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第四章  第九話  海王国編7

お待たせしました。

海王国での大和に乗って海を旅している途中で、海賊船三隻に襲われている客船を助けた霜葉たち。その解決後に霜葉は現在の海王国で海賊問題がかなり深刻であることを知った。


その後に海王国第二の島へと辿り着き、その島を治めているローク・ライバート侯爵からも感謝された。さらに何人かの海賊を捕らえたことで海賊問題の解決に近づいたことにも。


さらにはその海賊問題の話題の中で、海王国の一騎当千の強者であるカルネ・クロージル王女殿下の話も聞けた。その話の中でカルネ王女は彼女に戦い方を教えた一代前の強者である【知将】ダイダル・シューツワットから、十分な教えを授かっていないことを知る。


そんな話をしているうちにローク侯爵の屋敷に到着し、現在は翌日になり朝食を食べているところだ。霜葉は和食に近い食事を堪能し、白夜たちもそれぞれの好物を食べている。


「そう言えばソウハ殿。海賊団の退治と捕縛のお礼が用意できたのだ。是非受け取ってほしい」

「そこまでしていただくわけには・・・」

「いやいや。ソウハ殿のしたことはそこまでしなければならないことだ。問題解決の糸口になる可能性があるのだから」

「わかりました。ありがたくいただきます」


さすがにごねてはいけないと判断した霜葉。メイドの方から金貨10枚を受け取る。


「あと、冒険者ギルドでも報酬があると昨日使いの者が訪ねていたよ」

「では、いくつかの仕事を受けるためにも行ってきますね」


その後はたわいのない話をしながら食事を楽しんだ。その後は食後に小休止を挟んで冒険者ギルドへと向かう。


その道中では霜葉たちにたくさんの人が話しかけ、口々にお礼を述べていた。ただ・・・中にはこのような人もいた。


「俺の両親は海賊に殺されたんだ。だが、あんたのおかげで海賊団を壊滅できそうだと聞いた。まだまだ準備段階だそうだが希望が持てたよ・・・本当にありがとう」


彼のように海賊団によって家族や親しい人を殺されたと言う者は少数ながら他にも居て、霜葉にお礼を述べていた。中には泣きながら感謝を口にする者も。


霜葉は内心で複雑な心境になった。感謝されたが内容が内容なだけに素直に喜べない。そんな心境も子供たちと白夜たちとの触れ合いを見ているとだんだんと晴れてくる。


(この国に居る間は海賊団の問題に付き合う必要があるね・・・もしかしたら海賊団討伐に呼ばれることも覚悟しないといけないかな?)


海賊なら盗賊の代わりとしてBランク認定試験になる可能性もあるし、自分の能力と白夜たちの戦力を期待して声が掛かる可能性は大いにある。


そんなことを頭の片隅で考えながら、冒険者ギルドに着いた。白夜たちと触れ合っていた子供たちに別れを告げ、霜葉たちは冒険者ギルドに入る。


まずは受付嬢に話しかけて昨日の海賊討伐の報奨金をもらう。その額は金貨六枚に銀貨三枚。


「結構多いですが、それだけ海賊問題が深刻と言うことですか・・・」

「ええ・・・おっしゃる通りでして。連中は本当に頭が回ると言いますか、悪知恵が働くと言いますか・・」


なんでも海賊団は決して島を襲わないんだそうだ。襲うのは商船や客船の積み荷に冒険者が乗った船が主なんだとか。この話で頭を使っている部分は島ではなく船を狙っている点だ。


島を襲えば住民や領主お抱えの騎士団が抵抗する上に、異常を知らせる手段はいくつかあるため救援が来る可能性は高い。だが、海上の船ではよほどの幸運がないと救助は期待できない。


このことから海王国は海賊団には船を襲う荒くれの海賊以上に、裏方の盗賊系の技能やスキルを持つ者たちがかなりの数いると考えている。でなければ国がここまで苦戦するのはおかしい。


「それに最近は嵐の被害が出ていまして。特に霊樹国に近い島では被害が大きく、噂では霊樹国で行方不明者がいるようです」

「でしたら、いくつか素材があるので売った方がいいですか?」

「大歓迎です! 最近は海賊団の影響で冒険者ギルドも不景気で・・・」


霜葉は酒場でやけ酒を飲んでいる冒険者たちをチラ見して納得した。


その後は霜葉たちが遭遇したスティールクラブの素材を結構な量を買い取ってもらった。これを出したときに担当の職員が頭を下げてきたのだ。


「まだあるならあるだけ買い取らせてくれ! 先の嵐で軍船にも被害が出てるんだ! 海賊団と戦うなら軍船は必要不可欠だ!」


とのことなので霜葉は手元には食用の身だけを残し、甲殻はほとんど買取りに出した。ギルド職員たちは突如としてできた仕事に嬉しい悲鳴を上げる。


なお、ことは国の一大事ともいえることなので領主であるローク侯爵も協力し、すぐさま島の職人たちが素材を加工し首島へと運ぶ計画を話し合われた。余談だが、この素材を運ぶ護衛の依頼を冒険者が担当し霜葉に感謝したとか。



それからの霜葉たちは島に居る間、自分たちができる依頼を行った。島の農地の開拓や子供たちのお世話に住宅建築の手伝い&解体のお手伝いなどなど、本当にいろいろ行った。


中には漁師の護衛と言う海王国ならではの依頼もあった。海賊団のせいで漁師たちも警戒しないといけないのだ。それとは別に漁師たちから指名されたと言うのもある。


霜葉には大和と言う海においては最強と言っても過言ではない魔物がいる。そんな魔物がいるのに襲ってくる海賊はいないと考えて漁師たちが頼んだのだ。


そしてこれが意外な効果を発揮した。大和がいるおかげで普段は姿を現さない大物の魚が、泳いでいるため漁師の釣り針や網にかかるのだ。さらには武蔵たちも漁に協力し、網に魚を追い立てる。


このおかげで大物が大量なので、普段なら確保する普通サイズの魚もリリースして大物だけを狙う漁師たち。おかげで港は賑わっている。


港では漁師の家族が獲ってきた魚を捌いている。そんな中で霜葉も作業をしているが、一番早く的確だった。さらには本来は捨てる魚の頭や骨などで出汁を取ると全員がその味に驚愕した。


どうも異世界では魚のアラで出汁をとることはないようだ。そのため魚のアラで出汁をとり鍋を作ると皆がその味に感動していた。余談だが、このアラ出汁は霜葉が海王国を去った後で爆発的に広がり、名物になったとか。



霜葉たちが島に滞在して五日が経過し、そろそろ旅を再開しようと考え出した。


「今日から旅を再開しようか?」

『いいと思うよご主人』

『私も賛成です』


白夜と十六夜の同意に全員が頷く。


「そろそろ本格的に鈴蘭の家族も探さないとね」

『ありがとう♪』


今回は一緒の部屋で休んでいた鈴蘭も霜葉の発言にニコニコ顔でお礼を言う。最近は武蔵たちと一緒に過ごし子供たちに可愛がられていた。


島を旅立つことをローク侯爵にも伝えようと思ったが、あいにく侯爵は仕事で忙しく会えないと言う。それならばと伝言を伝えてもらおうと執事さんに頼むことに。


その執事さんに主に変わり丁寧にお礼を言われた。一緒に居たメイドさんたちからも。その後は屋敷を出て港に向かう道中にも島を出ることを伝え周り、島の住民たちからお礼を言われる。


特に漁師たちからたくさんのお礼の品として、干物をもらった。これには霜葉も料理のレパートリーが増えるのでお礼を言う。


沢山の感謝を言われ、霜葉たちは気持ちよく島を後にした。その港でも見送りに沢山の島民が駆けつけてくれた。


再会した旅は順調で特に急ぐこともないのでのんびりの海の旅を楽しみ、二日目のお昼になるころそろそろお昼をとるために休憩できる島はないか辺りを見渡した時・・・・


『ご主人。正面の遠くで何か嫌な匂いがするの』

『主。私もいやな音が聞こえます。かすかにいい音も』

「大和。ちょっと急いでくれるかい?」

『わかった!』


白夜と十六夜が霜葉にそう伝え、霜葉は大和に急ぐように指示。スピードを上げた大和はほどなくして小さな島を見つけた。その海岸で何やら魔物が争いをしているようだ。


もっとも争いと言うよりも一方的な狩りと言えるが、サメのような魔物が小さな魔物を追い回している。小さな魔物をよく見ようとすると突如鈴蘭が海へ飛び出した。


「鈴蘭!?」

『パパ―! ママ―!』


そう言いながら泳いで行く鈴蘭。その言葉で霜葉たちは今襲われている魔物が鈴蘭の家族だと察した。


「ルナ! すぐに鈴蘭を追いかけて!」

『うん! わかった!』

「大和もできるだけ急いで!」

『頑張る!』

『おいらたちも助けるんだぞ!』

「頼む! でも深追いはしないで! 時間稼ぎすればいいから!」

『『『『了解!』』』』


霜葉はすぐに指示を出して、皆もすぐさま行動する。いち早くルナが飛び立ち大和も急いで泳ぎ武蔵たちが鈴蘭の後を追う。



一方の襲われている鈴蘭の家族たちは体力の限界が近づいていた。襲っているのはブラッドシャークと言う獰猛なサメの魔物で五匹から八匹の群れで狩りをする。今回は六匹のブラッドシャークがその狂暴な口を開けて迫ってくる。


もはやこれまでかと諦めかけ、彼らの最後尾の者がまさに食われようと飲み込まれる寸前・・・


『パパとママをいじめるな!』


襲い掛かるサメに左側から強烈な勢いでぶつかる同族が現れた。予想外の方向からの衝撃に完全に不意を突かれ、サメは勢いよく吹き飛ぶ。突然の事態に他のサメたちも動けない。


『い、痛い・・・』


その現れた同族は頭を押さえて痛みに泣いていたが、その姿に全員が驚いた。その者は探していた行方不明の同胞だったからだ。


「パ、パウ!?」

「パウ~!」


すぐさま鈴蘭より少々大きい同じスマイルシールが近づき、左右から抱き着く。


『パパ~! ママ~! 会いたかった!』


この二人こそ鈴蘭の両親だった。感動の再会だが、状況はそれができるような場面ではない。


鈴蘭の吹き飛ばされたサメが再度襲い掛かろうとした。そんな三人を他の同族が守ろうと動くが、彼らではこの状況を好転させられない。それでも同族を守るため行動しようとする。


そんな彼らをあざ笑うかのようにサメは大口を開けて襲い掛かるが、そんなことを許さない物が空から現れる。サメは空から降ってきた闇の矢を間一髪で回避し距離をとった。


『スズラン! 勝手なことしちゃだめだよ!』

『あぅ~』


その存在はルナで襲い掛かったサメに向けて【ダークアロー】を放ったのだ。さらには鈴蘭の行動を怒る。勝手なことをした自覚がある鈴蘭は落ち込む。


さらには武蔵たちも到着し、【退化】を解いてサメたちと戦っている。サメたちは突如として現れた別の獲物に嬉々として襲い掛かるが、武蔵たちは攻撃しては距離をとり無理をしない戦いで時間を稼ぐ。やがて大和が到着するとサメたちは敵わないと判断したのか、去っていった。



そのまま島に上陸した霜葉たち。その砂浜では鈴蘭が両親と抱き合っていた。


「パウ~♪」

「パウ!」

「パウパウ!」


可愛いアザラシさんたちが抱き合い、その周りをニコニコ顔の同胞たちが囲む。なんとも平和な光景である。


「良かったね。鈴蘭」

『うん! お兄さんたちのおかげなの!』

『『『『よかったねー!』』』』


霜葉も祝福し、白夜たちも喜んでいる。そんな彼らを困惑気味に見つめる鈴蘭の家族と仲間たち。そんな状況で鈴蘭の両親が霜葉に近づく。


「パウ~?」

「パウ?」

「パウパウ!」


その両親に鈴蘭が何やら説明するかのように鳴き声を上げる。静かになると両親が霜葉たちに頭を下げた。


『え~と? お礼なのかな?』

『なんと・・・娘の言う通り本当に会話ができるのですな』

『すごいわ・・・』

『えっへん!』


人間との会話ができると言う事実に驚く両親。なぜか胸を張る鈴蘭。


『まずは娘を保護していただき、その上連れてきてもらったこと感謝いたします』

『そればかりか助けていただいて、なんとお礼を申したらいいか・・・』

『気にしないでください。こちらが好きでやったことですから』

『しかし・・・それではこちらがもらいすぎかと・・・』

『でしたら僕たちの仲間になってください』

『『仲間?』』


霜葉の提案に首を傾げるスマイルシール二人。かわいい。霜葉は仲間を集めている理由を説明する。自身が【軍勢の魔王】であること。その能力を生かすために魔物を仲間にすることを。


『なんと・・・まさか先々代の群れの長の話に聞いていた魔王様にお会いすることになるとは・・・』

『不思議な縁ですねあなた』


どうやらスマイルシールたちも北斗たちと同様に【軍勢の魔王】のことを知っているようだ。しかし、霜葉は先々代の長と言う話が気になった。なぜ先代の長と言わないのかと。


『パパ~群れの皆が少ないよ~?』

『そうなのかい? 鈴蘭』

『うん。それに今いる仲間もあたしたち家族と仲のいい家族だけなの~』


スマイルシールたちの数は鈴蘭の家族を合わせて22人ほどだ。しかも鈴蘭の家族と親しい者だけの群れと言う。


『何かあったの?』

『実は・・・娘が行方不明になったことで群れの長と揉めとしまいまして・・・』


詳しく聞くと・・・鈴蘭が行方不明になったことで彼女を探そうと主張する鈴蘭の両親とそれに同調する同族たちに対して、群れの長は反対していたと言う。


たった一人の同族を探すために大勢の同族を危険にさらすことはしないと言い切った。その意見に従えないとして鈴蘭の両親と同じ意見の同族たちは群れから去ったそうだ。


『確かに群れを危険にさらすことは長として避けねばなりません。しかし・・・行方知れずとなった者も群れの一員なのです。探すと言う選択を最初から放棄した長の意見には従えませんでした』


この鈴蘭の父親の意見に同族たちは頷いている。霜葉としても確かにと思う。


『そうだよね~群れを危険にさらすのは論外だけど、行方知れずとなった同胞を心配するくらいはしてほしいよね?』

『おっしゃる通りです。先々代の長なら何とかして探そうと意見を言い合うくらいはしてくれたのですが・・・元居た群れの長は切り捨てる判断が早すぎると以前から思っておりました』

『事情は分かったよ。それを聞いてますます君たちを仲間にしたくなったよ』


家族だからと言うのは大いにあるだろうが、それでも行方不明になった仲間を危険を顧みず探そうとした彼らを霜葉は気に入った。人によってはリスク管理が甘いと言われるだろうが。それでも霜葉としては仲間にするなら彼らのような魔物がいいのだ。


『こちらからもお願いいたします! 娘と同じように我らを仲間に加えていただきたい!』

『『『『『お願いします!』』』』』


そう言って一斉に頭を下げるスマイルシールたち。霜葉はそれを受け入れて彼らをテイムする。


《群れの長【スマイルシール♂】のテイムを確認。条件達成。これより群れすべてにテイムを行います。群れすべてのテイムに成功。さらに限定的な配下を確認。同じ種族と確認。群れに加えます。群れの魔物がレベル不足。レベルカンストまで進化はできません》


これにより鈴蘭は正式に霜葉の仲間となり、【軍勢の魔王】の効果を受けられるようになった。魔物たちの数も102人となり、大所帯となる。


『鈴蘭の父親にはこれまで通り群れの長をやってもらうね? 今日から君はガーベラだよ』

『ありがたく名乗らせてもらいます』


名づけも終わり、そろそろお昼も過ぎてしまうので仲間の紹介もかねて【箱庭世界】へ向かうことに。

アザラシさん可愛いよね。赤ちゃんの動画はすごくかわいいです。次回の更新は未定です。

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