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第二章  第六話  魔人国編6

霜葉たちはギルドマスターからの依頼で砦から聞こえてきた戦闘音の調査と原因の排除のため、砦へとやってきた。そこで霜葉たちを待っていたのはアンデットの戦士と騎士であった。戦士に襲われた時に騎士に助けられて霜葉のスキルで騎士から詳しい話を聞くことに成功した。


そして話を聞いた後に、騎士から霜葉の仲間になりたいとの申し出があったのだった・・・・


『・・・・・軍勢に加えてほしいと言うのは仲間になりたいと受け取って構いませんか?』

『うむ。そう受け取って構わない』

『理由を窺っても?』

『これでも生前から人を見る目はあると自負しておる。お主は仲間の魔物からも好かれている様じゃしな』


そう言って騎士様は霜葉の足元に居るであろう白夜たちに視線を向けた。


『それにあやつの問題が解決したところで魔物であるわしも人間から見たら討伐すべき対象でしかない。ならばお主の軍勢に加わり第二の人生ならぬ魔生を過ごしたいのじゃよ。それに伝説の職業である魔王の仲間になったとあらば喜ばしい』

『そう言えば魔王職のことをご存知のようですが、いったいどういう職業なんですか?』

『うん?今の時代は魔王のことをよく知らぬのか?』

『そうですね。今度は僕の身の上も説明すべきですね。食事しながら説明しても構いませんか?』

『おお、すまんな。わしはスケルトンじゃから食事の必要がないからすっかり忘れとったわ。構わんから食べなさい』

『じゃあ、みんな今から食事にしようね』

『『は~い』』

『『『ごはん♪』』』

『わ~い♪』


食事の準備をして、霜葉達は遅い朝食を食べ始めた。そして、霜葉は食べながら自身のことを説明しだした。勇者召喚によって呼ばれた異世界人であること。呼ばれた理由は【闘争の魔王】と名乗る者に対抗するためであること。異世界人たちのステータスを調べる段階で自分も魔王であると判明してステータスを隠蔽したこと。そして、そのことがばれない様に旅に出たことを包み隠さずに話した。


『・・・・以上が僕の事情ですね』

『ふむ・・・・勇者召喚とな?わしが生きていたころはそのような物は無かったがな?』

『使用した国の女王陛下の話では200年前も行ったとか』

『ふ~むそれが本当なら生前から200年以上経っているのだろうな。まぁ、所詮わしの感覚じゃから正確ではないと言うことじゃろう。それにしてもまさか異世界人だったとはのう』


騎士様は珍しい物を見るような雰囲気になり霜葉を凝視している。


『僕もこの世界に来た当初は困惑しました』

『じゃろうな。ところでお主の軍勢には加わっても?』

『あ、はい。それは歓迎しますが、そもそも魔王ってなんなんですか?』

『ふ~むどうやらこの時代の人間は魔王職のことは忘れてしまったようじゃな。簡単に説明しよう』


それから騎士様は魔王の職業に付いて説明しだした。魔王職と言うのは簡単に言えば勇者以上に強力な職業で、才能にあふれた者にしか就くことが許されない職業であると言う。騎士様が分かっている魔王職は4つあると言う。


戦闘系最上級職業であり戦闘スキルを数多く持つ者が就ける【闘争の魔王バトル・ロード

魔法術系最上級職業であり魔法術スキルを数多く持つ者が就ける【深淵の魔王カオス・ロード

たぐい稀なる美貌を持つ者が就ける【魅了の魔王チャーム・ロード

そして、魔物使いとして突出した才能を持つ者が就ける【軍勢の魔王レギオン・ロード


他にもまだあると言われているのだが、騎士様の生前に歴史上で確認されたのはこの4つだけだと言う。


『歴史上では魔王になった者たちはその強力な力で民を導き国を創り、または強大な力に酔いしれ好き勝手暴れたりと良くも悪くもその力を歴史に刻んどった様じゃ』

『そんなに強力なんですか・・・・』

『お主も魔王職の力の凄さは身に覚えがあるだろう?』


確かに霜葉は自身の職業の力が凄まじいのはこれまでの経験でわかっている。まさか、自分のや【闘争の魔王】以外にも魔王の職業があるとは思いもしなかったが・・・・


『まぁ、お主の就いている軍勢の魔王は他の魔王職とは毛色が違うがの。歴代の人物も似たような人間が就くようだしのう』

『どういう意味でしょう?』

『ふふ、気にする必要はない。お主はそのままで道を歩んで行けばよい』

『??』

『とにかくわしもお主の仲間に加えてくれぬか?』

『気になりますが、わかりました・・・』


それから霜葉は騎士様をテイムした。テイムされながら騎士様は霜葉について考えていた。霜葉が自分より配下の魔物たちを守ろうとしたことを思い出しながら。


(軍勢の魔王に就く者たちは魔物に好かれ、配下の魔物たちのことを第一に考える者が大半じゃったからな。この少年も配下の魔物たちにずいぶん好かれている様だしな。先ほどの話で国を創った魔王職はほとんどが軍勢の魔王であるし、この者がこれから何を成すか見届けるのがわしの自我が目覚めた理由かもしれぬ)


『テイムできましたよ?よろしくお願いしますね。皆新しく仲間になった騎士様に挨拶してね』

『よろしく~僕白夜だよ』

『私は十六夜です。よろしくね~』

『俺は新月よろしく』

『私は三日月だよ!』

『俺、無月・・・・』

『るなだよ~』

「くぅ~」

『この子は保護している子なので親を探している最中です』

『そうかそうか。皆よろしく頼むな。それと主殿、私に新たな名を付けてくれぬか?』


皆と自己紹介が終わった直後に騎士様はそんなことを口にした。


『名前ですか?なぜです?』

『この身はすでに魔物であるし、生前の名を使うのは違う気がするのじゃよ。できれば新たな名を付けてくれると有難いのじゃ』

『名前ですか・・・・う~ん』


霜葉はしばらく考え込み、次の瞬間に思いついた名前を口にした。


『ではガウェインはどうでしょう?』

『ほう、ガウェインか・・・・中々よい名じゃ。では今日からわしはガウェインと名乗るとしよう』


騎士様改めガウェインは新たな名を気に入ってくれたようで、霜葉は笑みを浮かべた。


『改めてよろしく頼む主殿。騎士ガウェインは主の剣となり、盾となり困難を共にすることを誓おう』

『よろしくお願いしますね』


お互いに立ち上がり固い握手をした。霜葉たちに生前は人であったスケルトン・ナイトが仲間になった瞬間だった。


『さて、次の問題はあの戦士をどうするかだけど・・・・』

『あやつの件はわしに任せてくれんか主殿』


受けた依頼を達成するためにあの戦士をどうするか考えようとした時、ガウェインがそんなことを口にした。


『大丈夫ですか?生前はお仲間だったようですから僕たちが倒せるようなら倒しますが・・・・』

『確かに仲間であり親友であった・・・だからこそあやつを止めるのはわしがやるべきなんじゃ。自我に目覚めてからあやつを止める方法は倒すしかないと分っておったが、魔物になってもあやつを手に掛けることに躊躇しておった・・・』

『それは当然でしょう』

『しかし、主殿に攻撃したあやつを見てこのままではいかんと考えを改めたのじゃ。なにも罪のない今の時代の人々をあやつが手に掛けるのは絶対にやれせてはいかんとな。そしてあやつを倒すのは他でもないわしがやるべきなんじゃ』

『・・・・・』

『頼む主殿。わしに任せてくれぬか』

『・・・・さすがにダメとは言えませんよ』

『忝い!』


霜葉はガウェインの言葉を否定できなかった。効率や確実に倒そうと思えば全員で戦うのが一番だろう。しかしそれではガウェインの心が納得できない。これからの仲間に対してそれではいけないと霜葉は判断した。


『最終確認ですが、お一人で大丈夫ですか?僕は付与魔法術を使えますしそれで強化した方が・・・』

『ありがたい申し出じゃが、これはわし一人でやるべきことじゃと思う』

『・・・決意は固いようですね。でも、危ない時は助けますよ?僕も仲間を見殺しにはしたくありませんから』

『了解した』


それからガウェインの話で戦士が現れるのは日が沈んでからだと言うことなので、それまでにやれることをしようと霜葉はガウェインに近くいる魔物を倒して少しでもLv上げをしないかと提案した。


その提案にガウェインは賛同して、皆で砦周りを探索した。その結果現れた魔物は・・・・


全身の毛皮が鋼鉄のように鈍く輝く獅子スティールレオが2体。全身が真っ赤で攻撃する時に角が燃えるイグニスディアーが1体。そして・・・・全身がクリスタルのように輝くクリスタルトータスを発見してすべて討伐した。


これらの戦闘でガウェインの活躍は凄まじく、戦闘能力も高いのは言うまでもないことだがもっとも助かったのは魔物に対する知識だった。すべての魔物に対して的確に弱点や苦手とする攻撃を霜葉たちに助言して戦闘を最後まで有利に進めたのだ。


発見してすぐさま甲羅に身を隠したクリスタルトータスも腹が比較的柔らかいと助言して、新月たちが協力してひっくり返して仕留めた。霜葉が魔物たちを解体する時もどこを切れば楽に切れるなども助言してもらった。ガウェインの豊富な知識と経験は霜葉たちにとって、かなりの助けとなることだろう。


戦闘を行いLvは一つだけだが上昇したので、砦内部へと帰り日が沈むまで待機することに。その間、霜葉は白夜と十六夜を召喚者たちが作ってくれた櫛で毛づくろいをしたり、三日月が世話している小熊と遊んであげたりしながら時間を過ごした。毛づくろいをしてもらった白夜と十六夜はすごくご機嫌だった。


やがて、日が沈みかけたころガウェインは砦の入り口付近で待機して、霜葉たちは砦内部の入り口付近が一望できる場所でガウェインと戦士の戦いを見守ることにした。これは戦士が霜葉を見つけると霜葉を殺そうと躍起になるのでそれを回避するためだ。


日が沈み夜が訪れた・・・・そして砦入口前の広場の中心に瘴気が漂い、その中心から瘴気をまき散らす赤黒い全身鎧を纏った大剣を持つ戦士が現れた・・・・・


「ガぁ・・・がァぁァ~」

『カルログ・・・・』


戦士と騎士は互いを視界に入れ、それぞれが持つ武器を構えた。


『おぬしの怨念わしが受け止めてやろう。来るがいい』

「ガァぁァぁ~!!!」


戦士が大剣を振りかぶり上段の構えから一気に間合いを詰め、振り下ろした。その攻撃をガウェインは盾で受け流し剣を突き出した。霜葉が異世界に召喚されてこれまでで一番Lvの高い戦いが始まった。


ガウェインの突きを戦士は身をひねり躱して後ろへと跳び、大剣を右横へと振り抜いた。ガウェインはその攻撃を受け止めることはせずに、自身も後ろへと跳び攻撃を躱し、そのまま両者は武器を構え直して睨み合った・・・


「すごい・・・・」


霜葉やテイム組は全員がブーストを掛けて身体能力を底上げしている。よって今の攻防も白夜と十六夜以外もかろうじて見えている。そのおかげで目の前の戦いを見逃すことはなかった。これはガウェインが見ておいた方がいいとアドバイスしたのだ。


『戦士はスキル効果でかなり手強くなっていますが、勝算はありますか?』

『無論ある。スキルという物があるがそれだけで戦いは勝てるほど甘くは無いんじゃよ。それを証明しよう』


戦いに赴く前にガウェインはそんなことを言っていた。


睨み合った両者は、次の瞬間にはまた激突した。スキルの効果で強化された大剣の攻撃を振るう戦士に対して、ガウェインは盾で受け流して正面から受け止めることはしなかった。その受け流しは見事で相手の攻撃の威力を完全に殺している。


そして受け流され、大きな隙を晒した時に剣による攻撃を間髪入れずに行っている。戦士も何とか躱しているが、徐々に躱せなくなってきている様だ。


「?変だね。あの戦士」


ここで霜葉は戦士の攻撃に疑問を抱いた。戦士の攻撃は確かに速く重い一撃だろう。それは受け流され地面にめり込んでいることから明らかだろう。


しかし、それだけなのである。ガウェインの盾の受け流しに対して何らかのアクションを一切行わないのだ。ただ単に力で押すそれ一択だ。霜葉ならば盾で受け流そうとするときにフェイントをするなり、軌道をいきなり変えるなりと実行できるかはともかく、何らかの行動はする。


戦士はそう言った事をする気配が一切しないのだ。この疑問に対して霜葉は少し考えたが、すぐに答えにたどり着いた。


「そうか・・・怨念に支配されているからか」


元々、スケルトンなどのアンデットはまともな思考能力という物は一部の魔物を除き持たない。その例外はガウェインのように生前の記憶を持ち自我に目覚めた者や、何十年と在り続けたアンデットなどだ。普通のアンデットは生き物に対して手当たり次第に襲うのだ。


戦士もこの普通のアンデットと呼べるのだ。種族Lvは高いしスキルも強力なのでアンデットとしては強いが、しかもこの戦士は生前の恨みによる怨念まであり、通常のアンデット以上に手当たり次第だ。


そのせいで大剣の攻撃が力によるゴリ押し以外のことをしない。おそらく生前は経験による卓越した攻撃を行っていたにもかかわらず、今の戦士にはその経験は無い。怨念により塗りつぶされてしまっている。


そこまで考えた霜葉はガウェインの根拠もわかってきた。彼は今技術と経験を活かして戦っているのだ。アンデットではあるが生前の記憶と自我を持つ彼にはスキルLv以上の経験と場数がある。


無論、それでも相手の戦士のスキルLvは高く少しの失敗で形勢は逆転するだろう。だが、ガウェインにはそんな不安は無い。そんな不安が入り込む余地など皆無だからだ。それほどの自信を持つだけの経験を彼はしてきたのだから。


「ぐ!グぁぁァ~!!」

『生前のお主であればわしとも互角であるだろうに・・・・今のお主にはかつての鋭さは無い。それを知っておるわしからすれば今のお主の剣は見る影もない。今終わらせてやるぞ!』


その思いを込めて、ガウェインは大剣の攻撃を受け流すと同時に盾で大剣を弾き返した!いきなりの行動に戦士は対処できずに大きくバランスを崩した。その隙を見逃さずガウェインは戦士の大剣を持った右腕を肩から断ち切った!


「ガぁ!?」


戦士の反応よりも早く、ガウェインは戦士の右側に回り込み全身鎧の右肩部分の空いた場所に剣を差し込むと体の中央にあった魔結晶を砕いて止めを刺す。


「が・・・ああぁぁぁ・・・・」


すると戦士の体から出ていた瘴気がだんだんと薄れ、全身鎧と武器の大剣も赤黒かった色が段々と赤色に否、紅色になってきた。


「あぁ・・・・あ、り、が、とう・・・」

『・・・・・カルログよ。いつの日かまたともに肩を並べて戦おうぞ』


最後の言葉は戦士の意地か、それとも・・・・とにかくその言葉を最後に戦士は武具を残して消滅した。


『・・・・・』

『終わりましたね・・・』


霜葉はガウェインが魔結晶を砕いた時には砦の入口へと向かい、現在はガウェインの後ろで思念で声を掛けたところだ。


『うむ・・・終わったわ・・・主殿。助太刀せずに見守ってくれてありがとう』

『いえいえ、こちらとしても今回の戦いは考えさせられましたから』

『そうか・・・・そう言ってくれればあやつも浮かばれるじゃろう。それはそうと主殿。あやつの武具を回収してくれんか?』

『いいんですか?代わりに土に埋めて供養してもいいですが?』

『ふむ・・・主殿の世界では死者の弔いはそう言う風にするのか?気持ちはありがたいが、あやつの武具は当時のダンジョンで発見された一級品じゃ。もったいないのう。それに・・・』

『それに?』

『いつの日かあやつのような戦士に会えた時に渡すのがいいじゃろう。道具は使ってこそじゃ』


そう言ってガウェインは武具を懐かしむように眺めていた。霜葉はこれを了承して大剣と全身鎧を鑑定してアイテムボックス・極に入れた。


 【紅炎鬼の大鎧】

ダンジョンで発見された全身鎧。燃えるような紅色で特殊な効果として【サイズ自動調整】【体力自動回復】【装備時身体強化】が付与されている。


 【紅炎鬼の大剣】

ダンジョンで発見された大剣。燃えるような紅色で特殊な効果として【重量軽減】【筋力強化】【対魔法術効果】が付与されている。


鑑定結果は霜葉がこれまで見た武具では一番の性能である。これらはゲームで言えばマジックアイテムと言うべきものだろう。ダンジョンではこのような強力な物も出てくるようだ。


『では、目的も果たしましたし明日の朝にでも街へ帰りましょうか?』

『そうじゃの・・・・忝いのう。主殿』

『?どうしたのおじいちゃん?』

『なんでお礼言ったの?』

『『『『??』』』』

『ふふふ。なんでもないんじゃよ。気にせんでくれ』


ガウェインの言葉に疑問視を浮かべる白夜たち。本来なら今から帰ってもいいのだが、霜葉はガウェインが親友の供養のために明日までここに居ようと気遣ってくれたのだ。そのことにガウェインは気付いてお礼を口にしたのだ。


その夜、寝ることがないスケルトンであるガウェインが見張り番を行い、同時に親友の冥福を祈りをささげていた・・・・・

戦闘描写はむずかしいなぁ・・・・次回の更新は不定期です。

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