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プロローグ
-真っ白な部屋。
その子のいる病室は、精密機械で溢れていて、それから伸びるコードは全てその子へと繋がっていた。
その子の枕元に置かれた、水色のケータイからはあの名作の曲である『星に願いを』のオルゴールが流れていた。
カタン、とイスに腰をかけ、私はその子を見つめる。
動くことの無い体。開くことの無いその目。
もう、何年この変化の無い状態を私は見てきたのだろう。
「そろそろ、いい加減に目を覚ましてよ…」
その声も、その子に届いているのかわからない。
声はただ、病室にオルゴールと一緒に響いただけなのかもしれない。
私は、イスの背もたれへと体重をかけ、そのまま身を委ねる。
昨日の夜更かしのせいだろうか。自然とまぶたが落ちてくる。
面会謝絶時間まではまだしばらくある。
私は腕時計で時間を確認すると、そのまま眠気に任せて深い眠りへと落ちていった…。