第一章 第四話 女王国編4
「女王陛下がお茶会に僕を招待すると?」
「はい、もちろんお友達を連れて来ても構わないそうです。あと、あなたが連れている動物も連れて来てもいいそうです」
「・・・・少し時間をください」
「わかりました。お待ちしております」
そう言ってメイドは少しだけ扉から離れた。霜葉も足音でそれを察して三人に意見を聞くため戻って行った。
(みんなはどう思う?)
(さぁ?どういうことだろうな?)
(私は行ってもいいと思いますよ。これがアルバン王子からのお誘いならば怪しいですが、女王陛下ならば信用してもいいでしょう)
(そうだね。私も同意見だよ)
(何より今は情報が足りなすぎます。情報収集のためにも受けていいかと)
(なるほど・・・・)
(ご心配なら私も付いて行きます。友達を連れて来てもいいそうですしお言葉に甘えてしまいましょう)
(当然俺もだぜ!)
(私も付いて行くよ)
(みんなありがとう。じゃあ、この子たちも連れて行こうか)
そう言うわけで霜葉たちは女王のお茶会の話を受けた。メイドの案内で城の中を進み案内されたのは日当たりにいい場所に造られた中庭だった。
「ようこそ。突然の申し出にもかかわらず来ていただきありがとうございます」
女王は中庭中央にあるテーブルで大広間にもいた、二人の子供たちと一緒にティーポットとティーカップ、焼き菓子を用意して待っていた。
「いえ、お招きいただきありがとうございます。友達だけではなくこの子たちも許可していただいて」
「ふふ、そのかわいい子たちはこの子がどうしても近くで見たいと言いましてね」
そう言って女王はとなりに座っている長い銀髪をツインテールにしている女の子に視線を向ける。その女の子は霜葉の腕の中にいる二匹を興味深そうに見ている。いや、妙にそわそわしている?
「ふふふ♪二人とも自己紹介をなさい」
「はい、母様」
「わかったのです」
二人は立ち上り、こちらへとお辞儀をして自己紹介を行った。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。僕は女王国 第三王子 レギオス・リュカレアといいます」
そう言って外見とは違いきっちりと挨拶した彼は、女の子と同じ銀髪の短い髪に緑色の目をした。将来は絶対美男子になるだろうと確信できる男の子だ。
「わたしは、女王国 第一王女 メルビス・リュカレアと言うのです。よろしくなのです」
一方の女の子は年相応の挨拶をして、語尾が特徴的だった。そして挨拶している間も視線は二匹に向けられており、ものすごく興味津々だった。
「別に触ってもいいよ?」
「いいのですか!?」
「うん、ただしこの子たちが嫌がったらやめてね?」
「わかったのです!」
「メルビス!お客様の前であまり騒がないようにね!」
「でも、許可は貰ったのです!いいですか、母様?」
「ふふ、その方の言う通りにするのですよ?」
「はいなのです!」
女の子はそう言うと、霜葉の前まで行き恐る恐るまずは子猫に手を伸ばした。そしてゆっくりと子猫の頭をなでるのだった。
「ふわ~柔らかくてふわふわなのです!」
「にゃ~♪」
「あ・・・嫌がったのですか?」
「ちがうよ。気持ち良かっただけだよ。ねぇ?」
「にゅう」
「ならよかったのです!」
そう言って女の子は満面の笑みを浮かべた。どうやらこの子は天真爛漫で好奇心旺盛のようだ。
「むう~」
「王子も撫でてみますか?」
「え!?いえ、僕は」
「わん!」
「あ」
霜葉が王子に声を掛けたら、子犬が腕の中から飛び出し王子の下に駆けて行った。そして王子の足元にまとわりついた。
「わふ~♪」
「か、かわいい・・・」
王子は足元の子犬を抱きかかえ、王女と同じように頭を撫で始めた。
「わ~ほんとにふわふわでやわらかい・・・」
「わふ~」
「レギオスも本当はさわりたかったのです」
「!ち、ちがうよ!この子が足にまとわりついたから!」
「今さら、ごまかそうとしてもおそいのです!」
「あ、あう~」
「わふ?」
王女に指摘され、顔を真っ赤にして俯く王子。その王子を不思議そうに見つめる子犬。そんな子供たちを笑顔を浮かべて見つめる女王。どうやら王子は背伸びをしているだけの年相応の男の子だったようだ。
「王女様に王子様。よければこの子たちと遊んでくださいませんか?」
「いいのですか!?」
「ええ、この子たちも今までじっとしていたのでそろそろ動きませんと、大きくなれませんから」
「わかったのです!遊ぶのです!」
「ちょっと、メルビス!これらからお茶会で!」
「せっかくのお誘いですから、お受けなさいな。ただし、中庭から出ないようにね」
「母様!?」
「わかったのです!約束するのです!」
王女がそう言うと霜葉は子猫を王女に渡し、受け取った王女はそのまま中庭の一角へと突撃して行った。王子はそんな王女追って行き、テーブルの周りには霜葉たち4人と女王とメイドが数人残った。
「許可をしていただきありがとうございます。女王陛下」
「礼には及びませんよ。こちらとしても二人の楽しそうな姿は夫が亡くなってから久しぶりに見ましたから、こちらとしてもお礼が言いたいのです」
「もったいないお言葉です」
「さぁ、いつまでもお客様を立たせるのも失礼ですし、こちらはお茶会を始めましょう」
女王の言葉でメイドたちが動いて、椅子を勧めてきて霜葉達も椅子に座りお茶会が始まるのだった。
お茶会の経験のない霜葉と健吾の二人はどうすればいいか最初は分らなかったが、裕佳梨や生徒会長のマネをすることで、何とかこなしている。慣れないことをやっているせいでお茶とお菓子の味は半分も理解できなかったが。
「あっはっは!まつのです~!!」
「にゃ~♪」
「メルビス!走ったら危ないよ!!」
「わん!」
「あ!君も待って~!」
「レギオスも人のこといえないのです!」
時折、メルビス王女とレギオス王子の楽しげな声が響いて来て、女王はそのたびに笑顔を浮かべて声のした方に視線を向けている。ちなみに、二人の傍にはメイドが二人ほど控えていてさらには中庭の目立たない所に騎士のような鎧を着た者が、護衛として控えている。特に女性騎士が目立つ。男性もいないわけではないが。
「女王陛下。そろそろお茶会になぜ霜葉君をお呼びしたのかお聞かせ願えませんか?」
ティーカップのお茶が無くなる頃、生徒会長が話を切り出した。すぐさまメイドがお茶を注ぐが誰も手は付けない。
「わかりました。その前に皆様を名前で呼んでも構いませんか?ステータスを見て知ってはいますが、許可は取らねばなりませんし」
「そういえば。こちらの世界の人は漢字を理解できるのですか?」
「カンジ?その言葉は分りませんが皆様の名でしたら、こちらの世界の言葉で書かれていましたよ?」
どうやら異世界人には漢字やわかる言葉で、こちらの世界の人にはこちらの言葉でステータスが表示されていたようだ。
「では、許可も込めて改めて自己紹介を・・・私は 高坂 聖夏と申します」
「僕は 動島 霜葉です」
「お、じゃなくて私は 桂木 健吾と言います」
「私は 水梨 裕佳梨です」
「セイカさん ソウハ殿 ケンゴ殿にユカリさんですね。許可していただきありがとう。さて、お茶会に招いた理由ですが、ソウハ殿に謝罪とこれから起こるであろうことを説明せねばと思いお招きいたしました」
「それはアルバン王子の態度が関係していますか?」
「・・・・はい。まずはアルバンの失礼な言動を謝罪いたします。申し訳ありません」
そう言うと女王は立ち上り頭を下げた。女王の突然の行動にも関わらずメイドたちも同じように頭を下げる。普通なら止めるのだろうが、よほど信頼されているのだろうか?
「別に謝る必要はありませんよ?ですが、なんで態度が急に変わったのか、それと2階にいた人たちの反応の理由も説明していただけませんか?」
「それはもちろんです。今から説明いたします」
それから女王は説明を始めた。霜葉の表向きの職業である【魔物使い】について。
【魔物使い】はその名が示す通り、魔物を仲間にでき一緒に戦う職業だ。しかも職業のLvが上がれば魔物を仲間にする技能【テイム】の効果も高まり、より強力な魔物を仲間にすることができる。【魔物使い】の上位互換の職業にでもなれるのならドラゴンも【テイム】できるのではないかとも言われ、【魔物使い】の職業が世に認知し始めた頃は期待されていたのだが・・・・
「話を聞いていると、【魔物使い】のジョブは特に問題があるように思えませんが?」
「問題は職業の方ではなく魔物そのものにあったのです」
「魔物の方に?」
「はい」
早速ある者が【魔物使い】の職業になり一般的に弱い魔物と呼ばれるランドウルフと呼ばれる魔物を【テイム】してみたら意外な事実が判明した。【魔物使い】は仲間した魔物のステータスが見れるのだがなんと魔物のLvには上限があったのだ。ランドウルフで10までしかLvが上がらないのだ。職業のLvには上限がないとされていたため、魔物にも上限は無いと思い込んでいたのだ。
さらにLvが上限になった魔物は職業のように上位互換の職業になれるような、上位の魔物になるいわゆる進化もせずにそのままとなった。職業のLvが上がっても仲間のLvが頭打ちになるのなら戦力増強にもならず、かと言って他の強力な魔物を仲間にするにはリスクが高すぎると判断され、【魔物使い】の職業は使えないと判断されたのだ。
「以上のことが判明して、それ以来【魔物使い】になるような者はいなくなったのです。しかも役に立たない職業と言い始める者まで現れるようになり、【魔物使い】に就ける者は落ちこぼれと言われ始めたのです」
「だから、アルバン王子は俺のことを落ちこぼれと言い出したのですね」
「はい、改めて申し訳ありませんでした」
話を聞いた霜葉は【魔物使い】のジョブがそのようなことになっていたことに驚き、アルバン王子と貴族たちの反応に納得した。同時に・・・
(この世界の魔物は進化しないのか。でも僕の本当のジョブである【軍勢の魔王】は仲間にした魔物限定で【存在進化】の効果で進化させられる。これだけでもすごいよね。さすがは魔王ってところかな?)
自身の職業の価値に気付き始めた。
「ですが、女王陛下?霜葉君はスキルが強力なようですし。落ちこぼれ呼ばわりされるのはおかしくないですか?」
「確かに、ソウハ殿の持つスキルは強力です。ですが、それでもそのスキル専門の職業には敵わないでしょう。それぞれの職業には補助効果がありますから」
例えば剣士の職業で例えてみよう。剣術スキルが同Lvの者たちが剣で戦った場合、片方が剣士でもう片方が戦士であった場合は十回試合すれば、剣士が勝ち越すだろう。この結果は剣士が剣の扱いに特化した職業だからだ。一方の戦士は全部の武器を扱えるため剣士ほどの補助効果は無い。剣対剣の戦いでは剣士の職業が有利なのだ。もっともそれはあくまで同Lvの話ではあるのだが・・・
「では、これから霜葉君に起こることとは・・・・」
「ええ、このことで大変肩身の狭い思いをすることでしょう。例え私がソウハ殿を丁重に持て成せと言ってもアルバンが態度を改めなけれは意味はありません」
アルバン王子はこの国の第一王子で立場も相当に高い。そのような人間が一人の人間を露骨に蔑めば周りも同じようにするかもしれない。
「なぜ、アルバン王子はそんな態度を?そんなことをすれば我々からの印象が悪くなり協力を求めるうえでマイナスなのでわ?」
「アルバンは力に固執しているのです。魔王が獣王と互角の力を持っていると知り、夫が亡くなってから力こそすべてだと考えるようになってしまったのです。おそらく今回の勇者召喚で人数が多かったため力があるものを選別しているのでしょう。アルバンは勇者召喚をやるべきだと真っ先に声を出し、大多数の貴族を味方に付けて勇者召喚を認めさせましたから」
「では、今頃アルバン王子は・・・・」
「目を付けた方々を説得しているかもしれません」
多分、副会長を味方に引き込むべくいろいろやっていると思われる。
「お話を聞くに女王は勇者召喚に反対だったのですか?」
「はい、こちらの世界の事情に他の世界の方を巻き込むなど許される事ではないでしょう。ましてや帰れるかどうかもわからないのに。しかし、私の言葉に賛同してくれたのは少数の貴族に第二王子のドルトスくらいしかいませんでした。それに・・・・」
「それに?」
「・・・・皆様の前で言うのは失礼かと思いますが、召喚して呼ばれた者たちが必ずしも善人であるかわからないことも理由でした。伝承ではいいことばかりが書かれるものです。必ずしもいいことばかりが起こったわけでないと私は思うのです。ですので勇者召喚の伝承を真に受けるのも危険だと訴えたのですが・・・」
「聞く耳を持った者は少ないと?」
「はい・・・・失礼なことを申してすいません」
「いえ、国を背負って立つ者ならあらゆる可能性を考えるのは当然のことです」
女王のいい分はもっともだ。それに協力なんぞ拒否してさっさとどこかに旅立つこともあり得た。そう言う小説もあったので霜葉は勇者召喚はかなりの博打だなと思ったことがある。
「ちなみになんですが、私たちの三人のジョブはどうでしょうか?」
「ケンゴ殿とユカリさんの職業はかなり強力な物ですから、ソウハ殿のような事態にはなりません。ですが、アルバンや他の貴族が味方にするため接触するかもしれません。セイカ殿の職業は残念ながら聞いたことがありません。スキルを見る限り強力な職業のようですが・・・」
「なるほど、わかりました」
霜葉はこのお茶会の後に、聖夏先輩の職業を鑑定してみようと思った。今の状況では分らないことをそのままにしてくのは危険だと判断したためだ。さらに自分の固有スキルも試せるものは試してみようと思った。
「母上~」
その時、遊んでいたメルビス王女とレギオス王子が腕の中に二匹を抱いて戻ってきた。
「二人ともどうかしましたか?」
「この子たちが寝ちゃったので、もどってきたのです」
「わふ~zzz」
「ふにゃ~zzz」
「あらあら。可愛い寝姿ね」
王女たちの腕の中で寝ている二匹を見て、女王は笑顔を浮かべる。
「そう言えばゆうしゃ様この子たちは何てなまえなのです?」
「王女様が抱いている黒白の島縞模様の子は猫って名前の動物で、王子様が抱いている真っ白い子は犬って名前の動物です」
「ネコ?イヌ?変わったなまえなのです」
「ん?ああ、すいません。今言ったのはその子たちの種族の名前で、その子たち個人の名前はまだ付けていません」
「なまえはまだないのです?だったら早く考えてあげないとだめなのです」
「そうですね。今度会うまでには考えておきます」
「やくそくなのです」
そう言ってメルビス王女とレギオス王子は自分たちに付いていたメイドに二匹を預けて、テーブルの席へと座った。二匹を受け取ったメイドたちはどこか嬉しそうだった。
そこからは普通にお茶会を楽しんだ。メルビス王女が好奇心を抑えらえないのか霜葉たちの世界のことを何度か聞いていたが、そのたびにレギオス王子や女王陛下に注意され不貞腐れる事態が何度かあったが、それだけではなく女王陛下が勇者召喚に頼らずに魔王対策をどうするつもりだったのかを聞いたりと、霜葉たちの目的である情報収集も行った。そして・・・・
「今日は楽しいお茶会でした。この子たちも遊んでくださりありがとうございます」
「ありがとうなのです!」
「えと、その、ありがとうございました」
「僕の方こそこの子たちと遊んでくださりありがとうございます」
「わん!」
「にゃん!」
お茶会の途中で起きてから、霜葉の椅子の下で焼き菓子を貰って食べていた二匹。焼き菓子はドーナツに似たもので霜葉がこの子たちが食べても大丈夫と判断して食べさせたのだ。二匹とも嬉しそうに食べていた。
現在二匹は霜葉の腕の中だ。
「しばらくすれば、夕食の準備が整うでしょう。それまではお部屋でお休みください」
「わかりました。今日はお招きいただきありがとうございました」
「・・・・あなた方がどういう選択をしてもこちらは元の世界へと帰れる協力は惜しみません。少なくとも私はそう考えています。覚えておいてください」
女王のその言葉に霜葉たちは深く頭を下げて答えた。その後はメイドさんの案内で部屋へと戻って行った。中庭を出る時にメルビス王女が大きく手を振っていたのが印象的だった。どうやら彼女は二匹が特に気に入ったようだ。
そして部屋へと戻ってきた霜葉たちは、今後の話し合いを再開した。
「とりあえず、女王陛下は信用してもいいようですね」
「そうですね。問題ないと思います」
「だったら、霜葉のジョブの件は女王に教えてもいいんじゃないか?霜葉のことを心配してくれたんだし」
「いえ、女王陛下が信用できてもこのことは黙っていましょう」
「なぜですか?生徒会長」
「どうも、霜葉君のジョブはかなり強力な様子。しかも、本来は進化しない魔物が霜葉君の仲間になったら進化できるスキル【存在進化】があります。これだけでもかなりのメリットです。これほどの能力はあまり人に知られるべきではないでしょう。それに女王陛下に話しても根本的な解決にはなりません」
「そうですね。むしろことが大きくなりますね」
「そこでまずは、私たちの能力の把握をしましょう。特に霜葉君には超鑑定で私のジョブを調べてください。霜葉君のジョブと同じくらい謎なジョブのようですから」
「わかりました」
そうしてまずは三人のジョブを霜葉が超鑑定で調べてみた。結果は・・・・
【戦巫女Lv1】
女性が就くことのできる戦闘系最上級の職業。あらゆる武器に強い補正があり、また回復魔法術にも【聖女】並みの補正がある。【聖騎士】の女性版のようだが能力は完全に上回っている。
【守護騎士Lv1】
騎士系職業の最上級の一つ。大盾と片手で扱える武器に高い補正がある。また、鎧と名のついた物を着用すると身体能力が上がり、後ろに仲間が居る状態だとさらに能力アップ。
【聖女Lv1】
回復魔法術師最上級の職業。女性しか就くことのできない職業。回復魔法術に高い補正あり、高Lvになれば部位欠損すら治すことができる。
「「「「・・・・」」」」
全員言葉がなかった。特に【聖女】がヤバすぎる。それと【戦巫女】も同じくらいにヤバい。【守護騎士】だって前の二つほどではないにしろ強いのだろう。
「部位欠損すら治せるのかよ・・・・」
「となれば【戦巫女】も同じこと出来るかな?」
「鑑定結果を信じればできると思う」
「しかし、これが事実なら【勇者】並みに騒ぐはず、知られていないのでしょうか?」
「多分そうだと思いますよ?超鑑定は鑑定がLv10にならないと手に入らないスキルですから、Lv10になることが滅多にないようですしね。この内容を見ることができるのは超鑑定持ちだけではないかと」
ついでに霜葉は【勇者】と【聖剣召喚】の鑑定結果も三人に教えた。
「へぇ~【勇者】の職業に意思なんてあるんだな」
「【聖剣召喚】も使うのは厳しいですね」
「でしたら、早く失ってほしいものです。彼が持っているのは分不相応ですし」
生徒会長はそう言っているが、彼に就いているのだから見る目がないと言わざる負えない。職業に見る目があるかは疑問だが・・・・・
「しかし、そうなると霜葉君の言う通りかもしれませんね。私と水梨さんも注意が必要ですね」
「ですね~あ、生徒会長。私のことは名前で呼んでください」
「でしたら私も名前で呼んでください」
「はい分りました。聖夏先輩」
「これからもよろしくお願いします。裕佳梨さん」
とりあえず、二人はできるようになったら注意すればいいと言うことになった。後は、副会長が超鑑定のスキルを手に入れた時が危ないがそれは注意していくしかないだろう。【守護騎士】方は二人ほど危険と言うわけではないと結論づけた。
「次は霜葉君のスキルの検証ですね」
「でも、どうやりますか?ここには仲間になる魔物なんていませんよ?」
「それについては考えがあるよ」
「どうするの?」
「とりあえずこの子たちを【テイム】してみるよ」
そう言って霜葉は自分の膝の上でじゃれている子犬と子猫を見た。
「この子たちをですか?」
「いや、できるのか?」
「この子たちは普通の動物ですよ?」
「それなんだけど、さっき三人を鑑定した時この子たちも鑑定してみたら、この子たち魔物になってた」
「「「はぁ!?」」」
そうなのである。先ほど霜葉は三人を鑑定してついでにこの二匹を鑑定したのだ。その結果はこちら・・・
名 なし
種族 【異界犬♂Lv1/10】
スキル 咆哮Lv1 : かみつきLv1 : 嗅覚探知L1
【異界犬♂Lv1/10】
勇者召喚に巻き込まれ魔力をその身に宿し魔物となった異界の獣。まだ魔力を扱うことができない
名 なし
種族 【異界猫♀Lv1/10】
スキル ひっかきLv1 : 隠業L1 : 聴覚探知Lv1
【異界猫♀Lv1/10】
勇者召喚に巻き込まれ魔力をその身に宿し魔物となった異界の獣。まだ魔力を扱うことができない
「まじか・・・・」
「びっくりです・・・」
「魔物となったのなら確かに仲間にできますね。むしろ仲間にしないと処分されるかもしれません」
「え!そんな!?」
「確か、魔物は危険な奴らって話だからな。ばれちまうとそうなる可能性があるか?」
「うん。だからある意味丁度いいかなって思ってね。僕もこの子たちを死なせたくないし」
「わかりました。そう言うことならためしてみましょう」
「はい、二人ともちょっといいかな?」
「わん?」
「にゃ?」
霜葉は二匹に声を掛け、自分に注目させた。
「これから二人を仲間にするために、あることをするから承諾してくれたら嬉しいな」
「わん!」
「にゃん!」
「じゃあ、いくよ?【テイム】!」
霜葉がそう言うと、2匹が淡く輝きだし霜葉にも何やら誰かと繋がった感覚を感じた。しばらくすると二匹の輝きは収まった。すると・・・
≪【異界犬♂】と【異界猫♀】のテイムに成功。条件達成。【思念会話】がLv2にアップします≫
「はい?」
「ど、どうした!」
「まさか、失敗?」
「ああ、ちがうよ。今頭の中で声が聞こえてテイム成功と固有スキルのLvが上がったって」
「声ですか?」
「はい」
『ご主人~僕も聞こえたよ~』
『私も聞こえましたよ~』
「え、え?」
『後、ご主人~名前ちょうだい~』
『私も名前が欲しいです~』
唐突に聞こえてきた子供の男の子と女の子の声この正体は・・・・・