ひっそりが目標ですの。
はじめて投稿します。
文章力など稚拙な部分あるかと思いますが、暖かく読んでいただければ嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
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別に、私には何の関係もないから大丈夫。
私の記憶にちょっとおかしな部分があるかもしれないけれど、
あの子を取り巻く予定の殿方が軒並み幼馴染っていうだけ。
私は彼らのことなんて全く興味もないし、
その他の家の息子方ですら私は興味がない。
小さいころから何故か一緒に育てられたといってもいいくらいに同じ空間にいたけれど、
同じ空間にいても別のことしていたし、
彼らが私に興味を持つことなんて絶対にないですわ!!!
できる限り存在を消して生きてきましたのにっっっ。
「どーーーーーしてこうなってしまいますのーーーーーーーー!!!!!!!」
私、安陪みこ(漢字はあるけど、あえて平仮名にするところに、私の意地を感じていただきたいですわ!)と申します。
代々皇家にお仕えしております、由緒正しい家柄の安陪家の長女(12歳)でございます。
両親、5つ年上の兄に愛され、性格はゆがむことなく、すくすくと問題なく育っております。
そんな私のモットーは終生ひっそりと生き抜くこと!
でございます。
なぜか?
それはですね、私の生まれ育ったこの世界に原因があるからですわ!
この世界は、いわゆる「乙女ゲーム」と呼ばれる世界の中でございます。
いえ、本当に。頭わいてるとかそんな可哀想な子を見るような目で見ないでいただけますでしょうか。
私だってこの事実を知った時は夢だと思いましたし、
高熱で倒れた後でしたので、両親に必死になって頭の検査もしてもらえるようにお願いいたしました。
でも、残念ながらお医者様の見立てでは「五体満足健康体」でしたの。
もう、どうしたらいいのかわからなかったですわ。
なんせ、私「みこ」という人生経験5年のはずの脳内に、
それよりも5倍ほどの知識や情報が流れ込んできたんですもの。
そりゃあ知恵熱だって出しますわよ。そしてぶっ倒れもしますわよ!
その時に知った知識によりますと、
この世界は「あなたの守護神」という名前の乙女ゲーム。
ヒロインと呼ばれる主人公が攻略対象者と呼ばれる登場人物たちとの紆余曲折を経て、結ばれていくという、まぁ簡単に言えば恋愛シュミレーションゲームですの。
時代は現代日本ということになっているけれど、
その環境とはまったく違う、何故か魔と呼ばれる存在がそこかしこに存在している世界。
(そして、服装なども何故かちょっと和風ファンタジーチック。)
良い魔もいれば、もちろん悪い魔もいます。
その悪い魔(妖魔と呼ばれています)を倒しながら、主人公は自分の好きなキャラクターと愛を深めてくというお話です。
攻略対象者は4人で名前をそれぞれ、
御青院 龍弥 (みしょういん たつや)
黒河内 武巳 (くろこうち たけみ)
白須賀 虎太郎
朱牟野 雀人 (しゅむの すずひと)
と申します。
それぞれがこの世界で5本の指に入る陰陽術使いの一族で、
名前を見てもわかるとおり、
「青龍」「朱雀」「玄武」「白虎」を式神として使役できる力の強い一族です。
これ以外にも隠れ攻略キャラなどもいるのですが、
あまりにも多いと作者…もとい、私の頭の整理がつかなくなってしまいますので、
まぁ、後々に…。(後ってあるのかしら?)
4人はそれぞれ力の強い式神を持っているがため、
周りからは畏怖の眼でみられ、
近寄ってくる大人はみな自分たちの能力と家柄目当て。
自分たちを身内に取り込んでのし上がってやろうとする汚い奴らばかりという、
とても正常ではいられない子供時代を過ごすのです。
文句のつけようもなく、見た目完璧、中身残念な青年たちは、
高校で自分を家柄と能力で見ない少女に出会い、
心の闇を取り払われて、その少女を愛すようになっていくという、
まぁ、ありがちと言えばありがちなお話ですわね。
そんなことはおいておくとして。
私がこの世界のことに気が付いたのは、何を隠そうこの攻略対象者達の名前からです。
無駄に長い苗字!無駄に読みづらい名前!
初めて両親に紹介された時にいらっと(あら失礼)したのを覚えております。
紹介された日に、お母さまに「長い苗字の方でしたわね」と話している最中に違和感を覚え、あれよあれよという間に、膨大な記憶が流れ込んできたのです。
私は前世27歳の時に病気で死んだのです。
そして、何の因果か前世入院していた時に親友が暇つぶしにと持ってきてくれた乙女ゲームの中に第2の人生をスタートさせてしまったらしいのです。
しかも、しかも、しかも!!!!!!
どの攻略者のルートに行っても100%死亡する「安陪巫女」という恐怖のライバル位置として!!!!!!!!
しかもこのライバルキャラ、特に悪いことしないんですのよ。
ヒロインと攻略キャラをくっつけようとしたヒロインの友人たちにはめられ、
妖魔の生贄にされたり、討伐に行って罠にかけられたりと、
本当に不憫なキャラでしたの!
ただ、純粋に対象キャラに恋していたけれど、
小さい頃からそばにいすぎて、存在が当たり前になりすぎていたことと、
自分たちと同じような家柄なくせに式神に嫌われるという特異体質のせいで、
あまり目立つことなくけれど愛情を受けて育てられたために、
自分たちの苦しみなんかわからないだろうと思われていたので、
(実際は4人とは反対の意味で大人たちのいやな視線にさらされそうですけど…、
そんなことは設定上必要ないから誰も考えないのでしょうね。)
お前は俺たちの何がわかる??と言われてしまい。
それでも諦めきれずにヒロインの友人たちの口車に乗って、
ヒロインと対決し、命を落とす…。
神様は私に恨みでもあるのでしょうか?
なぜ、なぜ27歳で死んでしまった私が、もっと若い17歳という歳で死ぬ(しかもかなりむごたらしく)そんなキャラクターに生まれ変わってしまったのですか?
どうせなら、ストーリーに何の関係もないモブキャラがよかった…。
え?ヒロインにはなりたくないのか?ですって?
まさか!!!
絶対になりたくないですわ!
ヒロインなんて、ただの尻軽ビッチじゃないですかーーーー!!!!
あんな誰にでもいい顔して、誰にでも私はあなたが一番好きなのよなんてセリフはいて。私は誰が敵でも、私だけはあなたを裏切らないとかやすやすといえる人間になんて、死んでもなりたくないですわ!!!(あ、もう死んでました。)
ということで、私、「安陪みこ」は、絶対に死なないように、
主要キャラクターに関わらないようにひっそりと、でも堅実に生きていく事に決めましたわ!
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なんて、息巻いていた時代が確かに私にもありましたのよ。
私が4人に初めて会ってからは、
何かと仲良くさせたがる親同士の思惑なんてそっちのけで、私は一生懸命当家の式神の使役するための勉強を続けました。
その甲斐あって、私は9歳の時に十二神将と言われる式神様方や、その他の式神様のお力をお借りすることもできるようになりました。
式神様はもともと人神様でして、一度使役するものが式神様と手合わせをして、その者の実力を認めて、主とするのです。
(皆様式神として使役されるときは獣神のお姿ですが、もともとは人型の神様です。)
式神様は私がまだ9歳であるのに自分たちが認めるほどの腕を持っているということをとても誇りに思ってくださり、歴代では考えられないことなのですが、人型で私とお茶をしてくださるんですのよ。
(私は白虎さまのお膝の上でお茶を飲みながら、白虎さまのしっぼで遊ぶのが大好きです!)
でもその努力がいけなかったのですわ。
確かに、私は主要キャラクターたちには関わらないようにひっそりと生きていたはずですのに。
あっちから近寄ってこられ、(4家の式神にも気に入られたので、興味を持たれたようです。)
あまつさえ全員の婚約者候補にされ、(4家の式神と契約してしまったので、使役する式神を守るためだそうです。)
4家の御当主からはそれはそれは気に入られ、(当代随一の陰陽術がつかえるためですって。)
私がいないと4人は使い物にならない(式神が私のところにおりますからね。)といわれるがために、中学にあがると同時に4人全員が我が家に転がり込んできて居候をはじめやがりましたのよ!
最初はいやいやだった皆様も、
我が家で暮らすうちに、慣れてきたのか、
俺様のはずの龍弥さまは甘えっこちゃん。
腹黒の武巳さまの腹黒の対象に私は入っておらず。
雀人さまはチャラ男のはずなのに、私一筋と公言して憚らない(まぁ、女の方にはそれもまた素敵と大変オモテになっておりますが。)
女嫌いの虎太郎さまは女嫌いというよりかは、私、ご当家の方、他の3人以外が嫌いという人嫌い。
といういささかおもしろ…いえ個性的な性格になりました。
私の知っているストーリーからは大分かけ離れております。
しかも何をどのようにして間違ったのかは知りませんが、毎日のように私に愛を囁いてくださる4人の方々。
私毎日のお食事にお砂糖を入れていないはずなんですが、
自分に言われた言葉で砂を吐くなんて経験初めてでしてよ?
私は、大好きな式神様と一緒に楽しく、ひっそりと、目立たずに生きていきたかっただけですのに。
今では4家の婚約者とかいう望んでもいない立場になってしまったせいで、私の名前を知らない人がいないと迄言われるしまつ。
こんなんで、モブキャラのふりなんて絶対にできません。
いったいどうしたらいいのでしょう…。
まぁ、私の知っているゲームではヒロインがこの4人に関わってくるのは私の高校入学からですので、もう少し先となるのですが、、、。
登場人物のキャラクタ-が全然違いますし、
私の記憶違いでなければゲームの中の私は式神使いのための訓練が大嫌いで、
高校生になっても式神を使えなかったという設定でしたから、
これで私が万が一にでも攻撃されても、反撃できますから、
17歳という若さで天に召されることがなくなったと思いますので!
めでたしめでたしですわ☆
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お読みいただきありがとうございました。