第三章 第十一話 商王国編11
資金を経て一歩一歩着実に街を発展させてゆくジムキス様。霜葉達の協力のおかげでいくつかの予想外な活躍もあり、すべては順調に進んで行った。そんな中霜葉達は協力していた仕事も一段落したことで久しぶりにダンジョンへ挑戦することに。
ついでにダンジョン関連の依頼がないかギルドマスターであるダルバンに尋ねた所、魔道具を冒険者ギルドに飾りたいからいくつか探してほしいと持ち掛けられた。霜葉はこの依頼を受けダンジョンへと向かう。ダンジョンへと入った霜葉は全員に今日の目的を話すことに。
『今日は皆のLv上げと魔道具の回収だよ。ただ、何人かがグループで探索しているだろうから退化している子たちは10階層まではそのままで。ガウェインと北斗たちも人がいない10階層で出すね?』
『『わかった~!』』
『『『了解!』』』
『承知しました』
『了解です』
他の人々は10階層までは探索してはいない。せいぜい8階層と9階層までである。8階層でも魔道具は手に入るし、9階層は回復魔法術を使える人がいるなら探索は楽だ。
と言うわけで霜葉達はさっさと10階層へと行くために一直線に階段を目指す。それでも途中で出てくる魔物を蹴散らし、途中で出会った探索をしている警備隊の人たちと話たりして多少は時間がかかったが、10階層までたどり着いた。退化組は退化を解き、ガウェインと北斗たちも呼びいよいよ本格的な探索が開始される。
『じゃあ、前と同じグーループに分かれて探索を行うよ。準備はいいかい?』
『『いつでも行けるよ!』』
『『『大丈夫』』』
『いけるの~』
『問題なしです』
『こちらもいつでも行けます』
『私たちも大丈夫です』
全員に話しかけてから10階層を進む。分かれ道に差し掛かるとまずは新月たちのグループが霜葉達とは反対の道へと進み、それから順番にガウェインのグループ、北斗と金剛一家のグループが他の道へと進む。北斗たちのグループには霜葉の付与魔法術である【ブースト】を掛けるのも忘れない。
霜葉達も先を進み、出てくるスケルトン・ウォーリアーとナイトと戦闘を始める。すると、ナイトの方は白夜と十六夜とルナの三人で圧倒しているのだ。相手の攻撃は白夜と十六夜には回避され当たらず、ルナはそもそも飛んでいるので当たることはない。
それでいて、相手が後退すれば三人から魔法術が飛んでくる。そのまま急接近されてナイトは白夜と十六夜によって爪で壊され牙で噛み砕かれてしまった。霜葉はナイトは三人に任せてコボルトたちを援護した。霜葉達は順調に魔物を倒しながら先へと進んで行った。無論、倒した魔物から魔道具を回収するのは忘れない。
時々、他のグループから連絡を貰い彼らが倒した魔物の魔道具を回収したりしながら先へと進むが、やはり以前苦戦した北斗たちと金剛一家のグループはLvが上がっただけでは連戦はきつい様だ。そこで彼らに霜葉はある提案をする。
『北斗たちと金剛一家はあと少しで進化するし、それまでは僕たちと一緒に行動するかい?』
『そうですな・・・・安全を考えればそれがいいでしょうな』
『力不足は悔しいですが、主様と一緒に行動いたします』
『『『『よろしく、主様!』』』』
北斗と金剛はリスクを考えて、霜葉達と行動することに。黒玉たちも反対意見はない様だ。そうして彼らと一緒に先へと進む霜葉達。人数が増えたので、ナイトを相手するのは白夜たちと金剛一家に霜葉を加えたメンバーで交互に相手することに。
ある程度探索を行いお昼が過ぎた頃、霜葉達は一旦探索を打ち切り全員を【箱庭世界】へと迎えに行った。全員が【箱庭世界】へと帰還したのでハイコボルトたちは料理を作りだした。霜葉の職業効果なのか料理スキルを持っているハイコボルトに霜葉はいくつかの料理レシピを教えた所、料理スキルのLvが上がり腕も上がったのだ。
さすがに霜葉ほどの腕前ではないが、それでも彼らの料理は白夜と十六夜のように霜葉の料理を食べていた者でも満足する物になっている。もっともそれでも彼ら二人とルナは霜葉の料理が一番好きなのだが。
ハイコボルトたちが料理をしている間に、霜葉とガウェインは手に入れた魔道具を選別していた。ガウェインはハイコボルトたちに使えそうな魔道具を。霜葉も自分が使える魔道具がないか探し、後は女王国に居る他の召喚者たちにも使える物がないか確認中だ。
結果、数点の魔道具を残すことにして残りをダルバンに見せることになった。霜葉は使えそうな魔道具は見つけられなかった。盾とか鎧などはあるのだが、霜葉の戦闘スタイルは後衛での魔法術による支援だ。とてもではないが盾や鎧などは装備する必要がない。それに戦闘時には常に誰かが傍で護衛している。
それでも【闘争の魔王】の時に長時間戦っていれば白夜たちを掻い潜り、霜葉へと攻撃することもあり得たので、最近の霜葉はガウェインの勧めもあり防御力向上を考えているのだ。
「僕が使えそうな魔道具はないね?」
『ほとんどが前衛系の装備ですからなぁ』
「こうなると魔道具よりも腕のいい防具職人を探して魔物素材持込みで防具頼んだ方がいいかもね?」
『それがよいかもしれませんな。主殿の解体能力は高いですし、この国ならば腕の良い職人も居るでしょう』
とりあえずこれまで通り魔道具の中から探しはするが、同時に職人探しと自分用に魔物素材の確保も行うこととなった。ちょうどいい所で料理が出来たので霜葉達は料理を作ってくれたハイコボルトたちにお礼を言い、食事を始めた。
食事を終え、暫く小休止をしてから探索を再開。探索しながらスケルトン・ウォーリアーやナイトを探して撃破しては魔道具を回収してゆく。そして何度目かのスケルトンたちとの戦闘で・・・
≪固体名 金剛、黒玉、天青、黄玉、天藍のLvMAXを確認。固有スキル【存在進化】の効果で進化可能です≫
「お?」
『や、やりました!』
『『『『強くなれる~!』』』』
金剛一家が進化できるようなになった。この場に居る皆で祝福して一度【箱庭世界】に入ることに。他の皆にも連絡して全員が帰還。金剛一家の進化を見守ることに。
「じゃあ、進化先を確認するね?」
『お願いします』
霜葉は金剛と進化について相談するために進化先を確認する。
≪進化先を選択してください≫
【ロックモール】 選択肢 ⇒ 【アースモール】 【マッドモール】
【ファイトモール】
【アースモール】
土魔法術を使うモグラの魔物。大地に祝福され地中では戦闘力が高い。
【マッドモール】
泥を好み沼地に生息するモグラの魔物。泥を投げて攻撃することが得意。
【ファイトモール】
近接戦闘に特化したモグラの魔物。爪の一撃は岩も砕く。
「やっぱり三つあるんだね。金剛はどれに進化する?」
『皆と相談して決めようかと思います』
そう言って金剛一家は一塊になり相談し始めた。はたから見たら可愛いモグラさんが一塊に集まりもぐもぐ言っている光景は中々可愛い。生徒会長が見たら倒れてしまうかもしれない。やがて相談が終わったようで金剛一家は霜葉の下へと集まった。
『主様。皆と相談した結果私たちは【アースモール】になりたいです』
「わかったよ。ちなみに決めた理由はなんだい?」
『あのね!魔法術使ってみたいの!』
『土の中なら強いから!』
『泥はきら~い!』
『地面掘るの楽しいの!』
霜葉の質問に答えたのは順番に天青、黄玉、黒玉、天藍が答えた。そんな家族の様子に金剛は苦笑している様だった。
『皆【アースモール】に興味があるようでして』
「なるほど。じゃあ早速進化しようか?」
『『『『は~い!』』』』
子供たちがいい返事をする中、霜葉は【アースモール】を選択。その瞬間に光に包まれる金剛一家。光は一回り大きくなると収まり姿を現したのは・・・・
「おー。皆変わったね」
『そうですか?』
霜葉の言葉に答える金剛は、以前よりも一回り大きくなり大きさで言えば中型犬くらいか?毛色も灰色だったのが薄茶色になり、爪も黒に近くなった。黒玉たちはお互いの姿を見て喜んでいて金剛も家族を見て納得している。
『確かに以前の進化よりもはっきりと違いがありますね?』
『『おめでとう~!』』
『『『みんな可愛い』』』
『すごいの~』
進化した金剛一家を全員が祝福する。霜葉も祝いの言葉を送り金剛一家のステータスを確認する。
名: 金剛、黒玉、天青、黄玉、天藍
種族: 【アースモールLv1/Lv30】
スキル: 爪撃Lv7 : 穴掘りLv7 : 夜目
: 連携 : 耐久力強化Lv6 : 掘削
: 土魔法術Lv1 : 大地の加護 : 筋力強化Lv1
: 退化(配下専用スキル)
無月と同じユニークスキルを覚え、筋力強化も覚えたので接近戦でもこれまで以上に活躍するだろう。進化のお披露目が終わり、ダンジョン探索を再開する霜葉達。他のグループと別れて霜葉は金剛一家の戦闘力の確認をするため一緒にスケルトンを探す。やがて、ナイトとウォーリアーの一団を発見。ナイトの相手は金剛一家がすることに。
「モグ!」
「「「「モグ!」」」」
金剛一家はナイトに向かって走り出す。以前はユーモラスな可愛い走りだったが、今の彼らは軽快な走りでナイトに一気に肉薄した。それに対してナイトは慌てたのか持っているメイスを咄嗟に振るった。力の入っていないメイスの攻撃は金剛一家には無意味だった。
「モグ!」
先頭に居た金剛がメイスを爪で弾いて、相手のバランスを崩す。そこへ黒玉と黄玉が両手の爪をクロスする軌跡で振るう。
「「モグー!」」
バランスを崩しているナイトにこの攻撃を防ぐ手段はなく黒玉は相手の大盾を持っている腕に。黄玉は着込んでいる鎧に大きく傷をつけた。その攻撃でナイトは持っている大盾を落としてしまった。
「「モグ!」」
その隙に後ろに回っていた天青と天藍がナイトの両足の関節に爪の一撃を叩き込む。さすがに防具も関節は守れないので骨が砕かれナイトは倒れてしまう。後は金剛一家が袋叩きを行いナイトは跡形もなく消え、後に残ったのはメイスと大盾だけであった。
「モグモ~!」
「「「「モグモ~!」」」」
金剛一家はナイトを倒せたことに大喜びだ。しかもこの戦闘では霜葉の援護もなしで戦ったのでほとんど彼らの実力で倒したことになる。土魔法術はまだ慣れてないので使わなかったようだが、確実に強くなっている。
『皆強くなったね』
『これも主様のおかげです!この力は主様のためにこれからもがんばりますぞ!』
『『『『がんばる~!』』』』
霜葉にお礼を言い、金剛一家は嬉しそうにこれからも霜葉と共に行くと言ってくれた。そんな金剛に北斗が近づき祝福の言葉を口にした。
『おめでとうございます金剛殿。我々も頑張って次に続きますぞ』
『ありがとうございます北斗殿。私もお手伝いしますぞ』
そう言ってお互い頷き合う群れの長と一家の大黒柱。この二人は普段から仲がいいのだ。霜葉は二人を笑顔で見守り、皆が倒した魔物の残した魔道具を回収する。その中のメイスと大盾は今までの魔道具と毛色が違った。
【守護者の戦棍】
ダンジョンで生み出された魔道具。特殊な効果として【破壊力強化】、【自動修復】がありさらに職業【守護騎士】に就いている者が使えば、【筋力強化】の効果が付与される。
【守護者の大盾】
ダンジョンで生み出された魔道具。特殊な効果として【ダメージ半減】、【体幹強化】がありさらに職業【守護騎士】に就いている者が使えば、【体力自動回復】の効果が付与される。
何やら特殊な効果以外にさらに別の効果がある魔道具なのだ。これはかなり珍しいのではないかと霜葉はガウェインに聞いてみることにした。ガウェインに事情を説明すると彼の知識にあったらしく答えてくれた。
『その魔道具はかなり珍しい物ですな。武具系や道具系の魔道具の中には特定の職業に就いた者にさらなる力を与える魔道具があるのです。主殿が見つけたのはその類ですな』
『どれくらい珍しいの?』
『100個魔道具があったとしてもその中に一つあるかないかと言われるほどです。そんな魔道具が二つも手に入るのはまさに奇跡でしょうな』
そもそも魔道具事態が珍しいうえに千差万別の種類があるのだ。その中で特定の職業にさらなる力を与える魔道具など下手をすればガウェインの言った例え以上の価値があるだろう。そんな魔道具を霜葉はどうするべきか考えていた。
(この魔道具は健吾君に使ってもらおうかな?いつ女王国に帰れるかはわからないけど僕が考えているあの案が達成出来るなら問題ないはずだしね)
そう考えてこの魔道具は売らずに取っておくことに。それからは金剛一家がナイトを圧倒できるようになったので北斗たちと別の道を進むことに。何度か戦ったようだが金剛一家が先制で魔法術を放ちダメージを与えてから戦っているので以前より戦いやすいと報告があった。
それから夕方まで戦い魔道具を手に入れた霜葉達は今日はこれまでにして全員【箱庭世界】で夕食を食べて寝ることに。翌朝、魔道具がかなり手に入れたのでダルバンに買い取ってもらおうとダンジョンを出るために帰ることにした。
帰りも出会った魔物と戦い、他の人が探索している場所では退化できる者たちは退化してガウェインは【箱庭世界】へと戻り地上へと向かう。ダンジョンを探索している人に声を掛けられたり、助けたりしながら昼前にはダンジョンを出た霜葉達。門番にダンジョンカードを返却して冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドへとやってきた霜葉は以前来た時と違うことに気付いた。何人かの冒険者らしき者たちがギルドに出入りしているのだ。そのほとんどの人は剣とか槍を持っていたので冒険者で間違いないだろう。何人かは杖を持っていたので噂を聞いてやってきた回復魔法術を使える者かもしれないが。
そんな考察をしながら霜葉達は冒険者ギルドへと入った。ちらほらいる冒険者たちは魔物を連れている霜葉を珍しそうに見ていた。そんな霜葉に気付いた受付の奥で仕事をしていたギルドマスターのダルバンは声を掛ける。
「おお!ソウハじゃないか!もしかしてもう魔道具を手に入れてきたのか!」
「はい、かなりの量が手に入ったので選別をお願いします」
「よしわかった!解体場で待っていてくれ!俺もすぐに行く!」
そう言ってダルバンは奥へと消えていった。仕事を片付けてから来るだろうと思い霜葉は解体場へ向かう。そんな霜葉の後ろに付いてくる白夜たち。だが、今日は遅れて何人かの冒険者たちも付いて来ていた。
彼らの行動の理由は噂で聞いたこの街のハズレダンジョンにも魔道具が出たと言う話を信じてこの街に来たのだが、ダンジョンへと挑戦することに躊躇していたへタレども、失礼・・・とにかくいざ挑戦する段階になり躊躇している者たちだ。
そんな中、魔物を連れているおそらく【魔物使い】がダンジョンに挑戦して魔道具を手に入れたと聞き、本当かどうか気になったのだ。中には明らかに霜葉達を見下しているような視線を向けている者も居た。そんな連中を引き連れて解体場にやってきた霜葉達と冒険者たち。ついて早々にダルバンもこの場へとやってきた。
「待たせたなソウハ!早速手に入れた魔道具を見せてくれ!」
「わかりました」
それから霜葉はアイテムボックスからガウェインと相談して買い取ってもいい魔道具を数十点台出した。その量はアイテムボックスのスキルだからと言って入り切る物ではないとこの場に居る冒険者の何人が気付いたことか。
「あいかわらずすごいな!じゃあ今から選別するからちょっと待っててくれ!」
ダルバンはそう言って解体場の職員と何を買い取るか魔道具を手に取りながら相談することに。その間、霜葉は白夜たちを撫でたりして構い時間を潰した。その後ダルバンたちが四つの魔道具を買い取りに選んだ。
【紅炎の兜】
ダンジョンで生み出された魔道具。特殊な効果として【炎熱耐性】、【衝撃半減】が付与されている。
【紅炎の大鎧】
ダンジョンで生み出された魔道具。特殊な効果として【炎熱耐性】、【ダメージ軽減】が付与されている。
【紅炎の篭手】
ダンジョンで生み出された魔道具。特殊な効果として【炎熱耐性】、【腕力強化】が付与されている。
【紅炎の鉄靴】
ダンジョンで生み出された魔道具。特殊な効果として【炎熱耐性】、【脚力強化】が付与されている。
偶然にも同じ言葉が使われている魔道具でこれらが揃うと一つの全身鎧のように見えるのだ。ダルバンと職員も飾るなら一貫性があるこれらの方がいいと判断したようだ。
「それとソウハ。物は相談なんだがあと数点の魔道具も買い取りたいんだがいいか?」
「それは構いませんが、お金は大丈夫ですか?」
「心配は無用だ!お前のおかげでどんな能力が付与された魔道具なのかはわかるからな!ちゃんとした能力が分かっている魔道具の価値は高いんだよ。全部は無理だが、この四つにもう数点くらいなら大丈夫だ」
そんな訳でダルバンと職員が選んだ四つに加えて後三つの魔道具も買い取りとなり、霜葉に支払われる合計金額は金貨11枚に銀貨七枚となった。そんな彼らの買い取りを見ていた冒険者たちは全員が急いでギルドを出て行った。おそらく自分たちも霜葉のように大金を手に入れたくてダンジョンへと向かったのだろう。
この後になってこの街の冒険者ギルドに真っ赤な全身鎧が飾られ、街の名物となるのだった。何人かの商人などはこれらを買い取りたいと交渉に来たりもしたらしいが、ギルドマスターであるダルバンは絶対に交渉には応じなかった。商人の方も粘ることはせずに他の売りに出されている魔道具を買い取って冒険者ギルドは順調に資金を得ていた。
その後も霜葉達はダンジョンへ挑戦して順調に魔物素材と魔道具を集めて冒険者ギルドやジムキス様に買い取ってもらった。ごくたまに警備隊隊長のドルトからの依頼で街に近づく魔物の討伐に参加したり、解体も行う日々が続いた。そんな日々の中ダンジョンに挑戦中にも成果が表れていた。
≪ハイコボルトの群れすべての個体のLvMAXを確認。条件達成。【存在進化】の効果で進化を行えます。群れの進化は長の進化先が群れすべてに適用されます≫
『お?』
『主様!』
『うん。これは一旦皆を【箱庭世界】に呼ぶべきだね』
進化を行うために全員を【箱庭世界】へと帰還させて、状況を説明。ハイコボルトたちは二度目の進化ができると知り嬉しそうにしていた。早速どんな進化先があるのか霜葉と北斗は確かめる。
≪進化先を選択してください≫
【ハイコボルト】 選択肢 ⇒ 【ウェアウルフ】 【エルダーコボルト】
【ファイターコボルト】
【ウェアウルフ】
人間に限りなく近いコボルトの上位種と呼ばれる魔物。身体能力が高く器用で武器を扱う知恵もある。
【エルダーコボルト】
知能の高いコボルト種の魔物。その高い知恵でいくつもの魔法術を扱う。
【ファイターコボルト】
近接戦闘能力がとても高いコボルト種の魔物。様々な武器を使い格闘術も使いこなす。
やはり三つも進化先があった。新月たちのように元々能力が高い魔物はいくつもの選択肢があったが、Lv20で進化する魔物は基本三つあるようだ。霜葉と北斗はハイコボルトたちに進化先を説明して、北斗を加えた全員で相談して進化先を考えている。やがて答えを出して霜葉に伝える。
『主様。私たちは【ウェアウルフ】になりますぞ』
『うん。やっぱり決めたのは色々できそうだからかな?』
『ええ。魔法術を使ってみたいとの声もありましたが、今からそのようなことを覚えるよりもできることの純粋な強化の方が役に立つとの意見に全員が納得しまして』
『そっか・・・・皆ありがとうね』
霜葉のお礼の【思念会話】はハイコボルト全員に伝わり、ハイコボルトたちは笑顔を浮かべた。それから進化を行いハイコボルト全員が光に包まれる。霜葉達は目を守り光が収まった後には・・・
『おお~カッコいいね!』
『ありがとうございます』
そこに居た北斗は犬の顔だったのが凛々しくなり狼の顔になっていた。体毛も白く艶があり美しい。身長も150㎝に迫ろうかと言う所か。他のウェアウルフは慎重は北斗より小さく140㎝くらいか?そんな風に観察していたら・・・
≪配下の進化回数70回以上を確認。固有スキル【思念会話】がLv7にアップします≫
これも霜葉は予想通りであり、効果を確認すると仲間と同時に50人まで会話が可能で仲間以外とは15人まで会話が可能とのこと。次に進化したばかりの北斗たちのステータスを見てみることに。
名: 北斗
種族: 【ウェアウルフ♂Lv1/30】
スキル: 爪撃Lv1 : 精密作業強化Lv7 : 木工Lv6
: 群れの長 : 槍術Lv6 : 小楯術Lv6
: 身体強化Lv1 : 体術Lv1 : 精密動作
: 退化(配下専用スキル)
かなりの強化となっている。身体強化と体術スキルは北斗たちにはかなり有用だろう。また【精密動作】のユニークスキルは細かい作業や体を動かすことに補正を与えるスキルだった。生産作業や武器を扱う彼らには役立つだろう。ひっかきも爪撃に上書きされたし、退化スキルも覚えた。
『主様。身につけたこの力でこれまで以上にお役に立ちますぞ』
『うん。これからもよろしくね皆』
進化していつもと同じように皆が祝福する中、ルナは不満そうだった。この中でルナだけが進化していないのだ。Lv的にはもう少しなのだが、なかなか上がらないのだ。
『るなもはやくかわりたいの~!』
『そうだね。僕もルナがどんな風になるのか早く見てみたいね』
『がんばるの~!』
そう言ってルナはこれまで以上に魔物との戦いを頑張りLvもあと一つ上がれば進化できるようになった。しかしそんな中、街に冒険者が集まりだしダンジョンにも多くの冒険者が出入りするようになり、霜葉達が全戦力を出して戦うのが難しくなってきた。
そんな状況になったので霜葉はそろそろ別の街へと行くべきかと考え始めた。これ以上この街のダンジョンへ挑戦しているとガウェインや北斗たちを見られるかもしれない。あの案を実行するためにはまだ足りない。今彼らを見られるわけにはいかない。そのことを皆に相談することに。
『この街も冒険者が増え始めたし、そろそろ次の町へ行こうかと思うんだけどどうかな?』
『確かに人が増え始めましたからな』
『今以上に増えれば。ガウェイン殿と北斗殿たちがLv上げ出来なくなりますか』
『そうですな。いいかもしれません』
霜葉の相談役になりつつあるガウェインと群れを率いている者としての経験を持っている北斗。一家の大黒柱で子供たちを守ってきた金剛が主に相談に乗っている。他の者たちは霜葉にどこまでも付いてゆくと言ってくれているのだ。
『じゃあ、早めにこの街を出ようか?お世話になった人たちに挨拶してからだけど』
『異議なしです』
『承知いたしました』
『どこまでも付いてゆきますぞ』
こうして霜葉達は次の商王国の街へと向かうことにしたのだった。
次回更新は30日に予定しております。




