第3話(最終話) 無事に事が終わり、そして
「あ、あなたは!」
見覚えのある顔。
間違い無い。
皇帝本人。
陛下が、何故この様な辺ぴな所まで?
それに、『反対派を裏切った』と言い切った。
何が?
起こっている?
ユウが続ける。
「して、お主はどうする?」
皇帝に問い掛けられる。
これは、答えを慎重に選ばねば。
悩みに悩んだ挙句。
発した言葉は。
「民に、損害を与えたくありません。」
民の生活を第一に。
それが支配者としての務め。
そこだけは曲げられない。
「なるほど、了解した。」
「で、では……。」
取り潰しを覚悟するアルバト。
ユウは、こう言った。
「その覚悟、確かに受け取った。嫌疑は晴れた。」
「……え?」
呆れるアルバト。
何の事やら。
ユウが続ける。
「民は守りたい。しかしチンパレ家は邪魔。そうだな?」
「は、はい。」
「ならば良い。今回訪れた要件の本題に入ろう。」
そう言って、ユウが語り出す。
グスターキュ帝国との共同作戦。
その為に、ここを戦場にせざるを得ない。
民を巻き込むのは自分も不本意なので、早急に《偽の町》と《偽の街道》を用意して欲しい。
何て事は無い。
木を切り倒し、切り株を退けてくれればそれで良い。
後は町と偽証する場所へテントを幾つか張って置き、『野営所設営の為に民を移転させた』とでも嘯いて誤魔化すだけ。
敵国へ攻め入ると称して部隊を編成し、反対派と目される連中を将軍に据える。
ラミグからシゴラを通るその時に、偽の街道へと誘導する。
そして偽の町に駐屯させている所へ、タイミング良く越境するグスターキュ軍。
こちらも密かに正規軍を組織し、東に位置する〔スコンティ〕から正規軍を駐屯地へと突撃させる。
ラミグから不審な集団が乗り込んで来るだろうが、こちらの《切り札》がそれを打ち倒す。
それで全て片が付く。
要件は以上。
話を真剣な面持ちで聞いたアルバト。
そこまで話が進んでいるとは。
大規模作戦ではないか。
敵対している筈の国と手を握ってまで、潰したいのは何だ?
反対派では無いだろう。
その後ろに見え隠れする何かか?
それが不審な集団?
後、切り札の正体も気になる。
しかしユウは、『詳細は、作戦発動の直前まで明かす訳に行かない』と言った。
ならば、その時に詳しく聞くまで。
こちらの本分を果たさせて貰おう。
『あと1つ』とユウは付け加えた。
「作戦が成就した暁には、ここに関所を設けよう。さすれば人の往来も出来、ワインデューも栄えようて。」
何と言う心遣い。
その後の発展まで、考慮に入れてくれているとは。
『感謝に堪えません』と、深々とお辞儀をするアルバト。
その姿を見て、作戦成功を強く思うユウだった。
協力の取り付けは成功した。
『ゆっくりして下さっても』とのアルバトの申し出を丁重に断り、帰還への旅に就くユウ達。
スコンティからの侵攻ルートを確認する為。
そしてより安全に戻る為。
北では無く、東へと向かった。
細々と続く街道を進むユウ達。
その道中で話し合う。
『成功の見返りに関所を設ける』と言うのも、《切り札》である彼が考えたシナリオの一部。
見返りが大きければ大きい程、協力を取り付け易い。
そう判断した為。
そしてその通り、すんなりと通った。
何と言う知恵者。
敵には回したく無い人物。
彼とだけは友好的で有りたいと、皆考える。
途中で休憩の為、座り込む。
ゴクゴクと水を飲むユウ。
肩に乗っているメイにも、水を飲ませる。
そして水筒の蓋を閉め終わった時。
ユウとメイが。
スウッと。
消えた。
慌てふためく、お付きの騎士3人。
そこへ空から降って来る、手紙の様な物。
それを手に取る3人。
真っ白な紙に、虹色に輝く文字。
そこには大きく、こう書かれていた。
招待状。
ボクが直々に【次のステージ】へと案内したよ。
だから安心して帰還して欲しい。
そこに彼は必ず居る。
約束しよう。
この名に懸けて。
《魔法使い》より。
そして。
魔法使いが指し示すステージへと、案内された1人と1匹は。
手荒い歓迎に遭っていた。
ドサッと落とされて。
尻餅を付いた格好のユウ。
その胸元に、ポトッと落ちるメイ。
すぐには、ここが何処か判断が付かない。
焦るユウ。
そこへ、ニンマリをした顔をした彼が。
声を掛けて来る。
一言、『お帰り』と。
それは新たな旅の始まりを告げていた。
これにより、支流となった流れは再び本流へと合流した。
これから先は、【本編】をご覧頂こうか。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。
〔外伝その2〕の中で出て来た事柄も、本編に後々絡んで来ます。
どうぞお楽しみに。
引き続き、本編の方も宜しくお願いします。




