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第一章 第二話  女王国編2

「それは我々が勇者召喚を行ったからです」

「勇者召喚?」

「はい。勇者召喚と言うのは異世界人たちをこちらの世界へと呼ぶ【召喚魔法術】です」

「私たちには勇者と呼べるような能力はありませんが?」

「それは大丈夫です。勇者召喚を行いそれで呼ばれた者たちは例外なく強い力を持っていたと伝わっています」

「話を聞いていると以前も勇者召喚を行ったのですか?」

「はい。と言っても50年も前の話になりますが、最長では200年前も勇者召喚を行いこの国の窮地を救ったとあります」


ここまでの話を聞いて、生徒たちの反応は二通りだ。強い力を持っていたと言うくだりでは何人かは自身の力を想像し興奮する者、自分たちと同じような人間が居たという事実に不安がる者などだ。


「ちなみにどういった力を持っていましたか?」

「伝わっている話では、多種多様な武器を無制限に呼び出して使いこなす者、すべての魔法術を使いこなす者、変わった所では魔法術が効かない者や術者に跳ね返す者・・・・・もいたとか」

「「「「!!」」」」

「どうかしましたか?」

「いえ、なんでもありません」


そう答えてはいるが、生徒会長はアルバン王子に視線を向けている。霜葉や健吾、裕佳梨もだ。なぜなら先ほどの言葉でアルバン王子の遠回しな脅迫の意味を理解したからだ。


(そんな能力を持った異世界人がいたなら、この中に似たような能力を持っている人がいる可能性もあるよね。こんなに人が多いんだし。でも、もし居たのならあのアルバン王子にとっては天敵がいることになる。

恰好からして魔法使いだろうし、だから遠回しに脅迫なんてしたんだ。そんな人が居たら最悪自分が死ぬから。しかも自分の力を最初に見せつけ、すごい人だって刷り込んでおくことで自分と敵対する可能性を少しでも減らしたかったんだ。でも、ならなんで遠回しとはいえ脅迫なんて手段を選ぶかな~仲良くするって発想は無いの?)


霜葉がそんなことを考えていたら、生徒会長の視線がアルバン王子に向けられていることに気が付いた女王は何やら難しい顔を浮かべた。しかし、それは一瞬ですぐさま笑顔を浮かべた。


「次の疑問をどうぞ?」

「はい、その勇者召喚を行ったと言うことはこの国が窮地に立たされていると言うことですか?」

「その通りです。この国だけではなくこの世界の危機なのです。実は魔王を名乗る者が現れて各国に宣戦布告を行ったのです」

「魔王ですか?」

「はい、順を追って説明します」


この異世界ブルスバンには女王国リュカレア以外に6か国の大国が存在している。

多種多様な獣人たちが暮らす  獣王国 アレスガル

魔族が主に暮らしている  魔人国 デュルファンド

神聖教という宗教が屋台骨にある  神聖国 シャイバーン

エルフたちが暮らす大森林の国  霊樹国 ユディール

大小さまざまな島の集合列島  海王国 グロージル

ドワーフ達職人たちの創った国  商王国 タンワオ

それ以外にも小国が乱立していたが、各国それぞれの事情はあれど戦争もなく比較的平和であった。


魔王が現れるまでは・・・・・


魔王の存在が確認されたのは、ある小国が一夜にして滅んだことが発端だ。その国の同盟国に早馬で駆け込んできた一人の兵士が伝えてきたのだ。


「我が国に魔王と名乗る者が現れて、いきなり攻撃を仕掛けてきた。その攻撃でいくつかの村や町が被害にあい国の総力を挙げて討伐に向かったが、信じられないことに一人相手に苦戦している。どうか援軍をお願いしたい!」


同盟国はすぐに兵士100人の援軍を派遣したが、兵士がその国に着いたのはその翌日だったがそこには信じられない光景が広がっていた。その国の首都が、国王の住まう城が残骸だけを残して崩れ去っているのだ。


人も誰一人てして存在せず、居たであろう痕跡として大量の血痕が所々に散在していた・・・・


それから小国を襲撃する魔王を名乗る者はたびたび現れては、わずか一日でその国を滅ぼすことを繰り返していた。それらの話は大国である7か国ですら無視できない規模にまでなっていた。そして唐突に7か国に対して魔王を名乗る者から宣戦布告の書状が届いた。


【我は闘争 の 魔王バトル・ロード。我が望は血沸き肉躍る闘争のみ。ゆえに大国である7か国すべてに宣戦布告する!我が望みを満足させられる強者が居ることを楽しみにしている】


この書状が届いた時は7か国すべての国は何を無謀なと真面目に取り合わなかった。それもそのはず、7か国には一騎当千の言葉を体現する者がいたためだ。彼らがいる限り魔王と名乗るものなど恐れる必要はない。

そう思っていた・・・・


その考えが覆されたのは、魔王が獣王国 アレスガルに現れてその国の国王である獣王と戦ったのが原因である。獣王は先に言った一騎当千の猛者で、この世界最強は誰かという問いで必ず名前が上がるほどの人物だ。彼が戦うのだから魔王はもうおしまいだと思われた。だが・・・・


戦闘の結果は引き分け。魔王はかなりの重傷を負ったが、獣王も満身創痍でありとても戦える状態ではない。しかも、そんな状態の魔王は大きな声で笑って実に楽しそうに言葉を放った。


「はっはっはっは!!!いいぞ!!これこそ我の望んだ戦いよ!どちらが死ぬか分らぬ攻防の刹那こそが我の居場所よ!!獣王よ!礼を言うぞ!!この傷を癒した後はまたいつか戦おうぞ!!」


そう言うと魔王の姿は消えたと言う。おそらく【転移魔法術】を魔王自身が使ったか、仲間が居て助けたかのどちらかだろう。獣王国はこの自国の騒動を他の6か国にも包み隠さず教えた。自信が苦戦したことも含めてだ。さらに各国の一騎当千の猛者当てに次の言葉を送った。


「魔王の実力は確かなものであった。しかも、信じられないことに奴は私と戦っている間にも強くなっていた。傷が癒えた後もさらに強くなっているかもしれぬ。我と実力を並ぶ者たちよ、気を付けるがよい」


獣王のこの言葉に神聖国 シャイバーン以外の国家は衝撃を受けた。一騎当千の猛者である獣王が認めるほどの相手、このことをきっかけにして神聖国以外の国は魔王対策を考えねばならなくなった。特にここ女王国では。


女王の話が終わり、生徒全員が魔王が一人で小国とは言え国を滅ぼした事実に驚いていた。そんなことが可能なのかと。


「先ほどこの女王国では魔王対策を特に考えなくてはならないと聞きましたが、その対策が勇者召喚ですか?」

「はい。我々は魔王対策として勇者召喚を行うと決めたのです」

「ですが、話を聞いているとこの国にも獣王と並ぶ実力者がいるはずでは?」

「その者はもういないのです」

「え?」

「母上!そのことは国家機密ですぞ!」


女王の左側に居た真っ赤な鎧をまとった騎士風の男が声を荒らげた。この男は女王国第二王子 ドルトス・リュカレアである。女王と並ぶと親子と言うより姉と弟に見えるため母上発言に生徒たちは呆然となった。


「ドルトス。いつまでも隠し通せるものではありません。この国秘伝の勇者召喚を行ったと知られれば気づく者は現れます。我が夫が居ればそんなものに頼る必要はないのですから」

「私やアルバンがいます!」

「夫に二人がかりでないとまともに戦えない者が、役に立つと?夫は獣王と決闘とは言え戦い勝ったこともあるのですよ?」

「くっ!」

「この話はもう済んだことです。あなたは黙っていなさい」

「・・・・申し訳ありません」


そう言うと第二王子は俯き拳を握りしめていた。


「申し訳ありません。話の途中に」

「お気になさらずに。それで先ほどの言葉はもしや?」

「先ほどの会話でも気づいた方もいるでしょう。この国の一騎当千の猛者は私の夫で騎士王と国外からも呼ばれるほどのお方でした。しかし、病にかかり獣王からの情報が来た直後に亡くなりました」

「申し訳ありません。そのようなことお聞きして」

「どうかお気になさらずに、ですがこちらの事情もお分かりいただけたでしょうか?」

「はい」


生徒会長ははっきりと言葉にした。この国は今一番強い者が病によりこの世を去り、魔王に対抗できる者を欲して勇者召喚を行ったのだ。


「ですが、私たちに過去の勇者のような力が本当にあるのですか?」

「それを調べるための方法もございます。お話の後にでもやってみましょう」

「なるほど。でしたらこれが最後の疑問とさせていただきます」

「なんでしょうか?」


「私たちは元の世界に帰れますか?」


この疑問は全校生徒が一番知りたい物だろう。訳も分からずにいきなり異世界の国家に誘拐されたようなものだし、帰れるならば帰りたいと思うのは当然である。


「・・・・・わかりません」

「どういう意味ですか?」

「本当にわからないのです。過去の勇者召喚の記述には自らの世界へ帰った者。帰らずにここに残った者。

帰ることができなかった者などいろんなことが書かれていてどれが本当なのか、判断できないのです。勇者召喚の書かれていた書物も召喚方法は書かれていても送還方法は書かれていませんでした」

「・・・・つまり現状私たちが元の世界に帰る方法は無いと?」

「・・・・・申し訳ありません」


女王は悲痛な顔で謝罪した。しかしその言葉にショックを受けた生徒たちはそれどころではない。


「そ、そんな!?」

「な、なんでよ!!なんでそんなことになるのよ!!」

「か、家族にもう会えないの!?」

「これからどうするんだよ俺達!?」


ところかしこで混乱の渦が巻き起こる中、霜葉は別のことを考えていた。


(さっきから女王様が申し訳なさそうに見えてたのは、僕たちを異世界へ呼び、帰る方法がないことで罪悪感が無意識に出てたってことかな?もしそうならアルバン王子よりは信用できそうだけど・・・)

「おい霜葉?お前大丈夫か?」

「!うん僕は大丈夫だよ?二人は大丈夫?」

「まあ、ショックであるよ?でも現状どうすることもできないなら仕方ないしな」

「混乱しても状況は何も解決しませんし。できることから始めませんと」

「二人ともすごいね」

「褒めても何もでねぇよ?とりあえずは皆を落ち着かせないとな?」

「そうですね。このままでは暴動が起きかねません」

「それなら心配してないよ。僕は」

「「?」」


霜葉の言葉に疑問持つ二人、言葉の意味を確かめようと言葉を掛けようとしたした時。


「皆!どうか落ち着いてください!!」


再び凛とした声が響き渡り、生徒の視線が生徒会長に集中する。


「混乱するのはわかります。私も今すぐ帰れないのはショックです。ですが、混乱しても現状は変わりません!ならば現状を変えるために努力をするべきでしょう」


そう言うと生徒会長は振り返り、女王を真っ直ぐに見つめた。


「女王陛下。私たちをもとの世界に帰るための手助けはしてくれますか?」

「それもちろんです。現在も過去の資料や勇者召喚の【魔法術】の研究がされております。皆様をもとの世界へと返すために女王の名に懸けて協力は惜しみません」

「そうですか。でしたら私たちの力を調べてみましょう。すぐに始めてください」

「我々に協力してくださるので!?」

「いえ。そう言うわけではありません。もしかしたら私たちの中に帰れるような力を持っている人がいるかもしれませんから、その確認です」

「!なるほど、その可能性はありますね」

「後はこの世界に魔王などと言う危険人物がいるのであるならば、護身のためにも自分の力は把握しておいた方がいいでしょう?」


至極当然の発言である。この国にいつ魔王が攻めてくるかわからないのだ。自分の身を守るための手段はあった方がいい。


「ちなみに魔王以外で危険なことはありますか?」

「そうですね・・・この世界には魔物と呼ばれる人に害なす生き物が居ます。その種類は多種多様であり戦闘技術のない者では太刀打ちできないのがほとんどです。ゆえに旅をするならば冒険者に護衛をしてもらうか、自身が強くなるしかありません。そのほかにも盗賊などにも襲われることがありますから、危険は魔王以外にもありますね」


魔物や盗賊、それに冒険者。ゲームのような単語が女王の口から出てきてそれらに詳しい一部の生徒は興奮が隠せない。


「その魔物は国を攻めてきたりするのですか?」

「魔物が大量に発生する大氾濫などで近くの村や町が危機になるなど、ゴブリン、オークなど人に近い魔物は群れの規模が大きくなると近くの村や町を襲います。特に亜人と呼ばれるゴブリンやオークに襲われれば、女は悲惨です。連中の子を孕ませられ一生慰み者になるでしょう」


この発言に女生徒たちは顔を真っ青にさせたり、嫌悪感をあらわにした顔になったりと二通りになった。


「そうですか。やはりこの世界に居る間は自身を守る手段は要りますね」


そう言うと生徒会長は全生徒に向けてこう述べた。


「皆さん!今お聞きした通りこの世界は大変危険なようです!ですので今は自分たちの力を把握してその力を何のために使うのか考える必要があります!よって今は力を調べてもらい考える時間を貰いたいと思いますがどうでしょうか!」

「賛成です!」

「確かに必要そうだな・・・」

「うん、そうだね」

「魔王以外にも危険があるようだしな」


皆生徒会長の意見に好意的のようだ。霜葉たちはと言うと・・・・


「俺達に特殊な力ね~あるのかね本当に?」

「確かに何も変わった様子はありませんしね?」

「僕たちはいいけどこの子たちはどうなんだろう?」

「くぅーzzz」

「にゅーzzz」

「ってさっきから静かだと思ってたけど寝てたんかい」

「か、かわいいです!」

「裕佳梨ちゃん静かにしてね?起きちゃうから」

「あ、すいません・・・」


霜葉の腕の中で気持ちよさそうに寝ている子犬と子猫。この二匹は施設を逃げ出した先で偶然巻き込まれただけである。そのためどういう扱いになるのかが不安な霜葉であった。


「女王陛下。勝手に決めたことは謝ります。ですが認めていただけませんか?私たちには考える時間が必要だと思うのです」

「謝る必要はありません。そちらの言い分は至極当然でしょう。では今すぐに調べる方法を準備しますので、しばらくお待ちください」

「わかりました」


そう言うとアルバン王子に指示を出し、王子は広間を出て行った。


「さて、これからどうなるんだろうな?」

「霜葉君。小説ではこの後の展開はどうですか?」

「う~ん。多分だけどゲームみたいなステータスを表示できる魔道具か何かがあって、それで僕たちの能力を調べるんだと思うよ?」

「へー便利だなそれ」

(ところがそうでもないんだよ)

(!どういうことだ?)

(そうですよ?自身の能力が分かるのならいいことではありませんか?)


急に小声で話し始める霜葉。二人はすぐに察した。これから話すことはあまり人に聞かれたくないことだと。


(二人とも、能力が分かるってことは対策もされるっていうことだよ?自身の能力が丸裸にされたら不利になるよ)

((!?))

(それにこんな人数がいるんだよ。中には能力が低い、あるいは能力そのものがないなんて人もいるかもしれない。そんな人をこの国の人がどうするのかでも話が変わってくるよ)

(おいちょっとまてよ?それだったらこの後で行われる能力調べでは・・・)

(十中八九。この場にいる全員に能力を晒されることになるね。それで使える使えないか判断すると思うよ)

(こ、こわいです・・・)

(ただあの女王は信用してもいいかもしれない。僕たちを巻き込んだことに対して罪悪感を持っているみたいだから。まぁ、それも能力調べの展開によるけどね)


三人が話してる間にアルバン王子が帰ってきて、その両腕に大きな水晶球を持っている。後ろでは魔術師風の三人が同じ物を持っていた。四人は女王の前に並びその水晶球を自身の前に浮かせた!


「この水晶球に手のひらを置き、名前を宣言することでその者が就いている職業ジョブやスキルが表示されます」

「ジョブ?スキル?」

「すいません。そこから説明すべきでしたね」


女王が水晶球の説明をしたらわからない単語が出てきて、疑問の声を上げる生徒会長。そこから女王がジョブとスキルについて説明しだした。


まず職業ジョブとは、その者の才能によって就くことが可能な職業のことである。才能豊かなものは就いているジョブが初めから決まっている場合がある。そう言った者たちは最初から強力なジョブについている場合があり強さも桁違いだと言う。なおジョブは就けるものが他にあるなら換えることも可能。


次にスキルについて、スキルとはその者が持っている技術のことだ。たとえば【剣術】スキルという物があるがこれを持つ者と持たない者では、強さが全く違うのだ。例えるならば持たない者は戦いの初心者、持っている者は経験を積んだ剣士と言うようなものだ。最初から持っている者もいれば、鍛錬によりスキルを習得する者もいる。ただし、【魔法術】のように習得できない物もある。


またジョブとスキルにはLvが存在し高いほど強力だ。ジョブには上限は無いが、スキルは最大で10まで最もそこまで到達した者はいないらしいが。


「以上が職業ジョブとスキルの説明になります」

「なるほど。勇者の能力と言うのは強力なジョブとスキルのことですね?」

「その通りです。過去の召喚された者たちも強力な職業ジョブとスキルを持っていたようですよ?」

「ならば私がまずは試してみましょう。よろしいですか?」

「では、こちらに」


生徒会長が言うとすぐさまアルバン王子が水晶球を浮かせたまま差し出してきた。生徒会長は一瞬嫌な顔をしたがすぐに引っ込んだ。そして・・・


「では、失礼して・・・・高坂 聖夏です」


水晶球に手のひらを置いて、名を宣言する生徒会長。すると水晶球が輝き空中に文字が浮きあがった。そこにはこう記されていた。


  名  高坂 聖夏


  職業:  【戦巫女Lv1】


  スキル: 槍術Lv5 : 体術Lv5 : 回復魔法術Lv5 : 

       身体強化Lv5 :魔道の極み : カリスマ : 無詠唱 :

       魔力回復強化 


「「「「おおおぉ~」」」」

「スキルがLv5まであるぞ!」

「ユニークスキルを4つも!」

職業ジョブは知らない物だが、強力な物に違いない!」


生徒会長のステータス?を見て、2階にいる貴族風な者たちが騒ぎ出した。反応を見る限りでは好意的に受け取られている。


「これはすごいのですか?」

「もちろんですよ、セイカ殿。職業ジョブは初めて見る物ですが、スキルが素晴らしいLvはすべて5!しかもユニークスキル持ちとは・・・」

「・・・・・ユニークスキルとは何ですか?」

「ユニークスキルとはLvのないスキルのことで、強力な物が多いのです。それが4つも!おそらくは職業ジョブが関係しているのでしょうが、セイカ殿あなたこそ勇者にふさわ・・・」

「そうですか。では他の皆さんも調べてくださいね?」


アルバン王子が言い切る前に生徒会長は生徒たちの下へと下がり、声を上げる。


「さあ、皆さん!自分の能力を知るべく並んでください!4つもあるようですから4列に並んで順番にですよ!」

「「「「「「はい!」」」」」」


何人かが返事をして早速並び始めた。遅れて他の生徒たちも並び始めた。アルバン王子は並び始めた生徒たちの相手をするため、表情を引き締めた。


「アルバン王子かっこわる!」

「聖夏先輩の名前をいきなり呼んだりするからだよ。親しい人以外には呼ばせないから」

「あら?その理屈で言うと霜葉君は親しいんですか?」

「初めて会った時に名前で呼んでいいって言ってくれたからね」

「・・・・本当に何があったんだよ?」

「気になります・・・・」

「そんなことより二人は早く並んだ方がいいよ?」

「あれお前はいいのか?」

「僕はこの子たちがいるからね。最後でいいよ」

「では私たちが先に済ませて、霜葉君の時に預かりますね?」

「うん、お願い」

「よし覚悟決めて行ってくるか。どうか能力なしではありませんように」

「き、緊張します・・・・」


そう言うと二人は列へと向かっていた。霜葉の周りにはまだまだ生徒たちが残っており展開に付いて行けない者、まだ混乱している者、どうするべきか考えている者がいる。そうした生徒一人一人に生徒会長は話しかけて励ましている。


(さすがは聖夏先輩だな~こんな時でも生徒のことを考えている。ん?そう言えば【鑑定】スキルってあるのかな?あれば僕のステータスが見れるかもしれない。物は試しだやってみよう)


霜葉は二匹を抱きかかえてる手を見つめて念じてみた。


(僕を鑑定!ってそんな都合のいいことが起こるわけないよねって見えたよステータス。僕は鑑定持ちか、できれば隠したいなってなんじゃこりゃ!)


そこに表示されていたのは・・・・・

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