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第四章  第十話  海王国編8

久しぶりの更新。最近忙しかった・・・

海王国の海賊騒ぎに一筋の希望をもたらした霜葉たち。この一件で彼は海賊騒ぎに深くかかわることになる可能性も考えた。その後の旅は順調だったが、鈴蘭の両親の群れを発見。サメの魔物たちに襲われているところをすぐさま助ける。


その後、彼らの事情を聴きますます彼らを仲間にしたくなった霜葉。鈴蘭の父親を長としてテイムしてガーベラの名を付ける。その後は仲間の紹介とお昼を食べるために【箱庭世界】へと向かう。


初めて訪れたガーベラたちは驚いている。大人たちは目を見開き口を開けた状態で固まっている。一方の鈴蘭と他の子供たちはきれいな海ではしゃいでいる。


『『『『わ~い!! きれいなうみ~!!!』』』』

『スゴイでしょ!』


なぜか鈴蘭がドヤ顔だが。同世代に自慢したいだけかもしれない。子供たちを落ち着かせて、砂浜に霜葉の仲間たちが集まり自己紹介を行う。


『スケルトン・テンプルナイトで主殿からガウェインの名をもらっている。これからよろしく頼む』

『シルバーヴォルフの北斗と申します』

『ホーリーギガスのカイロスだ・・・よろしく』


それに続いて白夜たちも挨拶すると、早速子供たちが皆と触れ合っている。一方でガーベラ夫婦は霜葉、ガウェイン、北斗、カイロスとお話し中だ。


『こんなに強い皆様と一緒で私たちはお役に立つのでしょうか?』

『ほっほっほ。心配ないですぞ? 我々も最初はコボルトと言う弱い種族でありました。しかし、主殿のおかげでここまでの強さを得たのです』

『え!?』

『俺たちも同じ・・・それに海では君たちに頼るしかない・・・自信を持っていい』

『皆様・・・ありがとうございます』


そう言われて気持ちを切り替えるガーベラ夫婦。霜葉とガウェインも彼らに言葉を贈る。


『うん、北斗とカイロスの言う通りだよ。強さに不安があるのならこれから強くなればいいんだよ。それだけじゃなくて仲間を頼ってもいいんだしね』

『さよう。わしらは主殿の縁で集った仲間。これからはともに助け合いともに主殿を助けよう』


この言葉にガーベラは涙をにじます。妻がガーベラに寄り添いなかなかほっこりする絵が出来上がる。


その夜はガーベラたちの歓迎会が行われ、皆大いに楽しんだ。ガーベラたちは霜葉や北斗たちの調理した海産物の味に衝撃を受けて、お腹いっぱいになるまで食べたのだった。


そして翌日。砂浜で大和や武蔵と並んでガーベラたちも寝ている。子供たちなど器用に鼻提灯など膨らませている。彼らを起こして朝食を作ろうとしたところ・・・


『さすがに連続でお手を煩わせるわけにはいきません。幸いこの海には海藻や貝に魚もいるのでそれらを捕まえて食べます』

「え? 海藻はわかるけど貝や魚がいるの?」


初めての事実。なんと【箱庭世界】の海には生物がいたらしい。これはひょっとしたら川魚もいるかもしれない。確認のために北斗たちにちょっとした裏技的な川魚の取り方を教えて実行してもらう。


簡単に説明すれば川中にある水面に出ている岩に大きな岩をぶつける奴だ。日本でやると問題になるだろうが、ここでは問題ない。


実行すると確かに川魚らしきものが浮いて流れ始めた。下流に待機していた北斗たちが回収する。それらを朝食に調理しておいしくいただいた。ガーベラたちも海で魚を追いかけて食べた。武蔵たちも協力している。


朝食も食べて旅を再開するために【箱庭世界】を出たが、ここで問題が発生。白夜と十六夜が海から嫌な匂いと音がすると言い、ルナに空から偵察してもらうとかなり離れた海から大きな背ビレと魚影が見えると報告された。


「昨日の奴らかな?」

『多分そう。同じ匂いだよ』

『こちらも昨日と同じ音です』


これは確定だろう。どうやら昨日のブラッドシャークたちがこの島から離れた場所で待ち構えているらしい。目当てはガーベラたちだろう。大和がいなくなってから襲うつもりなのかもしれない。


「案外しつこいやつらだね?」

『サメ系の魔物は狙った獲物をしつこく追い回しますからな。わしの生前では海で活動する者たちから嫌われておりましたよ』


だろうねと霜葉は納得してしまった。しつこい魔物なのでどうするべきかの話し合いが行われる。


『狙いはガーベラたちだから、ここに誘い込む?』

『ふむ・・・主の能力でガーベラたちも強化されているでしょうから、追いつかれることはないと思いますが・・・・』

『なら【付与魔法術】を追加すれば確実じゃない? ガーベラたちの意見はどう?』

『そうですね・・・【箱庭世界】でしたか? あの海で魚を探していた時の感覚で言えばかなり身体能力は上がっていました』

『それなら大丈夫だと思うけど、一番リスクが高いからガーベラたちが不安なら別の方法を考えるよ?』

『いえ、その案をやらせていただきたい。主様のおかげで強くなれたことを実感するのに最適な相手でしょう』

『『『『頑張ります!!』』』』


ガーベラの意見に可愛いアザラシさんたちは鼻息をふんす!と吐いて気合十分な様子。


『じゃあ、ガーベラたちに【付与魔法術】掛けて、島の海岸までおびき寄せよう。ここならカイロスたちや北斗たちも戦えるだろうしね』

『仲間のために戦う・・・』

『我々は弓で援護に徹したほうがよさそうですな』


基本方針を決めたら、作戦を詰めるためにさらに話し合い数十分後に実行される。





サメたちは目の前に見える島から獲物が現れるのを待っていた。昨日は突如として現れたアーケロンに逃げるしかなかったが、さすがにずっと一緒にいるようなことはないと考えた。


そして一体のサメから獲物が出てきたと報告され、サメたちは一気に獲物の下へと急いだ。泳いだ先に確かに昨日の獲物の群れを確認。後はそのまま襲いおいしくいただくだけだ。


獲物は方向転換し昨日と同様に逃げ出したが、昨日の追いかけっこで獲物が我々より遅いことは確認済み。すぐさま口に入れてやると意気込む。


おかしい。昨日と違い一向に追いつけない。むしろ若干ではあるが離されている。何かが変と群れを率いるリーダーは考えるが、この先には島がありそこで捕まえることが出来ると不安を振り払う。


だが、島の浅瀬で信じられない者を見た。なんと別の魔物が群れを成しているではないか。しかもその後方には別の魔物が武器を構えている。これはまずいと判断しすぐに逃げるように指示を出そうとするが・・・


「クワァ~!!」


後方に昨日現れたアーケロンが海面に現れた。その事実にリーダー格のサメは混乱する。サメ系の魔物は索敵能力も高く、その能力で自分たちが脅威に感じる魔物はいないと判断していたのだ。まさか突然現れたわけでもあるまい。


しかし、これでサメたちは逃げ場を失った。獲物だと思っていた群れは二種の群れと合流し、こちらに向かってくるではないか。サメのリーダー格はアーケロンに挑むことはせずに三種の群れに戦いを挑む指示を出す。


アーケロンよりも数は多くとも海で戦う我々の方が有利と判断した形だ。その判断は間違いでそもそも逃げられない時点でこのサメたちの運命は決まっていたが。





作戦は見事に成功した。ガーベラたちがおびき寄せたサメたちは【箱庭世界】から現れた大和に退路を断たれ、北斗、カイロス、ガーベラたちに戦いを挑んでいる。


今まさに海面から大口を開けて先頭のカイロスに襲い掛かろうとしたサメは、丸太棍棒の一撃を受けて吹き飛ばされた。


それに出鼻をくじかれたサメたちは勢いを止めてしまい、北斗たちの矢による攻撃を受けてしまう。さらに追い打ちにガーベラたちの頭突きや尻尾による攻撃を喰らう。


そこから本格的な戦闘が開始されるが、サメたちはカイロスたちの丸太棍棒に吹き飛ばされたり、襲い掛かると両手でつかまれ陸に投げ飛ばされる始末。陸に打ち上げられた先では北斗たちの武器で仕留められる。


何匹かが逃げようとすると、大和の背に居る白夜たち魔法術組にやられ、それで生き延びても大和や武蔵たちにとどめを刺される。そんなこんなでサメたち総勢17匹は一匹残らず倒されるのだった。


《スマイルシールの群れすべてのLvMAXを確認。条件達成。【存在進化】の効果で進化を行えます。群れの進化は長の進化先が群れすべてに適用されます≫


『お?』

『こ、これは?』

『『『なんだなんだ?』』』


いきなり頭に響いた声にガーベラは困惑し、群れもびっくりしているようだ。霜葉に至ってはもしかしたらと考えていたので的中したかと言う感想だが。


『落ち着いてガーベラたち。これが僕の能力だよ。君たちは強くなれるんだ』


霜葉の言葉にガーベラたちは驚き、喜んだ。鈴蘭も初めての進化にワクワクしている。


『じゃあ、実行するよ?』

『お、お願いします』


慣れた感じで進化を実行する霜葉。現れた進化先は一つだけであり内容は・・・


 【セサミンシール】

灰色の皮膚に黒い粒粒模様があるアザラシの魔物。可愛い外見だが戦闘力は侮れない。


これを見て霜葉はゴマフアザラシを想像したのは言うまでもないだろう。とにかく進化先が一つなら悩むことはない。早速進化させたいがサメの魔物を放置するわけにはいかない。


進化を後回しにして全員が【箱庭世界】へと帰り、まずはサメの解体作業を行うことに。正直な話サメの解体を霜葉は覚悟して行った。地球ではサメはアンモニア臭がひどく解体するのが一苦労だからだ。


ところがいざその身に刃物を通すと覚悟していた悪臭はせずに、キレイはピンク色の身が現れた。どうもサメではあるが地球と同じではないようだ。


肩透かしを食らったが問題ないならさっさと終わらせようと、北斗たちにも手伝ってもらい解体作業を再開する。そして終わった後にはサメの身と鮫肌が大量にアイテムボックスに納まった。


そして、いよいよガーベラたちの進化を実行することに。仲間全員が注目する中進化を行ったガーベラたちは光に包まれ収まった後には・・・


「ああ、やっぱり想像した通りだ」

「パウ?」


霜葉の目の前にはゴマフアザラシに酷似したアザラシさんたちがいた。首が引っ込んでると真ん丸に見えてしまうアレである。確かに見た目は可愛らしい。ステータスはと言うと・・・



 名前: ガーベラ


 種族: 【セサミンシールLv1/Lv30】×22


スキル: 頭突きLv5 : 尾撃Lv5 : 遊泳Lv7

   : 水中適正Lv6 : 笑顔察知 : 物理耐性Lv1

   : 身体強化Lv1 : 退化(配下専用)



このような感じで確かに戦闘力は高めだ。あと【幸運】スキルを持っているのは鈴蘭だけだった。進化した姿にガーベラたちは興味津々で仲間たちで触れ合っている。戦いの後とは思えない平和な光景である。


『これを繰り返してみんな強くなったんだよ?』

『素晴らしいです・・・これからも強くなって主様に救ってもらった恩をお返しします!』

『『『『『お役に立ちます!!』』』』』

『あたしも~!』


そう言うガーベラたちと鈴蘭に霜葉は笑顔になった。それから戦闘とその後の処理で割と時間が経過したためそのままお昼を食べて、食べ終わってから旅を再開。旅にガーベラたちも加わりさらに賑やかに。


現在も大和の周りを武蔵とガーベラたちが楽しげに周回しながら付いて来ている。そろそろ夕方になるころに遠目で島を発見。その島を目指していたところ中型漁船が近づいてきた。


「お~い!! そのアーケロンに乗っているのは人か!!!」

「はい!! この子に乗って旅をしています!!」

「マジか!!? 旅をしてるってことはあの島に向かうところか!!」

「そうですが!!? 何かまずいでしょうか!!」

「さすがにアーケロンで島に近づくと島民が騒ぐ!! 俺らが先に行って説明するからゆっくり来てくれ!!」

「わかりました!!!」


そう言って漁船は離れていった。霜葉は大和に指示を出してゆっくりと島へと向かうことに。


数十分かけて島へと辿り着いた霜葉たちは、島の代表者として貴族と冒険者ギルドの責任者に港で話をすることに。


「初めまして。この島を国王陛下から任されているアーシア・ヒルクレスだ。身分としては子爵に当たる」

「俺は冒険者ギルドの責任者でバートってもんだ」

「ご丁寧にありがとうございます。霜葉と言います。周りの子達やあのアーケロンは僕の家族です」


アーシア子爵は褐色肌の金髪で姉御肌の女性。ギルドマスターだと思われるバートは筋骨隆々の大男で髪は茶髪の角刈り。二人は霜葉の紹介を聞いてその周りの魔物たちやアーケロンを見て驚いているようだ。


「むう・・・他の貴族や国王陛下からの書状で知ってはいたが、まさか【魔物使い】がアーケロンをテイムできるとはな・・・」

「俺も初めに知らされた時は冗談かと思いましたぜ。目の前に居ても夢でも見てんのかと・・・」


さすがに事前に通知がされていたようで驚きようはそれほどではない様子。しかし、霜葉は他の貴族はともかく海王国国王の書状が気になった。


「他の貴族はなんとなく予想が付きますが・・・国王陛下の書状とはどういうことでしょうか?」

「ああ、君が海賊団の一味を捕まえたことでようやく解決に向けて前進したからな。その恩がある君のことを丁重にもてなす様にとの通達と・・・」

「迷惑をかけるなとの釘差しだな。冒険者ギルドの方でも国から感謝されたぞ?」

「海賊団に関してはかなりの期間で暴れているからな・・・それを考えるとソウハ殿の働きは感謝してもし足りぬ」

「冒険者ギルドとしても助かっててな? 被害もそうだが冒険者の活動そのものが海賊団のせいで芳しくなくてな・・・本当に頭が痛かった問題なんだよ」


そう言ってアーシア子爵とギルドマスターは溜息を吐く。


「と言うことは問題は進展したと言うことですか?」

「おそらくはだがな? この情報に関しては首島の方で厳重に扱われているらしく、この島まで情報が入ってこないのだ」


今までの海賊団の活動を見るに、情報収集能力が高いことは周知である。そのことを踏まえて慎重になっているのであろう。なお、難しい話をしている三人をしり目に白夜たちは楽しげに女性たちや、子供たちと触れ合っている。


「「「もふもふムチムチ♪」」」

「「「パウ~♪」」」


特にガーベラたちが大人気である。退化状態の彼らは真っ白いモフモフな体毛にその下の体はぷにぷにもちもちなので子供や大人たちは港で触れ合っている。


「ところでアーケロンや魚の魔物は知っていたが、あの可愛らしい魔物は何なんだ?」


アーシア子爵も気になるようでちょっと撫でたそうにしていた。


「群れからはぐれた子を保護していて、その群れを見つけたんですよ。その時に仲間にしました」

「始めてみる魔物だ。あんな子たちが居たんだな」

「戦闘能力は高くないので、基本逃げ回っていたようです。群れを見つけた時もブラッドシャークに追われていました」


その話を口にした時、アーシア子爵とギルドマスターは霜葉が驚くほど食いついた。なんでもサメ系の魔物は皮が特殊で、大工道具のやすりや調理道具など幅広い利用価値があるとか。お肉も見た目とは裏腹に癖がなく淡白で重宝されているとのこと。


いいことを聞いた霜葉はさっそく皮とお肉を半分ほど買取に出すことに。思わぬ収入にギルドマスターのバートはほくほく顔で仕事をしにギルドへと戻った。


「助かったぞソウハ殿。ここ最近は冒険者の買取も以前と比べると激減していてな? 何とかしたいと彼も私も思っていたところだったのだ」


やはり、海賊問題はこの国にとって早くなんとかしたいことのようだ。その夜はアーシア子爵のご厚意で彼女の館に泊まることになった。

次回の更新は未定。

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