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第一章 第十七話  女王国編17

きりのいいとこまで書いていたら長めになりました。

新月たちが魔物の卵を持ってきて霜葉が生まれた魔物をテイムすることに決めた。生まれてくる魔物がどんな魔物か楽しみにしている霜葉。そんな中、冒険者ギルドでCランク試験を受けないかと聞かれ霜葉たちは受けることを決意。


試験当日、霜葉たち以外にやってきたのは、貫録のある冒険者組のバノン、ラーシム、ナゼック、キーリの四人と遅刻ギリギリでやってきた獣人の冒険者組の兎の獣人 ミンク、狼の獣人 ダスケ、狐の獣人 コロナの三人だ。どうもダスケは問題児のようであり心配になるのだが・・・・


遅れてやってきてそうそうに試験の見届け人であるギルド職員のテイザーに忠告を受けて落ち込むミンク。その後ろで口喧嘩を続けるダスケとコロナ。そんなミンクに霜葉は声を掛ける。


「ミンクさん落ち込んでる暇はありませんよ?忠告はされましたが、失格を言い渡されたわけではないのですから。これから頑張ればいいんですよ」

「そ、そうですよね!試験はまだ始まったばかりだからこれから取り返せますよね!」

「はい。がんばってください」

「ありがとうございます!ソウハさん!二人とも!いつまでも口喧嘩しない!まだ聞くことがあるんだからね!」

「そ、そうね。この脳筋と口喧嘩している場合じゃなかったよ」

「け、しゃあねえなぁ~」


ミンクの言葉でとりあえず口喧嘩をやめた二人。二人が聞くことができるのを確認したミンクは話を進める。


「それで、依頼主や荷物などはどう守ることにしていますか?」

「私たちは今日初めて会った者たちですから、連携などは無理なので魔物や盗賊が出てきたら、魔物を撃退する組、そして依頼主を防衛する組と交代しながら進んだ方がいいと思います」

「この提案に我々は賛成しているのだが、君たちはどうだ?」

「三グループいるので一つの組がやることが無くなりますが?」

「その組は休憩組です。戦う頻度にもよりますが休むのは必要でしょうしね」

「なるほど、確かに必要だな」

「そうですね、私たちも賛成」

「はぁ~?休むなんてのは弱者の判断だぜ。そんなもんは必要ねえよ」


ここでも、ダスケは問題発言をした。この男は一々話の腰を折らねば気が済まないのだろうか?


「延々と休みなく戦うなどできる訳がありません」

「俺はできるだよ。お前ら弱者と一緒にするな」

「では、ミンクさんとコロナさんはどうですか?」

「あぁ?」

「ミンクさんの武器は弓です。いつかは矢が無くなります。鉈もお持ちなので接近戦もできるのでしょうが、弓より得意と言うわけではないはずです。コロナさんも杖をお持ちなので魔法術が使えるのでしょうが、魔力とて無尽蔵ではありませんいつか底をつきます。あなた一人が戦えても仲間が戦えない状況になれば彼女たちはどうなりますか?」

「は!口は達者だな?」

「私の疑問の答えは?」

「その分俺が頑張ればいいだけの話だろう?」

「どうやらあなたは守る戦いがどれほど大変かわかってないようですね?」

「あん?」

「とにかくあなた一人が反対しても意味はありません。ミンクさんとコロナさんは私の提案はどうですか?」

「あ、はい。私は賛成です」

「魔法術師としても休めるなら有難いからあたしも賛成だよ」

「と言うわけですので、まずは順番を決めましょう」

「けぇ!」

「ならば我々が最初に魔物を撃退しよう」

「でしたら私たちはその次で」

「私たちは最後ですね」


この順番を繰り返すことにして霜葉たちは左側に、バノンさん達は右側へと向かって行った。ミンクたちはこのまま後ろを警戒すると言って残った。


「聖夏先輩。お疲れ様でした」

「あのダスケと言う獣人の相手をするのは疲れますね。自分が強者であることを疑っていないようです」

「みたいですね」

「霜葉君は気を付けてくださいね?また絡んでくるかもしれませんから」

「はい」

「二人ともお帰りなさい」

「話し合いはどうだった?」


健吾と裕佳梨にも先ほど決まったことを話した。二人にはダスケのことは問題児の様だから注意するようにと言っておいた。


「そのダスケと言う獣人はそんなに問題なのか?」

「話していると疲れます」

「そ、そんなにですか・・・・」

「ついでに力こそすべてだって考え方に近いと思うよ?かなり自分の力に自信があるようだからね」

「とにかく、この依頼で重要なのは依頼主と子供たち、そして帰りの荷物を守り抜くことです。気を引き締めて進みましょう」

「「「はい」」」

『『がんばる~』』

『俺達も頑張るぞ!』

『うん!』

『頑張る・・・・』


それから馬車とその周辺で護衛する霜葉たちは周りを警戒しながら進んだ。何度か魔物に遭遇して戦闘となるが、ここでも活躍したのが白夜と十六夜だ。誰よりも早く魔物の接近に気づき威嚇の声を上げ霜葉たちに知らせる。霜葉たちはそれを護衛役の他の冒険者たちにも知らせて、早い段階で迎撃の準備ができるのだ。


「はぁ!」

「キャウン!!」


今も霜葉たちの知らせで近づいていたランドウルフたちをバノン達が余裕で迎撃できた。


「随分楽だわ~そのおチビちゃんたちが魔物の接近に気付いてくれるおかげで」

「確かにな。奇襲の心配がないのはありがたい」

「可愛くて役立つ素敵・・・・」

「ビャクヤとイザヨイだったか?ありがとうな」

「わん!」

「にゃ~♪」

「はぁ!弱者は弱者なりに役に立つのに必死だな?」

「あんたはまた!」

「がる~!」

「フシャ~!」

「あん?やるかガキども!」

「やめなさい!魔物とは言えちっちゃな子たち相手にみっともない!」

『白夜と十六夜も落ち着いて。ね?』

『あの人きら~い』

『主のことわるく言う人はきらい!』


白夜と十六夜は大好きな霜葉に向かって暴言を吐くダスケのことが嫌いになったようだ。まぁ、ある意味当然の結果なのかもしれないが。


「おいおい、あんたいつまでも霜葉に絡むなよ?霜葉の二匹のおかげで体力が温存できてるんだぜ?」

「はぁ?温存なんて物は弱者の発想なんだよ!強者はそんなこと考えなくていいんだよ」

「はぁ~何言ったって無駄か」

「すいませんね。うちのメンバーが」

「次はお前らだぞ。せいぜい役に立つんだな!」


そう言ってダスケは馬車の後ろの方へと帰って行った。


「一々噛みつかないと気が済まないのか?あの男は」

「本当にすみません」

「貴女も苦労してるわね・・・」


他の人たちに謝っているミンクさんを見て女性陣が心底同情の視線を向けた。


次の魔物の遭遇には霜葉たちが戦った。相手はちょっと強めのホーンドボア二体だ。この戦いでは小熊達がホーンドボアの相手をして霜葉と生徒会長がサポートを行った。霜葉が付与魔法術で小熊達を強化して、生徒会長は風魔法術の攻撃で援護した。


「ぐぅー!」

「ブモォー!」


新月の体当たりでホーンドボアが吹き飛び、木に激突したと同時に生徒会長の放った【ウィンドアロー】によって動かなくなった。


「ブルーベアは子供でも強いな・・・・」

「セイカもすごいわ。あの風魔法術は簡単な魔法術だけど相当な魔力があったわよ?」

「それもすごいが、ソウハが付与魔法術が使えたのが驚いたぞ?かなり珍しい魔法術だからな」

「どっちもすごい・・・・」

「はぁ!自分が弱いから魔物を戦わせているだけだろう!」

「がる~」

「フシャ~」

「ほら、落ち付け白夜」

「十六夜も落ち着いてね」

「わぅ~」

「にゃ~」


そう言って抱いている白夜と十六夜を宥める健吾と裕佳梨。


「ぐぅ!」

「まぁ~!」

「ぐる」

「お待たせしました。先に進みましょう」

「わかりました」


そう言って御者に先へ進むのを促す生徒会長。そして各自の持ち場に戻る冒険者たち。その様子を見届け人であるテイザーは感心した様子で見ていた。


(魔物使いの彼がいるグループはなかなかだな。全員では戦わずに護衛対象である依頼主が乗った馬車の近くにメンバーを残して戦っている。魔物を含めれば一番人数が多いからこその選択かもしれないが、不測の事態も考えての選択でもあるだろう。もう一組の四人組も後衛メンバーが常に馬車の近くで待機して的確な援護をして前衛の二人をカバーしている。今の時点でもこの二組は有望株だな。問題は最後の彼女らか・・・)


ミンクたちの戦いを思い出してテイザーはため息をついた。


(ミンクとコロナだったか。彼女たち二人は問題ない。それどころか優秀と言っていいだろう。一番人数が少ないことを自覚して常に周りを警戒して前衛で暴れるダスケを援護しつつ不測の事態が起こってもすぐさま動けるように心得ている。問題はダスケだな。護衛依頼だと言うことをわかっていない。自分の後ろに守るべき対象がいると分かっていない戦い方だ。ただただ前線で暴れるだけ。しかもダスケを無視して馬車に近づく魔物を気にも溜めない。彼女たちが対処してくれたから結果的にうまくいっているだけだ)


現に今まさに魔物が接近したことを霜葉が知らせるとダスケは二本の剣を鞘から抜いて、魔物たち目掛けて駆け出した。ミンクとコロナがまだ準備を整えていないのにだ。その事実を知らずに魔物に斬りかかるダスケ。


「おらぁぁ!!」


そして案の定。ダスケが魔物と戦っているうちに残った魔物が馬車に向かって行った。


「ごめんミンク!まだ魔法術は放てない!」

「わかった!私が仕留める!」


そう言ってミンクは弓を構えるのをやめて、鉈を抜き迫ってきたランドボアに斬りかかる。


「はぁ!」

「ぶもぉ!」


振るわれた鉈は脳天を断ち割り、辺りを血で染めた。当然、至近距離に居るミンクも血を浴びる。


「ぺぺ!口に入った!」

「大丈夫ですかミンクさん?じっとしててくださいね。【クリーン】!」

「ありがとう~ユカリ。回復魔法術が使えるあなたやソウハが居てくれて助かるわ~」

「確かにね。おかげで血を洗い流すのが楽だわ」

「はぁ!何だよミンク。ランドボア相手にその体たらくじゃ強くなれねえぞ?」

「このおバカ!あんたがこっちのことを考えずに先走るからでしょうが!私たちは剣を抜くだけのあんたと違って戦闘準備が多少はかかるのよ!」

「だったら早くする努力をしやがれ!そうしなきゃ強くなれねぇぞ?」

「この脳筋は~!!!」


そう言って始まる口喧嘩。ミンクは二人を止めるため声を掛け、そのまま持ち場へと戻ってゆく。その様子を見てテイザーは頭が痛くなった。


(やれやれ。今の戦闘は間違いなくダスケの判断ミスだな。もう一呼吸待つだけでも二人の準備が間に合い先ほどのランドボアにも余裕を持って戦えたはずだ。そもそもダスケは周りを見ていない。完全に一対一に特化している。一番強い魔物を相手するのはいいがその前にランドボアを仕留めることもできたはずだ)


事実。先ほどダスケが相手していたのは結構大きなランドボアだった。かなり長生きした個体だろう。


「ところでこのランドボアはどうしますか?かなり大きな個体のようですが?」

「普通なら冒険者ギルドに持って行くが、今は護衛依頼の最中だからな。残念だが放置だな」


ここに来るまでの道中で倒した魔物は倒したまま放置していた。一応腐る時間を遅らせるために霜葉と裕佳梨が【クリーン】を掛けたが、それだけだ。


「あぁ?何言ってんだ?もちろん持って行くぞ。おい魔物使いお前が荷物持ちになれよ」

「お断りします」

「ああん?今なんて言った?」

「今は護衛依頼の最中です。嵩張る荷物は邪魔でしかありません。確かに大きな個体ですからもったいない気はしますが、今は依頼が最優先です」

「ソウハの言う通りだな。諦めろ」

「てめぇ・・・弱者のくせに口答えする気か」

「貴男こそ依頼内容をちゃんと理解していますか?」

「上等だてめえ!」

「やめなさい!ダスケ!ソウハの言う通りよ!護衛依頼の途中で嵩張る荷物を自ら背負う必要はありません!ましてやほかの冒険者に無理強いするのもよ!」

「なんだ!ミンクはこいつの味方かよ!」

「当然でしょ。あんた自分が無茶を言っている自覚がないの?」

「けぇ!面白くねえな!」


悪態をついてダスケは馬車の後ろに向かう。その後にミンクは霜葉に謝り、ダスケを追いかけた。コロナもそれに続く。他の冒険者も自分たちの持ち場に向かう。


「いいのかよ霜葉?お前ならあの大きなランドボア持って行けるだろう?」

「確かに僕なら持って行けるけど、自分の手の内を明かしてまであの人のために何かする気はないよ」

「その方がいいでしょうね。それにそれを明かすと彼は霜葉君をこき使うことを考えるでしょうしね」

「そんな気はしますね」


霜葉たちが言っているのはアイテムボックスのスキルのことだ。しかし、初対面の者にスキルを教えるわけがない。緊急事態ならばともかく、あんな態度が最悪な者のために働く気のない霜葉であった。テイザーはそんな霜葉に同情した。


(受付嬢や解体場の職員の話では彼はアイテムボックスのスキル持ちだったな。ギルド職員としては持って帰ってほしいところだが、あの男のことを考えると私から彼のスキルを言うわけにはいかないしな。全く実に惜しいな)


テイザーはそう思って大きな個体のランドボアに視線を向け、ため息を吐いた。


それから日も暮れ、霜葉たちは街道横で一夜を明かすことにした。幸いここまでの道中は白夜と十六夜が早く魔物を発見してくれたおかげで、戦闘を早く終わらせることができて予定通りに進むことができた。ミンクたちが遅刻をしなければ予定以上に進んでいたが、それを自覚しミンクとコロナは落ち込んでいた。ダスケだけは理解していなかったが。


冒険者たちは用意していた保存食を食べていた。ちなみに保存食は乾燥させたお肉に硬いパンだ。霜葉たちは各自が背負っているバックの中に五日分の保存食が入っている。霜葉のアイテムボックスの中には召喚者たちが作ってくれた日持ちする料理や干し柿のような果物があるのだが、ダスケのことを警戒して保存食の方を食べた。


無論。味はおいしくない。しかし何も食べないと言う選択肢はあり得ないので、皆黙って黙々と食べている。口直しに近くで生っている果物を食べた後に見張りと焚火の見守り役の順番を決めて毛布にくるまって寝た。


そして翌日の朝。問題なく朝を迎えて見張り以外の冒険者や依頼主と子供たちが起きて、おいしくない保存食を昨日と同じく黙々と食べて王都に向けて出発した。


王都が近いからか、魔物の襲撃も昨日ほどではなく先へと進めお昼までに王都へと到着した。王都へと入る行列へと並びここも問題なく身分証を提出して無事王都へと入った。なお、霜葉たちは冒険者カードが身分証で依頼主は商人用の身分証明書があるのだ。


「冒険者の皆さんご苦労様でした。帰りもよろしくお願いします」


そう言って依頼主は頭を下げた。現在地は依頼主の王都の店の前で到着して早々に依頼主から言葉を掛けられた。


「店の隣が宿屋をやっていまして、よければそこにお泊まりください」

「それはいいですね。こちらとしても都合がいいです」

「確かにそうだな」

「俺達は以前泊まった宿屋にいこうぜ?」

「あんたはまた考えなしでそんなことを!」

「私たちも隣の宿屋に泊るよ」

「はぁ?なんでだよ」


理解していないダスケだが、王都に着いたからと言って彼らは護衛依頼の途中であるのは言うまでもない。王都の中では危険はないだろうが、近くに居られるならその方がいいに決まっているのだ。


ダスケはミンクの説明でやっとわかったようで、全員が隣の宿屋に向かうが・・・・


「すいません確認なんですが、明日は朝にこの場所に集合と言うことでよろしいですか?」


霜葉が依頼主に語りかけた内容を聞いた他の冒険者が「「「あっ!」」」と驚いた。王都に着いたことで気を抜いて聞くべきことを聞き忘れたのだ。


「ああ、これは申し訳ありません。あなたの言う通り明日は朝に店の前に集まってください。今日の内に荷物を確認して明日には荷物を載せて出発しますから」

「わかりました。ではまた明日」

「ええ、よろしくお願いしますね」


そう言って依頼主は店の中へと子供たちと共に入って行った。ちなみに話している間子供たちは白夜たちと遊んでいた。店に入りながら子供たちは白夜たちに手を振りまくっていた。


「ソウハ助かったよ。君が聞いてくれなかったら門の外に行っているところだった」

「私もよ。てっきり最初と同じように門の外に集合かと思ってたわ」

「私もうっかりしていました」


バノン、ミンク、生徒会長が霜葉にお礼を言っていた。その様子を面白くなさそうに見ているダスケとそんなダスケを不安げに見ているテイザーが居た。


とにかく、明日の集合場所も聞けたので今度こそ宿屋へと入りそれぞれの組は二人部屋を二部屋頼み、運よく開いていたので一泊代金二部屋分銀貨一枚と銅貨二枚を支払った。なお、白夜や十六夜と小熊達については小さいから特別に部屋に入る許可を貰い迷惑料として銅貨五枚を支払った。それから霜葉たちは一部屋に集まり今後の相談を行った。


「しかし、アイテムボックスの中の食糧が使えないのは地味に堪えるなぁ~保存食よりはおいしいのに」

「確かに、そうだね」

「予想外の予定外でしたからね。仕方がないと割り切るしかありませんよ」

「そうですね」

「とりあえず、明日に備えて飲み水と保存食の補給と一日ぶりですがベットで寝れるので疲れを癒して明日もがんばりましょう」

「「「はい!」」」

『『『『『がんばる!』』』』』


それから宿屋で食事をして(さすがに白夜たちは部屋で食事を与えた)飲み水の補給と保存食の補充。それが終わったら早めに夕食を食べて寝た。やはり慣れない依頼で疲れていたのだろう。すぐに霜葉たちは寝てしまった。


そして翌朝。霜葉たちは装備を点検して着込んだ後に体を動かして問題ないことを確認した後、宿屋を出た。店の前には依頼主と子供たち、荷物を載せた馬車に他の冒険者がテイザーを含め揃っていた。


「今回は私たちが最後でしたか」

「何、遅れているわけではないのだし問題ないさ。それに・・・」

「何かありましたか?」

「どうやら荷物が予定より多くて全部は馬車に入らないようなんだ。今から馬車と御者を用意したら明日までかかるらしくてな?依頼主が悩んでるんだよ」

「そうなのですか・・・・」


生徒会長は悩みながら霜葉に視線を向けた。一方霜葉は子供たちが白夜たちを構ってくれているので見守っている最中だ。


「仕方ないですね。霜葉君頼めますか?」

「わかりました」


バノンと生徒会長の会話を聞いていた霜葉は、生徒会長の言いたいことが分かったようで依頼主に声を掛ける。


「荷物は僕に任せてくれませんか?」

「あなたにですか?」

「はい。実は僕アイテムボックスのスキル持ちなので荷物を運べるんですよ」

「ほ、本当ですか!?そ、それでしたらお願いします!荷物はここにある三箱ですが、これ以上馬車に積むと移動速度が遅くなるので困っていたんですよ」

「わかりました」


そう言って霜葉は箱に順番に触れアイテムボックスに入れた。その光景を他の冒険者は驚きながら見ていた。アイテムボックスのスキルはかなりのレアユニークスキルで商人なら喉から手が出るほど欲しいスキルなのだ。


「おい!魔物使い!!」

「はい?」


それを見てダスケは霜葉を怒鳴りつけ、いきなり防具を掴み上げ霜葉を持ち上げそのまま睨みつけた。


「お前!アイテムボックス持ちなら倒した魔物も入れられただろう!何で言わなかった!!」

「初対面の人に自分のスキルを教える訳ないでしょう?ましてや貴男は僕に対しての礼儀がありませんでしたし、そんな人のために働く気はありませんよ」

「てめぇ!!」

「よしなさいダスケ!!依頼主の前よ!それにソウハの言う通りよ!あなただってスキルは教えてないのに他の人は教えろって言うのはお門違いよ!」

「私も同意見だ。ましてやアイテムボックスはレアスキルだ。欲しい人間はいくらでもいる。下手に持っていると言うのは危険だ」


ミンクに意見にバノンも同意の声を上げた。他の冒険者も頷いているし、ダスケに対して何やってんだこいつはと言いたげな視線を向けている。


「とにかくあんたは早くソウハを下ろすんだね」

「ああん!?」

「でないとその子たちが暴れるよ?」

「がる~!!」

「フシャー!!」

「ぐぅ~!」

「まぁー!!」

「ぐる~!」

「この子たちだけじゃないぜ。霜葉を下ろさなきゃ俺達も黙ってないぜ?」

「そうですね。そろそろ我慢の限界です」

「そ、霜葉君を下ろしてください!」


健吾に生徒会長、裕佳梨も霜葉に自分勝手なことを言っているダスケに対してもはや我慢が出来なかったらしい。


「上等じゃねぇか!まとめて相手になってやるぜ!」

「そこまでだ」


ここで成り行きを見ていたテイザーが割って入った。そのことにダスケ以外の冒険者、特にミンクとコロナはまた何か言われるのかと焦っていた。


「なんだよおっさん!邪魔すんな!!」

「ダスケと言ったな?これ以上自分勝手に暴れるならお前はこの試験は失格だ」

「ああん!どういうことだよ!!」

「同じ依頼を受けた冒険者同士仲良くやれとまでは言わないが、協力すべきだろう。それなのにお前は彼に対して暴言の数々、止めにスキルを教えろと言う脅迫行為。このままでは冒険者ギルドとしても不利益になると判断するぞ?それでもいいのか?」

「くそ!」


悔しげにダスケは霜葉を乱暴に下ろした。すぐさま白夜たちが足元にすり寄ってくる。霜葉は白夜たちを順番に撫で始めた。


「他の者たちも被害者であるソウハ以外はダスケにかなり問題があったのは認めるが、もう少し言葉を選ぶ必要はあったと思うぞ?そのことを頭の隅にでも覚えておいてくれ」


そう言葉を残してテイザーは再び全員が見渡せる位置に戻った。


「確かにそうですね。私もまだまだですね」

「いえ、セイカ達は悪くはないわ。こちらが全面的に悪いのよ。ソウハもごめんなさいね?」

「ミンクさんが謝る必要はありませんよ?」

「いいえ、私はこのメンバーの一員として謝らなければいけないわ。本当にごめんなさい」


そう言って深く頭を下げるミンク。それを見たコロナも私も謝るよっと言って頭を下げた。霜葉はそれを受け入れてこの話はこれでおしまいとなった。しかし・・・


「申し訳ありませんが、ミンクさんたちは馬車の左右どちらかに移動してくれませんか?」


突然に依頼主からそのようなことを言われ、ミンクたちは困惑した。


「別にかまいませんが、理由を聞いても?」

「そちらの男性を子供達が怖がっているのですよ。ですので移動中は子供たちの目に見えない場所に居てくれると助かります」


言い方は穏やかだが、依頼主の目にはあんたたちはいったい何をやっているんだ?と語っているようだった。


「・・・・わかりました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「ごめんなチビちゃんたち」

「けぇ」

「謝る必要はありません。こちらの要望を聞いてくれたらそれでいいのです」


影響は少ないながら無視できない物となっていた。


とにかく荷物の問題は霜葉のおかげで解決したので、出発することにした。ちなみに馬車の後ろにはバノンたちが移動した。初めは子供たちが懐いている白夜たちを連れている霜葉たちが移動しようとしたが、周囲警戒のためにも白夜たちは左右に居てもらった方がいいとバノンさんたちに言われそのようになった。


だが、子供たちの安心のためにも今日一日は三日月が馬車に乗り込み子供たちと触れ合ってもらっている。依頼主も小熊なら馬車に乗っても問題ないだろうと許可してくれた。時折、子供たちの笑い声や三日月の嬉しそうな鳴き声が響くのでうまくいっている様だ。


昨日より馬車は荷物があるので移動速度は遅いのだが、魔物の襲撃もなく道中は安全だった。その後、昨日の野宿した場所まで移動することができ、馬を休ませる意味でも今日はここまでとして明日朝早くに出発することにした。



特に問題なく朝を迎えた一行は、予定通りに朝早くに目覚めて出発した。今日を乗り越えれば霜葉たちはCランク冒険者になれるかもしれない。


「何とかなりそうだな」

「そうだね。安心したよ」

「「・・・・・」」

「どうした霜葉?」

「聖夏先輩も何か気になることでも?」

「いえ、昨日は王都に近かったので魔物が少ないのは分るのですが、出発してから一度も魔物に会いません。王都へ向かっていたときはかなりの頻度で襲撃されたのに」


事実。出発してからしばらく経ったが魔物は一度も現れていない。


「僕は森が静かすぎるのが気になります。鳥の声はおろか虫の鳴き声や葉がこすれ合う音すらしません」

「そういえば・・・?」

「確かに静かだね?」

『白夜に十六夜は何かわかる?』

『においはぜんぜんしないの~』

『おとも聞こえません~』

『そっか・・・・匂いや音がしたらすぐに知らせてね?』

『『わかった~』』

「白夜と十六夜は匂いや音はぜんぜんしないって言ってるけど、ちょっと不安になる静けさだね」

「全くしないと言うのは、変な話ですね?」

「「確かに・・・・」」


霜葉たちがこの状況をおかしいと考えていると後ろからナゼックが近ずいてきた。


「ナゼックさん。何かあったんですか?」

「いや何かあったと言うわけじゃあない。だが、森が静かすぎる。それに辺境に近づいているにも拘らず魔物が見当たらないのもおかしい。ソウハその二匹は何か反応はしていないか?」

「今は特に何も」

「そうか・・・・少しでもおかしな反応をしたらすぐに知らせてくれ」

「わかりました」

「俺たち四人ともこの状況はおかしいと思っているんだ。君たちもこれまで以上に周りを警戒してくれ。ミンクたちにもラーシムが警戒を強めるように伝えに行っている。」

「「「わかりました」」」


そう言ってナゼックは馬車の後ろへと帰って行った。その時霜葉はこの森で生活していた新月たちにこんな状況に心当たりがないか聞いてみた。


『新月たちはこの森で暮らしてたよね?こんな風に静かになった時ってあるの?』

『あるぞ。でも母さんがこんな時は外に出ちゃいけないって言ってたんだぞ』

『そうなの!』

『確かに言ってた・・・・』


強い魔物であるブルーベアが外に出ない状況。どうやらこの状況は思っていた以上にまずいかもしれないと霜葉は思った。すぐさま三人にもこの情報を知らせる。


「それは・・・・一気に話がキナ臭くなりましたね?」

「あの親熊が外に出るなっていう状況なのかよ」

「そ、そんな・・・・」

「だからみんな。周囲の警戒は」

「わおぉ~ん!!」

「「「「!!!!」」」」


突然、白夜が大きく吠えた。これはあらかじめ白夜に頼んで危険な匂いがしたらすぐに知らせるために大きく吠えてくれと言っていたのだ。このことは他の冒険者や依頼主にも伝えている。今この時に吠えたと言うことは・・・


霜葉たちはすぐに武器を構え、健吾がやや前に出て生徒会長はいつでも魔法術を放てるように魔力を練り上げ、霜葉や裕佳梨もいつでも仲間を強化&癒せるように杖を構えて周辺を最大級に警戒した。


御者も馬車を止めて、他の冒険者も周辺を警戒している。やがて、森の奥からズッシン!とかなりの足音?らしきものが響いてきた。どんどんと馬車に近ずいている足音らしきものはついに馬車の前方に姿を現した。


「な!?バトルコングだと!?」


現れたのは赤黒い毛を生やしたゴリラだった。それを後方で見たバノンが驚きの声を上げた。それもそのはず。バトルコングはCランク以上の冒険者に討伐依頼がされるほどの強さを持つ魔物なのだ。この場に居る者たちでは敵わないとバノンは判断したが・・・


「はぁ!ただのサルじゃねぇか!あんな奴俺一人で十分だ!!」


ここで愚かなことにダスケが二本の剣を抜き放ち、バトルコングに向かって行った。


「ダスケ!?」

「あのバカは~!!」


仲間の行動に驚くミンクとコロナ。その間にバトルコングへと斬りかかるダスケ。だが・・・・


「ガァァ~!!」

ブン!!

「ぐはぁ!?」


バトルコングの振るわれた拳によってダスケは横へと吹き飛び、吹き飛んだ先にあった木に背中から激突してその場へと倒れ動かなくなった。


「ダ、ダスケー!!」


叫ぶミンク。コロナは目の前で起こった事が信じられないのか呆然としていた。彼女らの心境をよそに事態は動く。


「ガァー!!」


ダスケを吹き飛ばしたバトルコングは馬車へ向かって走り出した。御者は突然の事態に動かなくなっておりただ震えるだけであった。


「させるかよ!!」


馬車を守るためにバトルコングの前に健吾が立ち塞がった。その後ろでは霜葉が杖を構えていた。


「む、無茶だケンゴ!」


バノンは健吾の行動を止めようとしたが、バトルコングの拳の方が早く健吾に振るわれる。


「【アタックブースト】!【ガードブースト】!」

「おらぁ!」


霜葉の声が聞こえた後に健吾はバトルコングの拳に向かって大盾を突き出す。


カァーン!!


拳と大盾は激突し甲高い音を響かせ、健吾の大盾は拳を防いだ。バトルコングはその結果に驚き他の冒険者も同様で一瞬の間が生まれた。


「聖夏先輩!彼は無事ですか!?」

「はい!息はあります!今、裕佳梨さんが回復しています!」

「わかりました!」


先ほどの攻防の間に吹き飛ばされたダスケの下に駆け寄った裕佳梨と生徒会長。すぐさま息があるかを確認して生きていることを確かめた後に裕佳梨が回復魔法術を施した。


「バノンさん!僕も援護しますので協力をお願いします!白夜たちは馬車を守って!」

『『『『『わかった!』』』』』

「りょ、了解した!みんな行くぞ!!」


バノン達は霜葉の声で我に返り、各々が武器を手にして前衛組は健吾の左右へと移動し後衛組は援護しやすい位置へと移動して戦闘が始まった。


と言っても高度な連携ができる訳ではないので、健吾が正面でバトルコングを相手をしてバノン、ナゼックの両名は後ろや左右に周り隙があれば攻撃。ラーシムは弓で関節や顔面を狙って援護。キーリは速さ重視の魔法術で確実にバトルコングに当ててダメージを稼ぐ。霜葉はそんな全員に付与魔法術を掛けて全体の能力の底上げを行った。


白夜たちテイム組は霜葉の言葉通りに馬車の周辺で辺りを警戒している。ミンクとコロナは初めは戸惑っていたが自分たちのできることをしようと白夜たちと一緒に馬車を守っている。生徒会長はダスケを回復している裕佳梨の護衛だ。


唐突に始まったバトルコングとの戦闘だが、健吾が正面でバトルコングの相手をしているおかげで他の者の攻撃が当たりやすくバトルコングが健吾以外の者を攻撃しようとすれば、健吾が戦棍による一撃を繰り出すのでできずにいた。また時々、大盾を叩くなどの挑発行為もするのでバトルコングは健吾をムキになって攻撃するのだ。


また、霜葉の付与魔法術のおかげで能力が上がっているので攻撃がよく効き、攻撃されたとしてもダメージが思ったほどではなく健吾たちが優勢だった。そして・・・・


「おらぁ!!」

バゴン!!

「ガァ・・・アア・・・」


健吾の戦棍の一撃が攻撃を受け弱っていたバトルコングの頭に当たり、前のめりに倒れた。そのまま皆は倒れたバトルコングの周りで様子を窺う。ピクリとも動かないバトルコング。バノンが慎重に近づき首に手斧を叩き込み断ち切った。


「おわった~!」


健吾のこの叫び声をきっかけにして、戦闘に参加した者とそれを見ていた者はその場へと崩れ落ちた。そして、霜葉の下に駆け寄るテイム組。今の霜葉は遠くから見えたら毛むくじゃらの魔物にしか見えないだろう。


「はぁはぁはぁ・・・ま、まさかバトルコングを俺達が倒せるとはな?」

「人数で勝っていたのも勝因だが、ケンゴとソウハのおかげだろう」

「そうね・・・付与魔法術があんなにありがたい物だとは思わなかったわ・・・・」

「ふたりともすごい・・・・あと、つかれた・・・・」

「皆さん。お疲れ様でした。少し休憩した後に移動を再開しましょうか?」

「いえ、体力の方は僕と裕佳梨ちゃんが回復しますから、急いで移動しましょう。あの魔物が一匹だけとは限りませんし。フゥー」

「そうだな。頼めるか?急げば辺境の町の近くまでは行けるはずだ。そうすれば多少は安全なはずだ。ハァー」

「そ、それからダスケさんはどうしましょう?怪我は回復したと思いますが、意識が戻りません」

「ふぅー。それなら俺が運ぼう。先ほどの戦闘で武器の大剣に違和感を感じたんだ。すまないがもし戦闘になれば俺は戦えない」

「わかりました」


それから霜葉と裕佳梨は協力して体力回復の【ヒーリング】を皆に掛けて、ナゼックがダスケを背負い大剣はここに放置するとのこと。もったいない気もするがナゼック本人が今は移動を最優先にしようと言うので他の皆は何も言わなかった。


移動を再開した一行は、体力は霜葉たちのおかげで大丈夫だが精神的な疲労までは回復していない。しかし、そんな場合ではないと皆が分かっていたため文句も言わずに進み続けた。


そして、何とか辺境の町の壁が見えるところまでやってこれたのでとりあえずは当面の危険は回避できただろう。なお、町に着くまでに出てきた魔物は白夜たちテイム組と生徒会長が対処した。


もう少しで町に到着する時にダスケの意識が戻った。


「んぁ?・・・ど、どうなったんだ俺は?」

「ようやく目が覚めたようだな?とりあえず歩けるなら下ろすぞ?」

「あぁ?なんであんたに背負われてるんだよ?」

「お前の仲間にでも聞け」


そう言ってナゼックはダスケを下ろして、離れて行った。対応が冷たいのはバトルコングの時の先走った行動に対して言いたいことがあるからだろう。あの時先走らずに全員と協力していればもっと余裕があったのは言うまでもないのだから。


「おい!どういうことだよ!?」

「馬鹿脳筋!!まずは謝罪か感謝が先でしょうが!?」

「ああん?」

「・・・・・今から説明するからよく反省しなさいダスケ」


ミンクはダスケがバトルコングの一撃で戦闘不能になり、その治療に裕佳梨が護衛を生徒会長がやってくれた。だが、そのせいで二人は戦闘に参加できなくなりバトルコングを倒すのに時間がかかったと説明した。


さらにこの戦闘で活躍したのは、正面でバトルコングの攻撃を一手に引き受けた健吾と味方の能力を付与魔法術で底上げしてくれた霜葉だと断言した。


「おいおい、魔物使いなんて弱者が役に立つわけねぇだろう?何かの間違いだ」

「・・・・・説明を聞いた第一声がそれなの?あなたは」

「あん?だからなんだよ?」

「バトルコングの一撃で戦闘不能になってみんなの足を引っ張ったのよ?何か言うことがあるでしょう?」

「俺を回復したあの女の能力が低いだけだろう」

「!!」

パァン!!!


ダスケが言葉を口にした直後にミンクはダスケの頬を叩いた。それもかなり本気で。ただ、周りで二人の会話を聞いていた(馬車の護衛中なので視線は周囲に向けているため)面々は驚くことはなかった。むしろ当然だと思っている。なぜなら・・・・


「ミンク!いきなり何しやがる!」

「この際はっきり言ってあげるわ!この場に居る冒険者で一番能力が低いのはあなたよダスケ!!」

「なぁ!?」

「護衛依頼だと言うのに馬車を守る行動を一切しない!魔物相手に暴れるだけ!挙句の果てに自分は強いなんて言いながら魔物の一撃であっさり戦線離脱!こんな結果しかないのにまだ自分は強いなんて態度でいることが信じられない!あなたがさんざん弱者だと言っていたソウハはあなたより能力は上よ!!!」

「・・・・・・(ぱくぱくぱく)」

「悪いけど、あたしもミンクと同意見よ。あんたは強者じゃない」


今ミンクが言ったのがこの場に居る冒険者全員の認識だ。冗談でもなんでもなくこの場で最も能力が低いのはダスケである。


「・・・・・て、てめえらぁぁぁ!!!」

「仲間に事実を言われてキレるなバカめ」


ミンクの言葉に我を忘れたのかダスケは武器を抜こうとした。しかし、いつの間にかダスケの後ろに回ったテイザーが首に手刀を当てダスケを気絶させた。


「テイザーさん・・・・」

「この男は町まで私が運ぼう。言うまでもないと思うが・・・・」

「・・・・はい。ご迷惑をおかけしてすいません」

「申し訳ないです・・・・・」


そう言葉を交わした後、テイザーはダスケを肩に担ぎいつものように全員の様子が分かる位置に移動した。そうこうしている間に一行は辺境の町の門へと到着した。長かった試験ももうすぐ終わりだ・・・・

馬鹿なキャラや迷惑キャラは物語の引き立て役なのですが、書くのは難しいですね~

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― 新着の感想 ―
[一言] よく今まで生きてたよな(笑)その手の自惚れ馬鹿は早死するのに(笑)
2020/07/23 20:08 退会済み
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