っている女の子。霜葉はそんな女の子を優しく撫でるのだった。


「え?」

「ありがとうね。三日月を庇ってくれて」

「で、でも!そのせいでミカヅキちゃんが!」

「君のせいじゃないよ。悪いのは君を攻撃したダーキスって人なんだ。三日月が元気になったらまた遊んであげてね?」

「あ、遊んでいいの?」

「もちろんだよ。三日月だって君が好きだから庇ったんだよ?三日月にもちゃんとお礼をしてね?」

「う、うえ~ん!あ、ありがと~!」


霜葉の言葉に女の子は泣きながら抱き付いた。そんな女の子を霜葉は優しくあやすのだった。しばらくして泣き疲れた女の子が寝てしまったので女性の年長者が女の子を抱いて部屋へと連れて行った。


「それで、うちの子を剣で斬り付けようとした大馬鹿者はどうなった?」

「さすがにそこまではわからねぇ。他の住人たちに領主さまと冒険者ギルドに知らせるように頼んだが」

「そうか・・・」


トグじいさんは男性にダーキスたちのことを訪ねていたが、わからないという回答を聞いた後考え込んでしまった。その様子はかなり怒りを抑え込んでいる様であった。


「とにかくソウハ。お前さんの子たちのおかげでうちの子が助かった。ありがとう」

「お礼なら三日月にしてあげてください」

「そうだな。目が覚めたら伝えるとしよう」


話すことは終わったので男性は荷車を引いて家に帰ることに。新月たちの血で汚れてしまった荷車は霜葉が【クリーン】できれいにして男性に深くお礼を述べた。男性はそれに対してダーキスを止められなかったことと街の専属冒険者が大迷惑を掛けたことに対してすまないと何度も口にしていた。


霜葉としては新月たちを運んできてくれたこともあり、気にしてはいないし男性や街の住人達が気に病むことではないと思っている。男性が帰ったのを見送ると霜葉は新月たちの様子を見に行くことに。彼らの傍には白夜たちが控えているので問題ないとは分かっているが、やはり自分の目で確認したいのだろう。


霜葉が借りている部屋の前には子供たちが心配そうに待機しており、部屋へと入る霜葉に新月たちは大丈夫かと口々に聞いてきた。霜葉はもう心配ないよと笑顔で答え、霜葉の様子で大丈夫だと判断したらしく子供たちは昼食を食べるために食堂へと向かった。


『ご主人、お帰り』

『主、お帰りなさい』

『パパーお帰りなの』


霜葉が部屋へと入ると白夜と十六夜にルナが出迎えてくれた。金剛一家は新月たちを心配そうに見守っている。


『新月たちの様子はどうかな?』

『とても気持ちよさそうに寝ております。かなり深く寝ているようなので今日はもう起きないと思います』


霜葉の言葉に金剛が答えてくれた。そんな中・・・


『主殿』

『ガウェイン?どうかしたの?』

『こちらでも新月たちに起こった事は把握しております。ウェアウルフたち調合スキル持ちなどは大急ぎで回復薬や増血薬などを作っております』

『助かるよ。とっさに【ホーリーティアーズ】を使ったからしばらくは回復魔法術は新月たちに使わない方がいいと思ってたんだ』

『わしも同意見です。北斗殿も同様に考えています』

『みんなには無理をしないように言っておいて』

『御意』


ガウェインからの連絡でウェアウルフたちも新月たちを心配していることが分かり、霜葉は不謹慎とは思いつつ笑みを浮かべた。皆を仲間にしたことは正しかったとも考えた。その後、北斗がウェアウルフたちを代表して回復薬と増血薬を持ってきてくれた。霜葉は北斗と作ってくれたウェアウルフたちにお礼を伝えるように頼み、薬を渡した北斗は嬉しそうに尻尾を振りながら【箱庭世界】に帰った。


その後は夕飯時になるまで新月たちを見守った。夕飯を作るために新月たちのことは白夜たちに任せて食堂に行くと子供たちやトグじいさんが心配そうに新月たちのことを訪ねた。落ち着いているし気持ちよさそうに寝ていると伝えるとトグじいさんも子供たちもほっとした表情を浮かべた。


そのまま夕飯は簡単に焼き肉と野菜のサラダで済ませて、今日はもう寝ることに。霜葉が部屋に帰る前に子供たちが新月たちを見舞いたいと言ったので、部屋に子供たちを連れて戻った。三日月には特に懐いている女の子がやさしく撫でてありがとうと小さな声で何度も呟いていた。他の子たちは新月たちを見守り頑張れと応援していた。


見舞いが終わりそれぞれの部屋へと帰る子供たち。霜葉も今日は就寝することに。ベッドとして使っている場所は新月たちが使っているので、アイテムボックスから布を取り出して白夜たちと一緒に包まって寝た。翌日。霜葉は体を揺さぶられて目が覚めた。寝ぼけ眼に映った姿は・・・・


「ぐぅ」

「まぁ」

「ぐる」


三人で霜葉を揺らしている新月たちの姿だった。


「三人とも体の調子はどうかな?」

『ちょっとふらふらするけど、もう大丈夫だと思う』

『お兄さん助けてくれてありがとう』

『感謝・・・・』


霜葉の言葉に三人は確かにどこかまだ元気がない様子でそれでも答えてくれた。霜葉は順番に新月たちを優しく撫でて三人の無事を心から喜んだ。その後は白夜たちも新月たちに構い回復を喜んでいる。とは言えまだ全快には程遠いので、三人に昨日の分の果物を食べさせて今日の所は休むように言い聞かせた。


果物を食べる途中で北斗たちが作ってくれた回復薬と増血薬を飲ませた。なぜ食べている途中かと言うと薬であるがゆえにおいしくないのである。新月たちは我慢して二つの薬を飲みその後噛みしめるように果物を食べる。


霜葉はその様子を確かめてから朝食を作るためと新月たちが無事に回復したことを子供たちに伝えるために食堂へと向かう。

次回の更新は未定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ