第一章 第三話 女王国編3
霜葉は【鑑定】持ちであるか確かめるために自分自身を鑑定した。その結果鑑定できてしまい、自身のステータスが表示された。しかしそこに表示された物は・・・
名 動島 霜葉
職業: 【軍勢の魔王Lv1】
固有スキル: 【存在進化】:【箱庭世界Lv1】:【思念会話Lv1】
スキル: 回復魔法術Lv10 : 付与魔法術Lv10 : 錬金術Lv10
調理術Lv10 : 魔道の極み : 魔力強化・極
魔力回復強化・極 : 無詠唱 : 職人の極み
超鑑定 : 超隠蔽
(なんで僕、魔王なの~!!これっていったいどういうこと!?)
「霜葉君?どうかしましたか?」
「!せ、聖夏先輩!!」
「わん!」
「にゃ!」
「あ!ごめんよ二人とも」
「あら?その子犬と子猫はどうしたんですか?」
「どうも逃げ出したらしく、体育館に来て巻き込まれたみたいなんです」
「ああ、そう言えばおじい様が、朝に保健所の方が動物たちの健康診断に来てくれると言っていましたね。では、その時に逃げ出したと言うことですか?」
「多分、そうだと思います」
「ふふ、もしかしたら霜葉君に会いたいがために逃げ出したのかもしれませんね?」
「そうなの?」
「わん?」
「にゃ?」
二匹に尋ねても首を傾げるだけで、よくわかっていないようだ。
「まぁ。二人とも僕に懐いていますし可能性はあるかと・・・聖夏先輩?」
「か、かわいい・・・」
生徒会長は二匹の可愛さにノックアウト寸前だった。
「そうだ、聖夏先輩この子たちを預かってくれませんか?」
「え!私がですか!?」
「この子たちをできればあまり目立たせたくないんですよ。どういう扱いをされるかわかりませんから。ですから、僕の能力調べが終わるまででいいのでお願いします」
「なるほど、そう言うことですか。わかりましたが私で大丈夫ですかね?」
「ちゃんと言い聞かせますし大丈夫だと思いますよ?無理そうなら朝に紹介した健吾君と裕佳梨ちゃんに預けてください」
「わかりました。お預かりしますね」
そう言うと霜葉は2匹を生徒会長に渡して、二匹に声を掛けた。
「いいかい二人とも?この人と一緒に待っててね。大人しくしてるんだよ?」
「わん」
「にゃん」
「では、聖夏先輩。よろしくお願いしますね」
「は、はいわかりました・・・・うわ~ふわふわでやわらかい・・・」
生徒会長はもはや二匹にメロメロであった。霜葉は苦笑して列へと向かう。列へと並び霜葉は先ほどの鑑定結果を考えていた。
(まずは、鑑定スキルで職業の詳細が見れるか確認だな)
【軍勢の魔王Lv1】
魔物使い職業の最上級の職業。できることは魔物を仲間にすることができる【テイム】戦闘時に仲間の能力が上がる【統率】そしてこの職業の真骨頂は【軍勢】である。仲間が多ければ多いほど自身や仲間の能力が上がるのだ。また仲間の魔物の教育や指示にも補正がある。
(よし、見れたぞ。しかし魔王が職業って変なの。でも、この分だと闘争の魔王もただの職業の可能性があるってことか。まあ、それで暴れてるんだから事情があったとしても許される事ではないよね。さて他のよくわからないスキルも見ておこう)
そう考え霜葉は文字だけではわからないスキルを確認していった。その結果以下のことが分かった。
【存在進化】
仲間の魔物がLvMAXになれば進化させることができる。
【箱庭世界Lv1】
自身と仲間の魔物が入れる世界を作り出す。Lv1の場合は小さな無人島規模
【思念会話Lv1】
仲間の魔物と思念で会話できる。Lv1では自身も合わせて5人同時が限界
超鑑定
鑑定の上位互換。鑑定Lv10に到達すればスキル進化可能
超隠蔽
隠蔽の上位互換。自身のステータスまで隠蔽できる魔王専用スキル。ただし、超鑑定には敵わない
(超隠蔽!これは使える!)
詳しいスキルの詳細を見た霜葉は超隠蔽のスキルを使い、早速ステータスの隠蔽を行った。このステータスはヤバ過ぎると考えたのだ。魔王対策に呼んだ異世界人の中に魔王がいるなどとわかれば絶対よくないことが起こる。これは絶対隠さなければならないことだ。そうして霜葉は四苦八苦しながらスキルを使いステータスを隠蔽した。その成果は・・・・
名 動島 霜葉
職業: 【魔物使いLv1】
スキル: 回復魔法術Lv5 : 付与魔法術Lv5 : 錬金術Lv5
調理術Lv5 : 魔道の極み : 魔力強化 : 魔力回復強化
無詠唱 : 職人の極み
(とりあえず、職業は【魔物使い】しておいて、固有スキルの項目は消してスキルの方も極なんて文字も隠そう、ろくなことにならないだろうし。後、超鑑定と超隠蔽も隠しておこう。超隠蔽は見られるわけにはいかないし、超鑑定の方もスキルLvMAXで手に入るなんて絶対持ってたらヤバい物だ。他のスキルもLvは5くらいにしておこう)
ステータスを隠蔽し終わってあとは実際に能力調べの水晶球をだませるかだが、もはやぶっつけ本番で挑むしかない。霜葉は緊張しつつ自分の番が来るのを待った。何人もの生徒の能力が表示される中、貴族たちはその様子を嬉しそうに見ていた。今の所能力が極端に低い者はいないようだ。霜葉がそんな考えをしている時・・・
「「「おおお!!!」」」
「ゆ、勇者だ!職業が勇者の者がいたぞ!!」
「な、なんと本当に勇者が居ようとは・・・」
2階の貴族たちがこの日一番の反応をしている。何事かと霜葉は空中表示されているステータスに注目して
その意味を理解した。
名 東漸 清志
職業: 【勇者Lv1】
固有スキル: 【聖剣召喚】
スキル: 剣術Lv7 : 盾術Lv7 : 光魔法術Lv7
身体強化・極 : 魔道の極み : 魔法力強化・極
魔力回復強化・極 : 無詠唱 : 鑑定Lv5
生徒会副会長 東漸 清志 彼のステータスは生徒会長と比べても高いと言わざる得ない。Lv7は三つもあり、ユニークスキルも5つある。しかも、霜葉は見ていなかったのでわからないだろうが、他の生徒たちよりも明らかに頭一つ抜け出ているのだ。ステータスだけ見れば副会長は全生徒中最強である。もっとも・・・
「なんと・・・まさか本当に勇者の職業に就いてる者が居ようとは・・・」
「そんなにすごいことなのか?」
「ええ、勇者の職業は強力で今まで存在しているとは、各国の資料などで記述がありわかっていたのですが、それに就けた者は皆無でした。まさかこの目で勇者を目にすることになろうとは・・・」
「そ、そんなにすごいのか・・・」
「はい、貴方様さえいてくだされば魔王など恐れる必要はありません。どうか我が国のために力を貸していただけませんか?」
「ま、まぁ、この国が魔王のせいで滅べば、我々は元の世界へ戻ることができなくなるかもしれないからな」
「おお!では!!」
「勇者である、俺はこの国に力を貸してやろう。魔王は任せておけ!」
「心強いですな!」
アルバン王子に煽てられてその気になる様は、とても勇者には見えなかった。大半の生徒が「あいつが勇者でいいのか?」と思ったに違いない。一方霜葉は・・・
(ん~鑑定がLv5か・・・もう少しで超鑑定になっちゃうな。ああ、でも他に鑑定持ちが居たかもしれないんだ。しまったな~注意しておけばよかった。とりあえず勇者と聖剣召喚は気になるから鑑定してみるかな?)
鑑定持ちが自分以外に居るかもしれない可能性に気付いて、とりあえず勇者と聖剣召喚を鑑定してみた。
【勇者Lv1】
戦闘系職業の最上級職業の一つ。なろうと思ってなれる物ではなく。なった後でも職業自体が相応しくないと判断すれば失う。この職業はなってからが本番だ。
【聖剣召喚】
神が創ったとされる聖剣を召喚する。しかし、聖剣に認められなければ扱うことができない。まずは地力を上げよう。
(なるほど、なかなか難しいジョブのようだね)
失う可能性があるとは、この職業に就いた者がいないのはそう言うことなのかもしれない。就いたとしてもすぐ失ったりとかしたのかもしれない。
「あれ?霜葉君あの子たちはどうしたの?」
霜葉が勇者について考えていたところ、裕佳梨が話しかけてきた。
「あ、裕佳梨ちゃんもう終わったんだ。で、どうだった?」
「うん、能力はあるみたいで高いって言われたわ。とりあえずは一安心かな?」
「それはよかったよ。よければあとで教えてね?僕緊張してて見てなくてさ」
「霜葉君ならいいよ。健吾君にも言っておくね。それで霜葉君?」
「ああ、あの子たちなら聖夏先輩に預けてきたよ」
「生徒会長に?」
「うん、たぶん大丈夫だと思うけど、裕佳梨ちゃん様子見てきてくれる?」
「それはいいけど・・・何か問題でもあるの?」
「うーん、ちょっとね。だからお願い」
「わかったわ。健吾君と合流して見てくるね」
そうして裕佳梨は健吾と合流するため霜葉と別れた。そしてついに霜葉の番がやってきた。
「では君の番だ」
「はい・・・動島 霜葉です」
アルバン王子の差し出した水晶球に手のひらを置いて、名前を言った直後空中に表示されるのは隠蔽されたステータスだった。
(よかった~ちゃんとスキルが働いてくれて・・・・?)
しかし、霜葉のステータスを見た者たちの反応が・・・
「ま、魔物使い?」
「よりにもよってあの使えない職業持ちか!」
「ですが、他のスキルは有用な物がありますぞ?そちらで頑張ってもらえれば・・・」
「だが、それでも職業の補助がないときびしいのではないか?」
なぜか皆否定的な雰囲気だ。この時の霜葉はなんでこんな雰囲気になったのかが分からないでいた。
「あの~皆さんどうしたのでしょうか?」
「・・・・・ふん、一番使えない者が出てきたか。(ボソ)」
「え?」
この時のセリフを霜葉は聞き取っていた。そして、アルバン王子が霜葉を見る目が明らかに見下しているのを感じた。
「あの~?」
「もう終わったのだぞ?とっとと下がるんだな」
対応も変わりどこか厄介者扱いの感じがする。そこへ・・・・
「アルバン!何ですかその言葉は!!」
「母上・・・・」
女王が割って入りアルバン王子の態度に対して物申した。
「彼らは我々の都合で呼び出してしまったのですよ!それをあなたは理解しているのですか!?」
「よく理解していますよ?ですがこれだけの人数です。中には落ちこぼれが居ても不思議ではないでしょう?」
「まだそうと決まったわけではないでしょう!それにあなたが言いますか!?あなただって最初は・・・」
「私は違いますよ?私は”特別”です。今の力を手に入れたのだって当然の結果です」
「な!?」
「おいアルバン?それはちょっと言い過ぎってもんだぜ?俺やお前は最初は・・・」
「何を言っても私の考えは変わりませんよ?それに今はこんな言い合いをしている暇はありません。あなたも早く下がりなさい」
「そうします」
女王の言葉や第二王子の言葉にも動じないアルバン王子。何を言っても無駄でありあまり長引かせるのは得策でないと判断し、霜葉は素直に言うことを聞き聖夏先輩を探しに行った。
(それにしても落ちこぼれね・・・・スキルの方は問題なさそうだけど問題なのはジョブかな?何か理由があるのだろうか?)
そう考えながら、生徒会長とその周囲にいる友人二人を見つけ霜葉は声を掛けるのだった。
「聖夏先輩。その子たちを預かってくれてありがとうございます」
「わぅ~」
「にゃ~」
霜葉が来た瞬間に2匹は生徒会長の腕の中から飛び出して、霜葉の足にまとわりついた。
「こら、大人しくしないとダメだよ?」
そんな2匹を抱き寄せて、霜葉は友人二人に話しかけた。
「二人もお疲れ様。裕佳梨ちゃんは聞いたけど、健吾君はどうだった?」
「俺の方も能力は高いらしいぜ?それよりも霜葉お前は大丈夫か?なんか女王と第一王子が揉めてたけど」
「それなんだけど、僕は落ちこぼれらしいよ?」
「え、どういうこと?」
「・・・・くわしく聞かせてください」
それから三人に先ほどの霜葉のステータスのジョブが原因と思われる騒動を話した。
「へぇ~霜葉は【魔物使い】かなんかぴったりだな?」
「うん、霜葉君らしいよね。でもなんでそのジョブだと落ちこぼれなんだろう?」
「理由はわかりませんが、だからと言って態度を急変させるのはどうかと思います・・・・やっぱりあの人は信用できませんね(ボソ)」
「わう!」
「にゅう!」
何やら子犬と子猫も怒っているが、ついでに生徒会長も何やら不穏な雰囲気だ。
「ちなみに、二人のジョブは何だった?」
「俺は【守護騎士】だったな」
「私は【聖女】だったよ」
「へぇ~二人もぴったりじゃん」
「そ、そうか?」
「わ、私は【聖女】なんて似合わないよ~」
「あら、そんなことはありませんよ?水梨さんにはよくお似合いです」
「え~!」
「健吾君も騎士甲冑が似合うよ、きっと」
「まあ、ああいうのは憧れはするよな~」
(ちなみに、僕のステータスには秘密があるんだ)
(((え!?)))
(ここでは言えないから、多分この後部屋とかに案内されると思うから、その時にでも話すね)
(わかったぜ)
(う、うん)
(私もいいのですか?)
(聖夏先輩にもいろいろ聞いてほしいから、お願いします)
(わかりました)
それから霜葉は二人や生徒会長に今まで鑑定スキルを持った生徒はいたか、聞いてみたが副会長以外はいないと言う結果だった。その後の能力調べでも鑑定持ちはいなかった。
(じゃあ、注意するのは副会長くらいかな?三人に副会長には僕のステータスを明かしてもいいか聞いてみないとね)
それからも能力調べは続いた。皆が就いた職業は本当に様々であった。戦闘前提の職業では剣士、戦士、格闘家、弓士、各属性の魔法術師。さらには非戦闘職業でも、鍛冶師、皮革職人、薬師、錬金術師、料理人、大工、彫金師などなど実に多才だった。もっとも非戦闘職業に就いていても、戦闘ができないわけではないようである。二つくらいは戦闘用のスキルを持っていたためだ。少なくとも自衛ぐらいはできそうであった。残念ながら、元の世界に帰れるような能力持ちはいなかったが。そして・・・
「アルバン王子、すべての者たちを調べ終わりました」
「わかった。ご苦労だったな下がっていいぞ」
「では失礼します」
アルバン王子以外の三人は広間から出て行った。そのうちの一人がアルバン王子の持っていた水晶球を受け取り持って行った。その後王子は所定の位置に戻り、女王が口を開く。
「皆様お疲れ様でした。この後は部屋で休んでもらいたいと思いますが、何分皆様の数が数です。できれば数人と一緒の部屋でということにしたいのですが、構いませんか?」
「仕方がないと思います。皆もいいですか?」
生徒会長の声に反対する生徒はいなかった。
「ありがとうございます。では案内させますのでしばしお待ちを・・・」
そう言うと女王は両隣に居た子供と王子二人を連れて、生徒たちが入ってきた扉とは別の扉で広間を出て行った。女王は出て行く前に、霜葉に視線を合わせて軽く頭を下げた。その様子はどこか謝っている様子であった。
(うん。やっぱり女王は信用してもいいかもしれないな。少なくともアルバン王子よりはましだね)
「霜葉。俺達と一緒の部屋にしようぜ?」
「俺達って裕佳梨ちゃんも?」
「はい、今は信用できる人と一緒の方が安心できるので。他の人たちもそうしているのがちらほらいますし」
そう言われ霜葉は周りをぐるりと見渡した。確かに男女で一緒にいるグループが何組がいるようだ。大人が居ないのも影響しているのだろう。
「わかったよ。よろしくね二人とも」
「おう」
「こちらこそ」
「わん!」
「にゃん!」
「二人もよろしくだって」
二匹の反応に二人は笑顔になり、健吾は子犬を裕佳梨は子猫を撫でている。そんな三人に能力調べが終わった後に生徒たちの先頭に移動していた生徒会長が現れた。
「三人は一緒の部屋ですか?」
「そうですよ。聖夏先輩はどうするんですか?」
「生徒会のメンバーと手分けしてまだ不安がっている生徒たちと一緒の部屋にしてもらいます。特に女子が多いようですしそのフォローをしないといけませんから」
「そうですか・・・」
全く未知の世界へと覚悟もなくいきなり放り出されたようなものなのだ。不安になるのも無理はない。むしろ霜葉はその不安が長引いて、体調不良や最悪暴走しないか心配だった。
「大丈夫です。我が高校に在籍している生徒は自身の未来のことを考えて入学を決めた生徒たちです。それは普通科の生徒も同じはずです。今は状況に追いつけないだけですよ」
「あ~確かに。受験勉強大変だったからな~」
「ふふ、健吾君凄く頑張ってたもんね」
「・・・確かにそうですね」
「ですから、この考える時間の間に落ち着かせようと思います」
「がんばってください。僕で役に立つことがあれば言てくださいね?」
「生徒会長。俺も協力しますよ?」
「私もです」
「ええ、ありがとうございます」
(それと、三人の部屋を把握してある程度手が空いたら後でお邪魔しますね)
(わかりました)
話し合いが終わり、生徒会長は次のグループへと向かって行った。一つ一つのグループの確認と精神状態の把握もしているのだろう。
「こう言っちゃあなんだが、生徒会長が居てくれてよかったぜ」
「そうですね。教員が居ないこの状況ではすごく助かっています」
「でも聖夏先輩ばかりに負担を強いる訳にはいかないし、僕たちも協力できることはしようね」
「ああ、もちろんだぜ」
「がんばります」
しばらく経つと、メイドさん達が現れて生徒たちを手分けして案内してくれた。本物のメイドさんの登場に一部の男子と女子が騒いだが、メイドさん本人は笑顔のまま対応してくれた。プロである。
霜葉たちも100人くらいの集団でメイドさんを先頭に進んでいる。その中に生徒会長の姿もある。ここは城の中であり生徒たちが最初に居た所は大きな大聖堂ような場所で、建国当初からあるこの国でも一番古い建物らしい。メイドさんが説明してくれた。
メイドさんの案内で辿り着いた場所は、部屋の扉がずらりと並んでいる。
「ここのお部屋をお使いください。できれば端から順番に埋めてくだされば嬉しいです」
「わかりました。案内ご苦労様です」
「どういたしまして」
メイドさんの対応は霜葉が行っていた。生徒会長はまだ不安がっている生徒たちの対応をしていたためだ。
ついでにメイドさんに子犬と子猫のことを聞いてみた霜葉。自由にさせる事は出来ないがちゃんと管理してもらうのを条件に承諾を貰ったようだ。多分女王から霜葉たちの要望はできるだけ聞くように言われているのだろう。
なお、メイドさんは二匹の可愛さに感激していたので撫でたり抱っこさせている。ふわふわの毛並みが癖になると言っていた。
それから端から順に生徒たちが部屋へと入って行き、霜葉たち三人も真ん中くらいの部屋へと入った。部屋はかなりの広さがあり部屋は二つあり奥の部屋にベットが一つその前の部屋にベットが二つ、さらにはシャワーとトイレ付だった。後でメイドさんに使い方を聞いてみよう。
「奥の部屋は誰が使うか?」
「僕が寝るときに使うよ」
「いいんですか?」
「二人は一緒の方がいいでしょう?」
「だ~変に気を使うんじゃねえよ!」
「ふふ、でもありがとうございます」
「わう~♪」
「にゃ~♪」
三人が部屋割りを決めて二匹がベットで寛いでいると、部屋をノックする音が聞こえた
「どなたですか?」
「聖夏です。入ってもいいですか?」
「どうぞ~」
「失礼しますね」
「生徒会長、生徒たちの様子はどうですか?」
「ええ、なんとか皆さん落ち付いて来ました。他の場所も生徒会のメンバーが今頃頑張っているはずです」
「手助けにはいかないんですか?」
「最終的にフォローはしますが、私もいつも助けられるわけではありませんし、できるのなら自分たちで解決してほしいですね」
「なるほど」
とりあえず立ち話もなんだと言うことで、二つあるベットに腰掛けることになり霜葉の隣に聖夏が、健吾の隣に裕佳梨が座り、寛いでいた二匹は霜葉の膝の上に飛び込んできた。
「さて、霜葉君。広間で言っていたあなたのステータスの秘密を教えてくれますか?」
「はい、そのことでいろいろ相談したいこともありますからいいですよ?」
「いったいどんな秘密なんだ?」
「ごくり・・・」
それから霜葉は自身のジョブとスキルについて語った。自分の本当のジョブは魔王でありスキルもLvは10もあり、極や超などが付いたやば目のスキルについても包み隠さず教えた。
「「「・・・・」」」
「これが僕のステータスの秘密です。さすがに魔王なんてジョブを晒すのはまずいと思いまして、超隠蔽があって助かりましたよ」
「はぁ~そんなことになってたのかよ。て言うか魔王って職業なのか?」
「それは僕も思った」
「でも確かにまずいよね。魔王に対抗するために呼んだ異世界人の中に魔王がいるなんてわかればどうなるか・・・」
「ええ、そうですね。ただ、女王陛下は信用できるかもしれません。少なくともあのアルバン王子よりは」
「僕も同じ考えです。女王には教えてもいいでしょうか?」
「いえ、それはまだ止めておきましょう。あくまでも現時点ではです。霜葉君の今後を左右しかねないことですから、慎重に行動しましょう」
「そうですね。わかりました」
「でもよ、なんで教えてくれたんだ?そりゃ、教えてくれたのは嬉しいぜ?でもばれる可能性を少しでも減らしたいなら黙ってた方がよくないか?」
「理由は二つあるよ。一つは三人とも信用しているから絶対誰にも言わないと思ったんだ」
霜葉のこの発言で健吾は照れ隠しのように頭を掻きまくり、裕佳梨は「ふふ」と微笑んでいるし。生徒会長は・・・
「ありがとうございます。その信頼を裏切るようなマネは絶対しません」
「はい、ありがとうございます」
などと男前な宣言をしていたりする。
「あ~で、もう一つは?」
「それは、超鑑定が関係しているよ。超鑑定だと超隠蔽でも隠し通せないみたいだから、しかも鑑定スキルがLv10になると超鑑定になるらしいんだ。だから・・・」
「なるほど、超鑑定スキルになる可能性がある。副会長が気になるわけですね?」
「はい、聖夏先輩。それで副会長ってどんな人?問題がない様なら教えようと思うんだけど・・・」
「やめとけ」
「「やめときましょう」」
三人が霜葉の意見を否定した。
「・・・・そんなに問題がある人なの?」
「問題だらけだ。まず、東漸グループの人間は他人を蹴落とすして今の地位を築いてきたからな」
「加えて、企業戦略も強引その物です。法律ぎりぎりの手で数々の企業が頭を抱えています」
「さらに言えば、当の本人も自分の思い通りにならないと気が済まない性質ですので、間違っても他人のために何かする人ではありません」
「・・・・そんな人が良くうちの高校に入れたね」
「我が高校はあくまでも学ぶ意欲があるなら受け入れる校風ですからね。彼は普通科ですが、それでも成績は優秀で授業態度も問題ありません。と言うより、問題など起こせばおじい様が容赦なく退学処分を言い渡しますし、目的があって我が高校に来たのでしょうしそこまで愚かではないと言うことです」
「・・・・じゃあ生徒会に居るのは?」
「ある意味監視のためですね。もっとも彼にしたら願ったり叶ったりでしょうが」
「あ、それって・・・」
異世界に来る前に校長が言っていたことを思い出した霜葉。東漸グループから高坂財団に見合い話があったことを。
「その様子ではおじい様から何か聞きましたね?」
「あ、はい。聖夏先輩に御見合い話があったと」
「その相手は、副会長ではなく彼のお兄さんなんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、ですから彼は焦っているのですよ。私がその話を受けたりすれば自分の苦労が台無しになるから」
「あれ、でも校長は叩き返したって?」
「どうやら教えられていないようです。副会長は東漸グループでは立場が低いようですから」
なんとも世知辛い話である。
「あの~いいんですか?そんな話俺達に聞かせても?」
「かまいません。耳のいい者はもうすでに知っている話ですしね」
「あ、そうなんだ」
「まあこの話はもういいでしょう。問題は副会長に霜葉君の秘密がばれる可能性があり、副会長が知ればことを自分のためだけに利用しかねないことです」
「・・・・そこまでしますかね」
「すると思うぞ」
「まちがいなくね」
三人の意見が一致したことで、霜葉は己の否定的な考えを捨てた。よく知りもしない自分の考えはあっても邪魔なだけだからだ。
「でも、どうするよ?正直回避する方法が分からねぇ」
「一応、方法がないわけではないんだけど」
「どんな方法ですか?」
「それはですね・・・」
霜葉が説明しようとした時、またしてもノックの音がした。霜葉は二匹をベットに下ろし立ち上り扉の前に立った。
「どちらさまですか?」
「メイドです。女王陛下よりお茶会のお誘いを伝えに参りました」
意外な申し出を口にした。女王の目的とは・・・・