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第三章  第八話  商王国編8

霜葉達が街の警備隊の兵士とダンジョンを探索した。理由は霜葉が提供した情報が正しいのか確認のためだ。しかし、その探索の途中で兵士の一人が裏切り行為を行い、ダンジョンでの使用が禁止されている薬品を使い霜葉達と兵士を亡き者にしようとした。


その薬品の効果でダンジョンの魔物たちが大量に押し寄せてきたところ、残りの兵士たちが恐怖に負けて隊長であるドルトと霜葉達を置いて逃げ出す事態にもなったが、霜葉がドルトに裏切った兵士を連れて逃げるように言い、二人が居なくなってから全戦力で対処してこの事態を解決した。


その後、しばらく仮眠を取った霜葉はダンジョンを脱出。先に脱出していたドルトと兵士たちと共にダンジョンのある街の領主であるジムキス様にこのことを報告すると、ジムキス様は裏切った兵士がなぜこんなことをしたのかを見抜き、その兵士を牢屋へと送った。逃げ出した兵士たちも厳しい罰を受けるとこになった。


その後、それらの後始末を行うために時間が必要であったためしばらく時が経ち、ようやく魔人国の街へとダンジョンで手に入れた魔物素材や魔道具を売りに行くために最終確認をしている最中である。


「ソウハ殿。こちらのせいで遅くなって申し訳なかったね」

「いえいえお気になさらずに」


現在、霜葉はジムキス様と話している。その間に今回の件に同行する兵士二人の馬車の点検と野宿道具の確認をしている。初めは警備隊隊長であるドルトも同行する予定だったのだが、先に発生した一人の兵士の裏切りと三人の兵士の敵前逃亡の件で警備隊を鍛え直すとして、この街に残り訓練と街周辺の魔物退治を実行するために計画を練っている最中である。


「それにしてもずいぶんと大きな馬車ですね?」


霜葉は今回の道中で世話になるであろう馬車を見上げてそんな感想を漏らした。彼の目の前にある馬車はかなりの大きさなのだ。現代社会で言えばワゴン車並みと言えるだろう。


「これは我が家に伝わる家宝だよ。昔ご先祖がダンジョンで発見したらしくほかにも数多くの珍しい魔道具を見つけてその褒美に見つけた物から一つを自分の物にしていいと当時の国王が許可してくださったようだ。ご先祖はこれを選んで鑑定をしたところ馬車にすることにしたそうだ」

「どんな効果があるんですか?」

「【状態完全保護】と【破損耐性】だと伝わっているよ。前者の効果は常にこの馬車の状態を清潔に保ち、後者は壊れにくくなるという効果だという話だ」

「それは馬車にはぴったりな効果ですね~」


なんとなく霜葉は大昔のVIP専用馬車として使われていたのではないかと不意に思った。


「しかし、こんな大きな馬車でいく必要があるのですか?」

「単純に私が所有している馬車がこれしかないのだよ。他にもあったがこの街のためにほとんど売りに出したんだ」

「そうだったんですか」

「もし今回の話がなければこれも売りに出すしかなかったが、そう言う意味でもソウハ殿には感謝しているよ」

「ジムキス様、準備が整いました。いつでも行けます」

「そうか、ご苦労。ではソウハ殿行くとしようか」

「はい」


話の区切りがついたタイミングで兵士たちの準備が完了したようで、ジムキス様と霜葉は馬車の荷台へと入った。そこは簡素な腰掛用の板ががあるだけだったが、やはり大きいだけあり中々広い。白夜たちが居てもまだ余裕がある。さすがに退化を解いたら狭いだろうがね。


屋敷を出た馬車はそのまま街の門を出てここから最も近い魔人国の街へと進む。街の門では見送りに来ていた住人と兵士たちが揃っていた。住人たちにもこの街のダンジョンがハズレではなく魔道具が出てくると伝えてある。それを伝えた時の歓喜の叫びは腹の底から絞り出したかのようだった。


未だにダンジョンの立ち入りは禁止されているが、近々それも解除されるとのこと。そうなれば兵士たちが訓練と魔道具や魔物素材調達のために何度か入ることを検討しているとドルトから霜葉は聞いている。そうなればこの街にも資金繰りが今よりも楽になるだろう。そのためにも今回の取引ではこちらの情報を伝え広めてもらうことが重要だ。


意外と重要な今回の道中だが、霜葉がやることは荷物運びであり交渉をするのはジムキス様である。ギルドで魔物素材や魔道具を売るのなら情報を話す必要があるだろうが、それは是が非でもやる義務があるわけでもないので気楽な物である。


そんなことを思いながら馬車に揺られて先へと進む。ちなみにこの馬車を引くのは立派な馬二頭である。ジムキス様の所有している馬だが普段はその力を生かして畑の開拓や農耕をしているらしい。それを聞いた霜葉は金剛一家に畑を耕すことができるか街へ戻った時にでも確かめようと考えた。そんなことを考えていたら急に馬車が止まってしまった。ジムキス様は御者をしている兵士に話しかけた。この馬車は中から御者に話しかけることができるようになっているのだ。


「何かあったのか?」

「遠くにサンドウルフを確認しました。まだ遠いですが、真っ直ぐにこちらに向かってきます」

「数はどれほどだ?」

「見える範囲では八体はいますね。まだ居る可能性もあります」


兵士からの報告を聞いてジムキス様は顔を歪めた。サンドウルフは最低でも六体以上の群れで行動する魔物だ。狼なので鼻が利くためよく商人の馬車が襲われているのだ。この馬車にはエサとなる物は積んではいないが、以前にも馬車を襲ったことがある群れであれば襲ってくることはあるだろう。


「サンドウルフは初めて会いますね?強いんですか?」

「単体の強さは大したことは無いですね。しかし、群れで襲ってくるので油断はできません」


霜葉の疑問にもう一人の兵士が答えてくれた。ならば問題ないと霜葉は考えてジムキス様たちに提案をする。


「僕たちが戦いますので、皆さんは馬車で待っていてください」

「さすがに君たちだけに任せる訳にはいかんよ。これでも私は【風魔法術】のスキルを持っているからそれで援護するよ」

「我々も弓と矢を持ってきております。これで援護します」

「でしたらお願いしますね?」


ここで断るのは余計に時間がかかると判断して霜葉は三人に援護をお願いした。それから話し合いで三人は馬車に残って援護をして、金剛一家が馬車の周りで護衛。残りの霜葉達が馬車を降りて戦うことになった。そうしてサンドウルフが霜葉の目にも視認できるようになり、数は十二体はいるのが見えた。


『皆!数は多いけどこっちの方が強いよ!退化した状態だけど大丈夫だからね!僕も援護するよ!』

『『うん!』』

『『『よろしく!』』』

『がんばるの~!』

『お役に立ちますぞ!』

『『『『やるの~!』』』』


霜葉の言う通りルナと金剛一家以外は退化した状態で白夜と十六夜は前の種族に、新月たちはブルーベアになっている。だが、霜葉達に不安はなかった。これらの実力ならば今の状態でも問題ないのだ。サンドウルフが魔法術と弓の射程距離まで接近した瞬間に・・・・


「【ブーストワイド】!」

「ワオ~ン!」

「ニャ~!」

「ぴー!」

「【風よ!矢となり我が敵を穿て!ウィンドアロー!】」


霜葉の付与魔法術を合図に白夜、十六夜、ルナ、ジムキス様の魔法術がサンドウルフに向かってゆく。ジムキス様の魔法術はサンドウルフに手傷を与えているが、白夜たちのアロー系魔法術はサンドウルフの頭を貫いている。この攻撃でサンドウルフの数は残り八体となった。仲間が倒されても向かってくる魔物に今度は新月たちが立ち塞がる。


「ぐぅ!」

「まぁ!」

「ぐる!」


新月たちに四体のサンドウルフが襲いかかったが、新月は噛みつこうとした敵の顔を掴んで地面に叩き付け

喉に爪を刺して倒した。三日月は敵の攻撃を躱して脳天に重い一撃を喰らわしそのまま爪で止めを刺した。無月は敵の攻撃を受け止めてそのまま投げ飛ばし地面に激突した時に首の骨が折れたようでそのまま絶命。

残りのサンドウルフ四体は・・・・


「もぐ!」

「「もぐも!」」

「「もぐ~!」」


一体は兵士の矢を何本も受けて動かなくなっていた。残りの三体は金剛一家が相手をしていた。金剛は敵の噛みつきを右爪で防いで左爪を喉へと突き刺して倒し、黒玉と黄玉は黒玉が敵の引き付けている間に黄玉が敵の背中に飛び乗り脳天に爪を突き刺した。天青と天藍は二人の息の合った連係で敵を翻弄しつつ二人の同時攻撃で首を引き裂いた。こうしてサンドウルフたちはあっけなく倒されたのだ。


「皆、ご苦労様。本当に強くなったね~」

「ワフ~♪」

「ニャ~♪」

「ぴー♪」


霜葉は白夜たちの労を労い、白夜と十六夜とルナはそんな霜葉に体を擦り付けにやってきた。新月たちと金剛一家も嬉しそうにしている。


「いやはや、ドルトから報告で聞いてはいたがその魔物たちは強いね?」

「そうですね。おかげで矢の消費が少なく済みました」

「と言うより援護の必要はあったんですかね?」


ジムキス様は初めて見る霜葉達の戦いぶりに驚いていた。兵士の一人も感心している様だ。最後の兵士は援護は必要だったのか疑問を浮かべているが。


「僕たちだけではこんなに早くは倒せませんよ?ジムキス様とお二人が援護してくれたからこそこの短時間で倒せたんですよ」

「そう言ってくれるのはありがたいよ」

「ところでこの魔物の素材は毛皮と魔結晶くらいですか?」

「それとお肉もだね。この魔物の爪と牙はあまり大きくないから素材としての価値は低いんだよ」

「お肉もですか?」

「この国では貴重な食料なのさ。味も脂は少ないがあっさりしていて食べやすいお肉として意外と人気なんだよ?」

「そうなんですね。わかりました」


そう言って霜葉はサンドウルフを回収して回った。新月たちと金剛一家も手伝ってくれたので早く終わり馬車へと戻り先へと進む。その後は魔物に襲われることもなく順調に進むことができ、日が沈んできたので今日の所は近くの岩場で野宿することに。兵士たちがテントを張っている間に霜葉は早々にテントを張り終わり、サンドウルフの解体を始めた。


霜葉の解体技術の高さにジムキス様が驚きながら見ているのを横目に、十二体の解体を済ませた霜葉はそのまま料理の準備を始めた。と言っても凝った物を作るつもりはなくシンプルに串焼きにするつもりである。仕込みはしっかりと行い、柔らかくするためにお肉を叩いて木製のフォークで何度か突き刺し塩とハーブで振りかけて焼いてゆく。すると、いい匂いが漂ってきた。


「おいしそうな匂いですね~」

「サンドウルフってこんな匂いしたっけ?」


兵士もテントを張り終わり料理の匂いに引かれ始めた。そろそろいい焼き加減になってきたので兵士とジムキス様に配りだす。


「どうぞ。御口に合えばいいのですが」

「ありがとうソウハ殿」

「「ありがとうございます」」


ジムキス様と二人の兵士はお礼を口にして、串焼きに口へと運んだ。すると・・・


「「「うまい!!」」」


おいしさに感激して貪るように食べ始めた。そんな三人を霜葉はニコニコ顔で眺めていた。作った者としておいしく食べてくれるのは嬉しいのだ。白夜と十六夜とルナにも串を外してお皿に盛りつけたお肉を出して上げて三人も嬉しそうに食べている。新月たちには果物、金剛一家にはコロッケを大皿に入れてあげた。


「ぐぅ♪」

「まぁ♪」

「ぐる♪」

「もぐ~♪」

「「「「もぐも~♪」」」」


皆嬉しそうに食べている。そんな中串焼きを食べていたジムキス様が金剛一家の食べている物を見て疑問を口にした。


「ソウハ殿。そちらの魔物たちが食べているのはなんだい?」

「これはコロッケと言う食べ物です」

「ころっけ?聞いたことのない料理だね?」

「よければ食べてみますか?まだまだ大量にあるので」


そう言って霜葉はアイテムボックスからコロッケとお皿とフォークを取り出して、ジムキス様に渡した。


「ありがとう。では・・・・これは!冷めているのに外はサクサク!中はホクホクしていていいな!」


ジムキス様はそう言いながらコロッケを食べ続けた。それを見ていた兵士二人にもコロッケを渡す。二人も食感が癖になると言って嬉しそうに食べ始めた。コロッケを食べ終えたジムキス様はこの料理のレシピについて聞いてきた。


「この料理は大量の油を使って揚げてあるんですよ。使っているのは芋ですね」

「揚げるというのはよくわからんが、芋でこんな料理が作れたのか・・・」

「よければ街に帰ったら作り方を教えますよ?」

「それはぜひお願いするよ。芋類はこの国ではよく栽培しているが焼き芋か蒸すしか料理方法がなくマンネリ化していてね?新しい料理方法はとてもありがたいよ」


なんでもこの土地の荒れた土でも芋類は育つのでよく栽培されているが、料理方法が二種類しかないためあまり人気が無いようで、ほとんどがお金のない人達用の食糧なんだとか。それでもたくさんあるので餓えることはないが、毎日同じ料理だとさすがに飽きてくるのだ。そう言う意味でもこのコロッケと言うのは興味深いとのこと。


「でも、油が大量に必要ですよ?」

「油なら問題ないよ。とあるダンジョンにオイルトレントと言う魔物が居てね?その魔物を倒すと植物性の油が取れるんだよ。瓶詰でね。その油は海王国との取引でも人気の品で冒険者たちのいい稼ぎとなっていてまだまだ大量に備蓄があったはずだ」

「へぇ~そんな魔物もいるんですね」

「他にも色々面白い魔物が出るダンジョンもあるよ。今回のことが終わればそれらをまとめて教えてあげるよ」


それからは他愛無いおしゃべりをして夜になり、見張りでは兵士二人と霜葉達が行うことになった。兵士二人は食事を作ってくれた霜葉には休んでもいいと言ってくれたが、霜葉自身が断った。兵士が二人しかいない状況では自分も加わりしっかりと睡眠を取った方がいいと主張した。これに対して兵士二人は否定できなかった。さすがにジムキス様に見張りをやってもらうわけにはいかないので、霜葉も含めて見張りを行うことに。


順番は兵士、霜葉達、兵士で行い、今日の所は休むことに。そして、特に問題もなく朝を迎え、朝食と馬にエサと水を与えて出発した。そんな道中を三日続けてようやく魔人国領土へとたどり着いた。周りは荒れた土地ではなく緑豊かな森が街道の左右に見えるので間違いないだろう。ここまでくれば魔人国の街まであと少しである。


一度休憩を行い、進んだところで街の外壁が見えてきた。ようやく目的の街へとたどり着いたのだ。街へ入る列も少ないようですぐさま最後尾に並び、すぐに霜葉達の番がやってきた。その時ジムキス様が馬車を降りて、門番に街へとやってきた目的を話している様だ。


話が終わった門番は別の門番にこの場を任せて、霜葉達を先導し始めた。ジムキス様も馬車に戻ったのでゆっくりと進み始める。しばらく大通りを進み、目の前に大きな砦のような屋敷が見えてきた。この街の領主様の屋敷であろう。


屋敷の門の前にたどり着いた馬車は先導していた門番は屋敷の門を守っている兵士と話をした後に来た道を戻って行った。警備の兵士は門を開けて兵士の一人が屋敷へと向かい、もう一人の兵士が霜葉達に入るように促した。


「どうぞ、お入りください。すぐに案内役が来ますので」


そう言われたので、屋敷への門をくぐると屋敷から二人のメイドが出てきた。しかもこの二人のメイドさんは顔が似通っている。どうも双子のようだ。


「「ようこそおいでくださりました。ここからは私たちがご案内します」」


と言い深くお辞儀をした。ここで兵士二人とジムキス様と霜葉達の二組に分かれることに。二人の兵士は馬車と馬たちを御客用の止める場所へと。ジムキス様と霜葉達は屋敷の中へと案内されることに。ちなみに白夜たちは特別に屋敷に入ってもいいとのこと。ジムキス様は白夜たちがすんなり屋敷に通されたことに疑問を浮かべていたが。


霜葉の方はなんとなくではあるが、以前のゴブリンキングの件で噂になっているのではないかと思った。とは言え屋敷の物に触れないようにと汚さないでくださいと注意は受けたが。屋敷に入る前に白夜たちに言い含めて【クリーン】も掛けてメイドさんの案内で屋敷の中へと進む。


案内されたのはおそらく客間なのだろう。見るからに高級そうな調度品が下品にならない程度に飾ってあった。メイドさんにこちらでお待ちくださいと言われ、すぐさま別のメイドさんが飲み物と軽食を持ってきてくれた。ジムキス様と霜葉はソファに座り紅茶と軽食に手を伸ばした。なお白夜と十六夜は霜葉の足元にお座りしており、ルナは霜葉の肩に。新月、三日月、無月と金剛一家は霜葉の後ろで待機している。


やがて、ドアの方から足音が聞こえてきてだんだんとこの部屋に近づいている。そしてこの部屋の扉の前で立ち止まり扉を開けて入ってきたのは水色の髪をサイドテールにした額に小さな角のある若い女性だった。ジムキス様は立ち上り霜葉も遅れて立ち上がるとジムキス様は深く頭を下げた。


「リティア殿。この度は突然の訪問にも拘らずすぐさま対応してくれたとこ感謝します」

「なに、気にしないでくれ。そちらとはよい関係でいたいのだ。門番から聞いたが急用とのこと。早速話を聞こうか?おっと、その前にそこの魔物使い君に自己紹介が先だな」


ジムキス様にリティル殿と呼ばれた女性は霜葉に視線を合わせて、腰に手を置き自己紹介を始めた。


「私はリティル・フレグマン。魔人国では陛下より辺境伯の地位を授かっている。お見知りおき願おう」

「辺境伯様でしたか、私は霜葉と申します。お会いできて光栄です」


霜葉は挨拶しながらこの目の前の女性は戦う人だと感じていた。女性として胸も大きく、腰も細い肉体をしている。それだけであれ言動も合わさって男前な女性と言う認識を持つが彼女の腰には剣があった。しかもよく見れば使い込まれている物だ。霜葉にはどれくらい強いかの判断はできないがね。


「ふふふ。私も君には会いたいと思っていたぞ?君が商王国に行く前にこの街に来たことは知っていたからな」

「そうなんですか?」

「連れている魔物たちのおかげで君は目立つからな。それだけではなく結構な量の魔物素材を冒険者ギルドに買い取りに出しただろう?噂になっていたぞ。凄腕の魔物使いが居るぞとな?」

「身に余る評価ですよ」

「私はそうは思わんが、何やら可愛らしい魔物が増えている様だしな。さて、雑談はこれくらいにしてジムキス殿の用件を聞こうか?」


そう言ってリティル様は対面のソファに座りメイドが持ってきた紅茶に手を伸ばした。ジムキス様と霜葉も座りこの場にやってきた目的を話し始めた。話し終え聞き終わったリティル様は両腕を組み、何やら考え込んでいた。そして考えがまとまったようで口を開いた。


「ジムキス殿の街のダンジョンはこちらも把握していたが、まさか魔道具が大量に出るダンジョンだったとは驚きだ。しかも、ゾンビやフレッシュゴーレムとその上位種であるブラッドゴーレムには回復魔法術が攻撃手段になるとは・・・」

「先ほども申しましたが、これらの情報はすべてソウハ殿が確認してくれた情報です。無論こちらも確認のためダンジョンに入りましたが事実であると確認しております」

「そこは疑っておらぬよ。まずはジムキス殿、おめでとう。この事が広まればあなたの街は発展することだろう」

「ありがとうございます」

「さて、話の本題はそのダンジョンで手に入れた魔物素材と魔道具をこちらで買い取ってもらえないかと言うことだな?ふむ・・・・」


再び考え込むリティル様。その様子をジムキス様は緊張して見守る。ここでリティル様が買わないといえばいろいろな計画を見直さねばならないから。やがてリティル様が口を開く。結果は・・・・


「よし。すべてとはいかないがある程度はこちらで買い取ろう!」

「あ、ありがとうございます!!」

「ただ、念のためそれらの物を改めさせてくれぬか?こちらの鑑定スキル持ちと鍛冶師に物を見せて買い取る物を選別したいからな」

「それは当然ですね。わかりました」

「よし、では騎士たちの訓練所に行こう。そこなら広さも申し分ないだろう」


それからは部屋を出て、リティル様が先導して訓練所へと向かう。部屋を出る時にメイドさんが鑑定士と鍛冶師を呼びに行き、別れた。ジムキス様はほっとした心境である。霜葉もとりあえず予定通りに事が進みそうで一安心だ。

次回更新は次の日曜予定です。

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