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第二章  第十四話  魔人国編14

連続更新ラスト!

ゴブリン問題が解決して、街にも日常が戻った。しかし、破壊された門や壊れた外壁など問題はまだ残っている。霜葉はまた同じことが起きた時のための対策を考えるために、ゴブリン問題で起こった事を把握するための話し合いに参加していた。


話し合いは順調に進んでいた。まずはサティス達討伐隊のことが話され、始めは順調にゴブリン達を討伐していたのだが、ゴブリン達の戦い方に疑問を抱いた実力者たちがその理由を口にしていた時にゴブリン達の奥でレッドウッドの煙を確認した。


その直後四方の森からゴブリン達が現れ討伐隊を包囲した。そのゴブリン達に同調して戦っていたゴブリン達も攻勢に出てこのままでは厳しい戦いになるところだったが、すぐさまサティスが討伐隊を四つに分け完全に囲まれる前に攻めて事なきを得た。


しかし、これだけのことをしたゴブリン達の中にキング種が居なかったのが気になりゴブリン達を半分ほど討伐した時に騎士たちだけ街へと戻ったのだ。その後は兵士と冒険者たちで残りのゴブリンを討伐して死体の処理と捕まっているであろう女たちを助けに行ったのだが・・・


「女性たちはどうなったのだ?」

「・・・・」

「サティス?」

「これからの話は奥様やアルノル、ミルスには酷な話になりますよ?」

「それは・・・」

「構いません。領主の妻として起こった問題の経緯は把握するべきでしょう」

「兄上。私も覚悟はしています」

「私もです」

「・・・・わかりました。ジプス続きを頼む」

「はっ」


そう言葉にした後、ジプスが続きを話した。兵士や冒険者たちがゴブリンの群れが生活していた場所の奥に女性を三人発見した。だがその三人はすでに死亡していた。しかもその内の二人は自ら命を絶ったようなのだ。


と言うのも、残り一人があまりにもひどい状況だったからだ。犯されたのは言うまでもなくそれ以外にも拷問を受けたようで傷が無数にあった。致命的な外傷はなかったことから拷問を受けすぎてそのまま亡くなった様なのだ。残りの二人はその様子を近くで見せられていたようで、絶望して自ら拷問に使用されたとみられる剣で喉を突き刺して死亡したようなのだ。


「・・・・その女性たちの遺体はどうした?」

「さすがにゴブリンどもと同じ場所で火葬するのはあんまりだと思ったので、身ぎれいにして布をかぶせて街へと同行させました」

「・・・・わかった。その女性たちは後で手厚く送ってあげよう」


その後、この女性たちは騎士たちと領主夫妻に見送られ火葬が行われた。この世界では火葬が一般的であり、火葬された場所は終わった後に土を掘り返して真新しくするのが礼儀である。


その後の話し合いは街の戦いのことへと移った。トマス、アルノル、ミルスが順番に話して霜葉がその説明の補足を行うと言う形で行われた。そしてかなりの大問題であるブルドルの行った行為をトマスによって話された。


「以前から問題のある人物だとは思っていたが、まさかそのようなことをするとは・・・・」

「ダディン様!ギルドの者がこのような事をしでかして誠に申し訳ありません!」


オルフ殿は立ち上るとテーブルに手を付け深々と頭を下げた。この一件は下手をすれば個人のしでかしたことで済まされるようなことではない。場合によってはギルド全体に類が及ぶほどの大問題に発展する可能性があるのだ。しかし、ダディン様はそこまで事を大きくするつもりはない。


「顔を上げてくれオルフ殿。今回の件はブルドルを探し出して彼に責任を負わせるよ。今回の件では冒険者たちも頑張ってくれたんだ。特にデルタ殿とソウハ殿のおかげで街は無事だったのだしな」

「あ、ありがとうございます!」

「ただ、さすがにギルドに全く責任がないとまでは言えないので、今回壊れた外壁の修理費用をギルドが最低半分は出してもらうことで責任を取ってもらう」

「わかりました」


この後の話し合いで壊れた外壁の修理費用のほとんどをギルドが支払うことに決まった。と言ってもそのお金はこの街にあるブルトルの物である土地や建物を売りに出して支払わるので実質ギルドが払うお金は少なくなったのだが。この話し合いの後にブルトルのことは公表され、魔人国全土に指名手配された。ギルドの情報網ですぐさま街々に知らされたことで、数日後にはブルトルと子飼いの冒険者たちは捕まった。


次の話し合いでは、ゴブリンキングを倒した謎の騎士についてだ。その騎士を最初から目撃したのは霜葉だけであり、ミルスは途中から外壁の上で遠目で確認しただけでありあまり詳しくない。アルノルも助けられたのは知っているがその後は気絶したのでこれまた詳しくない。


と言っても霜葉も詳しいわけではない。いつの間にか現れてゴブリンキングと戦い敵ではないようなので付与魔法術で援護した後はゴブリンキングの攻撃で負傷した人たちに回復魔法術を施して回った。白夜と十六夜、ルナは魔法術で援護を行い戦ってはいた。ゴブリンキングを倒した後も唐突に消えてどういう人物かもわからないと。


言うまでもなくこの謎の騎士は霜葉の新しい仲間のスケルトン・ナイトのガウェインなのだが、さすがにすべてを説明すると霜葉のジョブを疑われるかもしれないので、詳しいことは何も知らないと言うのが一番いいのだ。下手のことを言ってボロを出すよりかは断然いいのだ。


「いきなり現れていきなり消えたと?まさか時空魔法術か?」

「その様なスキルを持った騎士など聞いたこともありませんな?」

「とはいえ、この街を救ってくれたのは事実。会って礼が言えないのが残念です」


この場に居る者たちは謎の騎士が何者かは気になっている様だが、正体不明ではあっても街を救い、ゴブリンキングの毒牙からアルノルを助けてくれた事実で皆好意的に受け止めてくれている様だ。少なくとも危険視はしていない。霜葉も顔には出さないがほっとしている。


余りに情報が少ないので探すのも困難とされ、謎の騎士のことは棚上げされることとなった。最後にゴブリンキングの素材と持っていた武器の魔道具をどうするか話し合われた。この武器はおそらくはどこかの商人が手に入れた商品だったのだろうが、持ち主である商人に返すと言うことはしない。そもそも探すのが困難であるのと、これほどの魔道具だと自分たちのだと騙そうとする者たちも出てくるので今回活躍した者たちに報酬として渡すことになった。


「冒険者ギルドとしましては、今回の件の立役者であるデルタと最も活躍したソウハ君が相応しいかと思います」

「うむ、私も同意見だ。事前に皆にも聞いてみたが全員が賛成してくれたぞ」


オルフ殿はデルタと霜葉を推して、ダディン様もその意見に賛同して周りでは全員が頷いている。


「ソウハ君。君が欲しいのはどっち?私としては解体までしたんだしキング種の素材は君が貰ってもいいと思うわよ?」

「デルタさんこそ。キング種の骨で新しい大剣を作ったほうがいいのでは?」

「う~ん。魅力的な提案ではあるのだけど~今使っている大剣もキング種ほどではないけどいい素材で作っているしまだまだ使えるからね~」


霜葉はそれほど素材が欲しいと言う考えではない。そもそも貰ったとしても売る以外の選択肢がないのでもったいないと考えている。皮で新たな革鎧を作ってもらうこともできるが、戦闘はしていてもほとんど被弾してないので真新しいままであるので、欲しい理由としては弱い。


デルタも今使っている武器に愛着があるのか、それほど欲してはいないようだ。もう一つの魔道具も武器としての種類が大斧であるのでこれまた貰っても売る以外選択がない。霜葉は召喚者の中に大斧を武器として選んだ人が居たので貰っておこうかと思ったが、いつ再会できるかわからないためこの考えは却下した。


「ふむ。ではこちらから提案があるのだが聞いてくれないか?」


ダディン様の提案はこの二つの報酬をこちらが買い取るので彼ら二人にはその買い取り額を与えるという物だ。この提案を二人は受け入れて、早速ダディン様は用意していた金貨15枚を二人に渡したのだった。


「ちなみに、興味方位で聞くのだけど領主様?買い取った物はどうするの?」

「今回の件を王都へ報告するのに持って行くつもりだ」

「王都へですか?」

「ああ。これほどの素材なら王が使う武器に相応しいのではないかと思ってね。王が使っている武器もそろそろ月日が経っているから換え時だろう。魔道具の方は近衛騎士団長が大斧使いだから譲ろうかと思ってね」


今回の一件はこの街だけではなく国全体でも教えておく方がいいとダディン様は考えている様だ。ゆえに王都で王に報告するとともに他の領地の貴族たちにもこのような事があったので油断するなと警告したいらしい。無論、それだけではなく・・・・


「それに今は姿を現さない魔王の問題もある。この国で一番の実力者である王の武器は早めに新しくした方がいいだろう」


この魔人国の一騎当千の強者はこの国の王でナナリ様の兄であるイルバス・デュルファンドであり、彼は雷魔法術と槍を使い、国内外からは【雷帝】と呼ばれている。獣王と互角に戦った魔王という者を警戒するなら確かに武器の問題は早めに解決した方がいい。


「魔王問題・・・それがありましたな」

「確かに獣王と戦ってから姿を現さないけど、油断はできないわね」


オルフ殿とデルタさんはダディン様の言葉で魔王のことを考えている様だ。今回のように魔王が現れたら彼らがどうにかしなくてはならないのだから当然だろう。


「話が逸れてしまったが、話し合いはこれで終わろうと思うが、ほかに言い忘れたことはないかな?」


ダディン様の確認に皆は何も言わずこれにて話し合いは終わりとなった。その後霜葉以外の人たちはやることがあるようで忙しく部屋を出て行った。この部屋に残ったのは霜葉ともう一人・・・・


「ナナリ様。僕も皆と合流して帰りますね」

「はい。今日はありがとうございました。ソウハ殿が居なければ街はどうなっていたことか・・・本当にありがとうございます」

「いえいえ。僕はやれることを全力でやっただけですので、この街の住人達も協力したからこそですよ」


霜葉の言葉にナナリ様は再度頭を下げてお礼を口にした。王族に頭を下げられ照れている霜葉を助けるように部屋へと入ってきたメイドがナナリ様にある報告をした。


「奥様。リルファ様とアルト様がソウハ様の魔物たちと遊び疲れて寝てしまいました」

「まぁ?それは本当ですか?」

「はい。場所は中庭の大きな木の下なのですが、御二人も魔物たちも気持ちよさそうに寝ているため起こすのも忍びないので、御二人には大き目のタオルをかけておきました」

「わかりました。案内してもらえますか?霜葉殿もご一緒に」

「はい、お願いします」

「では、こちらへ」


メイドさんの案内で中庭へと向かうナナリ様と霜葉。たどり着いた場所では・・・


「ワフ~zzz」

「ニャ~zzz」

「ぐぅ~zzz」

「まぁ~zzz」

「ぐる~zzz」

「ぴ~zzz」

「んん~zzz」

「くぅ~zzz」


魔物たちも一緒に丸くなり木の下のこぼれ日の中ぐっすりと寝ている子たちの姿があった。ルナは木の枝にとまり器用に寝ているが。リルファちゃんは白夜と十六夜を抱いて寝てるし、アルト君などは新月たちと一緒になって埋まりながら寝ている。


「あらあら♪何とも幸せそうな絵です事」


この一枚の絵画のような場面にナナリ様は満面の笑みを浮かべ微笑ましい雰囲気で見つめていた。周りにいるメイドさんたちも笑顔である。


「これは起こすのは可愛そうですね。しばらく起きるのを待たせてもらってもいいですか?」

「ええ、もちろんですよ。あなたたちはここにテーブルと椅子を持ってきてくれますか?それと軽く食べられる物もお願いね」

「はい、奥様」


メイドさんが持ってきてくれた丸テーブルに軽くつまめる蒸しパンやサンドイッチなどが置かれ、その傍に行かれた椅子に座りナナリ様と霜葉は他愛無いおしゃべりをして過ごした。途中で起きたリルファちゃんとアルト君、魔物たちも加わり彼らはこの日は賑やかに過ごした。


それらか数日が経ち、霜葉は冒険者ギルドで門の修復作業と外壁の修復作業の人員募集の依頼を受けて過ごした。ここでも霜葉の付与魔法術と回復魔法術は大いに活躍して、作業員の身体能力を強化して作業スピードが大幅に上がったり、作業で怪我をした者を回復したりと大活躍であった。


魔物たちも白夜と十六夜は作業中に寄ってくる魔物たちの排除に他の冒険者や兵士と騎士たちを援護して活躍し、新月たち小熊組は瓦礫の撤去と新しい門や外壁の資材の運搬に大活躍であった。特に小熊組の働く姿は可愛く子供たちや可愛い物好きの女性たちが見に来るほどであった。


そんな依頼を受けて作業しながら、霜葉はそろそろ次の国へと行くべきかと考えていた。理由としてはこの国では魔王の情報や元の世界への帰還方法も見つかりそうにないからだ。ゴブリン問題が解決してから霜葉は依頼の受けながら街の人々に【召喚魔法術】と【時空魔法術】について聞いていたのだ。元の世界に帰れる可能性としてこの二つが最有力候補だからだ。


その結果は全くと言っていいほど、成果はなかった。わかった事はこの二つの魔法術は持っている者が滅多にいないため、研究すら進まず魔法術の中では謎が多い物であるそうだ。何せ極みスキルを持っている者ですら、手に入れることが出来なかったそうなのだ。この情報はナナリ様から聞いた物だ。


以前にお話をする機会を得た時に聞いてみたのだ。聞いた理由は魔物使いとしてこの二つのどちらかでも手に入ればやれることが広がると説明した。召喚魔法術は仲間の魔物を召喚できるようになれば連れて行かなくともよくなるし、時空魔法術は転移が出来れば戦闘でもやれることが増えると。ナナリ様には極みスキルは持っていると明かして聞いてみたのだが、わかったのは先で説明した通りのことであった。


それとは別にこの国を出る最大の理由がある。ゴブリン問題でゴブリン達と戦った結果、皆のLvがかなり上がり新月たちが進化できるようになったのだ。現在の皆のステータスは・・・・


  名: 動島 霜葉


 職業: 【軍勢の魔王レギオン・ロードLv23】


固有スキル:【存在進化ランクアップ】:【箱庭世界オンリーワールドLv2】:【思念会話Lv2】


スキル: 回復魔法術Lv10 : 付与魔法術Lv10 : 錬金術Lv10

     調理術Lv10 : 魔道の極み : 魔力強化・極

     魔力回復強化・極 : 無詠唱 : 職人の極み

     超鑑定 : 超隠蔽 : 短剣術Lv7 : 杖術Lv6

     アイテムボックス・極 : 方向感覚



  名:  白夜


 種族: 【ホワイトドック♂Lv14/Lv20】


スキル: 咆哮Lv8 : かみつきLv7 : 嗅覚探知Lv8

   : 身体強化Lv5 : 氷魔法術Lv3



  名:  十六夜


 種族: 【サンダーキャット♀Lv14/Lv20】


スキル: ひっかきLv7 : 隠業Lv8 : 聴覚探知Lv8

   : 身体強化Lv5 : 雷魔法術Lv3



  名:  新月、三日月、無月


 種族: 【ブルーベアLv20/20】 ※進化選択


スキル: 爪撃Lv7 : 腕力強化Lv6 : 体力強化Lv6

   : 持久力強化Lv6 : 低燃費 



  名:  ルナ


 種族: 【シルバーウィング♀Lv13/Lv30】


スキル: 爪撃Lv2 : 無音翔術Lv4 : 闇魔法術Lv4

   : 身体強化Lv3 : 魔道の極み : 夜目 



  名:  ガウェイン


 種族: 【スケルトン・ナイトLv19/Lv20】


スキル: 騎士剣術Lv8 : 騎士盾術Lv8 : 身体強化Lv8

   : 武術の極み : 忠義の心 : 日光克服 


皆順調にLvが上がっている。ルナも強くなったしガウェインもあと一つ上がるだけで進化が可能だ。新月たちは早く進化したいそうなのだが、霜葉が待ってくれるように頼んでいるのだ。理由は今回の進化でどうなるかわからないため迂闊に進化できないのだ。今の姿と変わり過ぎれば疑われる。そのため国を出ようと考えたのだ。


そんなことを考えているある日のことダディン様から屋敷へ来てくれないかと騎士から言伝を貰い、その日のうちに霜葉はダディン様の屋敷を訪れていた。もはや門番さんには顔パスで通してもらいメイドさんの案内でダディン様の部屋へとやってきた霜葉達。


「それで今回呼ばれたのはどういう理由でしょう?」

「度々すまないね。今日呼んだのは君に御願い事があるんだよ」

「お願いですか?」

「今回のゴブリン問題を報告するためと手に入れた素材と魔道具を渡すためにまずは王都に手紙を出したんだが、その手紙にソウハ君のことも書いたらぜひ王都へ連れて来てくれと手紙が届いたんだよ」

「え?そうなんですか?」

「まぁ、義兄上のことだから君に興味を抱いて、一目会いたいと思ったんだろう」

「魔人国国王にですか?」

「そう緊張なさらないでください。兄上はおそらく強者としてソウハ殿に興味を抱いただけですよ。この街の恩人たるソウハ殿には無礼なマネはさせませんから」


この場にはナナリ様も同席しているのだが、先ほどの言葉を発してからナナリ様の雰囲気がかなり不穏だ。具体的に言えば怖い。後ろに鬼が見えるようである。白夜たちもナナリ様が怖いらしく霜葉の後ろに隠れている。ルナも震えて霜葉にしがみ付いている。


「ナ、ナナリ抑えてくれ。ソウハ殿の魔物たちも怖がっているよ?」

「あらまぁ。これは失礼しました。ごめんなさいね?」


ダディン様の言葉でいつもの雰囲気に戻ったが、白夜たちはそれでも霜葉の後ろに隠れたままであった。


「ワフ・・・」

「ニャ~・・・」

「ぐぅ・・・」

「まぁ・・・」

「ぐる・・・」

「ぴ~・・・」

「あら。嫌われてしまったかしら?」

「こほん。と言うわけなんだが、二日後には王都へ向けて出発するので君にも同行してもらいたいんだよ」


ダディン様はナナリ様の変わりようは無視することにして、霜葉にどうするかを決めてもらうように訪ねた。霜葉はしばし考えてから・・・


「ちなみにこれは護衛依頼と言うわけではないんですね?」

「ああ、単純に一緒に行こうとお誘いしているだけだよ。道中で必要な物はこちらで用意するよ」

「わかりました。そろそろ次の国へ行こうと考えてましたから、ちょうどいいです」

「む?そうなのかい?それは困ったね。君が居てくれるだけで修復作業が思いのほか順調だと聞いていたのだが・・・」

「申し訳ありませんが、僕も目的があって旅をしているので」

「冒険者の旅を止めるようなマネはしないよ。では二日後に門で待ち合わせをしよう」

「はい」


それから霜葉はお世話になった人たちに街を出ると言いに回った。そうしたら霜葉を引き留めようとする人たちがかなりの人数に上った。特に門と外壁の修理をしている職人や作業員はかなり本気で引き留めていた。やはり霜葉の魔法術で仕事が捗り、さらには魔物たちも協力してくれるので下手な奴が加わるよりもずっと役に立っているのだ。


そして同じく冒険者たちも霜葉を引き留めて仲間に加えようと勧誘合戦をまた始めてしまった。これらの事態に霜葉は修復作業をしている職人と作業員にはまだ二日あるからそれまでは協力すると言い、落ち着かせた。その二日は修復作業に参加している者たちは一番難しい所を霜葉がいるうちに終わらせようと頑張ったそうだ。そして冒険者はと言うと、ギルドマスターのオルフ殿とデルタさんが一肌脱いだ。


「お前ら!身勝手な理由で彼を困らせるんじゃない!俺だって彼にはここに居てほしいが、こちらの理由ばかりを押し付けるわけにはいかん!」

「そうよ~聞き分けのない人は私と一緒にきつい依頼を受けましょうか?」

「「「「わかりました!」」」」

「「「「いやだよ!こんちくしょー!!」」」」


オルフ殿の言葉よりデルタさんの言葉の方が効果があったのはいつも通りではある。そんなこんなで二日後になり、霜葉の見送りにほとんどの住人がやってきてくれた。皆口々に霜葉にお礼を言って白夜たちにも撫でながらお礼を言っていた。


孤児院の子たちも院長先生とテイムしたハニーブロンドシープと共に見送りに来てくれて、ヒツジたちは霜葉にじゃれつきながら別れを惜しんでいた。白夜たちもヒツジたちの毛に埋まりながら触れ合っている。そんな中デルタさんが住人達を代表して・・・・


「ソウハ君。本当に助かったわ。あなたが居てくれたおかげでこの街は助かったと断言してもいいわ」

「大げさですよ。街が助かったのは皆さんが一丸となて困難に立ち向かったからです。僕はそれのお手伝いをしただけです」

「ふふふ。そう言うことにしておきましょうか。ソウハ君またこの街に来てね?」

「ええ、必ず」


その言葉で霜葉はダディン様とナナリ様、リルファちゃんとアルト君が待っている馬車に乗り込んだ。それを見届けた騎士団長のサティスとアルノルは護衛の騎士たちと共に王都へ向け出発した。その場所を街の住人達は見えなくなるまで手を振り見送っていた・・・・

感想・誤字脱字報告・応援コメントお待ちしております。作者のやる気が上がります。


ちなみに今日の連続更新はお盆なので特別な事をしたくなったのです。ゲームの特別イベントみたいに。次の更新は来週になると思います。

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